半額を狩る海賊   作:零ちゃん

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#3 三元豚の生姜焼きで雑穀米を覆ったワイルド弁当 742kcal

昨日は氷結の魔女という狼に負けた。圧倒的な差があったように感じる。西区の狼のトップなだけあって、僕のようなポッと出の狼じゃお話にならない。

 

「どうやったら氷結の魔女に勝てるんだろう…トレーニングジムにでも行って身体鍛える?いや無い…この選択肢だけは無い…でもどうしたら…いたっ」

 

そんな時、誰かにぶつかってしまった。

 

「す、すみません!大丈…夫…え!?あ、貴女は!」

「ん?昨日の…」

 

ぶつかってしまった相手はなんと氷結の魔女だった。昨日戦った時に制服的に同じ学校の先輩だったというのは覚えていた。

 

「まさかこんなに早くに会うとは。しかし海賊、済まないが今日はお前のリベンジを受けてやれない。」

「へ?いや、そ、それはいいんですけど…てか、海賊って…?」

「昨日戦った時にお前の名前を知らなかったからなんと呼べはいいか分からなくて、たまたまお前が来ていた服の絵柄が海賊だったからそう呼んでるだけだ。」

「…………知らない方が幸せなこともあるんだ…見に染みた。」

 

学校のチャイムが鳴り出した。授業の始まりを告げるチャイムだ。

 

「今度は、負けませんから。」

「楽しみにしておく。」

 

僕達は各々の教室に向かった。急ぎ足で。

 

 

 

 

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昼休み。弁当の子は弁当。購買で買った子はパンやら何やら。そんな中、僕の友人と呼べる佐藤は竹輪にかぶりついていた。

 

「な、なぁ佐藤。なんで竹輪なんだ?」

「これしかなかったんだよ〜。」

「購買にでも行けば良かったんじゃないか?」

「生活ギリギリだから、キツイなぁ〜。」

 

そんな会話を昼食を摂りながらしていた時。一年生で生徒会長となった白梅さんが近づいてきた。

 

「白梅さん?どうしたの?」

「館川さんには何も無いので大丈夫です。佐藤さん。白粉さんとはどういう関係ですか。」

 

思いっきり蚊帳の外に投げ出された感が否めない。白梅梅、何故か男子を嫌ってる感が凄い強い。いや、実際には嫌っているだろう。あ、佐藤が蹴り飛ばされた。とまぁ、男子はこんな感じにやられる。

 

「大丈夫か?佐藤。」

「大丈夫じゃない…」

 

佐藤は蹴られた頬を押さえながら授業を受ける羽目になった。

 

 

 

 

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そして放課後。今日もホーキーマートへ向かう。半額弁当を取る為に。今回は氷結の魔女が居ない。あの人と戦う為に、ホーキーマートで経験を積む。二つ名の無いそこいらの無名の狼にならなんとか勝てるくらい。ただし顎髭先輩、坊主先輩、茶髪先輩は別。あの人達は無名の狼だとしてもかなり強い。今の僕では勝てないだろう。

 

「今回は先輩達に敵として戦って貰おうかな…その方が経験になりそうだし…」

 

そんな事を考えながら歩いていると、ホーキーマートへ着いた。しかし、中に入ったけど先輩達が見当たらなかった。

 

「あれ?時間間違えて…ないよね?先輩達が来てないなんて珍しいなぁ…」

 

今回は先輩も氷結の魔女も居ない。僕一人で半額弁当を取りに行く。はずだった。

 

「あれ?佐藤?」

「館川?」

 

佐藤と知らない女の子が一緒に居たのを見つけたので話しかけた。

 

「その子は?」

「あぁ、彼女は白粉。」

「…サイトウとタテカワのコンビが…………」

 

なんかブツブツ言ってるけど大丈夫なのだろうか。

 

「そろそろ半額神が来る頃だ。館川は何を狙うんだ?」

「僕はあの三元豚の生姜焼きで雑穀米を覆ったワイルド弁当かな。佐藤は?」

「名前長っ!俺は鶏そぼろあんかけ丼かな。」

「白粉さんは?」

「………へ?わわわ、私はえとー…」

 

白粉さんが慌てている間に半額シールは貼り終えられ、半額神が見えなくなる。

 

「お前らに弁当は渡さねぇぇぇぇ!!オラァァァ!!!」

「……館川…?」

 

呆気に取られている佐藤を置いて前線に出る。流石のホーキーマート。氷結の魔女も先輩達も居ないが、猛者達はやはり何人かいる。気を抜けばやられる。

 

「ポッと出のワンコ3匹といつもの狼共なら俺でもいけるぜ!!」

 

なんて声が聞こえてくる。ワンコじゃないって事を教えてやらなければ。

 

「誰がワンコだオラァァァ!!!」

 

先程の声の主に蹴りをかます。ぐぇぇ!と叫びながら吹っ飛んで行く。

 

「そこの奴!弁当は取らせねぇよ!!」

 

弁当に手を伸ばして居た狼の手に輪ゴムを飛ばして、当てる。パチン!という音と共に痛え!という声も聞こえた。いける。今回は勝てる。

 

「このまま…弁当を…取る!!」

 

狼達の攻撃を耐えながら狙っていた通りの弁当を手にする。一人で弁当を手にすることが出来た。一人でやった事だからといって俺が強くなった訳じゃない。ただの今後の自信にしかならない事は分かっている。氷結の魔女と戦う時までに、もっと経験を積まなければ。

 

会計に向かっていると、佐藤と白粉も追いかけて来た。どうやら二人とも弁当は取れたらしい。

 

「やったね、佐藤。白粉さん。」

「おう。いや〜今回は運が良かった。」

「はい!」

「それじゃ、近くの公園で食べようか。」

 

僕達3人の勝利を実感しながら今宵も弁当の味を噛み締めるのだった。

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