とある策士の外史旅(仮)   作:カツヲ武士

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くっ長い!

李儒くんによる解説回

原作アンチヘイトあり

オリ設定、オリ展開

嫌いな人は読み飛ばしで


前略、道の上より

各地の情勢とは言ってもなぁ。

 

西涼は馬騰が動きを見せた・・・振り。

補佐に張松がついてたな。

加えて王累や張既。そして復活した韓遂。

馬超と文官としても働けるよう鍛えられた

馬休と馬鉄は馬岱と一緒に留守番か。

 

「はい、いくら涼州でも、

補佐が馬岱だけでは州の運営はできません。

で、馬超と遊んでいる二人組を

見つけたので、教育したそうです。

韓遂はもともと書類仕事もできてましたから。」

 

まぁ、巡回に三姉妹全員はいらんよな。

  

「馬岱からも頼まれたようですね。ヤツらにもヤラセロって」

 

気持ちはわかる。

 

で、長安には家族を連れて避難した皇甫嵩と朱儁。

 

董卓と関係の深い馬騰を抑えるためのにらみ合いと言えば、にらみ合いだが

 

「同じ部屋で、同じ茶葉で入れた

茶を飲んで、日頃の愚痴と、

洛陽のクズどもの愚痴言ってるみたいです」

 

うむ。お互い知らん仲じゃないし普段は

普通に茶でも飲んでるだろうさ。

で、益州から何か出てきたら合同で叩く。

 

「えぇ、劉璋が少し、いえかなりの

阿呆らしく何をするかわからないので、

一応用心しているようですね」

 

阿呆の暴走は怖いからなぁ。

何事もなければ、茶を飲んでいるだけで

どっちが勝っても「自分は仕事をしていた!」

って言えるわけだし。

 

「ついでに邪魔な名家を減らしてくれるなら、

両将軍もよろこんで観戦するでしょうね」

 

まぁな。それで南は官軍一万と張任と亀っ子か

 

「はい、ご指摘のとおり、少数で間道を通って陽人に来ても十分潰せるかと」

 

だな。で、北は楊修が監督して、

守備に定評のある郝昭と徐晃。

 

「守備の定評はわかりませんでしたが

・・・郝昭は全体を見る将としては

足りませんが、場を任せる将として

はすでに半人前です。

徐晃が上手く補佐をすれば

楊修殿の足を引っ張ることはないでしょう」

 

うむ。空いた并州に弟子を除いた司馬八達。

ついでに郭淮。

 

「董卓の委任状を持たせてますので

姉上なら施政に問題はないでしょう。

また郭淮も将として育っておりますので

今回の留守役は良い経験になるかと」

 

虎牢関に官軍二万と李厳

補佐に法正と孟達。

 

「万が一、并州勢が敗れてもここで潰せますね」

 

で、洛陽に官軍三万と狐っ子と楊任と楊奉。

 

「不測の事態に備えて、ですね。

あるとすれば陽人。援軍要請があり次第、狐が

楊奉を率いて向かいます」

 

ついでに俺と弟子

 

「残った楊任を私が率いますが。

師に回ることはないでしょうね」

 

それはそれでヒマなんだが

 

「異常事態がないということです」

 

ごもっとも。

 

で、白っ子とネコモドキは

幽州の将軍府出張所で、他の連中と一緒に

李豊をはじめとした子供たちの護衛と監督。

 

「・・・」

 

コレで、よく演劇とかにある

『どうしてきたんだっ!!!』

『心配だったのっ!!』

ってやって味方の足を引っ張って、

無駄な労力と犠牲の上、助けられて幸せになる

自作自演の女にはならんな。

 

「・・・そうですね」

 

やはり心配か?

 

「えぇ、正直に言えば。ただ、洛陽に居て

名家どもに人質に取られたり、

無駄に往生際の悪い連中の

自爆の巻き添えになるよりは安全です」

 

そうだな。

 

白っ子も来年には元服だ。 

信じることも大事だろうさ。

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、董卓も覚悟を決めた。

しっかり李傕と郭汜、張繍を使って

洛陽においての名家の粛清。

 

「賄賂をもらわねば働かないのを、

職務怠慢と切って捨てたのは見事でした。

正直なところ私もそれが当たり前と思って

いましたので・・・」

 

実際あれは職務怠慢だよな。

涼州や并州にいた頃から散々足を

引っ張られていたから、恨みもある。

一度理由を与えたら全く容赦がない。

うんうん、イイ事だ。

 

「自分の名前で行ったところにも覚悟を感じます」

 

そうだな。しかし問題は汜水関だ。

 

「えぇ、阿呆ですね」

 

并州勢が勢ぞろい

騎兵二万と歩兵一万弓兵一万

工兵五千と他輜重・・・

 

軍師に賈詡と陳宮

武将に呂布・張遼・華雄・高順・徐栄・牛輔

 

これだけ集めて何やってんだこいつら?

 

「一度使者を出します」

 

だな、連合には公孫賛も馬騰もいないんだから。

 

「あと、意外なところで孫堅です」

 

あぁ、孫策が連合側で出たってな。

その数が、一万?

 

「孫堅を田舎の郡太守と思っている、

 中原の諸将は気付かないでしょうが・・・」

 

今の孫家だと中途半端すぎるな。

多分、袁家の金で飲み食いして

戦場見学して帰る気だな。

ついでに、帰りに盧江か柴桑でも行くかね?

 

「なるほど、その可能性は高いですね。

全体的な情報はともかく、局地的な情報は

ありますから。そのまま呉郡にでも?」

 

厳白虎はなぁ、何が東呉の徳王なのか・・・

 

「伯師妹は嫌そうにしてましたね」

 

そりゃアレと部分的でも一緒は嫌だろ。

 

で、孫堅はこっちか。

 

「えぇ、兵も500ですし、孫策は家を保つために仕方なく向こうに回した。と連合の連中に言うのでしょうね」

 

アレだな、名家的だな。

どっちが残っても家は残る的な。

 

「彼らにとっては分かり易い動きです」

 

そうだな、名家連中は騙せるだろう。

奴らはそれが当たり前だ。

 

「えぇ、その上で自分たちの勝ちを

確信してますから、

孫家の戦後の取り分を減らすか、

もしくは搾り取る口実にするつもり・・・と」

 

ふむ、勝ちを確信ねぇ・・・

集積されてる物資から予想される

各勢力の兵力は今のところ

 

袁紹四万、袁術三万、曹操一万

 

曹操張り込んだなおい。

半年間警備やってたんだから

まだ太守になって三ヶ月くらいじゃないか?

 

「そうですね。負ければ陳留の政は最悪になることでしょう」

 

こっちも狙ってやらせたんだが・・・

もう少し自分を知って欲しいもんだ。

 

「わざわざ誇りを踏みにじりましたからね。

誇りと傲りは表裏一体。若くして甘やかされて

育ち、周りにも自分の嫌いな人間を置けない

ような未熟者はまともに成長できません」

 

無能は嫌いって公言してるからな。

ただでさえ敵が多くて人材集めるのが

大変なのに。

 

最初からできるやつなんか

居ないんだから、育てろよ。

気に入ったやつは傍において育てるが、

もっと根本的なところを理解できてない。

 

それがないから自分も成長できんのだ。

 

「その結果が、無意味な副盟主の地位と兵一万です」

 

先が見えていない・・・副盟主なんてなったら

どう転んでも責任問題じゃないか。

 

「ですね」

 

参考にせんとな。

才に溺れれば誰もがこうなる。

 

「えぇ、歴史に学ばせて貰いましょう」

 

で劉繇一万、張邈一万、韓馥一万、孫策一万。

孔融五千、王朗五千、劉備が・・・七千?

 

「県令が一体何をしているのやら・・・」

 

補給は袁家に頼るにしても・・・

兵は民で労働力でもあると理解してるのか?

 

「手柄目当てで張り込んだのでは?」

 

あぁ、まだその程度の視点しかないか。

しかしコレ、曹操に殺されないか?

 

「一応、軍議の前に手配を終えていれば

なんとかなるでしょうが、そうでなく

行き当たりばったりだったなら・・・」

 

殺るよなぁ・・・

 

「前回の分であれば、自身の犯した罪は

自覚も納得もしているでしょうから、

劉備の存在自体は我慢できるでしょう。

ですが、もしも劉備が兵糧のことを考えて

居なければ・・・反省は無いのか!

と、キレるでしょうね」

 

平原は冀州牧の管轄だから、

普通なら韓馥に仲介を頼むんだが・・・

 

「県令が勝手に何してるんだ!となりますね」

 

なら使者を出すとしたら、直接袁紹か?

それとも噂の伏竜と鳳雛は何か

俺たちの掴んでいない繋がりがあるのか?

 

「直接袁紹だと、名家でもない劉備の

意見を入れることは難しいでしょう。

うまく調子に乗せる事ができれば

何とかなりますが・・・」

 

それも軍議の前に、直接袁紹に会える

伝手があればって条件が付くな。

 

「そうですね。やはりソコです。

まぁ二人が揃えば天下が狙えるほどの

逸材ですし、お手並み拝見と行きましょう。」

 

そうだな、そもそも、それ以前の問題だが。

 

で、後は各地の県令だの太守が

三千とか二千で合計17万と少し。

輜重入れれば20万くらいか?

 

「董卓の全部入れて五万に比べれば

圧倒的ですね・・・数だけは」

 

ほんとにな。資源の無駄遣いだ。

 

で、董卓にとって敵に回れば

一番厄介だった公孫賛は待機。

 

その理由が賢い。と言っても洛陽に関わりたくないだけだろうが・・・

 

「そうですね。その意味でも、

本当にあの地味姉妹がよくぞ成長しました。」

 

だな。曰く

 

突然の安北将軍解任により

現地も混乱している。

そんな中で幽州勢が動くほど漢の内部が

混乱していると見られたら

北方騎馬民族がどのように動くかわからない。

 

それに、漢の秩序を唱えるなら。董卓が安北将軍なので、幽州の兵権は董卓にある。

 

そもそも冀州の州牧でもない

袁紹には兵権がない。

故に袁紹の行動には正道がなく、

賛同できない。

まずは兵権を返上してから秩序を

唱えてはどうか?

 

完璧な答えだ。

州牧としても、漢の軍人としても正論だ。

 

「えぇ、袁紹以外の誰もが認めます」

 

ま、袁紹はただの金持った名家。

州牧は韓馥だからそもそも兵権はないのよな。

さらには宮中に押し入った主犯だから

帝にも嫌われてるし。

そりゃ帝は董卓の味方するよ。

 

帝に嫌われた名家は潰れるだけだ。

洛陽にいた連中は董卓が潰したし

あとは外に集まる虫の駆除。

 

いやーすっきりだな。

 

何進がここまで予定通りに踊ってくれるとは思わんかった。

 

「宦官も楽でしたね。

宮中ならヤツが武器を持てないぞと

囁くだけで勝手に動いてくれました」

 

袁紹も、我慢を知らないで感情で動く

阿呆だったからな。

周りに袁家を纏めてきた老獪な連中が

いないなら、頭空っぽの神輿なんざ動かし放題。

 

あとは何進が握ってた物流を俺たちが継げば良い。

 

「そうですね。私も最初は何故何進が、

洛陽の政治を乗り切れていたかを不思議

に思っておりましたが」

 

あぁ、商いを賤民の仕事と蔑む奴らは、

何進の本当の怖さを知らなかったな。

 

奴の怖さは周囲が蔑んできた

肉屋の娘ってところにあった。

 

「そうですね、蔑まれていたからこそ、

そこを調べられるようなことは

なかったのでしょう」

 

更に弱点をあえて晒すことで、

本来関わっていた軍部ですら錯覚させていた。

   

なにせ兵糧がなければ軍は立ち行かん。

外戚の立場を使って、その兵糧を

一手に握るんだ。そりゃ逆えんよ。

 

「名家の連中は、外戚の立場を使って

宮中での栄達を望んでいると

勘違いしていましたから」

 

まさか自分らが蔑んでいる商いに

使うとは思わんよ。

で、御用商人に手を入れてても気付かん。

 

なにせ物流って概念を理解できていなかったんだからな。

 

「何進が命令すれば、商人は逆らえません。

わざわざ何進に敵対してまで、商人を守る名家はいませんからね」

 

そうだ。命じれば手に入る宦官は、

洛陽の外の物資の動きなんざ理解できない。

説明されても、知ったような顔をして

頷くだけだろうさ。

 

「だから奴らができるのはせいぜい讒言と暗殺」

 

物資の流れを掴んでいる以上、

個人を暗殺しても流れは変わらん。

何進以外はな。

 

ならば、どこにどれだけ物資を流すかは何進の胸三寸。

 

「各地の情報も集まります」

 

あぁ、それで国中の情報を正しく分析して、

即座に手を打てるのが何進の怖さだった。

 

「・・・死にましたね」

 

あぁ、宦官がやってくれた

 

「安北将軍を剥奪されましたが?」

 

おかげで商人も俺が九卿だと思い出せた。

 

「なら、あれは褒美ですね」

 

あぁ、俺を北の軛から解き放つ、紛れもない褒美だ。

 

「最初はその深謀を理解できず、

未熟にも怒りを見せてしまいました」

 

子供たち、泣いてたなぁ

 

「お恥ずかしい限りです」

 

まぁ周りが勝手に同情してくれてるんだ。

せいぜい利用させてもらおうじゃないか?

 

「そうですね、今のところ万事順調に動いてますし」

 

 

 

 

 

あとは孫堅か。久しぶりだな

 

「四、いえもう少しで五年になりますか?」

 

あぁ、前に五年間生き残ったら勝ちだと言ったが

 

「見事に勝ってますね。まぁ師の援助ありきですが」

 

俺たちにも必要だったからな。

そうだろう?

 

「えぇ、ネコモドキが来た時は

どうするかと思いましたが。

それすら利用して見せました。

流石、我が師です」

 

いやはや、お前も成長したもんだ。

 

「感謝してますよ。師が居なければ

私はもっと低いところで満足して

いましたからね」

 

そうだな、多分今頃は連合に参加するか、

董卓に味方するか悩んでたんじゃないか?

 

「おそらくはどちらにも参加しないで、家で書を読んでましたよ」

 

それはありそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁそう言えばあの書だが

 

「冲和姉妹の持っていた書ですね」

 

もう少ししたら客が来る。

その時まで焼くのは待ってくれ

 

 「客、ですか?」

 

そうだ、おそらくその客の目の前で

焼くことになるだろう。

 

「焼くのは確定なんですね」

 

当たり前だ。人の意思を、選択を、

自分の好き勝手に操ってどうする。

 

成長して自分で選択するからこそ、意味があるんだよ。 

 

お前だってあんなもの使おうとは思わんだろう?

 

「そうですね・・・使う側にしてもアレは

己の実力不足を安易な方法で

誤魔化すためのモノでした。

アレを使わないと願いが叶わないなら、

それが自らの限界なのでしょうね」

 

そういうことだ。

実際三姉妹はアレがなければ

場末の旅芸人だったしな。

 

人にはその分際に見合った視点がある。

高いところから何かを見たいなら、

高みに登らねばならん。

深いところから何かを見たいなら、

深く潜らねばならん。

道具を使って登るのは良い。

道具を使って潜るのも良い。

 

準備は当然必要だ。だがあくまで補助でなくてはならない。

 

道具が無くなったら、

高みから落ちて死ぬようでは意味がない。

それでは頂に到達したとは言わん。

 

道具が無くなったら、

溺れて死ぬのでは意味がない。

それでは底にたどり着いたとは言わん。

 

 

人の選択を奪い、己の成長を妨げるなら人の世にこの書は不要だ。

 

わざわざこんなもの使わんでも俺が地獄を創ってやるさ。

 

「師よ、違いますよ?」

 

ん?

 

「我々が創るんです」

 

・・・あぁ、そうだな。そうだった。

スマンな。お前の選択をないがしろにするところだった。

 

「いえ、構いませんよ?

たまには間違えてもらわないと

弟子としてもつまらないですしね」

 

はっ!言うようになったな。

 

「立派な淑女ですから」

 

あぁ!あぁ!そうだな!!

あのときと比べたら、本当に

お前はいいオンナになった!!

 

「私は最初からいいオンナでしたよ!!」

 

 

 

フ、ハハハハハハハハハハ

久しい、久しいな!

 

「ふふっ。えぇ、本当に久しいですね。

伯師妹やネコモドキがいませんから、

たまにはいいでしょう?」

 

まぁな。我々も大人になった。

見本にならんとな。

 

「反面教師はゴロゴロいますからね」

 

まったくだ。

では弟子よ、しばらくは

その反面教師どもの創る地獄を

眺めるとしよう。

 

 

 

「・・・そうですね、師よ。そしてここ洛陽で」

 

 

あぁ、この激情と、欲望、愛憎が入り混じり

混沌蠢く洛陽で、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一緒に地獄を創ろうじゃないか。




海を潜るには息を止めなきゃ潜れません 
息を止めるのが嫌なら海には入れません。そんなお話
海に潜るのと海に入るのは違う?
・・・こまけぇこたぁいいんだよ!!

感想から意見を取り入れて話を膨らませるのは卑怯?

卑怯は褒め言葉です!(確信)

まぁもともと設定はあったんですよ?
・・・本当ですよ?

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