シャルロット・デュノアの妹、ジャンヌ・デュノアです。   作:ひきがやもとまち

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少しぶりになってしまいました、【ジャンヌなのは】更新です。
更新できる回数少なめな作品なので、最後ら辺駆け足気味。
劇場版とアニメ版を見比べながら、劇場版寄りで書くのは思ったより大変でした。


【魔法少女?いいえ、なのは世界のIS少女ジャンヌ・デュノアです。】第5話

 

『信じてもらえるか分からないけど、僕はこの世界の外、別の世界から来ました。

 さっき貴女が使ったのは魔法、僕の世界で使用されてる技術です』

 

 湖の水に映った月が見渡せる公園のベンチに座りながら、拾われたフェレットは、もしくは「自称・異世界フェレット」は、黒くて素早くて手が多い巨大なイキモノと戦って自分を助けてくれた少女達2人を前に、そう説明をはじめてくれた。

 

 場所は、なのはの家の近くにある公園。

 昨日の昼間にアリサたちと一緒に、イタズラで橋とボートを壊したとかいう根性ありすぎな今時の若者的青春の犯行話を聞かされたばかりの場所。

 

 普通に考えたら、夜中に女子小学生二人がペットと一緒に来たら危なすぎる時期と場所だったんだけども、ボート壊したのは青春リビドーしてる若者じゃなく、さっき斃した黒い変なイキモノだろうから大丈夫だろう多分。

 実際に犯行目撃したわけじゃないから分からないけど、なのはは見てるけど『夢の中』で見ただけだったけど、それでも多分きっと大丈夫。

 

 先程までの戦いを終えた直後、シュヴァリエから。

 

 

【アンノウン消滅と同時に、認識阻害フィールドの効果が減退。急速に低下速度を加速しつつあり。対処法、速やかに撤退を開始せよ】

「「・・・・・・??」」

 

 

 と小学生にはわかりにくい専門用語まじえた警告をされたため、とりあえず逃げろってことらしいのだけは理解できたので、一先ず人気のない公園まで走ってきて今に至っている。

 本来だったら、あるいは普通の子供達だったら受け入れるまでに少しぐらい抵抗あるか、疑う気持ちぐらい持ちながら聞いて当然な内容の、言葉を話すフェレットが語る話だったけど・・・・・・

 

「世界の外側にある別の世界からきた存在・・・ね。

 ――その世界って、こことはまったく違うパラレルワールド? 今とは少し違う歴史をたどってた場合の平行世界? それとも騎士とか魔法が存在して空飛ぶ騎士風ロボットが空中戦艦と戦うSFファンタジーっぽい異世界とか?」

『え? あ、いや・・・・・・多分その中だったら、最後のが一番近い・・・かもしれませんけど・・・』

「なるほど。《セフ○ーロ》みたいな感じの異世界ね、了解」

「せ○ぃーろ・・・? ああ! ジャンヌがこの前見てたアニメの名前だね! ヒカルちゃんっていう子がかわいかったから覚えてる。そーいえば空飛ぶお船が出てたっけ。

 へぇ~、あーいう世界から来たんだ。ユーノくんスゴいなぁー」

『・・・・・・・・・』

 

 なんと言うか、良くも悪くも現代地球に住んでる一部地域の子供たちは、この手の話に慣れがある時代に今日ではなっていた。いまいち異世界と聞いても驚かないし、慣れがある。

 特にジャンヌは、記憶ないけどジャパニメーション好きな外国人だからなのか、日本の少し名作アニメには名前と概要だけ知ってて見たこと自体は1度もないという場合が多い。

 

 なので折角、日本で記憶喪失になって保護されたのだからと、居候先の高町家がとってる新聞のテレビ欄で再放送を見つけたときには必ず視聴するのが習慣になってしまった生活を送っている。

 

 時代故の事情なのか、それらの中には何故だか深夜枠での時間帯で放送してるものもあり、肉体的には小学生が起きて視聴するのを高町家ママが許してくれず、泣く泣く深夜にコッソリ抜け出して、音量絞って布団かぶせて光漏れないようにして見るという、昔ながらの方法論を復活させて密かに視聴して、時々見つかって怒られているジャンヌちゃん。

 

 その際、なのはは友達が怒られることするのを放っておけずに、だからって告げ口するのも抵抗あって、結局一緒についてきて見てしまってることが結構多い子に今日では育ってしまっていたりする。

 

 それが結果として、なのはを『異世界』とか『魔法』とかに耐性をもった、現代日本人の少女らしい少女へと育て上げてしまっていたのだ。

 説明の手間とか省けていろいろと楽にはなったが、果たして異世界人的には、異世界の事情に巻き込まれるのに妙に熟れている少女達というイキモノは好意的に映るのか否か?

 それは現時点だと、ユーノだけが知っている。決められる立場に彼はある。

 

「あ、ごめんね。話途中で止めちゃって。そう言えば、ケガは大丈夫? 痛くない?」

『ああ、いえ。怪我はもう平気です。ほとんど治ってるから。助けてくれたおかげで、残った魔力を治療に回せました』

「本当だ・・・ケガの後がほとんど消えてる。よく分からないけど、スゴーイ」

 

 その説明だけで納得してしまえたのか、それとも怪我が治ってるなら理由はなんでも良くなるタイプなのか、なのはは基本的にRPGやらないので細かい部分は気にせず、そういうものなんだと受け入れてしまったらしい。

 

 一方でRPG大好きっ子なジャンヌは、先の説明を『途中で入ってきたNPCに戦闘任せて残ったMPでベホマ使った』と解釈して納得していた。

 

 どちらも違うタイプと理由だったけど、割と大雑把でアバウトな解釈で納得できてしまう懐が少しデカすぎないか?と思わなくもない少女達であった。

 もっともジャンヌの方は「シュヴァリエ」あるし。それの持ち主自分だし。今更と言えば今更過ぎる、人のこと言うな感満載の事情ある身だった訳でもありますが。

 

『コホン。・・・・・・説明を続けますが――貴女たちが戦ってくれたのは、ボクの世界の危険な古代遺産《ロストロギア》、《ジュエルシード》とも呼ばれているもの。

 ちょっとした切っ掛けで暴走して、さっきみたいに暴れ出すこともある、とても危険なエネルギー結晶体なんです』

「じゅえるしーど・・・? そんな危ないものが、なんでうちのご近所に・・・」

『それは・・・・・・僕のせいなんだ』

 

 なのはから、その疑問を投げかけられた瞬間。フェレットの姿をしている状態の異世界種族の少年ユーノ。

 責任感が人一倍強く、真面目な性格で、ことの発端が自分が発見してしまったものだった時には「自分があんなものを生み出さなければ・・・」とか思って自罰してしまうタイプの典型みたいなところがある彼らしい言いようだったけど・・・・・・

 

 ――ただ、自分たちと異なる言語体系をもった異文化コミュニケーションの時には、言い方には気をつけた方がいいときも偶にあります。

 

「!? アンタが真犯人の黒幕だったの!? 艀を壊したのもボート壊したのも全部アンタの仕業だったって・・・・・・そういう事だったの!?」

『え!? いや、違います違います! そんなこと僕やっていません! やっていませんってば!?』

「だって今、自分で言ってたじゃない! 『自分が悪い、自分がやった』って! 『自分のせい』って日本語は、そういう意味の言葉なんでしょう!?」

「ジャンヌ落ち着いて! きっと、ユーノくんにだって事情があるんだよ! それを聞いてからじゃないと可哀想だよ!」

『だからやってませんて!? そういう意味で言ったんじゃありませんッ!!』

 

 慌てて前言を撤回して、詳しい事情を説明することで冤罪疑惑の容疑を晴らす必要に迫られてしまった異世界人ユーノ・スクライア。

 自分一人が背負い込んで他人を責めない、自己犠牲を美徳と感じやすい日本人的美意識は、直結思考の外国人には通じない時あるので気をつけよう。

 

 

 ――そういう語られ始めたユーノの話によると、昨日なのは達が戦う羽目になったヤツが町内に現れたのは、『事故』が原因だったらしい。

 

 ユーノは自分たちの生まれ育った地域では、古代遺跡の発掘を仕事にしていたらしい。

 その仕事をこなす中で、古い遺跡から《ロストロギア》を発見してしまった彼は、共に発掘作業をしていた調査団に保管してもらえるよう依頼して了承を得られはしたのだが、その移送中に『事故』が起きたと言うのである。

 

「・・・事故?」

『はい・・・もしくは、なんらかの人為的な災害にあってしまったんだと思われます。

 その場に居合わせたわけではないので確実なことまでは分かりませんけど・・・・・・ただ少なくとも僕が発見した21個の《ロストロギア》は、その事故の結果として拡散して、事故の際に近くにあったこの世界の各地に散らばってしまったということ。

 そして、今まで僕が見つけられたのは昨日、貴女たちが取り戻すのを手伝ってくれた3つだけという事だけです・・・・・・』

「じゃあ残り18個も、あんなのが地球のどこかに散らばっちゃってるままなんだ・・・」

 

 ユーノの事情と共に、ことの深刻な状況も聞かされて、なのはは少しだけ震えを感じさせられる。

 自分が昨夜みたいに襲われる危険を怖いと思ったのではなく、自分が知らないところで身近な誰かが自分たちみたいに襲われてしまう危険性を想像して怖くなってしまったのだ。

 

 だから咄嗟に気づかなかったけど・・・・・・はたと、ユーノの話す内容の前後に奇妙な部分があったのに気づいて不思議に思い、そして聞く。

 

「・・・あれ? でもちょっと待って。

 今の話を聞く限りだと、《ロストロギア》っていうのが散らばっちゃったのって、別に全然ユーノくんのせいじゃないんじゃ・・・?」

 

 そう。ユーノが語った内容を聞く限りでは、特にユーノが何かしたから今の状況を招いてしまったという事はなにもなかった。

 運んでる最中に起きたのは『事故』だし、地球上に散らばっちゃったのだって少なくともユーノがやらせた結果じゃない。仕事中に発見したのだって立派なお仕事。別にネコババしようとした訳でもない。

 むしろ一人だけで後始末に来てくれてる、いい人なんじゃないかな?と、なのは的には思うのだけれど・・・・・・ユーノには別の解釈というか、変に頑固なところが少しあり。

 

『うん・・・だけど、アレを見つけてしまったのは僕だから・・・。

 全部見つけて、ちゃんと在るべき場所に返さないとダメだから・・・・・・ッ』

 

 直接的な原因は自分ではないとしても、自分が見つけなければ今回の事件が起きる事そのものが無かった。

 切っ掛けを作ってしまったのは自分。だから発見したものが原因で異常事態が起きてしまう理由となった時には責任を負う――

 

 どっかの大国の原爆開発者にでも言ってやって欲しいセリフだった。

 確かにアッチの方は、そもそもンナ超危険物を生み出したりしなきゃ冷戦も核戦争危機も起きずに済んでた問題ではあったので、コッチが言う分には正しく正論なんだろうけれども。

 

 だが、しかし。

 

「まぁ、私らが助けに入らなかった時は、一人だけで回収してたアンタがやられて、今もってる分も奪われてご破算に終わっちゃってたとこだったんだけどさ」

『う、うぐッ!? そ、それはぁ・・・そのぉ・・・・・・』

 

 ジャンヌからの痛烈なるツッコミ問題点指摘によって、呻いて俯くしかなくなるユーノ君。

 そうなのである。ユーノの言い分や考え方や責任感とかは大したものなのかもしれないが・・・如何せん。実力が足りていない。まったく足りていない。

 自分の考えを有言実行するには、ユーノは力不足すぎて、結果論的としての独り善がりに終わりやすいタイプにしかなれない典型だったのである。それが彼の抱える致命的すぎる問題点だった。

 

「ジャンヌたら! そんな言い方したらユーノくんが可哀想だよっ。・・・私には分かる気がするな・・・なんとなくだけど。ユーノくんの気持ち、分かるかもしれない」

『なのは・・・さん』

「真面目なんだね、ユーノ君は」

『・・・・・・うん』

 

 自分も似たところがあって、同じような場面で同じような選択をしてしまいそうな性格をしているのを無意識レベルながら自覚している部分をもった、なのはからの『似たもの同士のシンパシー』に基づく言葉で、ユーノは大分心が癒やされたし救われたような気分になる。

 

 なるのだが・・・・・・だが、しかし。

 

『・・・・・・すいませんでした』

「え? な、なに急に? ユーノ君どうかした?」

『なのはさん達を巻き込んでしまいました・・・僕がやらなきゃいけないことなのに、その中で貴女たちを巻き込んでしまった・・・』

「あ・・・そ、それは・・・」

『厚かましい願いだって分かっているけど、一週間――いや、5日もあれば僕の魔力が戻るまで、少しの間だけ休ませてもらいたいんです。

 そうしたら僕は、また散らばったロストロギアを探すため一人で出て行きますから、それで――』

 

 

「で、また一人で負けにいくと。弱いから」

 

 

『ぐっふぅぅぅぅぅぅぅッ!?』

 

 

「ユーノくぅぅぅぅッん!? そしてジャンヌも! も~~~~~~ッ!!!」

 

 

 

 まぁ結局そこに行き着かざるを得ないのが、筋を通したいユーノの性格と能力との相性悪すぎる部分なので、どーすることも出来ないわけで。

 

「しゃーないでしょうがよ? コイツ弱っちいんだから一人だけで行かせても今日みたいに犬死にしてオチでしょうよ、そんなのに身近の危険物処理任せてると思ったらコッチが怖くて安心して眠れないんだから」

『う、ううぅぅ・・・・・・そ、そこまで言わなくてもいいような気が・・・・・・いえ、僕が攻撃系の魔法がぜんぜん得意じゃないのは事実ですが・・・』

「ほら、見なさい。いい機会だから、覚えとくといいわよユーノ。耳の穴かっぽじって、よく聞くの」

 

 

「理想って言うのは“実力が伴うヤツだけが言うことを許される現実”なのよ。

 弱いヤツがいくら責任だの、果たさなきゃいけない使命だの吠えたところで、守れるものも得られるものも、一つだってありゃしない。それが現実の戦いってもの」

 

『・・・・・・ッ、・・・・・・』

 

「けど――なんでかしらねぇ~・・・。そーいうの、見捨てる気になれないもんなのよねぇ」

 

『・・・え? ジャンヌ、さん・・・? それって・・・』

 

 

 フッと、黒コートとか纏いながら味方になった敵キャラっぽい仕草でニヒルに言ってくるジャンヌ。

 ユーノは異世界人だったから知らなかったけど、

 

(・・・あれ? ちょっと前に同じこと誰かに聞いたような気がしたんだけど・・・誰だったかな・・・?)

 

 と、一緒に住んでて深夜枠での再放送を一緒に視聴すること多い、なのはの方はちょっとだけデジャブっていた、鋼のアルケミストで強欲な敵から味方キャラと、海賊王アニメで一番好きだったころの敵ボスをごった煮したセリフで格好付けるジャンヌ。

 

「手伝ってあげるわよ、ユーノ。少なくとも私は絶対にね。

 アンタみたいに弱っちい癖して、一人でなんでも背負おうとするヤツは、危なっかしくて放っておけないから」

 

『・・・・・・・・・』

 

「だから私が、アンタの代わりにアンタの敵を倒す役目を担ってあげる。

 今から私は、アンタの『槍』よ。

 どーしました? その顔は。

 まっ、契約書は手元にないけれど。敵を倒しに行きましょう」

 

 

 こうして、夜の公園で誓いは交わされる。

 無数に存在する世界の中の一つに招かれた、異なる世界の異なる可能性として迷い込んできた少女が、魔法を得意とする脆弱な少年の代わりに敵と戦う『剣』であり『槍』として一方的に契約を交わし、ここに一つの関係性が一組の男女の間で結ばれることとなったのだ。

 

 

「まぁ、なのはの方は分からないけどね~? あ~あ、いい子ちゃんな優等生は大変だわー、いや大変大変。

 正義の味方は困ってる人もルールも捨てられなくて守らなくちゃいけないからチョ~大変。だっから正義の味方って気色悪~い」

「いや、私も手伝うよ!? 手伝うからねユーノ君! だからジャンヌは、そんな意地悪なこと言わないの! メッ!!」

「え~? でもなのはは、塾と学校あるから時間的に難しいんじゃな~い? どっちも優等生で先生からの評判もいい良い子ちゃんとしては、両立は難しいと思うんだけど~?」

「それでも手伝うの! そりゃ学校とか塾とかある時はムリだけど・・・それ以外のときは私も一緒に行くからね!? 絶対に一人で行っちゃダメだからね!?

 はい、指切り! 嘘ついたら許さないんだから、絶対に守ること! いーい!?」

「へ~い。やーれやれ、日本人のワーカーホリックって、こーいう風に作られてくものなのね・・・なのはがジャポンの将来を担う企業戦士っていう名の社畜になってく道を歩み出しちゃって・・・友達として悲しいわ、オヨヨォ~」

「だ~か~ら~!! も―――ッ!!!」

 

『え、ええぇと・・・・・・』

 

 

 普段の高町家における日常風景を知らないし見てないユーノとしては、突如として目の前で始まった二人の少女達のやりとりに目をパチクリさせて唖然とするしかなく、見ているより他にできることもない。

 

 やがて一段落して落ち着いたらしいのを見計らい、ユーノは当初から気になり続けていた一番の疑問点について、聞く機会がやっとくることが出来たと思った。

 

「ありがとう、ジャンヌさん。なのはさん。

 ・・・・・・ところで手伝ってもらうためにも、一つだけ確認しておきたいことがあるんだけど・・・ジャンヌさんが使っていた、さっきの力はいったい・・・? 僕の見たところ魔法とは似て非なる魔力を感じさせられたように思えたんですけど・・・・・・」

 

 そう、それが先程の戦闘時からずっとユーノが気にし続けていた疑問点になっている部分だった。

 

 《レイジングハート》のような性能を有しながら、レイジングハートとは似て非なる別の力を感じさせる武装。

 契約した使い手に語りかける自立型判断を行えるタイプの《インテリジェントデバイス》と同等の独自判断能力を持っているようでもあるが、それにしては思考が人間に近すぎる。マスターと同格の存在のように語りかけてジョークまで言ってくる自立知能など聞いたこともない。

 

 あまりにもユーノの知っている情報からは逸脱した存在が、ジャンヌの持っている《シュヴァリエ》と呼ばれるブレスレットだった。

 最初は《ロストロギア》ではないか?という疑惑を抱いたりもしたのだが、そういう気配は微塵も感じられず、むしろジャンヌとは気さくに話し合う気安さすら見いだせるほどの関係らしい。

 

 二人の話を聞いていれば、その内なにかの情報が出てくるのではと期待していたが最後まで出ることはなかったため、思い切って聞くことにしたのだ。

 

 これほどの異端な存在だ。相手にも事情があるのだろうが、手伝ってくれると言ってくれて仲間となった以上は、少しぐらいは教えてくれるのではないか?

 そう思って期待して聞いてみた答えは、しかし―――

 

 

「え? さあ」

『いやあの・・・・・・「さあ」、って言われましても』

「仕方ないんじゃない? 私も知らないし、思い出せてないままだし。

 なんか気づいた時には腕にはめてて、勝手にしゃべり出しただけのヤツだし。そーいうヤツって事なんじゃない? 多分、別にどーでもいいけどさ使えれば」

『気づいた時には腕にはめてたって・・・・・・じゃあジャンヌさんは、それをどこで手に入れたのか分からないって事なんですね?』

 

 

「ええ。気づいたら、なんか日本の港にいて、腕にコイツがはまってて、なんか話しかけてきたのよね。

 自分が何でここにいんのか、自分が誰なのか、名前は何ていって、どこから来た誰なのか、まったく分かんないし思い出せない中で、腕から何か話しかけてくる腕輪はまってた時はビックリしたことだけは覚えてるんだけど・・・・・・」

 

『それスゴク大変なことだったんじゃありません!?』

 

 

 そしてユーノ驚愕! 大変な事実が判明してしまった!

 いや、と言うより大変なことなのかどうかさえ分かりようがない異常事態が発生してたという事実が判明したと言うべきだろうか!?

 異世界の常識から見てさえ、どう考えても軽く流していい状況とは到底思えなかったけれども、そんな少女に対してこの世界の人達いったい何やっていたのだろうか!?

 

「あ~、あの時のことだね。懐かしいなぁ~、ジャンヌと出会って家に連れて行ったとき、お母さんビックリしてたもんね。『カワイイ』って」

「あ~、そうだったわね。言われてみたら思い出したわ。『捻くれてる素振りでカワイイのを隠したがるところがスゴクかわいい』とか何とか言われて、頬擦りされて・・・・・・今でも偶に夢で見るときある、一生分のトラウマ植え付けられた瞬間だったわ・・・」

「アハハ、それでお母さん、ジャンヌが“自分の家が分からなくて、お父さんお母さんの名前も思い出せない”って知ったら、“じゃあうちの娘になればいいわ!”とか言い出しちゃって大変だったよね。お父さんも何かノリ気だったし」

「ホントよねぇ・・・・・・私が言えた立場じゃないとは分かってるけど、アンタの家族はホントもう少し考えてから行動した方がいいんじゃないかと思ったわ・・・皮肉とか嫌味とかじゃなく、ガチな忠告として本当に・・・・・・」

 

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

 二人の少女達の会話を呆然としながら聞かされて、ユーノは思う。

 ・・・本当にこの子達に協力してもらって大丈夫なんだろうか・・・?と。

 

 自分一人では力不足とはいえ、なにか異世界種族の自分でさえ理解できないような思考法をする人達の中に入り込んで休ませてもらって・・・・・・自分は本当に今の自分で居続けることが出来るのかどうか。

 

 翌日には杞憂だったと分かることができるユーノだが、現時点では本人達との面識前に不安にさせられる話ばかり聞かされてしまって、甚だ自信がなくなってきていたユーノであったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とは言え、この少女達2人がタッグを組んでの力は強力だった。圧倒的とさえ言って良いほどに。

 

 

【Stand by ready】

 

「リリカル・マジカル、ジュエルシード・シリアル20! 封印!!」

 

【Sealing】

 

 

 シュバァァァァァァァァァっ!!!!

 

 

 

【アンノウンは、コアと思しきエネルギー炉を中心として、巨大樹木による障害物を多数敷設。射撃武装からの防御に特化したものと推測される。有効射程内からの攻撃でなければ勝率は30パーセントまでダウン。コアの位置は不明】

 

「ハッ、そりゃ厄介ね。こっちは接近戦武装が中心だってのに・・・・・・だったら、こーいう時には勘よ勘! 女の勘を信じて全力突撃、直進、猛進、猪突猛進あるのみ!」

 

【御意。ジャンヌの勘による攻撃命中率は野生のボアを上回ることが計測されている】

 

「イノシシ言うな~~~ッ!! いいから進むのよ!

 立ちなさい! 引きこもってなんになる――――ッ!!!」

 

 

 

 ずばしゅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!

 

 

 

 圧倒的な魔力量を遠慮容赦なくぶっ放すことで強引に勝利をもぎ取っていくのを可能にしてしまうなのはと、持ち前の攻撃力・突破力を一点集中して天性の勘でぶつけ所を見つけてしまえるジャンヌによる野生の勘。

 

 接近戦と遠距離戦、その双方で圧倒的攻撃力を有し合う二人のレンジ違いな攻撃力高すぎコンビに向かうところ敵はなく、次々と散らばってしまったジュエルシードだかロストロギアだかを回収しまくっていった。

 

 

 

 その少女と―――ライバルとなり得る相手と出会うまでは。

 

 

『なのは・・・なのは! ダメだよ! 僕かジャンヌが行くまで待って!』

 

「待てない! 人や生き物が巻き込まれちゃうかもしれない! 今まではちゃんと出来た、今日もレイジングハートが一緒! だからきっと――あ、見つけた! 大きくなっちゃってる猫さんがロストロギアの影響ね!!」

 

「またデカ猫なのぉ!? 前回すずかん家でなったばっかでしょうがよ! なんで猫ってのは大きくならないと気が済まないわけ!? 愛玩動物でしょう!? デカくなったら可愛くなくなって捨てられるだけだと学びなさいよ化け猫ぉ!」

 

「猫ちゃんを悪く言わないで! 猫ちゃんは悪くない! ロストロギアに影響されてるだけなんだから―――あ!?」

 

 仲間達とレイジングハートの通信機能で、心の中だけで会話を交わし合いながら現場に向かって疾駆していた、なのはの足が止まる。

 

 止められたのだ。

 

 自分が普段から使っているのと同じような金色に光り輝く魔法の弾丸を、ショットガンのようにバラ撒きながら撃ちまくられて、その内の一発がたまたま自分が走り寄っていく先と重なってしまったのが原因だった。

 

 

 ―――自分と同じ力を使って、ロストロギアを攻撃している人がいる!?

 

 

 慌てて、杖のような形状のレイジングハートを構える、なのは。

 その前に立つ木の枝に降り立つ、黒いマントと黒を基調とした服を纏い、死神のように巨大な鎌を携えた、金色の髪をもつ女の子。

 

 

「・・・同系統の魔導師。ロストロギアの探索者か」

「あ、貴女は・・・・・・?」

「バルディッシュと同系統のインテリジェンスデバイス・・・・・・申し訳ないけど、頂いていきます」

 

 

 それだけ告げて、一方的に攻撃態勢へと移行しようとしてくる、黒衣を纏った金髪赤眼の女の子。

 迎え撃つべきか否か、判断がつかぬまま防御だけ備えようとする高町なのは。

 

 後に最大のライバルであり、無二の親友とも呼ばれることになる少女達2人の出会いは、戦いの流れの中で敵同士として始まりを迎えることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――だが、しかし。

 このとき金髪の少女は、まさか自分以外のライバルであり“悪友”として知られることになる他の少女達2人が出会うために、今日まで襲われることなく監視され続けていたことに気づいていない。

 

 

「ふむ・・・ヤツでなくともが、ヤツをを追っていけばヤツの向かう先で立ちはだかる敵として遭遇することができると期待したのだがな・・・どうやら、あの日本人も違うようだ。

 ――だが、アレからは妙に臭いが感じられる・・・・・・私が探し求めるヤツの臭いを、消しては付け、一度消してはまた付けたような・・・・・・そんな臭いがプンプンと。

 ふふふ・・・どうやら無駄足ではなかったようだ。運命の出会いが訪れるまで、今しばらく観戦させてもらうとしよう。

 悪く思うな、謎の娘よモグモグ、ごっくん」

 

 

 

つづく




*書き忘れましたが、今話を書いていて改めて今の自分が【ジャンヌ・オルタらしいジャンヌ】を描けなくなっていると痛感しました。

環境の不備で最新画像が見れ難くなって、情報アップデートが出来てないのが原因の一つですが……そろそろ本気で終わりに向かわせるストーリーを考えるか、今まで集まってる知識だけで書ける作品を考えるか検討すべき時が来たと感じさせられました。

その方が、少しはマシに終われるかもしれませんしね…。
もし【終わらせる】を選んだ場合、【なのはジャンヌ】は途中で切るのをお許し下さい。

丁度IS原作の方では、フランスに行く話だけはあるので…。
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