無線から聞こえてくるのは砲撃音、爆弾の落ちる音…そして、今にも消えそうな貴女の声。
「やよ…ぃ…」
「もう、喋らないで…っ!」
「今までごめん…ぴょん…」
「黙って…!今、撤退を…!」
「弥生の事…ちょっと妬んでたぴょん…」
「…っ、それは…」
まるで自分の心を読まれたみたい…
「やよいも…ぴょん?…あはは、弥生とお揃いぴょん…」
「うーちゃん…!」
「最期に…やっと『うーちゃん』って呼んでくれたぴょん…ね…」
「嫌…これからずっと呼ぶから!だから…!」
「これからも…可愛い弥生でいるぴょん…」
声が─消えた。
「…っ!」
「こちら中枢部後援艦隊旗艦、天龍!通信のあった海域付近に到着した!」
「うーちゃんは…もう、いないの…」
「っ…いいかお前ら!ここらの敵を一体残らず叩き潰せ!」
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「済まない…俺らがもっと早くたどり着いてれば…」
「………」
「髪飾り。」
「…えっ?」
「卯月の髪飾りが、落ちてた。」
卯月がいつも付けていた髪飾り…
「形見なんて言うと縁起が悪ィが、持っていたらどうだ?」
「そうする…」
部屋に戻ろう…忘れたくても、現実だから…
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睦月が、如月が、皐月が、心配そうに見てる…
「あの…弥生ちゃ、ん?」
「…何?如月」
「その髪留め…」
「うづ…うーちゃんと、私は…いつもいっしょだから…」
「そう、よね…やっぱり、信じられないわよね…」
「でも、それでも、受け止めないと駄目、うーちゃんならそう言うと思う…」
「弥生ちゃん…今日は皆で一緒にご飯でもどう?」
「睦月、明日皆お休みが取れるか司令官に聞いてくるね…」
「ありがとう…」
「いいのさっ、卯月の事は辛いかも知れないけど、それでもボク達は明るくいなくっちゃ、卯月に怒られちゃうもんね!」
「そう、ね…よしっ、弥生ちゃん、元気出しましょう、卯月ちゃんの為にも、ね♪」
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夜、港に向かう…
確か、最後にうーちゃんを見送ったのも…
─弥生、また怒ってるぴょん?─
「…えっ?」
─ほら、笑顔笑顔ぴょん!ぶすっとしてると幸せが逃げるぴょん!─
「うーちゃん、うーちゃんなの…!?」
抱きつこうとした…けれど弥生の腕は何も掴めなかった…
「やっぱり、そうなんだ…うーちゃんは…」
「やーよいっ、こんな所にいたのかい?」
「ぁ、皐月…」
「皆心配してるよ、独りでまた海に出たんじゃないかってさ」
「大丈夫…そんな事しない…」
「だよねっ」
「弥生、やっぱり、辛い?」
「少し、だけ…」
「あはは、そっか、やっぱり弥生は強いや♪」
「でも、うーちゃんが言ってたから…」
「卯月が?」
「どんな時でも笑顔って、そうすれば、悲しいことも忘れられるからって…」
「そっか、卯月らしいなぁ…ボクも見習わないとねっ」
「あれは、真似しなくても…」
「さ、流石のボクもそこは分かってるさ!」
「良かった…」
「うん、でもいつも笑顔でいるのはいい事さ、辛い事も悲しい事も、笑い飛ばせるんだからね」
「皐月ちゃ〜ん、弥生ちゃ〜ん!」
「ココだよー!」
「それじゃ行こっか、卯月の為にも、ボクらがこの戦いを終わらせないとね!」
「うん、そうだね…」
少しでも、笑えたのなら、弥生は、うーちゃんみたいになれるのかな…?