とある策士の外史旅(仮)   作:カツヲ武士

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第二章?

名前を付けるなら韓遂の乱編?
そんなに長引かない予定。

弟子視点

原作?マダマダ
オリ展開さ。



弟子のこの手が真っ赤に燃える

 月明りだけがこの身を照らす夜半

 

 師に呼ばれて部屋に向かっているのだが

 一体何事であろうか?

 

 夜に女子を部屋に招くなど、私が知る限り一度も無かったはず。

 

 ・・・もしやアレか?

今までは弟子として見てきたが

淑女として見ろと何度も言ってきたことで

私を一人の女として見てしまったか?

 

 私としても、家の都合でどこぞの小僧に抱かれるくらいならば、

好意を抱いていないことも無い腐れ目の男の方がマシだ。

 

 故に、求められたなら応えるのも吝かではないが・・・

 

 ・・・いや、無いな。狐に影響されすぎだ。

 

 日中に登城したときに何かあり、

その何かに対してどう動くかを考え、

その答えを出したのが今なのだろう。

 

 思考と鍛錬の際に時間を忘れるのは

あの方の数多い悪癖の一つだからな。

 

 

 さて、着いたか。

 

 

 ・・・師よ、弟子筆頭司馬仲達、参りました。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 あぁ、とうとうこの時が来たか。

長かったのか短かったのかはわからない。

 

 師がこの情報から何を見ているのかも

正確にはまだ分からない。

 

 だが、今が、そしてこれからがその時なのだろう。

 

師曰く、人生は選択の連続 

 

 そしてコレからの選択で、我々がどう生きて、どう死ぬかが決まる。

今日の選択はその一つ。

 

 すなわち師と共に行くか、離れるか。

 

 本来であれば「水臭い」と言って蹴りを入れながら

着いていくのだろう。

 いや、今まで通りなら私の意見など聞かず、

着いて来いと言って、その大きな背中を見せるのだろう。

 

 だが今回の涼州の乱。

相手はその辺の食い詰めた民が、ただ武器を持っただけの雑魚じゃない。

高祖の時代より漢帝国と戦い続けてきた、勇猛果敢な北方騎馬民族。

 

 武器の扱いも兵の練度も、その指揮も

全てが経験豊富な強敵。

 

 荘園で鍛えている我らの兵なら戦えるが

それだけでは少なすぎる。

どうしても漢の弱兵を率いねばならない。

少数精鋭が、大勢の弱兵のせいで失われる。

 

 ・・・師は参戦するのだろう。

 

 今の洛陽で九卿ともなれば、直接戦場に出る者はいないだろうが

師がこの若さで官位を得たのは、財だけではない。

その積み重ねた武功あってのもの。

 

 ならば今回のような強敵から逃げるような真似は出来ぬ。

 

 自分に従う部下たちの命を背負い、戦場に出る。

他の将帥など、兵の命を数としか見ないだろう。

 

 だが師は違う。 

我も人、彼も人。故に平等。

この理念に従って、戦うのだ。

 

 だからこそ兵も奮う。

 

 師が居なければ、師が導かねば

餓えて死んでいたモノ達がいる。

賊として討たれていたモノもいる。

 

 師さえ生きていれば、彼らは、

彼らの家族はこれからも生きて行ける。 

 

 だからこそ彼らは死兵となって師を守ろうとするだろう。

 

 ただ気持ちだけでは守れない。

想いはある、個人の力もある。

だが戦で最も大きな力は数だ。

 

 師の力は凡俗の1000を優に超えるが

部下の一人一人を守ることはできない。

 

 ・・・この方の数ある悪癖の一つ

 

 「部下に甘い」

 

 普段は極悪非道を地で行く師だが

人の命を平等と考えているがゆえに

このような時に必要以上に悩むのだろう。

 

 それに、おそらくだが、私の心配もしているのだろうな。

 

 勇猛果敢な騎馬民族と争う戦場だ。

 着いていけば当然命の危険もあるだろう。

 

 なんだかんだで3年も付き合ってきたのだ。

いざという時はこの師は私を守る為に

動いてくれると思う程度には信頼している。

 

 だが師よ、ご安心下さい

私も我が家臣たちも、すでに貴方と

共に進むことを決めております。

 

 たとえその先で屍を晒すことになろうとも

きっと己の人生を省みて

笑って死ぬことができるでしょう。

 

 なので貴方はいつも通りの無駄にいい声で、命じれば良いのです

他人のことを見ていないような腐った眼を、家臣に向けて。

弓矢の的に丁度良い、大きな背を見せて。

 

 我らの前を歩めば良いのです。

 

 我らは付いて行くだけなのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・え?違う??

 

 私を連れて行くのは確定???

 

 拒否しても気絶させて連れて行く?

 

 荘園の兵は温存????

 

 戦を舐めるなコノ人外がっ!

漢の弱兵だけで羌賊の精鋭に勝てるか!!

 

 あぁん?騎馬民族なら余裕ぅ~?

 どーゆーことですか?!

 

 戦場でわかるって、ナニする気ですか! 

 

 ヒ・ミ・ツ?!

そんな言い方しても気持ち悪いだけだ!

鏡を見ろ腐れ目っ!!

 

 近所迷惑だから夜に騒ぐな?!

 

 だ れ の せ い だ ! ! !

 

 

 ふぅ、ふぅ。

 

 

 んんっ

 

 

 えぇ、落ち着きましたよ。

 

 

 で、そもそも何でこんな時間に呼んだんです?

 

 え?しばらく洛陽を離れる事になるから、

明日の朝から周囲にアイサツできるようにって?

 

 あぁ、ご配慮ありがとうございます。

 

 では明日のうちにアイサツ回りをしておきましょう

 

 実家には・・・あぁ、とりあえず手紙で、

それから出陣した後顔を出せば良い?

 

 まぁ下手に情報を与えたら付いて来ようとしますからね。

ウチだと郭淮とか。絶対来ますね。

 

 と言うか何で荘園の兵を使わないんです?

 

 あぁ無能な指揮官に使い潰されるのが嫌だと。

 

 それに功績独占するとマズい?

 

 あぁ、それはそうですね。

漢の弱兵と、賊とすら戦った事のない机上の策士。

無駄に気位の高い軍人なんて、まさしくですもんね。 

 

 それに武人としては名を高めるのが栄達の道ですが、

我々の荘園の者たちは、すでに満たされてるので

栄達なんて求めてないですしね。

その余裕が見え隠れしてしまえば、いらぬ嫉妬を買うと?

 

 ふむ。私への嫌がらせじゃないんですね?

 

 承知しました。

 

 師がいかなる神算鬼謀で敵を蹂躙するのかは知りませんが、

弟子として、貴方の横で、貴方によって敗者となった者たちを見て、

それを糧として更なる成長を遂げて見せましょう。

 

 

 

 

 

 

 それはそれとして・・・

 

 

 

 

 

 

 とりあえず一発殴らせろ!!!!

 

 




李儒くんが真剣な顔をしていたのは

涼州には彼にとっての死亡フラグ

馬肉大好き董卓仲穎がいるからさ

ちなみに弟子が行かないと言っていたら
弟子は敵対ルートに行っていたもよう。

知らず知らずに生き残った感じです

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