とある策士の外史旅(仮)   作:カツヲ武士

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茶番劇もいよいよ終盤

虎牢関に入った後の
連合視点ですね


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原作キャラ死亡あり(今更?)

嫌いな人は読み飛ばし

視点は曹操→諸葛亮→袁紹です


巨星、堕つ

虎牢関も無人で、ようやく洛陽の情報が

入ったと思ったらまさか遷都とは・・・

 

コレが私たちを殺さなかった理由?

けど、わざわざ遷都する理由は何?

・・・あぁ反対する名家の掃除か。

 

名家と宦官がいなくなり、長安で体制を

整えた帝が、大将軍の董卓に命じて逆賊を討伐。

 

まるで光武帝の再来ね。

いえ、長安からと考えれば高祖劉邦・・・

 

コレなら帝に忠誠を誓う王允や、

董承・趙忠だって納得する。

 

で、董卓も今の名だけの大将軍から、

名実ともに備えた大将軍となる。

 

よく出来た策だわ。

 

えぇ、本当によく出来た策っ・・・!!

私たちは完全に董卓の用意した舞台で

無様に踊る人形でしかなかった!

 

なぜ気付かなかった!

なぜ并州の精鋭が賊ごときに

足を取られると思った!

 

何進からの招集に遅れた阿呆などと・・・

そう、何故遅れた?

 

洛陽で事があるのを知っていたからよね。

 

・・・あぁ、そうか。

 

何進が宮中で殺されたのも、

麗羽が宮中に踏み込んだのも、

董卓の策の可能性があるのね。

 

諸侯の兵に囲まれて怯える宦官も、

頭に血が上った麗羽も、囁くだけで

行動に移すのは分かりきってる!

 

宮中に攻め入った麗羽とその周りは

何もしなくても逆賊として処理できる。

 

その上で反董卓の連合を組んだなら、

参加したもの全員が逆賊。

 

一斉に掃除できるじゃない。

 

全ては董卓が何進に招集された時から

始まっていた策!!

 

たとえ何進が殺されてなくても、

宦官を粛清した後はどうせ

名家と何進はぶつかってたもの。

その際は宦官と名家を潰した後で、

悪名を何進に押し付けて事を成せばいい。

 

周囲は所詮并州の田舎者と

蔑んでいたから、警戒もしていなかった。

 

やってくれたわね董卓!

・・・いえ、図面を書いたのは軍師賈詡!

 

つまり遷都と勅による宣言と

目の前の官軍は、

帝の意志の表明であり策。

我々から逃げるのではなく

一時引いて再起を図るのだと

帝が自身で天下に示した意志!

 

連合の大義名分を根こそぎ奪い

再度の結成を不可能にして

今回の戦役で弱った諸侯を各個撃破。

 

完璧よ。

 

孫策は知ってたのね・・・

あぁ洛陽に孫堅が居たわね。

 

最初は、二手に分かれて

どちらが勝っても

家が残るようにした

苦肉の策かと思ったけど・・・

 

最初からではないでしょう

もし最初から知っていたら

董卓の騎兵と戦ったりしないでしょうし。

 

いつ知ったのかは知らないけど

少なくとも汜水関に入った時には

知っていた・・・。

 

あの時、孫策のように逃げていれば

こうはなってなかったけど、

私たちは特に私は逃げれなかった。

袁術は・・・まぁいいわね。

 

とりあえず重要なのはこれから!

 

こうなれば我々に残された手は

官軍を殲滅して帝を握るのみ。

 

その上で逆賊の汚名を濯がなければ、

名家の麗羽は泉下の先達に顔向けができない!

 

私にだって、お祖母様に申し訳が立たないって

気持ちがあるもの。

 

桂花や麗羽なら尚更よ。

 

それがわかっている以上

董卓は帝を避難させるでしょう。

 

万が一帝が嫌がっても

董卓がさせる。

唯一の急所を残して置くほど

甘い相手ではないのは痛いほどわかった。

 

おそらく官軍が我々に当たるのを

確認したら戦場を離脱する。

 

その部隊を狙うしかないわね・・・

春蘭は、無理ね。

秋蘭に二千を預けて動かしましょう

 

もう油断はできない!

絶対に帝を抑えるのよ!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あわわ、朱里ちゃん・・・やっぱり遷都だって」

 

・・・うん、そうだね。

さらに陛下が逆賊に対して

絶対に許さないって兵を出してるみたい

 

「あわわ!どうしよう・・・」

 

少し考えさせて。

あと、気が散るからあわあわしないで。

 

「あわ!・・・うん」

 

・・・やはり遷都。しかも、官軍に皇帝旗とは。

 

虎牢関が無人だった時点で曹操様も

気付いたみたいだったけど。

明らかに遅かった・・・

 

孫策様は明らかに知っていた!

だからさっさと退却したのだろうけど

そのせいで私たちも退けなかったのが痛い。

 

すでに我々は逆賊で、

高祖劉邦の威信に懸けて

我々を叩くと勅にて宣言されている。

 

ここでの勝ち負けは最早意味がない。

ならこれからどうする?

 

董卓さんが公孫賛様と司馬懿様を

率いてくるなら、やっぱり冀州の平原はダメ。

 

李儒様が率いる官軍が、兗、徐、青州を

狙うなら、このまま袁紹様や曹操様についていくのもダメ。

 

ご主人様の世界なら、何故か徐州の牧に

なってたみたいだけど・・・

 

確かに、このまま袁紹様と曹操様について行けば

徐州を渡される可能性は高い。

けど、今徐州に行ったら逃げ場がない!

袁紹様が公孫賛様と戦って勝って

幽州を得て北を纏めて曹操様と戦う?

今の状況から見てあり得るの?

 

いや、私たちが公孫賛様から文官や武官を

引き抜いて、人材不足に陥ったなら?

その上で北の異民族と袁紹様に挟まれたら・・・

 

ありえなくはないのか。

あぁ。けど今は無理。

李儒様が抑えていたから

異民族は動いていない。

 

 

引き抜いた人材も、その後任を定めて

地盤を固めているし。

何より今回連合に参加せず、

しっかりと内政を固めている

幽州には隙がない。

 

隙がないから、異民族はこれからも動かない。

わざわざ不利な袁紹様に味方する理由もない。

 

それに、ご主人様の世界だと董卓さんは

長安に引いたみたいだけど、今は大将軍として

ここにいて、その後并州に戻るはず。

 

無傷で消えた并州勢と

無傷の幽州勢・・・

そしてあの司馬懿様。

やっぱり袁紹様が勝てる未来が想像できない!

 

そうなれば北をまとめた董卓さんと、

冷徹な李儒様が率いる

官軍によって私たちは殲滅される。

 

孫堅様が率いる南は・・・これもダメ。

州牧の劉繇様が名指しで

逆賊扱いされている以上、

同じ劉氏を名乗っていて、

連合に兵を出している私たちを

生かす理由がない・・・

 

益州と荊州が保留なのが救い。

 

やはりここに逃げ込むしかない。

あとは負傷兵と一緒に来た兵隊さんを

出来るだけ少なくして・・・

 

 

 

あぁ、なんて醜い。

軍師は兵の命を取捨選択する仕事。

 

そんな外道に、みんなが笑って

暮らせる世なんて、

見る資格はなかったんですね。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「麗羽様!」

 

わ、わたくしが、ぎゃく、ぞく?

 

「麗羽様!」

 

あ、あぁ斗詩さん?真直さん?

わたくしがぎゃく、きゃくぞくって?

 

「麗羽様!落ち着いて下さい!」

 

・・・コレが、コレが落ち着いていられますか!!

私が!私の先達の方々が、

四世三公を誇る袁家の名誉が!!

 

「はい、その通りです。我ら袁家は

四世三公を誇る名家です!」

 

えぇ、その通りですわ!

 

「その我らを、陛下が逆賊などと

言われるわけがありません!」

 

・・・

 

「おそらく陛下の傍に仕える董卓、

宦官の趙忠。そして王允と董承!

これらが讒言し、袁紹様を貶めたのです!」

 

真直さん・・・

 

「ならば我々は陛下にお会いし

その誤解を解かねばなりません!!」

 

・・・そうですわね。

そうに決まってますわ。

そうでなければ、陛下が私を逆賊などと

言うはずがありませんわ!!

 

「はい!その通りです。

ですが現在、陛下が騙されているのは事実。

陛下の周りからやつらを排除し、

陛下からの誤解を解かねば

我々は逆賊のままにされてしまいます」

 

それはつまり、このままでは陛下の

誤解も解けず。

四世三公を誇る袁家の名が

穢されるということですわね?

 

「はい」

 

ならば目の前の官軍を名乗る

賊どもを殲滅して、陛下を

お守りせねばなりませんね!

 

「はい、ですがその前に・・・」

 

その前に・・・なんですの?

 

「連中が皇帝旗を掲げている以上、

陛下がいらっしゃるかご不在かは

別として、我々は馬を降りて使者を

待たねばなりません」

 

・・・陛下の名を騙る

下郎どもに、馬を降りて

頭を垂れねばなりませんの?

 

「・・・万が一、いえ、

億が一ですが、宣言通りあの場に

陛下がいらっしゃる可能性もあります」

 

まさか!戦場に陛下を?!

 

「奴らが我らに勝つには

それしかありません。

追い詰められた下郎に

常識など求めては行けません!」

 

・・・使者を出しましょう。

 

「軍使ですか?」

 

えぇ、陛下の所在の確認と

連中の指揮官を確認させますわ。

 

「もし陛下がいらっしゃった場合は

不敬となってしまいますが・・・」

 

その場合は連中を殲滅した後で、

私がその不敬を詫びますわ。

 

「かしこまりました。では軍使は・・・

逢紀殿ではどうでしょう?」

 

誰ですの?そんな人を

私の名代として

軍使とするわけには行きませんわ!

 

斗詩さん!

 

「はいっ!」

 

私に代わって、官軍への軍使として

書状を持って行ってくださらないかしら?

 

「はいっわかりました!」

 

「麗羽様!危険です!!」

 

お黙りなさい!

 

「・・・」

 

私の名代として陛下にご挨拶

するにはそれなりの格が

必要となります!

あの場に陛下がいらっしゃらなくとも

皇帝旗の元に向かうのです!

誰とも知らぬ者を送るのは

不敬でしょう!

 

「それはそうですが・・・」

 

確かに危険かもしれませんが

相手に名のある武将はおりません。

斗詩さんなら逃げ切れます!

そうでしょう?

 

「はいっ!今官軍に居るのは、将旗から見て

張任と楊奉?楊任?そして董卓と董承です

時間くらいは稼げます!」

 

「その間にアタイが助けに行くから大丈夫さ!」

 

そういうことです。

真直さん。よろしいですね?

 

「・・・はい」

 

では斗詩さん準備を。

猪々子さんも、いざという時に

備えて下さいな。

 

「「はいっ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

陛下、袁紹が使者を出してきました

 

「使者だもん?袁紹本人じゃなく?」

 

はい、アレはどうやら・・・顔良ですね。

 

「知らないもん、黄は?」

 

「申し訳ございませんが、私も・・・」

 

「月が言ったように、

袁紹が来て頭を下げるなら

その首だけで勘弁してやったのにっ!」

 

「まさしく、所詮は逆賊でしたか」

 

では、予定通りに?

 

「そうだもん。月、任せるもん」

 

かしこまりました。

では陛下もご用意を

 

「月、絶対、絶対無事に生きて帰るもん?」

 

ご心配ありがとうございます。

奴らは我々が全力で食い止めますが、

その数は倍・・・

万が一がございます。

 

趙忠殿、董承殿、陛下のこと

よろしくお願いします。

 

「「無論です」」

 

では陛下、開戦の狼煙をあげましょう。

あの使者の死に様をご覧下さい。

 

「わかったもん!やるもん!!」

 

はっ!張任。やれますね。

 

「お任せを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『斗詩(さん)!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん・・・不敬だもん」




袁家の常識人にしてほんわか担当
巨星顔良、死す!
作者が好きなだけってお話


袁紹にとっては大事な二枚看板でも
帝は知りません。当たり前です。

袁紹の頭の回転が良いですが
名家的思考に特化しているので
こういうのには敏感で早いんです。
そうでなかったら名家で
お神輿なんてできません。
相手は帝で自分より偉いですしね。



・・・そういう設定でお願いします(懇願)


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