シャルロット・デュノアの妹、ジャンヌ・デュノアです。   作:ひきがやもとまち

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第5話「『女』(スクライド最終回風に)」

 黒く染まったISを纏い、対峙する二人の少女。

 ジャンヌ・デュノアとラウラ・ボーデヴィッヒ。

 彼女たちがおこなう勝負は、IS史上に残すべき名勝負となっていた。

 

 本当に。・・・ものすごい“迷”勝負になってしまっていたのである・・・・・・。

 

 

「うおらぁぁぁぁっ!!!」

 

 ガツン!と。

 スピード重視で装甲が薄く、出力もそれほどではないはずのラファール(カスタムされてるけども)で敵機を殴りつけるジャンヌ。

 

「すおりゃぁぁぁっ!!!」

 

 ドゴン!と。

 重武装・重装甲が売りのレーゲンで相手の腹に蹴りを叩き込むラウラ。固定装備の大型リボルバーカノンを殴るのに使って砲身が折れ曲がってしまい、粒子化するのが面倒くさかったから敵より分厚い足で蹴る方を選んだのだ。

 

「オラ! 死ね! 死ね! ぶっ殺ーーーーーすっ!!!」

「こちらの台詞だ大戯けめが! おまえの方こそ死ね! 死ね! 死ねぇぇっい!!」

 

 二機の操縦者ともに、口元からは血が流れ落ちて装甲の半分近くは打撃の衝撃で吹き飛ばされている。残った部分も半壊していて、無傷な箇所はどちらにも見あたらない。

 

 まさに、死闘。

 戦争利用が禁止された最新鋭の世界最高戦力同士が、原始的きわまる殴り合いで死闘を演じ続けてたのだった・・・・・・。

 

 

 

 ーーーそんな中。

 当然のことながら、空を超スピードで飛び回る美少女たちのハイスピードバトルを見に来てたはずの観客たちには、この状況が理解できないし意味が分からない。

 

 

“なぜ、機動兵器が足を止めての殴り合いで雌雄を決しようとしているのだろうか?”

 

 

 ・・・・・・その答えはおそらく、誰も知らない。戦ってる本人たちすら分かっていないだろう。

 なぜなら、分かるだけの考える力が残っているなら今この状況になってないと思うから・・・・・・。

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・((゜д゜)ポカーン』

 

 

「・・・見に来た人たちがみんな同じ顔になってるね・・・」

「・・・ああ。もっとも、ピットから見ている千冬姉たちも同じようなものだと思うけどな・・・」

「・・・・・・今からボクたちがあの中に割って入っていって出来ることって何かあると思う・・・?」

「・・・・・・ゾ」

「ぞ?」

「ゾンビアタックぐらいかな・・・・・・」

「・・・つまり、特攻して無駄死にするぐらいしかないってことだね・・・」

 

 一夏は答えない。ラウラを相手に一人で挑んでも今の自分では勝てない事実を認めた時と同じように、今、二人がおこなっている戦いに乱入して生きて帰れる可能性が万に一つも見いだせなかったから。

 

 結果。本来のフランス代表と世界初の男性IS操縦者は二人だけで勝手に休戦して互いのペア同士による戦いを観戦し始めて、二対二の戦いが知らない間に一対一が二つずつという形に変わってしまっていたことを茫然自失状態の織斑千冬はまだ気づけていない・・・・・・。

 

 

「「ふんっ!!」」

 

 ガゴォォォッン!!

 

 互いの頭と頭をぶつけ合い、頭突きと頭突きをぶちかまし合い、のけぞり合う二人。

 すぐさまラウラは足を繰り出し、ジャンヌは伸びてきた足を掴んで引きずり込んでボディブロー。

 

「ぐほぁっ!?」

「へ・・・っ!」

 

 ニヤリと嗤うジャンヌだが、その顔もすぐに苦痛に歪む。

 ISによる装甲補正で防御力が上回っていたラウラが予想よりも早く立ち直って拳を振り上げジャンヌの顎目掛けてアッパーカットを叩き込む。

 

「ぐ・・・はぁ・・・っ!?」

「・・・ふっ・・・」

 

 ニヒルに嗤い、宙に打ち上げられた敵手を見送るラウラ。

 だが、「してやったり」の笑顔も長くは続かない。根性と負けず嫌いさでは相手の方がずっと上なのだから、ラウラが予想よりも早い立ち直りを見せた以上はノンビリと脳脳震盪など起こしてられない。即座に回復させて次なる打撃を叩き込まねば!!

 

「う、ぐ、お・・・・・・うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

 ズゴォォォォォォッン!!!!

 

 打ち上げられた体勢からまともな打撃が出来なくて、両手の拳と拳を併せて脳天めがけて打ち下ろす!

 普通に考えたら空を飛べるISに取り、宙に浮かばされることは必ずしも行動の自由を奪われることではないと分かりそうなものだが、今の二人には分からない。不可能だ。なぜならそんな理性は殴り合いが始まる前に捨て去っていたから! 理性を捨てたせいで無くなってるから、殴り合っているのだから!

 

「ごふぅぅぅっ!?」

 

 言葉では表現できない衝撃に脳を揺さぶられたラウラが、自分でも意味不明な苦痛の声を上げる。女の子が上げていい悲鳴じゃなかったけど、そんなことは今の二人にとってどうでもいい。気にするぐらいなら今この瞬間の自分たちにはなっていない。

 

 ただ、目の前の敵に勝ちたい倒したい。自分の方が強いんだと叫びたい!!

 

 その一心で二人は殴り合う。IS使って殴り合う。

 そんな二人に対して心から言いたい。ーーIS外して普通に殴り合えよ、と・・・・・・。

 

 

「ぐ、お、あ・・・じ、ジャャンンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!!!」

「ぎ、が、ご・・・ら、ラァウゥラァァァァァァァァァァァッッ!!!!!」

 

 

 再びの再戦。殴り合いが再開されました。ISバリアに有効なダメージを与えられるように計算されたIS武装使わないで殴り合うだけの戦闘のため、見た目のインパクトと違ってダメージ総量そのものは少なく、ぶっちゃけ操縦者自身の方が遙かに痛かったりする戦いを続けていく中、残っていた装甲とともにエネルギーは底を尽きていき、最後に残ったわずかな残量のみで形成された互いにとって最後の武器。

 

 シュヴァルツェア・レーゲンの鉤爪(クロー)。

 ラファール・キャバルリィ・ノワールの鋼鉄製グローブ。

 

 ・・・・・・VTシステムを乗っ取って武装が増えたはずなのに、元から持っていた武器すら使おうとしない少女たち。

 これでも彼女たちは、世の中を変えた最新鋭SFロボット兵器の扱い方を学ぶ学校の優等生である。成績表での話だけれど・・・・・・。

 

 

 

「・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

「・・・ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・」

 

 

 荒く息を吐いて方を震わせ合いながら、餓狼が如きギラギラした目で互いを睨み、低く静かな声で互いは互いの名を呼び合う。

 

 

「・・・ぜはぁ、ぜはぁ・・・ら、ラウラぁぁぁぁぁ・・・・・・」

「・・・げほっ、ごほっ・・・じゃ、ジャンヌぅぅぅぅ・・・・・・」

 

 

 死力を尽くして戦いあう。それが故の死闘。死闘の決着故に後は無し。

 互いに余力のない二人が残っている力のすべてを込めて拳を握り、万全な状態の0.1パーセントにすら満たない威力の攻撃に己が全てを込めて叩き込むため叫び合う!

 

「私はぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」

「お前にぃぃぃぃぃ・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

「「勝つ!!!」」

 

 

 

 バゴォッ!!!!

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

 ・・・拳と拳がぶつかり合って、乙女と乙女の勝負に決着の時をもたらす。

 ーーいやまぁ、正確には拳がぶつかってるのは相手の頬と頬であって、拳同士は掠りもせずに横を通り過ぎて行ってるんだけれども。拳に当たってたら痛みのあまり決着どころじゃなくなってたんだろうけども。

 

 それでも二人の乙女の拳が互いの顔面を捉えていたのは間違いなくて、当たると同時に一瞬の遅れもなく互いのISは粒子となって消え去っていて、二人は同時に倒れ込み、そのまま起きあがることなく倒れ続けている・・・・・・。

 

 

「ど、どっちが勝ったんだ・・・・・・?」

 

 観客の誰かが囁くように小さな声でつぶやいた。

 その疑問はアリーナに集まった人々すべてが共有する疑問であり、答えが欲しいと渇望して止まない今この時では至上の命題。

 

 

 どっちだ? どっちだ? どっちが勝ったんだ・・・・・・?

 

 隣の席に座る赤の他人とささやき声で同じ疑問をぶつけ合う観客たち。

 やがて彼らに、最後に残った勝利者が答えを“突き上げる”。

 

 

 

 バッ!!!

 

 

 倒れた二人の少女の内、灰色がかってくすんだ金髪の少女が倒れたまま手のひらを天に向かって突き上げる!

 

 

 そして!

 

 ぎゅ、ぎゅーーーギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!

 

 

 と、何かを握りつぶすように手のひらの指を一本一本曲げてゆき、最後には握り拳になるよう力を込める!

 

 

 ・・・いやまか、その仕草と彼女との間に関係性は皆無なのだが、“この仕草を知っているのはどちらの方か”を示す上では大変わかりやすい仕草だったのかもしれない。

 

 

 歓声が湧き、アリーナ全体を押し包み、勝利者の名を唱えて死闘の果ての勝利を祝福する!

 

 

 ーージャンヌ! ジャンヌ! ジャンヌ! ジャンヌ! ジャンヌ! ジャンヌ!ーー

 

 

 終わらない勝者を称える声を分厚い壁越しに聞きながら、ISバトルの先駆者にして教える側の専門家である織斑千冬先生が、ポリポリ頭をかきながらつぶやく声は誰の耳にも届くことはなかった。

 

 

「・・・いや、エネルギーが切れた方が敗けのルールなんだから、さっきの一撃が当たった瞬間に双方引き分けだろ・・・?」

「あは、あはは、あははははは・・・・・・・・・」

 

 ーー訂正。千冬先生の隣にいて苦笑いを浮かべてる山田先生には聞こえてたみたいです。

 

 

 

 

 

「ーーなんか、あの二人に全部もってかれちまったなー。俺たちのことなんて誰も覚えてなさそうな状況だわ」

「だねー。あはははは」

 

 無視されてるのに楽しそうな笑顔でグチる一夏と、朗らかに笑って妹に出来た『初めての悪友』に感謝の想いを抱く妹の姉。

 

 二人にとって自分たちが試合で得た物は小さかったが、気分そのものは悪くない。むしろ久しぶりに気持ちよく、面倒事から解放された快眠を貪れそうだと安堵するほどに。

 

 

 ーーが、その答えはまだ早かったことを、一夏より先にシャルロットの方が感知する。

 偶然にも空を見上げた先に小さな天を見いだした彼女は即座にハイパーセンサーを使用。目標物の正体を見極める。

 

「・・・一夏。どうやら空気を読めない出歯亀さんは、どこの国にもいるみたいだよ?」

「あ? ーーなるほどな。確かに今の日本にはこういう奴らが多い。この前あったばかりだから、よーく分かるぜ」

 

 一夏も指さされた方を見上げてハイパーセンサーを使用。

 先月の試合で乱入してきた『人の心を理解できない=人の間の空気が読めない』無人IS二機がこちらに向かって飛翔してきているのを視認した。

 

「行くか?」

「だね。このまま乱入されたんじゃ、せっかく楽しんでくれてる人たちに申し訳が立たないし。気づかれないようソォッと出て、空で誰も知られない迎撃戦を仕掛けよう。織斑先生には怒られるだろうけど、無断で・・・ね?」

「わかってるさ。任せとけ。これでも俺は千冬姉に怒られるプロなんだからな」

 

 それ自慢になってないよーと、笑い合いながら二人はアリーナを抜け出して空へと飛び立つ。

 千冬が気づいた時には空中戦は始まっており、オレンジのラファールと純白の白式。前回とは違って“真っ黒い全身装甲の無人IS”は性能が大幅に強化され武装も変更されていたものの、“過去に千冬が使っていたものと似た刀を使っていたこと”が災いして一夏の逆鱗に触れてしまい。

 万全に近い状態の彼に勝つにはコンピューター程度だと荷が克ちすぎ、そのまま倒されて彼に経験値を与えに来ただけの踏み台ロボットにされてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 ーー試合終了後、しばらく後の保健室で。

 

「ーー私は勝つ! 私がお前を倒してみせる!」

 

 ぼやっとした光が天井から降りてきているのを感じて目を覚ましたラウラは目覚めた途端に起きあがり、頭に乗せてあった濡れタオルを吹き飛ばしながら吠え猛り出していた。

 

「どこだ!? どこにいるジャンヌ・デュノア!? 私はここだ! お前が倒すべき敵の私はここにいるぞぉぉぉっ!!! ーーーーーあ」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 一頻り騒いでから、彼女はようやく気づくことが出来た。

 ・・・自分の吹き飛ばした濡れタオルを顔面にブチ当てられて張り付けられた状態にある旧師、織斑千冬先生が自分を見舞うために訪れてくれてたのだという事実を今更に・・・・・・。

 

 

「ーーーラウラ」

「は、はい・・・」

「お前には説教してやらねばと思ってきたのだが・・・どうやら杞憂に終わっていたらしい。自分で友達が作れるようになって良かったな」

「ーーは?」

 

 訳が分からず相手の顔を凝視するラウラ。

 それに対して千冬が見せた表情は、教官時代とも別れた時とも違う。なんだかよく分からない嬉しさと悲しさがような複雑すぎる感情を持て余しているような顔。

 

 やがて、ポンと彼女の頭に手を置いて視線を下げさせてからつぶやき捨てるように、こう言った。

 

「卒業おめでとうと言ったのだ馬鹿者。それぐらい言われずとも気づけるようになれ」

 

 そういって逃げるように保健室を出て行ってしまった織斑先生。

 一人残されたラウラは尊敬する恩師からの訳わからない言葉に頭の中を支配され、グルグルグルグル回りまくらせてから長い時間をかけてようやく答えに行き着いた。

 

 

 やはり、これしかないーーと。

 

 

 

 

 

 

 

 さらに翌日のHL前。ジャンヌ・デュノアは教室にある自分の席で突っ伏していた。机に突っ伏すことで、顔色を隠そうと最大限度の努力をしていた。

 今の彼女の脳裏に満ちるのは、昨日の晩に姉が言った意外すぎる言葉。

 

 

『ね、ねぇジャンヌ。い、今から僕と二人で一夏が一人で使ってる大浴場に僕たちに関しての秘密を打ち明けにいくよ。いい・・・よね?』

『ぶふぅっ!?』

 

 

 ・・・不意打ちにも程がある奇襲攻撃。やるならせめて、男相手に一人でやってほしかった・・・。妹を(年頃処女)を巻き込まないでよお姉ちゃぁぁぁん・・・・・・。

 

 

 

(・・・死ぬわ! 死にたいわ! あ、ああああ、あの男には、はははハダカ見られた翌日に平気な顔して挨拶なんて出来る訳ないし! 恥ずかしさで死ぬし! 恥ずか死ねるわ確実に!)

 

 真っ赤になってる顔を誰にも見られたくなくて、更に強く顔を押しつけて隠そうとするジャンヌ。

 が、耳まで真っ赤になってる中で顔だけ隠してもあまり意味はない。むしろ逆に強調されてバレバレである。

 

 ・・・相変わらず変なところで遺憾なく残念さを発揮しまくる少女だった。

 

(ああ、ダメ! 死ぬ! 死んじゃう! 恥ずかしさで体の奥から炎が燃えだしてきて焼け死にそうだわ! いっそ殺して! 焼き尽くして! 焼き滅ぼして浄化して! 

 穢れる前の清い心と体を持ってた私に戻るため、火刑に処して! 煉獄の炎で焼き清めて頂戴! ジャンヌつながりでジャンヌ・ダルクみたいにぃぃぃぃぃぃぃっっ!!)

 

 歴史上の偉人に対して大変失礼なことを思っていると自覚せぬまま、ジャンヌは顔を突っ伏したまま右手で机をバンバン叩き出す。周囲の女子たちがビクッ!となってヒソヒソと話し出してるところを突っ伏してるせいで見えないまま、知らず知らずのうちに醜態と恥をさらし続けるフランスから来た残念美少女ジャンヌ・デュノア。

 

 彼女の未来はいったいどこに辿り着けるのか!?

 

 

「み、みなさん、おはようございます・・・」

 

 副担任の山田先生が入ってきたのが聞こえたけど、無視する。そりゃ副担任なんだから来るでしょ、当たり前じゃん。と、ひねくれ台詞を心の中で吐き捨てながら山田先生の挨拶を聞き流そうとする。

 

 ・・・なんか口元が引き攣ってるときみたいな声が出てる気がするけど、気のせいよ。ええ間違いないわ確実に。少なくとも今朝の食堂で妹を置いてどっかに行った本当は姉の兄なんか全く以て関係しているはずがない。気のせいなのよ、杞憂だわ。『先に行っててジャンヌ、ボクちょっと準備してくることがあるから』なんて普通の姉妹でも姉が妹によく言う言葉よ知らないけれどきっとそう。

 

 ーーーだからもうこれ以上、私が恥ずかしい思いをさせられる可能性は万に一つもあり得ない・・・・・・。

 

 

「今日は、ですね・・・みなさんに転校生を紹介します。転校生といいますか、すでに紹介は済んでるといいますか、ええと・・・・・・」

 

 

 ・・・・・・気のせい、気のせい、気のせい、気のせい・・・・・・

 

「じゃあ、入ってきてください」

「失礼します。シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。ということです。はぁぁ・・・・・・」

 

「ということです、じゃねぇぇわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!!!」

 

「ヒィィィィィィ!!!!?(ビクビクビクッ!!!)」

 

 ジャンヌ・デュノア大激怒! 自分が裏切ることは悦しめるけど、裏切られるのは我慢できない性格の彼女は、信じていた(普段の状態は)優しい姉の裏切りに思わず立ち上がり掴みかかろうとする!

 

「アンタ! 親父から言われた命令はどうしたのよ! どうする気なのよ!? 正体さらしちゃったら作戦第一段階失敗確実になっちゃったじゃないの!?」

「うん、そうだねジャンヌ。だから作戦は第二段階に移行。ボクたち二人で一夏を誘惑する方向に進路変換だよ☆」

「なぁっ!?」

 

 思わぬ急展開に、予想外の事態には突撃以外に打つべき手を持たないイノシシ妹はフリーズしてしまい、恋愛沙汰に関してだけは勇猛果敢でジャンヌによく似たC4突撃を好むシャルロットはニッコリと微笑んで妹の将来のため『退路を断つ』。

 

「ジャンヌだって今更問題ないでしょ? だってボクたちは昨日の夜、お風呂で一夏に色々見られているんだし・・・・・・」

 

 ダッ!(一夏、白式を展開して教室の窓から猛ダッシュ)

 

 バシュンッ!(セシリアたち、ISを展開して発砲して一夏の逃亡を即座に阻止)

 

「あらあら、一夏さん? どこかにお出かけですか? 実はわたくし、前からご相談したいと思っていた急用を今さっき突然に思い出しましたので、その予定はキャンセルしていただたきたいのです。如何でしょうか?

 もちろん、無理にとは申し上げませんけど・・・(がちゃこん)」

「いや、セシリアちょっと待て! その言い方はおかしい! 主に右手で構えたライフルの部分とかが!!

「・・・一夏、貴様どういうつもりか聞かせてもらおうか。無論、無理にとは言わない。日本国民には自由が約束されている。

 だからこそ、聞かせたくないのは死を覚悟して言わぬ道を選んだのだと解釈する」

「待て待て箒! 説明を求めたいのは俺の方だし、お前にとって自由とは何なのかについても聞きたくて仕方がなくなってる今この時なんだが!?」

「一夏、アンタを殺すわ」

「鈴、いつどこから乱入してたのかは知らんが、とりあえず落ち着け。お前のそれは脅迫でも攻撃開始宣言でもなくて、単なる危ない人の一言だ」

 

 

 シャルロットを男だと思いこんでた面々(変なところで一夏と同レベルになる人たち)は、ジャンヌと言うライバル一人だけが加入したと思って堪えてたのに二人もラバーズ入りした後だった事実を事後報告で聞かされて怒り狂っていた。

 

 この中で唯一説明してくれそうなジャンヌは、姉に迫っていてこちらのことなど見ていない。自分一人でどうにかするしか生き延びる道はない一夏が必死に生存へと続くか細い光明を探し回っていたのと同じ頃の同じ教室内で当のジャンヌ・デュノアもまた窮地に陥る寸前だったという事実を、これから知ることになる。

 

 

「どうすんのよアンタ!? どうしてくれんのよアンタ!? 私の女としてのプライドは!? 貞操は!? 初めてのナニやソレは!? 乙女にとって大切にしてきた物を色々返せコラーーっ!!」

「うーん・・・ジャンヌの場合、たぶん無理なんじゃないかなぁー・・・いろいろと全部、後の祭りになってると思うし・・・」

「どういう意味よ!? ーーーっ!? か、身体が動かない・・・? これは!?」

「ーー私だ」

「ラウラ! ドイツの狂犬め! 生きていやがったわね丁度いいわ! 私の今この瞬間に堪りまくったストレスを発散させるため模擬戦しなさい! 私にブチのめされなさい!

 そうすれば少しだけだけど私の気も晴れてスッキリと眠れ・・・何やってんのよアンタ?」

「ん? 見て分からんのか? 誓いのキスだ」

「はぁっ!? ちょ、おま、気でも狂ったかこのバカ! あと、AICはずせ! 卑怯だぞマジで! 生身の相手にIS武装を使用するなーっ!?」

「フランスでは気に入った相手を穢すことが友愛の示し方だと聞いた。故に、私はこれからお前の唇を奪って陵辱し、穢し尽くす」

「どこのフランスだ!? いつのフランスの文化だ!? そんなキチガイ文化が一般的だったフランスは歴史上に一度たりとも実在しない! 二次元だフィクションだ創作物の中にしかない空想上のフランス文化だ! 現実とフィクションを混同した挙句に人の唇を奪おうとするなー!!」

 

 ジタバタと暴れてみるがビクともしない。さすがはドイツの最新型ISに装備された第三世代武装。捕らえられなければどうという事はなくとも、捕らえられてしまうとチートに近い。生身の力で抜け出すのは容易ではない。

 

「く、クソっ! こうなったらノワールを展開して・・・って、うわぁっ!? やめろ! 唇をタコみたいに突き出しながら私を待ち受けようとするな! 引っ張るな! 第三世代武装を間違った使い方で穢そうとするな! 待て!待て! お願いだから待ってくれ! な? な?

 話せば分かる話せば分かる話せば分か・・・る・・・・・・い、い、いやぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

つづく?




VTアヴェンジ・システムの説明:

『コイツに勝ちたい、負けたくない』と言った自分以外の誰かに対して強い対抗意識を感じた時だけ発動する一時的なパワーアップ機能。後に箒が受領する紅椿の『絢爛舞踏』と発動条件が似ているが性質は真逆。

『誰かと共に歩んでいく』のは同じでも、「支え合い」や「支えられたい」と言った女らしい感情からくる男女の関係ではない。
「私はこれだけやった。次はお前だ。さぁ、どうする!?」な感じで、ライバルめいた友情が基になっているシステム。
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