とある策士の外史旅(仮)   作:カツヲ武士
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ネタが続くかぎり頑張ります

再度の三人称

李儒くんとはきちんと会話してます。



吾輩は弟子である②

ーーー弟子視点ーーー

 

 ・・・目を閉じればこの3年間が流れるように瞼の裏に映し出される。

なんでも走馬燈と言うらしい。

 

 

 師と同じく一年で博士の号を得た私は、

無事に元服することができた。

生き延びることができた。

 

 まさか動乱の時代が来る前に、師に殺されかけるとは思わなかった。

 

 いや、まぁ後悔はしていない。

師の鍛錬のおかげで、今の私ならば

その辺の賊ならば1000人でも一人で勝てるだろう。

 

 身の丈3間(5メートル40センチ)以上ある、片方の目が潰された熊と向き合ったときは

死を覚悟・・・いや乙女として確かに死んだ。

 

 降伏など存在しない、むき出しの野生の殺意。

負けたら即ち死。否、生きたまま喰われるのだろう。

 

 しかも相手は負傷と飢えに加え、縄張りと子を守るという

野生動物としての最強の状態。

弟子の為にあそこまで演出してくださるとは・・・

今思い出しても腹が立つ。

 

 地獄に落ちろクソ師匠。

 

 確かにアレと比べれば賊から向けられる殺意など温い、薄い、軽い。

 

 

 

 

 ・・・私は自身の経験で学んだのだ。

個として勝る相手に勝つには数か知略が必要で、

危険な時ほど冷静にならなければならない。

そうでなければ知の鏡も曇るのだと。

 

 曇った知では道は開けない。

ヤケになって助かることなどない。

 

 今、まさに目の前にいる狐耳の着いた頭巾?を羽織った小娘のように、

死に際に無様を晒して、死んだ後も下半身丸出しの死体を晒すのだろう。

 

 まさしく醜態。

 

 あのときの私の姿もこんなんだったのだろうかと、つい遠くを見たくなる。

この気持ちは何というのだろう?

 

 同族嫌悪? 

 

 あんなのと一緒にしないで下さい。

 

 相手はあんな子熊ではなかったし

私は元服前の小娘でした。

それに、少なくとも私は武器を構えて向き合ってました。

 

 あんな・・・下半身丸出しで糞尿をまき散らして泣き叫ぶような、

女として終わった無様はさらしてないつもりです。

 

 

 

・・・五十歩百歩?

 

 

 忘れなさい。忘れてください。忘れろっ!

 

 

 あぁん?そんなことより、問題点?

そんなこととは何ですか。淑女の尊厳を何だと・・・

 

 こむっ?!

 私はもう元服した淑女!

立派な大人の女性ッ!!

言うにことを書いて小娘とは!!!

 

 元服したから一人前ではない?

 

 まぁそうでしょうよ。

師に比べたら半人前ですとも。

一人前だとは口が裂けても言えません。

 

 だがっ!言い方とか!配慮とか!

あっても良いんじゃないですかね?!

蹴りを避けるな!当たれっ!!

 

 んんっ。

 まぁ、常在戦場と言いましたか?

油断せず常に学べと言う姿勢は成長に必要なのでしょう。

 

 

 

 で、問題点でしたか?

 

 

 

 えぇまず第一に、一人で山に入るっておかしいですね。

 

 山を舐めてるとしか言いようがありません。

着ている服から、それなりの家の者でしょうから

おそらく護衛とはぐれたのでしょう。

 

 いえ、下半身丸出しですから、はぐれたのではなく

小用を足す為、自分から護衛と距離を取ったのでしょうね。

 

 

 阿呆が。

 

 

 

 第二に、声を上げたことでしょう。

 

 山の中で、あんな甲高い声を上げたら、

餌を求める賊や野生動物に自分の位置を教えるだけですし。

それにホラ、無駄に声を出したから息が上がってる。

あれじゃぁ抵抗も逃げることもできませんね。

 

 

 阿呆が。

 

 

 

 第三に、鍛錬不足ですね。

 

 腰砕けと言うんでしょうか?

 山の中を走るのは平地を走るより、体力も気も使いますが

あの様子を見ると、平地すら走って無いんでしょうね。

 文官として仕官するつもりだから、

体を鍛えることをしなかったんでしょう。

その結果がこの醜態。

 

 

 

 阿呆が。

 

 

 あの無様を見ると、毎日走ることの大切さはよくわかります。

良い歳こいて醜態を晒すあの姿が、

私に日々の積み重ねの大切さを改めて教えてくれます。

 

 いえ、私は師の教えを疑ったことは無いですよ?

いや、ホント。

 

 

 

 ・・・え?彼女の名ですか?

 

 相変わらず話しの流れをぶった切る方だ。

 

 ふむ・・・醜くい有様を指して醜態。

名は体を表すと考えれば、

彼女に付ける名は・・・

 

 

姓は醜 字は態 名は狐 真名は下半 

 

と、こんな感じでどうでしょうか?

 

 ん、あぁ。私が付けた名ではなく

彼女の親が付けたであろう名ですね。

 

 特徴としては、狐耳の被り物をしてて、茶髪で小柄。

ここ潁川の周辺で、名家の人間・・・

まぁ下半身裸の女に知り合いはいませんが。

 

おそらくは荀家の分家の当主。

 

 荀 公達 殿ではないかと思われます。

 

 知り合い・・・では無いですね。

名を知っている程度です。

あちらは私のことは知らないでしょうね。

 

 腐っても荀家。

家の格で言えば上の上。

そうでなくとも

本家の神童と分家の秀才は有名ですから。

 

 当家ですか?格でいえば中の上、

良くて上の下程度ですからね。

そこの当主ならまだしも娘のことまでは知らないでしょう。

 

 まぁ今の彼女に、秀才と噂されるような知性は感じられませんが・・・

この程度で我を忘れるなら、これから生きていくことも

難しいでしょう。

 

 ここで終わらせてあげるのも慈悲と言えるかもしれませんね。

 

 

 と、言うか助けるのですか?

別に見殺しにしても影響がないと思われますが?

 

・・・えぇ、気付いてますよ。

8人でしょう?

 

 え、9人?

 

 ・・・くっ殴りたい、その笑顔!!  

 

 

 確かに見られている以上、見捨てたら

相手に付け入る隙を与えることになりますが。

こちらにも何か仕掛けてくると?

 

 あぁ、彼らからすれば、我々もすでに関わってしまっているのですね。

関わった以上は、仕掛けられる可能性がある。

それならやられる前に殺ると。

 

 確かに火種が無ければ火災は起きませんからね。

さすがです師匠。

 

 で、子熊の相手は私ですか?

 

 無理なら変わる?

どうしたんですか?

そんな、温い・・いや、怪しい・・・

いえ、優しい?ことを言うなんて。

 

 何かおかしなものでも拾い食いしましたか?

腐った肉とか、キノコとか?

 

 いや、そんなモノで倒せるほど弱くないですよね。

 

 んぁ?!

 二人で醜態晒されたら困る?

 

 

ふっ、ふふふ・・・

 この私が!

 卑怯、卑劣、腹黒、鬼畜、外道、の師の元で

三年に渡り虐待と拷問を受け続け、それに耐え、跳ね除けてきた

この私がっ!!。

 あの程度の子熊を前にして、下半身丸出しで

涙と糞尿を垂れ流すような醜態を晒すと?!

 

 ありえんっっ!!

 弟子の成長をその腐った眼でよく見ていろ!

子熊の次は貴方だ!

 

 

 

 とりあえず、そこの子熊ぁ!!

 

 八つ当たりなのは重々承知!

 だが無駄には殺さん!

 せめて我が血肉となれっ!!

 

 

 

 その心臓、もらい受けるっ!!!

 

 




ナチュラルに口が悪い弟子ですが悪気はありません。
素直ないい子なんです。

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