シャルロット・デュノアの妹、ジャンヌ・デュノアです。 作:ひきがやもとまち
話はずっと前から思いついていたものの、リアル事情で確認遅れまくって書くのも遅れたのが、ようやく出来たので投稿です。
本編の方もネタは思いついたので、近い内に更新目指す予定。
高町なのはは、所謂『天才』と呼ばれる類いの生まれながらに特別な人間の一人である。
魔法のない世界に生まれた一般人でしかない身にも関わらず、有り余る魔力量を誇り、経験さえ積めば20代半ばでトップエースの隊長格にまで出世できるほどの才能を生まれ持っていた特別な子供。
ゆくゆくは、『白いナノハ』とか『新人類なのはタイプ』とか呼ばれるようになるまで成長する――かもしれない可能性をもって生まれた選ばれし子供。
生まれた世界によっては、勇者と呼ばれて世界を救ったかもしれない、そんな存在。
たぶん、だからだったのだろう。
「・・・ねぇ、レイジングハート。私に教えることってできるかな? 魔法の上手な使い方」
あの女の子と戦った後、彼女は初めて自分から『魔法の使い方』という名の『戦い方』を学ぶようになっていた。
今まではしょうじき、気楽に考えていたんだと自分でも今では思うようになっていた。
もちろんユーノ君の手伝いをしたいと思ったのは本当だし、そのために怖い思いをすることになるのはイヤだけど、でも仕方がないって覚悟したのも自分。その気持ちにウソはなかったと今でも思う。
ただ・・・・・・本当にイヤなことをやってまで――『自分と同じ誰かを傷つけてまで』そういう風に考えたことはなかったと思ってもいる。
【仮想空間上でイメージトレーニングによって、飛行と射撃、空戦機動の基本と応用――つまり戦術を教えることならば私にも可能です。もちろん実戦での使用による摺り合わせは必要ですが】
今まで戦ってきた相手は怖かったけど、ロストロギアのジュエルシードに巻き込まれて暴走してしまった人達や動物たちで、攻撃するのはイヤだけど『元に戻してあげてるんだ』っていう気持ちもちょっとあった。
だから、『傷つけている』『自分が相手の言うことを聞かずに奪いにいく』・・・そんな事してると思うことは全くなかったって・・・・・・今なら分かる。
それはたぶん、思い上がりっていうものだったんだと思う。
ユーノくんのやってることを手伝うために、怖いことでもやるって決めたのは自分なのに――でも、自分が本当にイヤでやりたくないことは『やらなくても良い』って考えちゃってたんだから。
「本当に? じゃあ私に、それを教えて」
【分かりました。ではまず、リンカーコアの説明から始めましょう。その上で速度やパワーより更に戦闘のため必要なもの、『知性』と『戦術』を仮想データ上の世界で私がレクチャーをしましょう】
でも・・・・・・これからは本気で、イヤなことでも取り組んでみようと思う。
ジャンヌも、あの時の女の子と一緒にあらわれてた『黒い女の子』と出会ってから、シュバリエと2人だけで出かけて傷だらけになって帰ってくることが多くなっている。きっと同じようなことをしてるんだと思う。
最初のきっかけは、ぐうぜんの出会いだったのかもしれない。
けど、いろんな偶然をいくつも重ねて、その中から自分の道を間違わないよう選んでいって、皆そうやって過ごしていくものだと思ってる。
だから、これでいいんだと思う。
私は自分の道を、自分の意思と自分の想いで、間違えずに進んでいきたいと思っているのと同じように。
ジャンヌや別の誰かや――あの女の子達だって、それぞれの道を間違わずに進んでいければそれでいい・・・・・・そう彼女は思い決め、なのはは本格的に魔法少女としての戦い方を学び始めていた。
―――のだけれども。
「ねぇ、ナノハ。やっぱ強くなるには、『修行』って必要だと思わない?」
「・・・・・・・・・はい?」
どっかのジャパニメーション好きなフランス人美少女ちゃんは、日本人的なれあい美少女なのはの自由と平等にもとづく互いに不干渉な島国根性とは相容れない部分を持ってる女の子らしい。
たぶん大陸出身で、四方八方敵だらけ民主革命やった歴史をもつ国の生まれなのが影響した結果だったのかもしれない。違うかもしれない。
「修行よ修行、フランス語で言えば――なんだったかしらね? まいいわ。
とにかく、偶然で戦いに巻き込まれた一般庶民の子供が、クリーチャーに変えられた人達を元に戻す力を手に入れて、初めての敗北を知ったあとに短時間だけでスッゴく強くなる時には、たいていキッツイ修行が必要なものよ。
あの本とか、あの漫画でも皆そー言ってたから間違いないわ。ええ絶対に。名作マンガの作者が間違っているわけがない」
「いやあの・・・私、レイジングハートに授業中とかでもイメージトレーニングさせてもらってるし・・・」
パンッ!!
「それじゃ駄目よ!!」
「ひうっ!? そ、そう・・・なの・・・?」
「そうよ! 大体なのはは最近魔法を習い始めたばっかの、魔術師見習いみたいなものなんだから! 見習いで魔法使って戦う奴がイメトレで強くなるなら、もっと二刀流の刀を生み出せるようになるとか、当たると大爆発する弓矢とか創れるようになること目指さなきゃダメじゃない! それが短時間にイメトレで強くなれる見習い魔法使いの戦いってものでしょう!?」
「そ、そう・・・なの? そうなの・・・かな・・・?」
「そうなのよ。ええ、間違いないわ。運命でそう決まってたから間違いないのよ絶対に」
フンスと鼻を鳴らしながら、何故だから偉そうに自信たっぷりに力説してのけるジャンヌちゃんだったけど・・・・・・オイ。
その道を間違わずになぞった場合は、地獄だぞナノハちゃん。
「う、う~ん・・・なんか違う気もするけど、たしかに体を鍛えることだって必要だし、ジャンヌがそこまで言うなら本当かもしれないし・・・・・・うん、わかった」
それでも納得しちゃう、よい子すぎるナノハちゃん。年齢的に知らないし見てないようですね。
知らなくて素直で良い子って怖い。間違えないように注意して生きてるつもりでも、どこで足踏み外すか分からない系の作品好きなヤツが近くにいると気をつけなきゃいけないタイプの女の子。
「でも、具体的になにをすれば良いのかな? 修行って、私やったことないし先生から教わったことなくて分からないんだけど・・・・・・ジャンヌは知ってるの?」
「・・・・・・え? そりゃまぁ、え~~~っとぉ・・・・・・」
あげくに問い返されただけで?マーク浮かべまくって考えるポーズになるイノシシ少女のジャンヌ・デュノア。
イノシシだから、考えついたら即行動。具体案は動き出してから考えて、大部分は勘頼り。
ある種、「正しい道」とか「間違えない」とかの単語と一番縁遠い生き方してるヤツが、ここにいました。すぐ近くにいまくってました。「勘」で生きてるヤツに「間違い」とか「正しい」とか言われたくない。スゴくない。説得力もねぇ。
「え~~~とぉ・・・・・・そうね・・・私の記憶が、確かならば――こういうときに有効な正しい修行方法は――」
それでも考えること自体はしてくれてるらしい、友達想いなのはウソじゃないジャンヌちゃん。
馬鹿の考え休むに似たりという格言の方は、知らないかもしれないけれども。
やがて「ウンウン・・・」うなり続けた末に「ポンッ」と手を打つ見た目だけなら可愛らしい、小学生ボディの美幼女ジャンヌ。
何か思いついたようですね。その思いついたアイデアが役立つものなら尚いいのですが、
「とりあえず、重さ60キロの甲羅を背負って、細い木の上をつたって毎朝牛乳配達して回るとかすればいいんじゃないかしらね? 体力はつくと思うわよ、間違いなく」
「死ぬよ!? 絶対に死ぬと思うよ、そのシュギョーのやり方って! あきらかに間違った強くなり方になっちゃってると思う!」
「ん~、じゃあ無人の荒野に一人だけで放置していって、最低限の食料の果物だけあげて、あとは大トカゲを自力で倒して食べて強くなる修行。幼い子供でも数年後には地球を守るため戦えるぐらい強くなれるわ、間違いなく」
「だから死ぬってば! 絶対に死ぬシュギョー法だからダメ! 絶対に! っていうかジャンヌさっきから私のこと、修行で強くするフリして殺そうとしてない!? なにか私ジャンヌにしたの!? ねぇ!?」
「えー? けっこう真面目に考えて、間違いなく強くなれてた、正しい子供用の修行方法だけチョイスしてあげたのに」
「子供用なの!? さっきのが!? え、アレが!?」
驚愕のナノハと、世界観の時点で間違っているジャンヌちゃん。
いやまぁ、実行できたなら確かに間違いなく強くなれそうな修行法ではあるんだけれども。
ただ、その修行やってた頃はギャグの時代で、本気で強くなるため努力し始めた時代の修業ではない。
どっちも時代が違うから知らないナノハちゃんには分からなかったみたいだけれども、本当にやっちゃう人がいたときには気をつけましょう。
用法用量を正しく使用しないと死ぬ修行が、短期間で素人が強くなれる修行には多いから。正しく用いても死ぬときは死ぬレベル。素人が短時間で強くなるは、やっぱり難しい。
尚、ちなみの余談として。
「ねぇねぇ、アリサちゃん。なのはちゃんとジャンヌちゃん、さっきからなに話してるのかな?」
「え? ああ、さっき私も気になって聞き耳立ててみたら、古いマンガの話してただけだったわ。ちょっと混ざりたかったけど、盛り上がってるみたいだったから邪魔しちゃ悪いと思って気をつかってあげたの」
「へぇ、そうなんだ。アリサちゃん、マンガ好きだもんね。でもジャンヌちゃんだけじゃなくて、なのはちゃんも好きだったのは少し意外かも」
「意外と子供っぽいとこある子だからね~、なのはってさ。まったく、子供は気楽でいいわよねー、私たち3年後にはもうすぐ中学生だって言うのにさぁ」
話の内容はともかく、使ってる単語とかネタ的には完全にフィクションだったせいで、教室内でも普通に魔法の話ができるようになってる結果を招いていたことを、なのはもジャンヌもまだ知らない。気づいていない。気づいたときには割と恥ずい。
間違った解釈を皆がしてくれることによって、正しい結果を楽に出せるようになっている現状のなのは達が通う私立聖祥大付属小学校3年A組の学級内。
世の中なんて大体そんなモンである。
なにが良くて悪くて、正しくて間違ってるかなんて、明確に分かることはあんま無いけれど―――別にどっちでも大した影響はなさそうな程度の、低レベルな良い悪い間違い正しいが大部分を占めてるのが現実世界の一般社会。
世の中だいたいそんなモン程度のモノです、多分。
――閑話休題。
紆余曲折の末にイロイロありまくって、やらかしも少なくなかったけれど、それでもジャンヌとなのはの合同修行はスタートして、イメージトレーニングも併せて模擬戦も行えるようになったことから、確実に強さの段階アップを数段飛ばしで駆け上がることに成功するようになる二人の白と黒の少女達。
だが、その頃。
現時点での平行世界線では、彼女たちと対極に位置する立場にある黒い少女は、一人の美女を傍らに伴わせた状態で今日もまた、ビルの屋上から下界の町並みを見下ろしながら、目当てのモノを捜索している最中にあった。
「――よし、広域サーチ第四区画、終了っと。この区画には発動前のを見つけた、さっきの1個だけしかなかったみたいね。フェイト」
「お疲れ様、アルフ。遅くまでごめんね? こっちは夕方に封印した一つだけだから、今日中にもう一つぐらい見つけないといけないから・・・・・・」
「そう・・・・・・」
空中に複数のディスプレイを展開させたSF時空の宇宙戦艦にでも出てきそうな光景を前にしながら一人の美女が――いや、一人のケモノ耳美女が腕組みして難しい顔をして。
彼女の傍らには、先日の夕方なのはが接触した黒色の魔法少女に変身したツインテールの金髪美幼女が、陰のある笑顔を浮かべながら座り込み、同じようにディスプレイを操作している。
その顔には、年相応の活発さや溌剌さがなく、妙に大人びたアダルトな雰囲気が漂っており、人によっては感情のない美しい作りの人形のようだと表現する者さえいたかもしれない。
それ程までに生気が乏しい・・・・・・そんな印象の女の子。
だが・・・・・・それは仕方が無いことだったかもしれない。
「それにしても、フェイトとぶつかったこの3人、まさか管理局じゃないよね? 今のところ表向き、追われるようなことはしてないはずだし」
オレンジ色の長い髪にケモノ耳はやしたケモノ耳美女が、ディスプレイ表示を変更させて新たに表示させたのは、自分の主が遭遇して戦闘状態に陥った忌まわしい三人組の“少年”と少女たちのグループ。
彼女たちは先日、なのはやジャンヌと神社裏で激突した黒いハイレグ水着を改造したようなコスチュームをまとった、無表情でちょっとエロティックな女の子だった。
なのはとは違う、もう一人の年齢不相応にアダルト系コスチュームに身を包んでいた悪役っぽい感じの魔法少女と、その使い魔的存在のケモ耳美女の2人組が作戦遂行の結果を報告し合っている、その最中。
「確かなことまでは分からないけど・・・違うと思う。
一人の子は魔法もちゃんと使えてなかったみたいだし、もう一人の子は・・・・・・あんまり管理局の人間には見えなかったから」
「そっかぁ、まぁ確かにあんまし頭良さそうには見えない奴らだったし、流石に管理局のエリートってことだけはないか」
ヒドい言われようで納得されてしまいながら、猫耳の美女は両手の拳を「パシン!」と胸の前で打ち合わせる。
その拍子に、
むにゅん♪と。
効果音の幻聴でも聞こえてきそうな膨らみが、胸の下で腕を組むと盛り上がって揺れてしまうサイズを誇っている美女でありながら、服装はショートパンツにブラジャーみたいな胸覆いに短いマントとグローブだけ。おヘソとお腹は丸出しである。
それでいて表情は天真爛漫。
屈託がなく、拳を振るってファイティングポーズを取ってみせる仕草は警戒心が超薄い。
オマケに、頭には猫耳みたいなケモノ耳とくる。
これほど異性の目を引き寄せまくりそうなレベルの、超お色気美女と一緒にいる、将来性はあるけれど今のところ手を出しそうなのは特殊な性癖の人達だけで、大部分は傍らの美女に視線を集めて、オマケ程度にしか見られないのが当たり前の立場になりそうな、そんな相手と一緒にいながら、全く気にせずポーカーフェイスを崩さない。
まさに感情のない人形のような幼女としか言いようがない。
そんな少女の名前こそが――『フェイト』
ケモノ耳の美女は彼女のことを、そう呼んでいる。
「それにしても――まったく! フェイトの綺麗な顔を不意打ちで蹴っ飛ばしてくれた、あの黒いガキンチョ! アタシが出て行ってよければぶちのめしてやったのに! 一体なんなのよアイツは!?」
「・・・・・・分からない。分かるのは、あの子と一緒にいた相手に強い敵意と執着を感じているらしいということだけ」
「フン! まぁいいけどね、いざとなったらアイツもソイツらと一緒にぶちのめしちゃうだけなんだから! だからフェイトは二度と心配しなくていいからね!」
「フフ。ありがとう、アル―――」
『ほう。それは頼もしい限りの大言壮語だな』
「「!? 誰ッ! そこにいるのは!?」」
ババッ!と慌てながらも即座に臨戦態勢を整えて、戦闘態勢で構える二人組!
見ると先程まで誰もいなかったはずの空間に今では、黒い甲冑らしきアーマーをまとった一人の幼女がコチラを見据えて不敵な笑みを浮かべている。
その左目には大きな眼帯がつけられ、髪は長い銀色が滝のように背中を流れ落ちていく――容姿だけなら妖精かと感じてしまうほどに麗しくも、怜悧な少女・・・。
一見するだけなら、妖精じみて見えなくもないほど可憐な容姿をもった幼い女の子の姿。
色々と小さいしね、色々と。
たとえば身長とか、お尻とか胸とかイロイロな部位とかが。
が、しかし。
そんな黒いロリっ子幼女の姿を前にして、ケモ耳美女には油断なんて全くできない。
むしろ毛を逆なでさせた猫みたいに警戒しまくって、敵意をむき出しにして、威嚇せずにはいられない! いられる訳が――ない!!
「あ、アンタ・・・・・・あの時フェイトを蹴っ飛ばして乱入してきた黒いヤツ!!」
「ほう? お前とは初対面のはずだと思ったが・・・・・・成る程な。軍事衛星をハッキングしていた私以外にも、のぞき見をしているヤツがいたのは貴様だったか」
「アルフっ!」
反射的に飛びかかろうとした相方をギリギリで止めさせる命令を叫ばれて、犬歯をむき出しにして『ガルルゥ・・・っ』と唸り声をあげながらも、悔しげに相棒の傍らへと後退する。
前回を繰り返させないため、忠誠を誓っているらしき幼女を守ることを優先したせいで先制攻撃の機会を逸してしまったものの、それで警戒を解こうと思える相手では彼女にとっては全くない無礼なヤツ。
「・・・・・・何をしにきたの? 私たちを倒して、ジュエルシードを奪うつもりでいるのなら――」
「フッ、その反応はまず合格と言うところだな。安心すると良い、私はお前達が探しているらしい、その――ジュ、ジュゲム? ジュネイブ・ジィドだかいうユダヤ人には何の興味も無い。ナチス風の軍服を着ているとはいえ、さすがに話が古すぎるからな」
「・・・・・・ジュエルシード。ジュゲムじゃない。と言うより、ユダヤジンとかナチスフウって何?」
「気にするな、我が軍と祖国内での問題だ。下手にナチス風やSS関連を用いると逮捕されかねん。
今の私はただ訓練の相手を探していただけのこと。それがお前だったというだけだ」
「・・・・・・・・・私と、訓練を・・・?」
突然の相手からの申し出に、フェイトと傍らの美女から呼ばれていた幼女は思わず、蹴られた恨みを一時忘れてキョトンとしてしまう。
隣に立ったまま睨んでいる美女は全く忘れられずに「ガルッ、ガルル!」とか威嚇しまくるの継続してる真っ最中でしたが、両方とも相手の幼女は気にしていないみたいです。
「ああ、そうだ。私はある女との決着をつけるため力を求めている。そのための修行もしていたのだが・・・・・・一人だけでは流石に限界がきたのでな。組み手をするにも相手がいる。
勝負や訓練というものは、ある程度実力が近い者でなければ役立たんし面白くない。そうは思わんか? お前も」
そう言ってニヤリと好戦的に不敵な笑みを浮かべて見せてくる銀髪の悪っぽい幼女だったが―――あえて言おう。
お前は最強の人造人間かなにかかと。いやまぁ、人造人間なんだけれども種族的にはの話として。
「なんなら、貴様らの行っているジュネイブ狩りを手伝ってやってもいい。そうしていれば奴らが邪魔しにきやすいようでもあることだしな、共に利害は一致すると思うのだが、どうだ?」
「・・・・・・どうして」
「ん?」
「どうして、貴女は・・・そうまでして彼女たちと戦いたいの?」
そう。その点がフェイトには不思議であり、分からない部分だった。
何故そうまでして戦うことを望むのか? 戦いたいのか?
“あの人”の命令だからやっている事で、望まれる限り自分から止めることは絶対ない自分自身の気持ちも分かってはいる。
けど・・・・・・・戦いたいと思ったことは一度もない。こんな悪いことは、たぶん・・・やめた方が“あの人のため”にもきっと良い。あの子とだって、きっと・・・そう思う。
そう思うタイプの女の子だったからこそ、フェイトには相手からの提案が理解できなかったし、だからこそ聞かせてほしいと思った。
そんな彼女の問いかけに、相手の少女は―――初めて、顔を苦痛に歪める。
「そうだな・・・・・・正直なところ、私には今までの記憶がない。絶無ではないが、大部分が思い出せなくなっている状態にある。
強く決着を望み求めている相手の女のことも、何故そこまで強く戦いと勝利を渇望しているのか、自分でも自分の想いが正しく理解できている訳ではない」
「・・・・・・」
「ただ・・・・・・一つだけ、ある人への想いだけは覚えている」
「ある人への・・・・・・想い?」
「ああ。とても・・・とても大切な人への想いだ」
―――多分だが。
だって誰だか思い出せないし。
とまでは正直に言わない教えない、嘘は言ってないけど全部を教える訳じゃない、詭弁で人々を騙して大戦争に祖国を導いていった同じデザインの軍服を着てた人達の国の軍人さんは卑怯だと思う。
「私にはずっと、その人に認められたいと願い、求め続けてきた過去がある。
そのために力を強く求めた時があった。倒さなければならないと誓った相手がいた。
私はただ、認めてほしかったのだ」
「!! ・・・そう・・・なんだ・・・・・・やっぱり、貴女も・・・」
「ああ・・・その為にこそ私は戦い、勝利を求めていた。・・・・・・そんな気が、今では強く感じるようになっている・・・」
―――具体的には誰が誰かは分からないままなのだが。
誰への想いと戦いだったのかは、全く思い出せていないのだが。
その部分について分かってないこと言わずに語る、ナチス風の軍服姿したドイツ軍人さんが扇動演説するのはチョビ髭さんみたいで悪いので止めた方が良いと思う。
実際には、それぞれの対象違っている人が相手だし。
その大部分に、今の自分が打倒誓ってる相手カンケーなかったし。
記憶ゴッチャした話を一纏めにして整合性とって語ってみたら、人によってはスゴく共感しやすい話に出来上がった一例がここにある。
「そっか・・・そうなんだね・・・・・・わかった。アルフ、私は彼女からの提案を受けようと思う。貴女はどう思う?」
「ちょ!? フェイト本気なの! こんな奴を信じるなんて! 大体コイツは、アンタのこと不意打ちで蹴っ飛ばしてきたヤツなのよ!? それでも!?」
「ふむ。それについては正式に謝罪させてもらおう。すまなかった。
てっきり、私が決着をつけようとしていた相手を横取りして、打倒しようとしているように見えてしまったのでな。
つい思わず蹴ってしまったのだ。今は本当にすまなかったと思っている」
「ほら。ちゃんと謝ってくれたし、悪い人じゃない・・・・・・そんな気がする」
「悪い人じゃないのコイツって!? “つい”で人の顔蹴っちゃうようなヤツが!?
普通だったら死んでる威力のキックだったわよアレって! 一般人を“つい”蹴り殺しちゃいそうだったヤツって悪くないの本当に!?」
アルフさん、凄まじい正論。
物スッゴい正論の嵐なのですが・・・・・・今ここにいるのが彼女たち3人だけの場所だからなぁ~。
数が多い方が正しくなれる現代民主国家の国内だと、3人だけいる場所で2人が先に賛成されちゃうと、一人だけ正しい物の見方できてる人でも間違ってることになっちゃう制度は、やっぱり間違っているとチョビ髭さまは思ってると思います。
こうして、そんな感じの理由と流れと展開を経て。
白と黒の魔法少女達は、それぞれの陣営ごとにペアを組んで訓練をしはじめて、次なる戦いへと備えていくことになるのだった。
その結果と成果は、それぞれの場所で、異なるバトルフィールドで証明されていくことになる。
具体的には、
「ハァ~イ、おチビちゃん達♪ キミかね、うちの子をアレしてくれちゃったのは。あんまし賢そうでも強そうでもないし、ただのガキンチョに見えるんだけどォ~。
・・・でも私、親切に言ったよねぇ? 良い子でないとガブッ!と行くよ――って」
「あ!? 貴女はさっきの・・・! 話し合いで・・・なんとか出来るってこと、ない・・・?」
「・・・私は、ロスト・ロギアの欠片を集めないといけない。そして貴女も同じ目的なら私たちはジュエルシードを賭けて戦う敵同士ってことになる」
「え? ここで!? 温泉地よここ! しかも銭湯ある宿屋の敷地内なんだけど、ここで戦うの!? バトルフィールドここなの!?
・・・・・・日本人が外国人とバトルするときって、やっぱり銭湯で戦闘するもんだったのね・・・・・・都市伝説だと思ってたけど、ビックリだわ・・・・・・」
温泉地にある銭湯を戦場にして、不正規でストリートなファイトをしたりとか。
「フェイトちゃんッ!! 話し合うだけじゃ、言葉だけじゃ何も変わらないって言ってたけど、でも話さないと、言葉にしないと伝わらないこともきっとあるよ!
何も分からないまま、ぶつかり合うのは私、イヤだ・・・ッ!!」
『フェイト! 答えなくていい! 優しくしてくれる人達のとこでヌクヌク甘ったれて暮らしてるようなガキンチョになんか何も教えなくていい! 私たちの最優先事項はジュエルシードの捕獲だよ!!』
「・・・ッ! 私――私、は・・・・・・っ」
『あ!? ナノハっ!!』
「大丈夫ッ!!」
ガキィィッン!!
・・・・・・ぴき、ぴき・・・バキィィィッン!!!
ズボォォォォォォォ―――――ッン!!!
「きゃぁぁぁぁぁぁッ!?」
「う・・・ッ!? うぅぅ・・・・・・ウッ!!」
「放っとくと爆発する危険物を挟んで獲物ぶつけ合ってんじゃないわよアホ――ッ!?
バカなの!? 死ぬの!? 死にたいの!?
一度火を入れたらコロニーレーザーじゃなくても暴発する危険あるんだってことぐらい知ってから戦いなさ、う、ウワァァァァッ!?」
夜のビル街をバックにして、物騒な爆発物を奪い合って暴発させて巻き込まれたりとか。
そういう紆余曲折と色々あった、その末に。
モウモウと、煙突から煙が吐き出されて、コンテナがうずたかく積まれた土地で・・・・・・なのはとフェイト、二人の少女に率いられた魔法少女陣営たちが最後の決着をつける場へと足を踏み出しだそうとしている。
「あ~~・・・・・・まぁ現代社会でバトルするってなったら、こーなるもんなんでしょうし、分かるんだけど理解もできるんだけど・・・・・・世界中を舞台に戦いまくる万国ファイターの格ゲーって、思ってたよりリアルだったのかもしれないわね・・・。
そのうち私たちも、像の上に乗って戦ったりするのかしら? 私、黒い炎だったら出せるけど、口から吐き出せる能力までは覚醒したくないんだけど・・・・・・」
「?? なに言ってるのジャンヌ―――来たみたい」
「へ~~い」
「・・・・・・ジュエルシードは、ゆずれないから・・・ッ」
「フェイトちゃんが、なんでジュエルシードを集めてるのか。どうしてそんなに・・・寂しそうな目をしてるのか。
私が勝ったら、お話――聞かせてくれる?」
「・・・っ!! ―――ふぅっ!!」
ダ―――ッ!!
タッタッタッタッタ―――ジャキィィッン!!!
互いに走り寄りながら、想いと覚悟を込めた杖と鎌を振り下ろし合い、ぶつけ合おうとした、その一瞬!
――バシュゥゥゥゥゥッン!!!!
「そこまでだ。
時空管理局、執務官クロノ・ハラウンだ」
ガキィィッン!
「えっ!?」
「・・・なっ!?」
「管理局、だって!」
天から落とされた裁きの雷のように、白と黒の少女達2人の中央に、今一人の少年が舞い降りる。
戦いを止めさせるため、喧嘩両成敗によるものか、両人共に召喚された拘束具で動きを縛って逃げられなくした上で話を聞く姿勢を取って立ち上がり、
「――さて、事情を聞かせてもらお」
ゴリッ。
シャリィィン・・・・・・。
「――誰よ? アンタ。人のケンカに土足で割り込もうとか、いい度胸してんじゃないの。
そんだけ上から目線でケンカ吹っかけてきたってことは、命の一つや二つや腕の三本ぐらい要らないってことよね? そーよね? 分かったわ、そーしてあげる。死になさい。
そー言うことでいいのよね? シュヴァリエ」
【御意。このような場合、とりうる選択肢は、89パーセントの確率で如何の二つと類推される。
1、抗戦規定を批准する意思ないものと見なして抹殺せよ。
2、所属不明勢力の介入に対して徹底抗戦し防衛せよ】
「・・・同感だ。無粋にもほどがある、軍人としての節度も礼節もわきまえぬド素人が戦場に割り込んできたからには死あるのみ。それがドイツ軍人の常識的対応というもの。
そうだな? シュヴァルツ」
【傾注! 神国タル我ラガ帝国軍ノ行ク手ヲ阻マントスル敵勢力ヲ前ニシテ、大本営ハ以下ノコトヲ求メルモノデアル!
即座ニ満州シ、事変セヨ! コレハ防衛戦層デアル!!】
「「よし。殺るか」」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇっい!?」
別の場所で自分たちだけでの決着つけ合ってた、本人達自身にも訳わかんない理由で命かけて死闘できてたキチガイ幼女2匹に乱入されて、まずは自分の命を優先して守らざるを得なくなってしまった謎の乱入者くん。
その隙に、最初に捕まえてた二人のうち逃げる意思があった黒い方には逃げられて、逃げる意思がなかった方には弁護されて助けられてしまったりした末に、ようやく解放&事情説明スタート。
戦うことに理由は要らない。
ただ最強を目指しているからだ、という一事だけで盛大に周囲を巻き込む町中バトルを現実にやれちゃう人達の精神をリアルにもってる奴らと、魔法少女の世界は相性が少しだけ悪いかもしれませんね。
そんなこんなで少し混沌としてきながら、なのはとジャンヌは知らなかった事情を知ることで、次なる戦いのステージへと駆け上がっていくことになるのだが――果たして。
次回へ続く(昔はよくあった終わりセリフ)