とある策士の外史旅(仮)   作:カツヲ武士

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全部狐っ子視点

主人公が主人公してない?
逆に考えるんだ
居なくたっていいさってね。

これが丹波●七スタイル

オリジナル設定てんこ盛りです。

スマホで書いたので、誤字、脱字が多いかも知れませんが、訂正は最速で明日になる予定です。



君の名は

 

 ウカツ!

 まさかこの腐った目をした男が、あの李儒だったとは。

 

気付かなかった。この荀公達の目を持ってしても

気付かなかったわ。

 

一生の不覚とはまさにこの事。

 

今日だけ少なくとも4回は不覚を覚えた気がするけど!

そんなのは今を乗りきってからよ!

 

それはそれとして、彼が李儒ならば、彼を師と仰ぎ共にある少女は

・・・司馬の鬼才、司馬仲達。

 

マズイ。

 

どちらも敵に回したらマズいが、特に李儒はマズい。

 

 

 今でこそ本家の叔母や、曹孟徳が神童と言われているが、私たちの世代で神童と言えば、彼一人を指す言葉だった。

 

 内政をすれば、荘園の石高と人口を三倍以上にし、

兵を率いては、賊はその偉容に戦う前に死を覚悟して頭を垂れ、

個人の武においては、一人で1000人が籠る砦を落とす。

 

 本来ならこんな噂は、武功を水増ししようとして大袈裟に言われたりするので、信憑性は無い。

 

だが、私たち同世代の人間なら知っている。

 

この噂は実話だと。

 

 否、実話を水増しするどころか、何と言うのが正しいのかわからないが・・・そう、水を抜いてさえいるのだ。

 

 彼が実際に落とした砦に籠城していた賊は3000を越えていたのだとか。

 

 1000人と言う数は、彼が討ち取った賊の数。残りは逃げる事すら諦めて降伏したと言うのが真実だ。

 

真実の方がウソ臭いと言う異常。

 

 何故知っているかと言われれば、彼が私たちの世代において一番の存在とされていたから。

 

 私の叔母を含めて、男を認めない人たちは沢山いる。

だからこそ、彼の経歴の粗捜しは執拗に行われた。

 

その結果が、前代未聞の実績の水抜き。

 

私も唖然としたのを覚えてる。

 

 何故そんなことをしたのかは不明だが、確かに李儒は傑物だった。

故に、ある名家はいくつかの家共同で婿(あるいは種馬)として彼を囲いこもうとしたらしい。

 

 その際にも当然色々調べられたらしいが、さしたる粗は見つからなかったそうだ。

 

 確か、欠点として挙げられたのは

 

 目が腐ってる。

 腹黒い。

 性格が悪い。

 儒の教えを守る気がない。

 弟子を虐待している。

 鍛練と勉強が趣味。

 なんか白濁した飲み物を飲んでる。

 やっぱり目が腐ってる。

 

 

 下3つはともかく、上は全部該当してるじゃないっ!

何で気付かなかった私?!

 

 そして報告で何で目を二回報告されたのか、本人を見て

納得したわ。目の印象が強すぎる。

 

 人としてはともかく、軍師としては凄い長所よね。

目は口ほどにモノを言う。

洞察力の高い人程相手の目から情報を得る。

 

だけど彼の目は・・・無理。

 

怖い。

 

 何て言うか、底無しの沼?

一方的に情報を取られた挙げ句、刷り込まれた恐怖に震えてる自分が見えるわ。  

 

 司馬仲達は良くこんなのの側に居れるわね。

 

 いや、違う。

 

 弟子として彼の懐に入り、彼と敵対しないようにしてるのか。

 

 確かに家の事情やしがらみで、知らないうちに敵に回ってたとか怖すぎる。

 

 彼とは、競っては駄目だ。

 

家の力で押し潰す?

・・・関係者全員殺されるわね。

 

帝の権威なら?

・・・五湖とかに行かれたらどうするのよ。

 

一騎当千の将を疲弊するまで叩きつける?

・・・これが一番あり得そうだけど、そのためには一致団結しなきゃいけない。

彼の味方をする将だっているだろうし、やっぱり現実的じゃない。

 

 少なくとも今の私では敵対することは出来ない。

 

 

けど・・・あれ?

何で私は生きてるの?

 

 さっき説明された、家督に関する推察はおそらく間違って無い。

 私の存在を利用して利を得ようとしている奴らが居るのも事実だろう。

 

 けど、彼に取って私は避けていたはずの名家との接点になる存在。

 

 目撃者が居ない今なら、殺して死体を熊にでも喰わせれば彼を疑うモノは居なくなるはず。

 

 実際、多分だけど、彼は私を殺そうとした。

 

アレ、私の反応が少しでも遅かったら、私はそのまま死体になってたわよね。

 殺気と言ったかしら?

彼くらいの武人が本気なら、私みたいな文官にそんなのを悟られるはずがない。

 

となると、答えは一つ。

 

私の美貌が・・・

 

 

 

痛いっ!

 

何よ!さっきからゴツゴツゴツゴツって!

 

話が進まない?

ごめんなさい。

 

いや、普通に

人の考えを読まないでよ!

 

顔でわかる?

目を見る以前の問題?

 

 くっ、これでも軍師として一流と評された私を、未熟者扱いですって?!

 

 あの李儒ならまだしも、まだ元服したばかりのアナタになら負けないわよ!!

 

 いや、その棒は持てないから。

知謀よ知謀!軍師志望の文官に武力を求めないで!

 

 どんなに頭が良くても、今ココで死んだら無意味?

うん、それはそうよね。

 

 気が使えるのに初めから武を諦めるから、あんな子熊に追われて無様を晒すんだ?

 

 まぁ確かに。勝てる勝てないは別として、最低限逃げれるように体力はつけておくべきだったと思ってるわ。

 

 って言うか、アレ子熊じゃないから!

明らかに大きかったじゃない!

 

 以前見た熊よりかなり小さい?

アンタ一体どんな熊を見たのよ・・・・・・

 

 あぁ、彼が見つけてきた熊ね。

それしか見てないからソレがアンタの中では

当たり前の熊なのね。

うん、お疲れさま。

 

 それで、何の話だっけ?

家に帰るって話?

 

いや、普通に考えて無理でしょ。

・・・なんで驚いてるのよ。

 

 何処の誰から狙われたかもわからないのに、

このまま帰ったらまた狙われるじゃない。

 

 

 

 で、アナタたちが匿ってくれるのかしら?

 

わざわざ試した上で聞いてくるって事は

そーゆー事なんでしょう?

 

 匿うのは構わないが名を捨てろ?

 

 うん、まぁ妥当よね。

この姓を名乗り続ける限り火種になる。

ならば捨てれば良いって言うのは、情より理を選ぶ軍師としては当然の選択。

 

 軍師として、いずれ将兵に命を捨てろと命じる立場になるんだもの。

 自分が捨てないで、人に捨てさせるなんて出来ないわよね。

 

 わかったわ。今日、この場で荀公達の名を捨てます。

 

新しい名は・・・考えさせて。

 

 

 いや、醜態狐は嫌っ!

 

 淫乱狐?!ふぁー!なんでそんなのばっかり!

 

 名は体を表す?やかましいわ!

アンタもう少し名付けの感覚磨きなさいよ!

 

 学問所の書物全部読破してるんでしょ?

どの本にそんな名前の登場人物がいるって言うのよ!!

 

 けど名前が無いと他に呼びようがない?

くぅぅぅぅぅ~!

 

 李儒!あ、李儒様!!

様はいらない?親しみを込めて教頭と呼べ?

 

え、それってまさか真名?

 

そんな、出会ったばかりなのに真名を預けるなんて・・・

 

あぁ私の美貌が怖いっ!

 

って痛い!!

 

わかってるわよ、この外道が初対面の女に真名を預けるはず無いってことぐらい!

 

 とりあえず名前は李、あ~教頭殿が考えてよね。

色々あったとはいえ、名を捨てさせたのはアナタなんだから。

 

うん、よほどふざけたのじゃない限りは受け入れますので。

 

本気でお願いします。

 

 

 

 

・・・・・・で、今さらなんだけど、欲しいモノがあるんだよね。

 

 

 

 

うん、名前より。

 

 

 

 

ねぇ仲達殿・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・着替え、持ってない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今さら判明した弟子の名

感情豊かな仲達ちゃん12歳。

まだ若いから仕方ないネ!

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