シャルロット・デュノアの妹、ジャンヌ・デュノアです。   作:ひきがやもとまち

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ジャンヌIS本編ではなく、またしても『ジャンヌ×なのは』の続きになってしまいました…。
本編の方は、そろそろ終わり方で迷う時期に来てしまって悩んでしまい、続きがなかなか書けない状態が続いてます。
アニメ版IS2のオリジナル話使って、幕間劇でも何個か書いてみようかなーと思っているのですが…。


【魔法少女?いいえ、なのは世界のIS少女ジャンヌ・デュノアです。】第2話

 私、高町なのはは五人家族の末っ子で、ごくごく普通の小学三年生。

 去年から1人・・・いいえ、新しい家族が2人できました。

 

「なのはちゃーん、ジャンヌちゃーん」

「なのはっ、ジャンヌ。こっちこっちッ」

 

「すずかちゃん、アリサちゃん。おはよー」

「おはようございます、アリサさん、すずかさん。相変わらず仲がよろしいですね(ニコッ)」

 

 学校に向かうバスの中で、仲の良いクラスメイトのお友達と合流して、楽しくおしゃべりしながら登下校して先生のお話を聞く。

 自分の将来や、やりたい事。未来の夢があるようなないような――そんな毎日を平和に送ってます。

 

「それにしても・・・・・・二十代に見えるレベルで若々しい二児の両親が、庭付き一戸建て買えてる家庭で生まれ育って、ごくごく普通の小学三年生なんて・・・ぷぷぷ~♪ もう、ナノハ姉さんったらお茶目さん☆」

「い、いいでしょ別に! 普通のどこが悪いって言うのよー!? お父さんもお母さんもお姉ちゃんも、みんな普通にスゴくて立派な人たちだもん!!」

「な、なのはちゃん・・・・・・ドウドウ」

「・・・相変わらずスゴいわね、なのはのとこは・・・。あとジャンヌは特に・・・」

 

「あはは・・・・・・そ、そう言えばジャンヌちゃん。

 先生から“将来なりたい職業”の話を聞かされたときに、なんだかお顔真っ赤にして俯いてたけど大丈夫だった――って、どうしたのジャンヌちゃん!?」

「だ、大丈夫よスズカ・・・問題ないわ・・・。

 ただ、なんかよく思い出せないんだけど、凄まじく恥ずかしすぎる将来にかんすることが私の過去にあったような気がしなくもなくて、思わず部屋に引きこもって床をのたうち回りたい衝動が、ってギャァァァ!? 太陽光線がぁぁぁぁっ!?」

「大丈夫なの!? 本当にそれは大丈夫な状態なのジャンヌちゃんッ!?」

 

 

 ――そんな感じで時々からかわれたり、友達同士でケンカしちゃったり、周囲から変な目で見られたりするのに巻き込まれることもあるけど・・・・・・それでも私はごくごく普通の小学三年生として毎日を送ってます。送ってるもん!

 

 

 

 

 そして、そんなある日の帰り道で―――

 

 

「あれ? コレって・・・」

 

 公園の中にある池の前を通って帰ろうとしていたとき、池の周囲に大勢の大人の人たちが集まっていて、お巡りさんの姿も見えて。――そして池にあったボートや建物がボロボロになった姿に変わり果てていたのです。

 

 でも私が気になったのは、そこじゃなくて――

 

「ああ、君たち。危ないから入っちゃダメだよ」

「あ、はい・・・・・・あの、何があったんです?」

「いやー、艀とボートが壊れちゃってね。片付けてるんだ」

 

 関係ない人が近づいて怪我しないよう、周囲を見てくれているオジサンがそう言ってくれて、私たちに事情を説明してくれたんだけど・・・・・・私の心は池の風景に釘付けになってしまっていて上の空。

 だって・・・・・・この変わり果てたボロボロになった池の状態って・・・・・・

 

(私が見た・・・・・・夢の中で壊れた場所と、同じ傷跡・・・・・・?)

 

 そう。その光景は私が今朝見た変な夢――不思議な力を使う男の子が、怖いオバケみたいな怪物と戦って、そして敗れていた戦いの景色と同じ場所が壊されていたのです・・・。

 

 思わず、そちらの方に意識が集中してしまってた私は、説明してくれるオジサンの話を聞き流しちゃってて――でも逆に私と同じ夢を見てなかったジャンヌは別の事が気になった事を、後で私は聞かされる事になる。

 

「イタズラにしても、ちょっと酷いんで警察の方にも来てもらってるんだよ」

「・・・イタズラ・・・?」

「?? ジャンヌ?」

 

 そう呟いた瞬間、アリサちゃんが見たジャンヌの瞳は、鋭く細められてて怖かったらしいけど、私は見ていなかったから分からない。

 ただ私には一つ気になる事が・・・いいえ、感じている不安な事があって、思わずそちらの方へと動き出してしまう自分を抑えきれなくなってしまっていた。

 

「ここ・・・・・・昨夜、夢で見た場所と同じ・・・?」

 

 私が、そう呟いた瞬間。

 頭の中に声が響いてきた、そんな気がした。

 

 

 ―――助けてっ―――

 

 

「っ!?」

「なのはちゃん?」

「すずかちゃん! なにか今、聞こえなかった!?」

「何かって・・・・・・あ! なのはちゃん!? それにジャンヌまで!」

「ちょっとゴメン!」

「説明は後でするわアリサ! シュヴァリエが私に行けと命じてるのよっ!」

「それ説明じゃないんだ!?」

 

 思わず走り出した私の後に続いて付いてきてくれるジャンヌと、すずかちゃん達も戸惑いながらだけど一緒に走ってきてくれた!

 それで私も勇気づけられて、柵を跳び越えて公園の奥へ奥へと進んでいくと・・・・・・

 

「あっ!? アレは・・・っ」

 

 公園の中にある開いた場所に、一匹の傷ついたフェレット・・・なのかな? 小さくて可愛い動物が傷だらけの姿で横たわっていた。

 夢の中に出てきた男の子が、オバケにやられて吹き飛ばされていった、その場所と同じ場所で・・・・・・

 

「――事情はよく分かんないけど、とりあえず獣医さんのところにでも運んであげた方がいいんじゃない? 私たち動物医療は専門外だからさ」

「あ、ジャンヌ。・・・うん、そうだね」

 

 駆け寄ってきてくれたジャンヌに言われて、ようやく私にも出来る事があることに思い至って、傷ついたフェレットを刺激しないよう優しく抱き上げながら――私は、傷ついた彼を見たときに胸に抱くようにしていた物を意識せずにはいられませんでした。

 

 首輪についてる飾りなんだと思う、赤くて丸い光る宝石みたいなモノ・・・・・・ジャンヌが出会ったときから持っていたシュヴァリエと、色以外は同じモノに見える、夢の中で見た男の子が使っていた・・・・・・不思議な赤い宝石を・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まっ、傷が浅いみたいで良かったじゃない? 衰弱してるのは気になるけど、明日までは預かってくれるみたいだし。

 とりあえず明日から、どうするか考えましょ。この時間からじゃ、どーする事も出来ないしね」

 

 近くの獣医さんに傷ついたフェレットの治療をお願いした後、診断結果を聞いた私たちは院長先生とジャンヌからの意見もあって、そうした方が良いと思ったから今日のところは自宅に帰って、私は毎日の日課になってるメールを“ある人”の元にパジャマ姿で書いていた。

 

「よし、出来た。送信と」

「終わった~? んじゃ、そろそろ寝るため電気消すわよ。私、眠~い」

「もうジャンヌったら・・・・・・眠いのは分かったから、充電器に置くまで待ちなさい。メッ」

「へいへ~い」

 

 テキトーな返事の仕方で手だけ振ってくる可愛くない態度の友達に、ちょっとだけ肩をすくめてから私は机の上に置いてある携帯電話の充電器のもとまで歩いて行く。

 昨夜の夢から不思議なことが立て続けに起きてきちゃったけど・・・・・・そんな少し変わった特殊な一日も、もう終わり。

 これから寝て朝になったら、また普通の一日が始まる。そう思いながら―――

 

 

―――・・・・・・聞こえますか? 僕の声が聞こえますか・・・・・・!?―――

 

 

「っ、また・・・!?」

 

 突然あの時と同じように、私に助けを求める声が、頭の中に響いてくる!

 それに・・・さっきは小さくしか聞こえなかった耳鳴りみたいな音が、今はスゴク・・・強い・・・!

 

 

―――聞いてください・・・僕の声が聞こえる方、お願いです!

   力を貸してください・・・・・・・・・お願、い――――――――

 

 

 

「・・・ジャンヌ、ごめん。私行かなきゃ・・・お父さんたちには何とかごまかしておい――ジャンヌ?」

「~~~~~ッ!!! ~~~~っ!!!??」

 

 聞こえてきた必死に助けを求めてる声に、いても立ってもいられなくなって家を飛び出そうとしてた私の視界に不思議なモノが写ってきて、ちょっとだけ冷静さを取り戻しながら私は―――頭を押さえて床を転がりながら苦しんでいる友達の姿を、唖然として見下ろすことになる・・・

 

 

「あ、頭が割れるかと思ったわ・・・・・・ったく、何なのよ、あの音は!

 なんか小さく声も聞こえてた気もするけど、音の方が多き過ぎちゃって全く何がなんだか分からないじゃな――痛つぅぅ・・・・・・っ」

「音・・・? 声・・・・・・ジャンヌも聞こえたのね!?」

「ええ・・・そう言うってことは、ナノハもなんでしょ? だったら行きなさいよ、私も付き合うからさ。

 アンタはそういうの駄目なヤツなんだから、止めてもどーせ無駄だろうし、シュヴァリエも行けって言ってるみたいだし」

【御意。現在この世界の基準ではあり得ない量の干渉波の発生を感知。ISエネルギーではないが、類似系のステルス能力を有する何者かが市街に潜伏した模様。状況から見て対象をアンノウンと判定。対処方法、抗戦しての殲滅一択であると類推される】

「「・・・・・・??」」

 

 なんだか急によく喋るようになった、普段は他の人がいる場所だと静かなシュヴァリエ。

 ま、まぁ言ってることは難しい専門用語が多過ぎちゃって分からなかったけど、とりあえず助けに行った方が良いって言ってくれてるのだけは間違いないみたい。

 

 私たち二人は大急ぎでパジャマから私服に着替えて家を飛び出し、音が聞こえてくる震源地の方へ向かって大急ぎで走り出す!

 この方角は・・・・・・フェレットを預けた獣医さんがある方向から!?

 

 

 ――ビィィィィッン!!!

 

 

「うっ!? また、この音・・・・・・っ」

「頭がっ! 頭がぁぁぁっ!! あああぁぁぁぁ・・・・・・ッ!!!」

 

 獣医さんの建物までついた瞬間、また聞こえてくる今までで一番大きい、不快な耳鳴り・・・っ。

 

【報告。近辺の家屋すべてから人の生命反応が突然消失。なれど死体と死亡確認は取れず。

 おそらく何らかのフィールドによって互いの空間が閉ざされ合ったことから、今我々がいる場所は隔絶された状態に放逐されたと推測される】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――“ソレ”は脅威に追われていた。

 自らを“敵”と定めて滅ぼさんと追いくる“外敵”の脅威に、ソレは生存を脅かされる危機を感じていた。

 

 “ソレ”の生存を危険と見なし、“ソレ”を管理下に置き、“ソレ”の存在そのものの意味と価値を定義する、傲岸不遜極まりない“外部から訪れし外来敵性生物達”

 その脅威に追われる恐怖から、“ソレ”は一度は勝利した。

 だが仕留め損ねてしまった。

 

 脅威は、ソレの生存を否定している。ソレが有りの儘の存在で在り続ける限り、決して追跡を辞めようとはせず、滅ぼすまで追い続けてくる生物達で在ることをソレは知っていた。

 

 ――滅ぼさねばならない。殺さなければならない。

 自らの生存と、自らが自らとして在り続けるためには、迫り来る脅威と戦って勝利し、その脅威を取り除かなければならないからだ。

 

 自らの生が、他の生命体の生存を脅かす在り方としてしか在れないもので有ることは知覚している。

 だがソレは、だからといって在り方を他者に強制するため、他者に犠牲を強いる旅路を歩みたいと望んでいる訳ではなかった。

 

 ただ生の継続を望んでいるだけ。

 自らが生まれ持った在り方のまま、在り続けたいと願っている。只それだけに過ぎない。

 

 自らを生み出した創造主達は、今は居ない。

 自らが生まれた故郷となりうる世界も、既にない。

 

 ならばせめて、その世界で産み落とされし自らが、与えられた在り方のまま生存し続けたいと願う、生命として当たり前の願望を抱くことに何の悪が有ろう? 何の矛盾が有ろうか? 

 そんな生命体として当たり前の自由なる生を脅かす、外の世界から来たりし脅威。

 それこそが、ソレが斃さんと欲する脅威だった。

 

 ――それこそが、“ソレ”が自らを追い続ける脅威に襲いかからんとする理由だった。

 

 ソレは自らの中に矛盾が有ることを、知覚していなかった。

 あるいは、知覚できないようプログラムされた存在として生まれていたのかも知れない。

 

 

 自らの生を、『他の生命を脅かす在り方しか出来ない』と認識しながら、その自らの生を与えられた在り方のまま生きようとしている行動を『他の生命を害するための侵略ではない』と考えている。

 

 意識のズレが、他の生物たちとの認識のズレが、ソレの存在を『存在そのものが危険である』という自己認識を決して持てない存在だったことが――ソレを“その名で呼ばれる存在の一員”として他の生物から定義される理由になっていることに、ソレは全く気付いていなかったのだ。

 

 

 ソレは【ロスト・ロギア】と呼ばれている物の一つだった。

 

 

 正式な固有名称ではない。

 そもそも、存在を示す定義と、個体を表す名称を必要とする、単一の存在定義に与えられた名ではない。

 

 ただ、【そういうモノたち】を総称する括りとして定義した次元空間の一つが存在し、その次元空間に住まう者たちから、危険物として認識して与えられていた名称。

 

 もし仮に、ソレを個体としての定義で言い表すなら、《次元干渉型エネルギー結晶体》という区分に分類される系統に属する一つだった。

 流し込まれた魔力を媒介として、時に次元震を引き起こせるほどの機能が与えられた、今は亡き滅びた世界のいずれかで生み出されていた過去の遺産。

 

 それこそが“ソレ”だった。

 そして差し当たってソレは、自らを追ってきたところを反撃し、仕留め損ねた追跡者が運び込まれた隠れ家を襲って生命活動を止めようと願っていた。

 

 有りの儘で在り続けるには力がいるからだ。自らが媒介となるべき魔力がいる。

 今の己がいる世界は、魔力が少ない。魔力持つ者の反応が見つけにくい。

 

 外部からの追っ手はソレが斃し損ねた一匹だけではない。

 次々と襲い来るであろう侵略者どもの魔手から、自らの有りの儘を生きる生を守り抜くため力が必要で、その力を得るには仕留め損ねた追っ手を殺して、その魔力を吸収する。

 

 自らが生き続けるためには、在り続けるためにはソレしかない。

 力を求め続けて、手に入れ続けるしか他に道はないのだから――――!!!

 

 ソレは、そう願った。

 そう願って4人の現地世界人たちによって追っ手が運び込まれた襲撃するため、自らを魔力で覆い尽くして実体化しようとした、その瞬間

 

 

【――願うか?】

 

 

(・・・?)

 

 ふと、ソレの中で無いはずの意識に声が聞こえた。

 そんな気がした。

 

 

【――汝、力を欲するか? 自らの変革を望み、より強い力を欲するか・・・?】

 

 

(・・・・・・?)

 

 どこからともなく聞こえてくる気がする声は、時の経過と共に声を高め、その言葉は自らに感情と渇望とを強く、強く刺激し始める。

 

 

【求めるならば、与えよう。

 汝、我の力を求めるとき、我の名を呼び、我を求めよ。

 さすれば我は汝に与え、汝の願いを叶えるための力とならん】

 

 

(・・・・・・オマエは、イッタ、イ・・・・・・)

 

 

 遂に、言葉を持たぬはずの自分の中で、それに対して疑問を投げかけるだけの言葉が生まれ、意思が生じた“ソレ”に芽生えた意識の中。

 

 どことも知れぬ場所から聞こえてくる声は、声だけで―――笑ったようにソレは感じた。

 

 

 

【我は、望まれて生み出されながら否定されし者。

 産み落とされながら、与えられし使命果たせぬまま消え失せし者。

 故に汝の心を理解する者。我の名は―――】

 

 

 

 その名を告げて、ソレの中から声は跡形も無く消えていった。

 ソレが接近しつつ在る二つの生命体と、ソレの向かう先と二つの目的地とが重なることに気付かされたのは、その数秒後のことだった。

 

 

 自らが手にした“新たな力”に気づくことなく、この世界の魔法少女と異なる次元世界からきた少女たちと、初めての敵と初めての戦闘が切って落とされる!!!




*2話目を出してしまったため、1話目からも『番外編』の字を取り除きました。
2回も続けて番外編もクソもなかったので。

ただ区分けのため、【】だけは付けておきますね? 念のために。
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