鎮守府から数十分の所にある小さな孤島。
ここは毎年春になると島中の気が美しいピンク色に染まる。
この時期になると駆逐艦が遠征に自ら名乗り出るのもこの島が理由。
「桜、綺麗ねぇ♪」
「ほんとほんと!空も綺麗に晴れてくれたし!」
「睦月型に晴れ女がいるのかも?」
「むしろ雨女とかいるのか…?」
「いないかも!」
「そ、そうか…」
「阿呆…」
「なんだとーっ!菊月今なんて言ったのさ!」
「阿呆と言ったんだ阿呆と…」
「なんでボクがアホなのさ!」
「さあな…」
「こらこら、着いてすぐ喧嘩してないで早く場所確保するのね!」
「はーい…」
「仕方あるまい…」
「本当に苦労させるんだから…」
「それ睦月ちゃんが言っちゃうのね…」
「よーし!設営かんりょー!お花見の用意出来たよ!」
「こっちも弁当の用意ができた」
「皐月ちゃんに長月ちゃん、ありがとうね♪」
「それじゃあ始めましょうか♪」
「「「おー!」」」
それから1時間くらい色々と話した…艦隊のこと、司令官の事…
「ふー食べた食べた!」
「皐月…半分くらい食べただろう…」
「バレてたか!」
「お前な─」
『艦隊通信秘書大淀より、遠征、出撃中の全ての艦娘に伝達!鎮守府近海に多数の深海棲艦群が出現!』
『繰り返します!鎮守府近海に多数の深海棲艦群が出現!鎮守府付近の艦娘及び遠征中の艦娘は直ちに南方の仮設港から帰投して下さい!』
「…最近大人しいと思ってはいたが、成程、本拠地を正々堂々と殴りに来た訳か…」
「そんな冷静にしてる場合じゃない…早く行かないと…!」
「ああ、分かっている!皐月!」
「もう片付けは済んでるよ!」
嘘…鎮守府が狙われてる…もう誰も失いたくない…!
「こちら弥生!敵艦隊の迎撃に向かいます!」
「弥生!?」
「弥生が先に行くから…!」
「待って!単艦で突っ込むなんて無茶だよ!」
「弥生…!こちら長月!弥生に続き敵艦隊の迎撃に向かう!」
分かってる…でも行かなくちゃ…もう誰も失いたくない…!
「速く…もっと速く…!」
──────────────────────
「何これ…」
何、この数…まだ五海里以上離れているのに電探に反応が…艦隊は数十…違う、数百だ…
「早く行かなきゃ…弥生だけでも、向かわないと…!」
進む、ひたすら進む、速く、まだ速く、追いつかないと…!
──────────────────────
追いついた…!
「止まれ!」
一斉に敵の目がこちらに向く…足が震える…勝てる訳がない…でも
「鎮守府は…みんなは…やらせない、弥生が、相手をしてあげる…!」
「ヘェ…随分と元気ナ子ガイルノネ…」
大型の深海棲艦の間から現れたのは戦艦…違う、戦艦棲姫…
「ソレトモ、火事場ノ馬鹿力ッテヤツカシラ?」
「そんな事どうだっていい…!」
「ソンナニ熱ナラナイデ…怖イジャナイ…!」
砲口がこちらに向いた─