シャルロット・デュノアの妹、ジャンヌ・デュノアです。   作:ひきがやもとまち

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最新話ではなく、活動報告へのコメント意見の一つを試験的に書いてみたものです。
【なのは】と【IS】と【ジャンヌIS】をゴッタ煮した、少し変則的な作品です。
前からやってみたいと思ってた書き方ですけど、やる勇気なかったため折角なので。

*作者は『The MOVE 1st』しか完全には見終えていません。
 本格的に書くことになった場合は、キチンと全部見て書くつもりです。


【魔法少女?いいえ、なのは世界のIS少女ジャンヌ・デュノアです。】

 

 この広い世界には・・・・・・次元空間の中に幾つもの世界があると言われている。

 そして、その世界の中には『良くない形』で進化しすぎてしまった技術や科学が自分たちの世界を滅ぼしてしまった世界が幾つもあり、その世界が滅んだ後に残された危険な遺産を全部ひっくるめて超大雑把な括り方で総称して【ロスト・ロギア】と。

 

 ――そう呼んで、正しく管理するため【回収している世界】も、次元空間の中には幾つか存在している可能性だって持っているかもしれないという事でもあるのだろう。

 

 ならば、そんな無数に存在しているかもしれない、次元空間の中にある世界の一つでしかない世界の中に―――こんな【遺産】が迷い込んでしまった世界があっても不思議ではないことも無きにしも非ずや否や・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは海に面して、背後の山に囲まれた比較的発展している港町、日本の鳴海市にある桟橋埠頭で倒れていた少女が目覚めるところから始まる物語。

 

「――はッ!? え? ここどこ!? なんで私こんなとこで倒れてたの!? なんも思い出せないんですけどーっ!?」

 

 ガバッ!と跳ね起きて、涎を口の端からちょっと垂らした、だらしのない寝起き姿をお日様と世間様の下に晒しながら眠りから目覚めたのは、一人の小さな女の子。

 

 金の輝きが少し錆びた色になった長めの髪と、少しだけ眇められた目つきの悪い瞳、蝋人形のように白すぎる肌をした、ちょっと悪そうな印象を受ける見た目をしてる。

 顔は可愛いんだけど一見するとハスッパな感じの見た目で、でもどこか仕草に気品が感じられて、もしかしたら意外に良い家のお嬢様かもしれないし、礼儀作法をしっかり教えられて育った女の子が悪ぶっているだけかもしれない。

 

 彼女が着ているのは、どこかの学校の制服らしいブレザー服。

 だけど多分、日本の学校でこんな制服を着ているところはないと思うメカニカルなデザインで、学校の名前を示す漢字も見当たらない。

 服の一部には小さく、【IS】とアルファベットの金字で掘られているけれど、これが彼女が通っていた学校の名前なのだろうか。

 

「な、なんで私、こんなところに一人で寝てたのかしら・・・? 部屋で寝てて朝起きたら、港に移動して寝てましたって意味分かんな過ぎるんだけど・・・。

 しかも妙に記憶あやふやだし・・・・・・こういう時どうすればいいんだったっけ?

 えーとえーと、たしか・・・・・・そうっ!!」

 

 そして、混乱する頭を抱えながら、なんとか自分の身に起きている異常な状態――記憶を半端に失っているらしい自分自身の過去と向き合い、今のような状況に陥ったときに今までの自分だったらどうしていたかを、必死に残っている記憶の断片を寄せ集めて再構築して、確信を抱いて声に出す。

 

「まずは・・・・・・状況の把握よッ!!!」

 

 と。なんとなく偉そうな絶対的支配者っぽい雰囲気を醸し出すポーズとともに、記憶の中にある似たようなこと言ってた記憶を頼りに言ってはみたけど、

 

「・・・・・・ダメだわ。なんか違うわ・・・・・・これは私の言葉じゃない気がする・・・何故かは分からないけど、何故だかとっても私の言葉じゃない、でも大切な言葉でもあるようなナニカが・・・」

 

 と、思い出した自分の記憶と行動とに感じた違和感に、激しく自問自答して悩む少女。

 ぶっちゃけ、自分の言葉じゃなく、自分が大好きだった言葉というだけの違いだから違和感あるのは当たり前なんだけど、それが分からない状態だからこその記憶喪失です。

 

「・・・・・・あのー、なにかお困りごとですか?」

「うひゃあッ!? なに! 何があったの!? 私の背中に立とうとする危ないヤツは誰!?」

 

 混乱して、さっきから朝の港で喚き散らしてた女の子の背後から、心配そうに声をかけてくれる心優しい物好きによって、不意の声がけで驚かされて大慌てで飛び退いてファインティング・ポーズを取る、更に危ない女の子。そろそろ白と黒のパンダカーが来ないか心配です。

 

「あんたは・・・・・・?」

「あ、わたし高町なのはって言います。なにか困ったことがあるなら聞いてあげたいなって思って・・・・・・あの、迷惑だったかな?」

 

 背後を振り返って拳を構えた先に立っていたのは、ちょっと困った顔をして微笑んでいる、丈の長い修道服みたいな白服を着た小さな女の子。

 小学校2年生ぐらいだろうか。頭の左右で髪を結って小さなツインテールにした、愛らしくて大人しそうな感じの女の子だ。

 

 ・・・・・・なんとなくだけど、ドラゴンとか呼び出しそうにない気を、何故か感じさせられた目つきの悪い女の子。

 あと、胸の発展速度は数年で超えそうだな、と何故か思って、何故かザマーミロとか愉悦を感じてしまっている自分もいる。

 誰のこと思っての感情なのかさえ全く分からないのに何故・・・? 世の中不思議なことがいっぱいである、特に今の自分の立ち位置とか。

 

「困った・・・・・・こと・・・」

「うん。勘違いかもしれないけど、すごく寂しそうな目をしているように見えたから・・・・・・まるで一人だけ置いて行かれた迷子の女の子みたいで、それで・・・」

「迷子、か・・・・・・そうね。そうなのかもしれない。私はもしかしたら、あなたの言うとおりの存在なのかもしれないわ・・・」

 

 心配そうな相手の言葉に、そう言って答えて沈痛そうな表情で髪を押さえながら海が見える方へと歩いて行って――とりあえず格好つけた表現で現状を説明してみる女の子。

 実際、間違ったことは言ってません。ホントに迷子かもしれませんし、お父さんとかお母さんのこと思い出せませんし。ってゆーか自分の名前なんだったっけ?というレベルです。

 

「私には・・・なにか使命があったような気がするの・・・・・・お父さんやお母さんを救うため、どうしても果たさなければいけない使命が・・・・・・帰らなくちゃいけない場所に帰るために・・・・・・」

 

 そう言って、胸の前で強く拳を握りしめて唇をかみしめる少女。

 ――これも間違ったことは言っていません。実はこの世界の人間じゃない彼女には、自分の世界という帰るべき場所があり、果たさなければいけない使命があったのも事実です。

 

 ただし、自分の世界に帰るには自分の記憶思い出してからじゃないと不可能ですし、使命の方は「過去にあっただけ」で現在は完了してるのでありません。

 でも記憶失ってて思い出せないので、どっちとも現在進行形で有りです。日本語は便利。

 

「お父さんとお母さんが、そんな事に・・・っ。大変だったんだね・・・」

「ええ、そうなのよ。よくは思い出せないのだけれど、スゴク大変だった気がするの。具体的には――ああッ!? 頭が・・・っ、頭が割れるように・・・・・・っ!!」

「ちょっと大丈夫なの!? しっかりして! ねぇ!!」

 

 気遣って駆け寄ってきてくれる心優しい小学生の女の子・・・・・・たしかナノハって名前の日本人少女。

 そんな素直で優しい日本人少女につけ込んで、詳しいこと聞かれたら答えられない嘘八百のノリで答えてしまった話を先手打って質問塞ごうと、頭痛い演技をするメカニカルな制服の女の子。

 

「あ、頭が・・・っ! やめてちょうだい、セフィロ・・・ス・・・・・・ッ」

「せふぃろす! それがあなたに痛い思いをさせてる理由なの!? しっかりして! 大丈夫だから!!」

 

 そして格好付けで風評被害で冤罪ふっかける碌でもない外国人少女の方。

 コイツは別に、変な細胞を注入されたから記憶混乱して思い出せないわけでもないし、登録番号を抹消されたこともなければ、弱い自分が強い他人を演じるだけの人形になってた記憶もない。

 むしろ、仮に注入されても平気なタイプだろう、普通に考えて自我が強すぎそうなヤツだから。それこそ精神力に数値があったらクラス1STぐらいにランクインしそうなほど我が強すぎる。

 

「可哀想に・・・・・・こんなに震えちゃって・・・。そうだ、私の家においでよ。お母さんもお父さんも、あなたの事情を聞けばきっと助けてくれるはずだから!」

「・・・いいの? 私みたいな、どこの誰なのか自分でも分からないような人間を家に上げちゃって・・・・・・本当に?」

「うん、もちろん! 困ったときはお互い様だよっ」

 

 満面の笑顔を見せて、救いの手を差し伸べてくれる心優しい女の子、高町なのはちゃん。

 

「・・・ありがとう、ナノハ。本当にありがとう・・・」

 

 ――よし、これで一先ず今日だけは雨風しのげる宿を確保だわ。

 

 弱々しい笑みを浮かべて返す演技をしながら、差し伸べられた救いの手を取る、心優しくない嘘吐きな女の子、名前はまだ思い出せない。

 

 なんと言うか、ヒドい状況が展開されてしまっていたが、なのははともかく少女の方は割と真剣な悩みを抱えた末での決断であって、彼女としては自分の元いた場所への帰り方を探すより先に、児童施設へ強制連行されるのを避けなければいけない重要な使命があったのだから。

 

 ――まぁ、とはいえ所詮は子供が言ってるだけの申し出だしね。明日以降は追い出されるとして、今日一日だけでも泊めてもらって、情報集められたら十分って思っとくべきところか。

 

 そんな風に皮算用して、幼くて純粋無垢ななのはに手を引かれながら、彼女の家路へついて行く女の子。

 

 

 ・・・・・・こうして、自分の元いた世界とは別の、同じ次元空間の中にある世界のどれかに転移した――あるいは最初から自分の世界が今の場所だった次元空間でも存在していたのか。

 

 それらは分からないながらも、なのは達が暮らす世界から見た異世界から来た少女は、一年後に運命の少女と出会うなのはと、一年前に出会って仲良くなった友達として、彼女たちの物語に大きく影響をもたらす、始まりの日の短い物語は終わりを迎える。

 

 まぁ、本当になのはの家に居候していい許可を出されてしまったことだけは完全に予想外デスな幸運過ぎる結果論だったけども。

 それでも彼女の物語は、こうして始まる。

 

 

 一緒に過ごす中で思い出すことが出来た自分の名前――『ジャンヌ・デュノア』として、なのはのファースト戦友は友のため、帰るべき戦場へと帰還する日への第一歩目を記したのだから・・・・・・。

 

 

 

 

 それから1年――

 

 

 

 その日、私は海を見に来ていました。

 私の大好きな、世界の広さを感じさせてくれる、大きな海が見える港の高台に。

 

 ・・・この広い世界には、幾千、幾万の人がいて。

 そして、それ以上にたくさんの出会いと、別れがあって。

 

 これは小学三年の私が胸に抱いた、小さくてもいい、大切な人との出会いと始まりの予感を感じていた・・・・・・そんな春の一日。

 春という季節の優しくて穏やかな風に吹かれながら海を見ていた、そんな私に声をかけてくれたのは、一年前から大切な友達になっていた一人の――いいえ。

 

 一人の女の子と、“もう一人の友達の友達”からの優しい声――。

 

 

「この“広い世界”なのに、“幾千、幾万”なんだ。ふ~ん、へぇー、そう~」

【御意。ナノハの世界観に該当するのは、紀元前の古代地球時代において一つの都市で最大人口十万が限界だった頃の基準を採用しているものと推測される】

 

「ちょっとそこ! いいでしょ別に!? そういう気分になってるだけなんだから放っといてよ! そういう理屈っぽいとこ私嫌い!」

 

 プイッと! 私はいつも通りイジワルな二人からの返答に、ホッペタを膨らませてそっぽを向いて腕を組んで目を合わせてあげる気持ちがなくなっちゃうの!

 まったくもう、この二人は最近まったくもう!!

 

「ごめんごめん、ナノハ。私が悪かったわ、謝るわ。ちょっとバカっぽくて面白――もとい道化っぽい――でもなくて、え~とえ~と・・・まぁ、そんな感じで悪いこと言っちゃったから反省してるわ本当よ。フランス人嘘吐かない」

「その時点で、もう嘘だよね!? 大嘘だよね!? あと道化とバカって!」

【御意。ナノハは一般的な小学三年生基準としては、些か難解な表現と単語の使用が多いのではと演算される。使用する際には用法用量を守り、正しい利用法での活用を推奨する】

「なんか私、怒られちゃってない!? 私の方が悪い事したみたいになっちゃってるんだけど!?」

 

 あまりにもあまりな展開に、私は怒って二人に向き直って、背後の彼女たち睨み付ける!

 そうすると一人はニヤニヤ笑いながら両手を挙げて降参してくれて、もう一人の方はと言えば――最初から両手も姿さえもないから何も見えない。

 

 もう一人の声は、彼女の方から聞こえてきてたからだ。

 でも、彼女が――ジャンヌが私に腹話術で話してたとか、そういうんじゃなく。

 

 彼女と、そして私だけにしか聞こえることの出来ない声の主さんが彼女の――ジャンヌが手に填めているブレスレットに埋め込まれてる、【青い小さな丸い宝石】から声を発してるだけなんだから。

 

「はぁ・・・もういい。最近のジャンヌは私の前だと、すっかり本音しか出さなくなっちゃったし・・・・・・昔はあんなに優しくて礼儀正しい良い子だったのに・・・」

「ふふん、そこは長年の修練してきたらしい成果ってヤツね。まだ完全には思い出し終わってないけど、かな~り私の猫かぶり技術って高レベルだったみたいだから、まだまだアンタのご両親にバラす予定はないわ~♪」

「はぁ・・・・・・“シュヴァリエ”はいいの? ご主人様が色々な部分でダメなところ隠さなくなっちゃって・・・」

【御意。ジャンヌは私を呼び出せるマスターであり、私はマスターの剣であり鎧である。如何なる城壁であろうと突き破ることこそ我が使命。マスターの更生は私の関知するところではない】

「はぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 

 相変わらずな、『ご主人様』と『ご主人様を守る騎士』からの反応に、私は朝から頭痛を感じずにはいられませんでした。

 まったく本当にもう・・・・・・今朝は“変な夢”を見ちゃったせいで、いろいろ気になっちゃって、不安も少しあったのに本当にもう。

 

「・・・もういい。そろそろ待ち合わせの時間だから、公園に行こう。アリサちゃんとすずかちゃんを待たせちゃったら、ジャンヌと違って私が悪いもん」

「あらあら、可愛らしい皮肉だこと♪ まぁ私はナノハのそういうとこ大好きだからいいけどね~♡」

【御意。ジャンヌは確かにナノハに好意を抱いている。

 今までに夜の寝言で「ナノハお姉ちゃん」という呟きを12回、「エヘヘ~、ナノハお姉ちゃん」という呟きを7回、「ご、ごめんなさいお姉ちゃん!私が悪かったら許してー!」と悲鳴を上げて飛び起きるのを166回確認している。ジャンヌがナノハに好意を抱いていることは統計的に見て明らかモゴモゴ】

「ちょ!? バ! 裏切るなこのブルータス! この!この!このこのこのポンコツー!!」

「・・・・・・へぇ。今のお話、もう少し詳しく聞かせてもらたら嬉しいな、ジャンヌ。特に『ご、ごめんなさいお姉ちゃん!私が悪かったら許してー!』っていうのは今度詳しく、ね?」

「ひぃっ!? ち、違っ! そうじゃなくて! わわ、私が悪かったから許してお姉ちゃん!!

 なんか苦手なだけなのよ本当に! お姉ちゃんって存在が好きなんだけど苦手なだけだから許してー!?」

 

 

 

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