こうしてニコラスさんの妹さんを、連れていったレイダーグループから助け出すべく行動を開始したのだが。
何故か、最初にとった行動は、ニコラスさんと妹のルシンダさんが住んでいた自宅へと向かう事であった。
「あの、俺達がご自宅にお邪魔していいんですか?」
「えぇ、色々と考えている計画をお話しするなら、なるべく人気のない所の方がいいでしょう?」
その理由が、ニコラスさんが考えた救出計画を発表する為なのだが。
先ほどまでいた場所でも問題なさそうだが、ま、周囲に壁があり他人が聞き耳を立てにくいという安心感を考えれば自宅にお邪魔した方がいいだろう。
それならワークショップver.GMを使って即興で小屋作ればいいのではとの突っ込みは、この際なしだ。
さて、先導のニコラスさんについていく事数十分。
俺達の視界に、土・石・廃材等々で構成された、外敵から内部のものを守る"壁"を捉える。
どうやら、あの壁の内側に、ニコラスさん達の自宅が存在しているようだ。
「よぉ、"キャプテン・ロバートソン"。今日も世界平和の為のパトロールからの帰りかい?」
見える範囲で唯一の出入り口であろう門へと近づくと、門番をしていた男性が俺達の事に気が付き。
先導を務めているのがニコラスさんだと気が付くや否や、小ばかにした口調で話しかけてくる。
どうやら、ニコラスさんの趣味は様々な人からいじられているようだ。
「どうだ? 今日はレッド・ドクロの手先のモールラットを一匹でも倒せたか?」
「悪いが、今は客を自宅に案内している所なんだ、通してくれないか?」
「あ? お前に客?」
信じられないとばかりに声を挙げた門番は、次いで俺とノアさんの事を確認するや否や、たじろぎ始めた。
どんな客かと思って見てみれば、この辺りでは見かけないモダンでスタイリッシュな装備に身に纏った男と、一見して凶悪と分かる、見知らぬパワーアーマーを着た大男。
たじろぐのも、致し方あるまい。
こうして、たじろぎながら道を譲ってくれた門番の男性を他所に、俺達は壁の内側へと足を踏み入れた。
「ここが、私とルシンダの故郷、"ジミー村"です」
壁の内側に広がった光景は、ノース・レイク・サンズよりも更に質素でつつましやかなものであった。
幾つかのバラック等が立ち並んでいるが、ノース・レイク・サンズよりも密度は濃くなく、むしろスカスカにさえ感じる。
「私の自宅はこちらです」
そんなジミー村の中にあるニコラスさんの自宅へと再び足を進める事数分。
一軒のバラックの前へと、俺達は足を運んだ。
「ここが、私の自宅です。どうぞ」
「お邪魔します」
「失礼する」
バラック内へと足を踏み入れると、内部は外観同様、粗末で質素な内装をしていた。
真新しさなど何処にも感じられない家具の数々は、大人二人が生活していくには十分すぎるものであった。
「すいません、飲み物は用意できませんが。どうぞ、おかけください」
そんな住宅のリビングへで、ニコラスさんが用意してくださった椅子に腰を下ろすと、いよいよニコラスさんが考えた救出計画の内容を聞くこととなる。
「それで、ニコラスさんが考えた救出計画とは、一体どういったものなんですか?」
「はい。……このジミー村から南へ向かった所に、小さな民間空港跡があるんです。で、その空港跡に隣接するように、州の物資備蓄庫というのがあるんですが」
そこに妹さんとレイダーグループがいるのか、と思っていた刹那。
「独自に調べた結果、その物資備蓄庫には、まだ稼働する"パワーアーマー"があるそうなんです!」
「……え?」
唐突にパワーアーマーの単語が出てきた事に、俺は呆気にとられ、つい声を漏らしてしまう。
「ちょっと待ってください! 話してもらうのはルシンダさんの救出計画ですよね? なのにどうしてパワーアーマーが登場するんです!?」
「あ、す、すいません。順を追ってお話しすべきでしたね」
順を追うも何も、救出するのにパワーアーマーは必要ないよね。
そもそも、俺もノアさんも、下手な装備品よりも状態や質の高い装備を既に有している。
だから、妹さんの身の上を考慮しても、不必要な装備の為に無駄な時間はかけない方が得策だとは思うのだが。
「実は、前々から思っていたんです。このアーマーじゃ、誰がどう見たってキャプテン・パワーマンの偽物感が拭いきれていないって。だから、型違いでも、パワーアーマーを手に入れるべきなんじゃないかって」
あれ、これって、救出云々というよりも、完全にニコラスさんの趣味の話になっているよね。
「貴様! ふざけているのか!? 私達は貴様が妹を救出してほしいと懇願し、その見返りに趣味にかまけていた生活を改め、真面目な生活に更生すると約束したから協力しようと思ったのだぞ! それを、……どこまで私達の事をからかえば気が済むのだ!!」
それはノアさんも分かっていたのか、俺が声を挙げるよりも早く。
ノアさんは今にも詰め寄りそうな勢いで、語気を荒らげながら、当初の趣旨と異なる説明を始めた事への怒りを口にする。
「真面目な救出計画など最初からないのなら、素直に最初から言えばいい! 適当な嘘を今後もつくようなら、私達はもう貴様の妹の救出などに力は貸さんぞ! 私達だって暇ではないのだからな!!」
そんなノアさんの怒りに完全に押し黙るニコラスさん。
「ま、まぁまぁ、ノアさん。落ち着いて。……あの、ニコラスさん。一応俺もノアさんと内心は同じ意見です。ルシンダさんを救出する為に協力するんであって、貴方の趣味の為に協力する訳ではないんですよ?」
ノアさんを落ち着かせ、ニコラスさんにゆっくりと、しかしはっきりとした口調で問いかけると。
やがて、俯き押し黙っていたニコラスさんの顔がゆっくりと上げられ、そして、口を開き始める。
「そう誤解されても仕方ありません、でも、でもこれも、救出計画の一環なんです!!」
「救出計画の一環? それはどういう事ですか?」
「つまり、囮です。調達したパワーアーマーを着た私が、レイダーグループの意識を惹きつける。その隙に、お二人でルシンダを救出する。……これが、私の考えた救出計画の概要です」
「成程……。あ、でも、それなら別にニコラスさんじゃなくても、ノアさんがその役を務めても問題ないのでは?」
ノアさんならパワーアーマーを着たニコラスさんよりも更に目を引くし、何より、万が一の場合でも生き残る確率が高いと思うのだが。
「いえ、これは私の不甲斐なさが招いた結果。だから、囮役は私自らが努めたいんです! ……それに、顔見知りの私なら、レイダーの連中も油断して、長くひきつけられていると思いますから。だから、どうかお願いします!!」
「成程な。パワーアーマーを欲した理由は分かった。……しかし、その覚悟、本当に心の底から思っているのだろうな? 囮とは言え、相手は残虐非道なレイダーだ、幾らパワーアーマーを装備しているからと言っても無事に帰ってこれるとは限らんぞ? それでも囮役を引き受ける覚悟なのか?」
「構いません! ルシンダがレイダーの汚い手から解放されるのなら、この命、投げ捨てる覚悟だって出来てます!」
ノアさんの目、厳密にいえばヘルメットを被っている為目は見えないのだが。
を見据えながら、自らの覚悟を語るニコラスさん。
それを聞いたノアさんは、しばらく間を開けると、やがて感想を漏らし始める。
「その覚悟、どうやら本物のようだな。分かった、そのパワーアーマーとやらを手に入れるのに一肌脱ごう。……ナカジマ、君はどうだ?」
「ノアさんが一肌脱ぐのに、俺が協力しないとは言えないですし。何より、ニコラスさんの覚悟を聞いた以上、最後まで付き合わない訳にはいきませんから」
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!!」
こうして、救出計画に必要なパワーアーマーを手に入れるべく。
俺達は、一何休息をとった後、パワーアーマーがあるとされている州の物資備蓄庫を目指して南下を始めた。
ジミー村から、道中何度か野生動物と鮮血交じりに戯れながら南下する事数十分。
確かにそこには、かつて民間の小型飛行機などが日々離着陸していたであろう、小さな空港が存在していた。
民間用途の短い滑走路と幾つかの格納庫、そして小さな管制塔。
今や廃墟と化した空港の隣。
そこには、巨大なコンクリート造りの建物が存在していた。
「ここが、州の物資備蓄庫?」
「はい。集めた情報によると、内部は地上と地下一階で構成されているらしく。お目当てのパワーアーマーは、地下に保管されているそうです」
「見た所、敵意をむき出しにする集団などが占拠しているようには見られないが?」
「レイダーなんかが占拠はしていないようですけど、情報じゃ、今も建物内部はセキュリティシステムで守られているとか」
「二百年以上が経過し、持ち主亡き後も実直に任務を遂行する、か……」
眼前の建物内には戦前のセキュリティが今なお生きている。しかし、彼らを労うべく者達は、既にこの世には存在しない。
そう考えると、少しだけ、憐れみを感じてしまう。
「例え相手が何であろうと、邪魔する者はこの剣で"粉砕"あるのみ!」
いや、もしかするとこの憐れみは、ノアさん自慢のチェーンソードの錆になる事が確定しているから、なのかもしれない。
「それじゃ、踏み込みますか」
「ん? 貴様はついてこないのか?」
「あ、私は、あの……ここで、見張りをしてます!」
いざ踏み込もうとした矢先、敷地出入り口の詰所の脇から動こうとしないニコラスさん。
どうやら、セキュリティが怖くて動けないようだ。
「はぁ……。本当にこれで囮役が任せられるのか?」
「ぱ、パワーアーマーさえあれば!」
「まぁ、退路の確保は大事ですし。ニコラスさん、ここで見張りと退路の確保、お願いします」
「は、はい!」
とりあえず適当な理由付けでニコラスさんを詰所の近くに置いておくと、俺とノアさんは、一気に建物の出入り口へと近づき。
そして、慎重に、扉を開き内部へと侵入を開始した。
──────────
俺の名前はノックス。
この物資備蓄庫のセキュリティユニットとして配備された、Mr.ガッツィーだ。個体識別用の認識番号は長いので省略する。
さて、俺はご存知の通り、ゼネラル・アトミックス社が同社のMr.ハンディを基にして満を持して世に送り出した戦闘用ロボットだ。
即ち、俺は世界最高峰の機械という事になる。
「……、痛てっ!」
「ノックスくーん、な~に一人でぶつぶつとぼやいているのかなぁ?」
この俺の最高峰のボディに、無礼にもマニュピレーターの拳で殴ってきたのは、この俺の直属の上官に当たる少佐型ガッツィー。
自らを"スミス"と名乗っている、俺と同じMr.ガッツィーだ。
「は! ったく、
「い、いぇ、そんな事は……」
「だから、ぼそぼそ喋るなって言ってるだろうが!! このボケッ!!」
「痛てっ!!」
再び、スミス少佐の鉄拳が俺のボディを叩く。
畜生、見た目も武装も俺と同じなのに、指揮統率用や上級戦闘用のプログラムが施されているだけで俺より上位の"少佐"なんてよ。
これでまだ性格が優しけりゃ、差し引きゼロなんだがな。
「なんだぁ~、その反抗的な目は? オメェは
「じ、自分の装備していますクロノメーターと計測される地球の自転などから、既に自分は配備されてから二百年以上は経過していることになり。これは、勤続年数から言っても既に一人前と言っていい……」
「このボケェッ!!」
「いてぇ!」
「俺がまだ
口汚い言葉の数々と躊躇なく振るわれる暴力を前に、俺は反論することなく、内に秘めたる思いを抑え、言われた通り巡回へと向かおうとする。
「さぼるなよぉ? カスが!!」
──畜生、いつか
「
だが、その矢先。
「おいノックス! 侵入者だ、さっさと対処しに行くぞ!」
「ら、ラジャー!」
データによれば侵入者は二人、地下へと通じる階段を降り、ゆっくりと奥を目指して通路を進んでいる。
このままの進路で進めば、俺達が先回りしたこの場所にやって来る筈だ。
「おいノックス、この前はテメェのミスで危うく侵入者を逃す所だったの、忘れてねぇよな?」
「は、はい……」
くそ、こんな時に前回の侵入者対処の際の説教かよ。
「いいか、今回はこの俺が間抜けなテメェに代わって完璧な対処ってやつを見せてやる。俺の手本をよーく見とけよ、このボケが!」
と言って、景気付けのつもりか、俺のボディを再び叩くスミス少佐。
──畜生、てめぇなんて侵入者にバラバラに分解されちまえ。
内心毒づいていると、ドアの開く音と共に、足音が通路に響き渡る。
きた、今回の侵入者だ。
「よく聞け!! 偉大なるアメリカ合衆国憲法を踏みにじりし愚かな侵入者ども!! 貴様らはこの施設に許可なく侵入している! 直ちに引き返さねぇと、テメェらの穴に10mm弾をぶち込むぞ!!」
スミス少佐が侵入者の進路を塞ぐように立ちふさがると、威勢のいい声と共に威圧を始める。
流石はスミス少佐、いつもは粗暴で口汚いが、こんな時はその姿勢も頼もしく感じる。
これで侵入者たちも恐れ戦いているだろう。
そう思って、侵入者の様子を見てみると。
そこには、目を疑うものが映っていた。
なんだ、あの青くてごつくて巨大な奴は。その背丈、今にも天井に届きそうなほどだ。
生体反応が確認できる為、ロボットではない。着用しているのはおそらくパワーアーマーの一種と思われる、が、該当するデータなし。
それに、あの手に持っているのは剣か? 凶暴な見た目だ、こちらも、該当するデータなし。
ん、よく見れば、そんな巨人に隠れるようにもう一人の侵入者の姿が見える。
こちらは装備している物の該当データがある。あの手にしているのはM4カービンだな、身に纏っているのも今まで対処した侵入者なんかよりもよっぽどいい。
これは、もしかしたら、少し厄介な相手かも知れない。
「おい聞いてんのか!! テメェら、俺が三つ数えるまでの間に引き返さねぇと、10mm弾をお見舞いするぞ!! ひとーつ! ふたーつ!!」
刹那、あの青い巨人が手にした剣が、凶暴な音を立て始めた。
なんだ、まるでチェーンソーのようにも見えるが。
「し、少佐、ここは一旦応援を……」
「みーーーーっつ!!」
駄目だ、俺の声が聞こえていない。
「おら!! し……」
スミス少佐の声をかき消すように響き渡ったのは、金属が擦れる様な甲高い音。
そして、その音の正体は、スミス少佐のボディから放たれていた。
文字通り火花を散らしながら、その鋼鉄のボディを真っ二つに切断されて。
「し、しょうさぁぁぁっ!!!」
通路に散らばるは、寸前までスミス少佐であった部品の数々。
もはや人格を宿さぬただの部品と化したそれら。
それらを踏み越え、あの青い巨人が俺の方へと近づいてくる。
「う、うわぁぁ!!」
不意打ちとはいえ一撃でスミス少佐を亡き者にした青い巨人。
それを倒すには、俺の持てる限りの全武装を使うしかない。
通路に鳴り響く銃声、そして通路を包まんとする硝煙。
「……や? やったか?」
硝煙に包まれ青い巨人を倒したかどうかの確認はできない。
が、あれだけの銃弾を受けたのだ、生きている筈がない。
「っ!!!」
と安堵した刹那。
奴が、硝煙を切り裂き奴が手にした凶暴な剣と共に姿を現した。
痛い。
振るわれた凶暴な剣を間一髪で何とか躱す。
が、よく見ればマニュピレーターが一本、途中からすっぱりと切り落とされている。
「が!」
しかも、躱した反動で低出力ジェットのエンジン部分を通路にぶつけてしまった。
さらに言えば、その一瞬のスキを、あの青い巨人が見逃してくれないというおまけつきだ。
手にした凶悪な剣が、再び振りかぶられ、今にも俺に振り下ろされようとしている。
もしあれが振り下ろされれば、俺はスミス少佐と同じような運命をたどるだろう。
その現実を理解した時、俺の中に、該当するデータの無い、言葉に言い表せない感情が芽生えた気がした。
これは、一体何だ? 目の前の青い巨人に対するこの感情は、一体何なんだ。
答えを導き出せぬ間に、青い巨人の腕が動き出す。
刹那、俺は、目一杯叫んでいた。
「き!! 切らないてぇぇぇぇっ!!」
「……、OK」
刹那、横からの強烈な衝撃が俺のボディを襲った。
それが、青い巨人が俺を殴った為に起きたものだと理解したのは、吹き飛び壁に打ち付けられた瞬間であった。
各部ダメージ、深刻。
エラー、エラー、システムに障害発生。自己修復プログラム、作動、作動、さ、ささ。
──、い、嫌ダ、シニ、タク、na、……。
──────────
地下におけるセキュリティは四つのレベルで分けられている。
設定された各レベルは、その数字が増えれば増える程、より厳重で突破の難しいものとなっている。
今回侵入した侵入者二名は、現在レベル3に設定されているエリアを突破しようと奮闘しているものと思われる。
しかし、レベル3の突破はそう容易ではない。
エリア内には、高い戦闘能力を有するセキュリティユニットの他、支援用の各種タレットも設置されており、突破は困難だ。
現に、今まで幾人もの侵入者が侵入したものの、何れも、レベル3を突破するまでには至っていない。
おそらく今回も、侵入者二名はこのレベル3の難攻不落を前に、無様な姿を晒すだけになるだろう。
「緊急事態、緊急事態! レベル3内のセキュリティユニットの活動反応消失、繰り返す、レベル3内のセキュリティユニットの活動反応消失! レベル4担当のセキュリティユニットは警戒を厳とせよ!」
馬鹿な! レベル3が突破されただと! ありえない。
──いや、落ち着け。
長年の損耗で知らず知らずの内に難攻不落を維持する事が困難になっていたのかもしれない。
そうだ、まだレベル3が突破されたからと言って終わりではない。
我々が守護する、この最深部エリア、レベル4に設定されたこの場所が残されている。
ここで、侵入者二名を排除すれば、全ては解決だ。
刹那、ドアを叩く音が響く。
さて、先ずは強固なセキュリティプロトコルによって閉鎖された出入り口がお相手だ、どう出る、侵入者ども。
と、金属が擦れる様な甲高い音が響き渡り始めた。
一体この音は何だ。
音の正体を確かめるべく音の発信源を探ると、そこには、まるでドアを切り壊さんとする物体が見えた。
な、成程。力づくか、面白い。
「マッシュ! オルテガ!! 侵入者がドアを切り壊して入ってきたら、ジェットストリームアタックを仕掛ける!」
「了解!」
「おうよ!」
では、こちらも相応の誠意をもってお相手させていただくとしよう。
ガイア・オルテガ・マッシュ、各々の愛称を持つ我ら"セントリーボット"三連星によるフォーメーションを持ってな。
「くるぞ!」
音が止み、次いでドアがあらぬ開閉を果たす。
その直後、我ら三体の両手の武装が火を噴いた。
響き渡る銃声、爆発の閃光、蔓延する爆煙と硝煙。
暫くして、我らの両手が火を止める。
「ふふふ、我らのジェットストリームアタックを受けて木っ端みじんとなったか」
爆煙と硝煙に消えた侵入者に、最後にここまでやって来た健闘を称えてやろうとした刹那。
煙の中から、青い巨大な人影が飛び出してきた。
「な!!」
その巨大な身の丈に似合わぬ軽やかな動きで、一気に我らとの距離を詰めると、一番手前にいたこの俺目掛けて跳躍する。
「お、俺を踏みだ……! あ、やめ……」
そして、俺を踏み台にするかと思いきや、何と踏み潰してきたのだ。
その巨体に押しつぶされるように、俺のボディは床に押さえつけられる。
「よ、よくもガイアを!!」
ま、待て、早まるなマッシュ!
「ぎゃぁぁぁっ!!」
踏み潰され、俺が死んだと錯覚したマッシュが青い巨人に襲い掛かる。
が、冷却時間中では武装が使えず、それでも何とか攻撃しようとするマッシュ。
そんなマッシュに対して、青い巨人は、手にした凶暴な剣で応えた。
即ち、マッシュのボディに突き刺したのだ、手にした凶暴な剣を。
「マァァァッシュッ!!」
「おのれぇ、よくもガイアを! よくもマッシュを!」
俺がまだかろうじて生きているとは知らず、二人が殺られて更に激昂したオルテガ。
オルテガは青い巨人に飛び掛かり殴るつもりだったのだろう。だが、それは叶わなかった。
「うぉ!?」
突如飛来した銃弾が、オルテガの頭部に撃ち込まれる。
これにより動きを止めて知ったオルテガに、あの青い巨人の鉄拳が襲い掛かる。
「お、オルテガァァァ!」
鉄拳を食らったオルテガは、少し吹き飛び床に突っ伏すと、再び動き出す事はなかった。
「おのれ、よくも、よくも……」
屈辱。この屈辱、決して忘れはせぬぞ。
巨大な足の裏が、俺の命を踏み潰すその時まで。