敵の砲口が一斉にこちらを向く━
「っ…!」
と、聞き覚えのある音が微かに聞こえてきた
「もしかして…」
水平線の彼方、青く澄んだ空に点が現れた
その点は数を増やし私達を救うべく現れた『それ』は数百という数になった
「弥生さん、聞こえますか?」
「大淀、さん…?」
「ええ、はい、基地航空隊の皆さんがそろそろそちらに到着する頃でしょう、長月さんから一人で向かったという話を聞いて取り急ぎ応援に向かわせました」
「そんな、でも、司令官の許可が下りないと…」
「今回は緊急時ですから、秘書の私が下しただけですよ」
「分かった、でも、弥生も戦う…もう、誰一人死なせないって決めたんだから…」
「はぁ…卯月さんに似て頑固なんですから」
「…分かりました、ですが危険を感じたらすぐに退避するようにして下さいね、弥生さんが沈んでしまっては本末転倒で━」
…何?突然通信が途切れて…
違う、壊されたんだ…流石に、そこまでお人好しな訳も無いよね…
「話ハ終ワッタ?イツマデモ蚊帳ノ外ニサレタラ困ルワ」
「もう十分終わった…ここは、弥生が、通さない!」
「フフフ…威勢ノイイ子♪」
「でも、弥生が相手をするのはお前だけ、後ろの敵は関係ない…」
「ドウイウ意味カシラァ?ソンナ事サセル訳ナイジャナイ」
「そんな事、やってみないとわからないでしょ…!」
「何━」
空を見る、ちょうど上空をいくつもの影が走り抜ける
そして響き渡る飛沫の音
「何、ナノヨコレハ…!」
「あなた達は知識不足、そんなんじゃ弥生達は倒せない…」
「生意気ナ子…!」
「睦月型駆逐艦を、舐めないで…!」
身を屈め砲撃を避ける、と同時に全速で後ろに回り込む
「機動力では、弥生の方が速いから!」
主砲をゼロ距離で数発打ち込む。
硬い…今まで戦ってきた深海棲艦とは比較にならない…
「アラアラ、戦艦ノ装甲ガ駆逐艦ゴトキニ貫ケルト思ッテイタノ?」
そうだった…私が今戦っているのはただの深海棲艦なんかじゃなかった…
「機動力ガアッテモ動ケナケレバ問題ナイワヨネェ?」
「っ!?」
足を…力が、強い…無理、抜け出せない…!
「威勢ハ良カッタケドコレデ終ワリネェ、サヨウナラ♪」
「そこだ、よく狙え…撃てー!」
「!?」
爆発音、降り注ぐ飛沫━
「この声…」
「弥生、姉妹を置いて一人で突撃するとはどんな了見だ?」
「長月…」
「お姉ちゃんを置いて行くなんて身勝手なのね!」
「睦月…」
「ほら、皆来てるぞ、一人でなんてやらせるか、私達は姉妹だろう?」
「うん、ありがとう…」
「烏合ノ衆ヨ…タカガ駆逐艦ガ集マッタ所デ変ワラナイワ!」
「そこまで言うなら、試してみるか?私達睦月型姉妹の絆が強いか、戦うだけしか脳のないお前達の方が強いか!」
「私ニ喧嘩ヲ売ッタ事ヲソノ身ヲ持ッテ知ルトイイワ!」
私達は戦った、戦艦棲姫という存在に、互角に、何時間も━
だって、負ける訳が無いから、私達睦月型は、誰にも負けない艦娘なんだから━