とある策士の外史旅(仮)   作:カツヲ武士

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ミミズに侵攻された益州のお話

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アンチヘイト表現あり!
原作は既にない!
嫌いな人は読み飛ばし


待つ身がつらいかね?待たせる身がつらいかね?

来たらしいのぉ・・・。

 

「えぇ、とうとうここまで・・・」

 

ここが戦場になるまであと二、三日か。

璃々は大丈夫かのぅ?

 

「焔耶に任せて、雒城に避難させてあるから

大丈夫だとは思うけど・・・」

 

そうか、ならば良い。

あとは紫苑、お主じゃな。

 

「私?」

 

奴らは腹の中はどうあれ、表向きは劉表の配下じゃぞ?

 

「あぁ、そうね」

 

ん?思ったより軽いの?

 

「たしかに私は荊州の人間だけど、

劉表の配下っていうより長沙の将で、

炎蓮の同僚って言った感じだったから」

 

あぁ、形式上州牧の劉表の配下でしかなかったと?

 

「そうね。しかも炎蓮が長沙の太守になった

あたりから、所属的には炎蓮の配下なのよねぇ」

 

で、あれば長沙に行かなくて良いのか?

 

「この状況で貴女を置いて?

そんなことしたら璃々に顔向けできないわよ」

 

・・・すまんの

 

「気にしないで。益州に来た時も

その後も、貴女にはお世話になったんだから」

 

お世話もなにも、順序が逆じゃろ?

そもそも儂に会うために来たんじゃろが。

 

「あらあら?そうだったかしら?」

 

ふん・・・まぁ、感謝はしとるよ

 

「珍しく素直ね?」

 

まぁの。あの軍勢を前に余裕は無いからの

 

「・・・外道劉備」

 

あぁ、幽州で公孫賛の真名を冒涜して

評価を落とし、戦慣れした幽州の人材を

引き抜いて義勇軍を名乗り。

 

「その戦力を維持するために

幽州と冀州の町や村から金品を強奪」

 

当時の冀州牧韓馥と公孫賛の温情で

命は取られず。一応黄巾との戦で戦果が

あったということで平原の県令になった。

 

「そうよ。ここまででも相当なのに、

問題なのはその後!

逆賊袁紹が発令した反逆軍に

まさかの7千もの兵を集めて参加!」

 

そして洛陽に攻め入り、先帝陛下の討死の

一端を担う・・・か

 

「洛陽に入ったかと思ったら、そのまま行方を晦ましてたけど」

 

まさか劉表の配下になっとったとはのぉ。

 

「平原は益州よりも酷い状態だったとか・・・」

 

そりゃそうじゃろ。全人口が5万もいない

一つの県が7千もの兵を動員したんじゃ。

労働力も資財も、何も残らんわ。

 

「そこに戻って政をやり直すことなく、

あっさりと捨てた!」

 

まぁ、軍師や将として考えたなら間違ってはおらんがな。

 

「そうかもしれないけど、為政者としては最悪よ!」

 

そうじゃな。近場の袁紹も、青州牧孔融も

連合に参加しとったし、劉備の面倒を見る

予定だった冀州牧韓馥も一緒じゃ。

 

さらに実質的な敗戦じゃったから、誰も平原の面倒なぞ見られん。

 

「統治者のいなくなった平原は、

黄巾がいた時の南陽並みの地獄絵図・・・」

 

今は司馬懿が立て直してるとか?

 

「えぇ、公孫賛に蹂躙された南皮と

一緒に立て直してるそうよ」

 

本来は青州じゃから司馬懿がやる

必要はないんじゃがのぉ

 

「青州牧の孔融が理想主義者で

どうしようもないし、そもそも

平原が黄河を越えたところにある

言わば飛び地ですからね。

昔からとくに太守がいなければ

冀州牧が監督していたそうよ」

 

理想主義者ならそのへんも

きっちりせんか!

と言いたいところじゃがのぉ。

 

「益州も偉そうなことを言える状態じゃないしね」

 

そうじゃよなぁ・・・

 

「まぁ、そのへんの管轄はいいとして、

問題は平原の政が乱れたままだった

ってことよ」

 

そのせいで曹操たちが劉表の子を担ぐ時間ができてしまった・・・

 

「つまり今の漢の乱れを生んだ元凶の一人と言えるわね」

 

・・・その内の一人に劉璋様もいるがの。

 

「あぁ、ごめんなさい。そんなつもりは無いのよ。」

 

あ、いや、それはわかっとる。

ただ、言わずにはいられんかっただけじゃよ

 

「けど、劉璋様の言い分には一応の理はあるのよ」

 

まぁの。劉弁様が即位された時に

禅譲するなら、何の問題もないわな。

 

「しないとは言ってないから、相当黒に近い灰色だけどね」

 

無理に庇わんでも良いわい。

 

「えぇ、ごめんなさい。正直言って、ちょっと無理かな?って思ってた」

 

わかる。じゃが儂は益州の民を

見捨てるわけにはいかん!

 

「劉表なら、まだ良かったけどね」

 

そうじゃな、同じ皇族じゃし、為政者としても劉璋様より上じゃ。

 

「劉表の部下としてあの鳳雛が

兵を率いてるのも、まぁ良いでしょう」

 

そうじゃな。水鏡女学院の筆頭と次席が

劉表に仕官し、即日新野の太守とされたのは

有名じゃったからな。

 

「でも、その鳳雛が、よりにもよって

外道劉備を旗頭にして益州へ侵攻するなんて!」

 

おそらく劉表の部下としてではなく、

劉備としての侵攻だと誇示しとるのじゃろうな

 

「劉表から物資を譲り受けておきながら、

平然と裏切る気じゃないのよ!」

 

じゃな。劉表の子が帝を名乗ったら

反対する気じゃろ。

それで劉璋様を打倒して成都に居座る気じゃな。

 

「劉表の子が帝位につけば中原は混乱するものね」

 

孫堅が劉表の子を認めなければそのまま戦よ。

 

「それまでにここで確固たる地盤を築けば、

あとはゆっくり益州を攻略できるわね」

 

新野はどうなるかわからんがな。

 

「・・・外道め!」

 

じゃからこそ、儂はここで奴を止めねばならん。

 

「そうね。今までなんで勇猛とは言えない

益州の将が、篭城策を取らなかったか

不思議でならなかったけど・・・」

 

あぁ、アレは無理じゃな

 

「隻腕の虎将。張飛」

 

最近になって名は聞くようになったが、

まさかあのような子供だったとは・・・

 

「あの子に挑発されて、

動かなかったら武将じゃないわ」

 

そうじゃな。名が知れてきた今なら

警戒もするが、全く無名の隻腕の小娘に

挑発されてはの。

 

「普通なら外道の一言だけど」

 

あぁ、話だけでもわかる。

あの小娘は確固たる覚悟を決めて

あの場に立っておる。

 

「そうね、子供だとか片腕だとかは

彼女に対する侮辱に他ならない」

 

そして、実際に奴は実績を上げておる。

 

「私やアナタなら負けない戦いはできるでしょう」

 

そうじゃな。じゃが、儂にはアレを殺せる

ほどの確固たる覚悟は・・・ないな。

 

「私もよ。けどそんな中途半端な覚悟じゃ絶対に食い破られるわ」

 

せめて劉備じゃなければのぉ・・・

 

「えぇ・・・劉表の旗だったなら、

無駄な戦をせずに降れたのに・・・」

 

一騎打ちはできん。篭城しても

援軍が来ないので物資がなくなるだけ。

 

「打って出ても、あの鳳統が何の備えも

していないはずがない」

 

被害を抑えるためには

撤退するしかないんじゃが、

そんなことをしたら劉璋様は

怒り狂うだろうし、何より

 

「ここで退けば、あの外道が巴郡を手に入れてしまう!」

 

向こうには天の気狂いもいるらしいのぉ。

 

「自己の栄達のために平然と民を見捨て

州牧の魂に泥を塗る外道と、天を名乗る気狂い・・・」

 

凶悪な二人組よ。何故そんなのに

あの虎将が従っておるのか・・・

 

「まだ子供だもの。自分に都合のいい思想をすり込んだんでしょう」

 

あぁ、まさしく外道よな。

 

「進軍が早すぎたせいで

民を逃がす時間もなかった・・・」

 

ここまで全て鳳統の策じゃろうかの?

 

「そうでしょうね。今の奴らにとって

一番嫌な手は、資財と民を逃がされることですもの」

 

そうか、劉表からの支援はもはや望めぬ。

ならば我らから奪うしかないのか。

 

「劉表を警戒して、前線に兵と物資を移し

始めた時期だったから最前線には、まだ

それほど物資はなかったけど」

 

ここ南鄭と江州には十分な物資がある。

 

「ここを奪われたら、益州は負けるわよね?」

 

あぁ。儂らが雒城まで引き、耐えてる

ところで長安か宛の官軍が動けばなんとか

なるかもしれんがな。

 

「その場合は劉備の後に、長安の官軍と戦う事になるわね」

 

個人的には益州を外道や劉璋様に預けるよりは良いとは思うんじゃがな。

 

「・・・少なくとも南陽も長安も悪政は敷いてないわ」

 

あぁ、宛なんぞ官軍のおかげで

数年前の凄惨な姿は見る影もないとか。

 

「噂の李儒ね。若いときから荘園の経営や

涼州の立て直し。更には北の騎馬民族を

纏めた手腕は伊達ではない。か」

 

まぁ、ヤツらに比べたらのぉ。

 

「弟子の司馬懿も冷徹ではあるけど、

必要なことを必要な分だけこなしてるとも言えるわ」

 

そうじゃな。そもそもが将が賊に慈悲を見せるものではない。

 

それに広宗で語ったそうじゃが、

賊が集めた物資だろうが何だろうが

食料・資財に貴賎は無いと言いきる

姿勢は素直に好感が持てるわい。

 

「長安も今は機を伺ってるはずよね?」

 

あぁ、涼州牧の馬騰殿はともかく

皇甫嵩や朱儁は前回の戦で

何もしとらんからの。

出陣の機を伺っておろう。

漢中の張魯も邪魔はせんじゃろうな。

 

「・・・桔梗」

 

・・・頼めるか?

 

「えぇ、璃々をお願いできるかしら?」

 

無論じゃ。どっちに?

 

「長安ね。宛は劉表や曹操に狙われるでしょうから」

 

孫堅という手は?

 

「そうなれば外道が劉表の手から完全に逃れてしまうわ」

 

そうか・・・

いざという時に民を切り捨てる輩に

益州の民は預けられん。

 

「かといって劉璋様やその周りにも預けられないのよね」

 

長安も劉弁様を擁立できていないし。

他の皇族といっても・・・

 

「元服しているのは数える程しかいないわね」

 

現状は完全に漢全土を巻き込む劉氏の家督争いじゃな。

 

「そうね下手に動けば各地の異民族も動きだすわ」

 

・・・馬騰殿が預かってくれんかのぉ?

 

「涼州と益州って・・・過労で死ぬんじゃないかしら?」

 

じゃよなぁ。益州に張任や法正。

張松に孟達が居ればもう少し手はあったんじゃが

 

「あぁ、昔の知り合いだっけ?今はみんな宛よね?」

 

そうじゃ。李儒殿に拾われての。

あのときから益州は荒れとったからの。

 

今の南陽はよっぽど居心地がよかろうよ。

あぁ、儂も誘われたとき行っとけば良かった・・・

 

「それについてはご愁傷様としか言えないわね。じゃあ宛に行ってから長安の方がいいのかしら?」

 

いや、確か張松は馬騰殿の補佐で

長安にいたはずじゃから、

儂の文をもっていけば

無下にはされんじゃろ。

 

「そう?なら長安で協議して益州を任せる

ことのできる人材を探さないとね」

 

うむ、儂も紫苑と張松が選んだ

人材なら安心できる。

 

「期待を裏切らないように努力するわ」

 

で、劉璋様からの使者はどうしよかのぉ・・・

 

「適当に流せば?援軍も送らないでそんなこと言われても困る。とか」

 

その方向しかないの。

巴郡の民には申し訳ないが・・・

 

「すぐには切り捨てられないわ。

まぁ、追い詰められたら

後先考えない大動員はされるでしょうけど」

 

くそっ!じゃが益州全土でソレをさせるわけにはいかん!

 

「・・・そうね。ここにはお世話になった

人たちもいるの!

あんな外道に好き勝手にされてたまるもんですか!」

 

本来は益州の将でもないお主に頼むのは

筋違いとはわかっておる。

じゃが!もうコレしかないんじゃ!

 

「えぇ、安心して!必ず間に合わせる!

だから璃々をよろしくね!」

 

おう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「この益州を邪智暴虐の輩に渡してなるものか!」」

 

 




だ、だれがミミズの情報をヒロメタンダー?!

まぁ田舎だからこそ中央の情報も集めるよねってお話

曹操が徐州とかで暴虐してないので
ミミズの外道っぷりが目立つ目立つ。

李儒くんも弟子もミミズも種馬も
結果を評価されてるだけで
一切勘違いされてません。

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