「大北海道フェア?」
「あぁ、館川も行こうぜ?東区まで行くことになるけど。」
「構わないよ。うわぁ…美味しそうな弁当だらけだね。」
僕は佐藤から貰ったチラシを見てそう言った。大北海道フェアでは、様々な海産物を使った弁当が並ぶみたいだ。しかも半額シールも貼られるらしい。
「俺の従姉妹と行くつもりだから、従姉妹の学校に寄ってからだけど大丈夫か?」
「大丈夫だよ。そうと決まれば行こう。」
佐藤の従姉妹が居る丸富大学付属高校に向かうことになった。
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「ここが丸富大学付属高校か…」
「館川〜早く…って、何ですか?ちょっと!?うわぁ!!!!?」
僕が丸富大学付属高校の景観に驚いて居るといつの間にか佐藤がいなくなって居た。困ったな、佐藤が居なければ佐藤の従姉妹の場所が分からない。
「うーん…どうしよう。」
「あら?そこの方、どうかしましたか?」
校門の前で悩んで居ると、丸富大学付属高校の女子生徒が話し掛けて来た。
「いや、えーっと、友人の従姉妹がこの高校にいるって聞いて友人と来たんですけど…いつの間にか居なくなって…あれ?もしかして…梗ちゃん?」
「……海人君?」
見覚えのある人だった。中学の時の一個上。会って漸く思い出した。彼女達は沢桔姉妹。沢桔梗に沢桔鏡。
「やっぱり梗ちゃんだ!こっちに引っ越して来てたんだね!」
「海人君…にしては性格が…」
「姉さん、もしかしたら人違いかもしれません。」
「鏡ちゃん酷くない!!?中学の時の感じは捨てたんだよ。あんな感じのまま高校生は流石に恥ずかしいし…」
「確かに、一理ありますわ。」
「まさか海人君とまた出会えるなんて。」
「ホントだよ。じゃなくて!友人を探してるんだけど…」
「警備員室に居る筈ですわ。男子生徒が連れていかれるのを見ましたし。」
「ホント!?ありがとう!ちょっと校内にお邪魔するね!」
僕は沢桔姉妹に手を振りながら校内に入り、佐藤を迎えに行く。
「……ねえ…鏡。」
「はい、何ですか姉さん。」
「海人君の連絡先って持ってたかしら?」
「…………姉さん、もしかして…」
「またの機会にしましょう。さあ、鏡。帰りましょう。すぐに、今すぐに!」
「ね、姉さん!?」
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丸富高校の生徒に聴きながら警備員室まで辿り着いた。ノックをし、返事が聞こえたので入る。
「し、失礼します。」
「なんや?お前さんはコイツの連れか?」
「館川!!助けてくれよ!」
何故かパンツ一丁の佐藤が尋問されていた。
「すみませんウチの佐藤が。こちらの佐藤の従姉妹の子がこの高校に居るとの事で迎えに来ただけなんです。」
「従姉妹?お前、あやめちゃんの従兄弟なんか?」
「そ、そうです……」
「それをはよ言わんかい!全く。」
警備員のおじさんは佐藤に服を投げつけた。多分行き違いがあったのだろうが、分かって貰えたみたいで良かった。
「佐藤、早くしないと間に合わないよ。」
「よし、着替え終えたし、行こう。著莪に何言われるか分かったもんじゃない。」
警備員のおじさんに礼をし、著莪あやめと呼ばれる佐藤の従姉妹の居るファミ部に向かった。
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「遅い!!!何やってたのさ!」
「いや、わ、悪かったって…ほ、ほら行こうぜ!間に合わなくなっちまうし!」
「あ、アンタが佐藤の友人?」
「うん。君が佐藤の言ってた従姉妹だね。僕は館川、館川海人。」
「……ふーん………アタシは著莪あやめ。よろしく。」
「さて、そろそろ行こうぜ。」
今回は東区のラルフストアで行われている大北海道フェアの弁当の半額を狙う事になっている。
僕は西区だけでなく東区でも狼の戦いが行われていることを最近知った。著莪あやめ。彼女も狼である事は間違いない。実力が分からない以上、最初から全力を尽くすのが一番だと思う。
そうこうしている内にラルフストアに着いた。
絶望が待つラルフストアに。
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「佐藤、来たか。」
「あ、槍水先輩。」
「麗人と海賊も居るのか。」
「麗人?著莪さんの事?」
「あ、館川は知らないんだっけ?著莪は湖の麗人って二つ名があるんだ。」
「へぇ〜…」
著莪あやめは二つ名持ちの狼だった。この時点でかなりの強敵であることが分かる。
そんな時、ラルフストアの半額神、松葉菊ことマっちゃんと呼ばれて居る女性が半額シールを貼りに来た。
「そろそろか。」
「佐藤、ちゃんと勝つんだぞ。」
「分かってますよ!槍水先輩!」
マっちゃんが居なくなった瞬間、戦いは始まる。
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「氷結の魔女、今回は負けねぇ!!!」
「海賊…やるな…!」
氷結の魔女の蹴りを避けつつ反撃し、周りの狼も倒していく。そんな時。
「アタシだって居るんだから!ってかアンタ性格変わり過ぎじゃない!?」
「おっと!当たらねえなぁ!!」
湖の麗人こと著莪あやめの蹴りをいなし、持っていたカゴを振り下ろす。
「危なっ!?」
「悪いな、使えるモンはなんでも使う派なんでねぇ!」
そのまま著莪あやめを一旦退け、他の狼を相手する。
「麗人、やるな。」
「そっちこそ。」
「だが、これで勝負は着いた。」
氷結の魔女と著莪あやめは互いに弁当を取っていた。
「チィ、先越されたか。邪魔だオラァ!」
目の前に居た狼を蹴り飛ばし、弁当に手を伸ばした瞬間だった。
「なんだテメェら。」
目の前に黒い服を着た集団が俺を囲む。
「海賊、悪いがお前には弁当は渡さない。」
「アァン?」
「佐藤でも良かったが、お前の方が良いだろう。」
「何の話だ。分かるように言いやがれ。」
「すぐに分かるさ。」
「館川!!逃げろ!!」
「ん…ぐぅっ!?」
著莪あやめの声が聞こえ振り返った瞬間、顔に強烈な衝撃が走り、俺はそのまま倒れ込む。
「がっ……な、なんだ…?」
顔を少し上げると、目の前には大柄な男が居た。
「お前の方がいい餌になる。」
「誰…が餌だっ…て…?」
「お前だ、館川海人。」
その時、腹に衝撃が来る。かなりの力で蹴られたようだ。
「うぐぅ…て、テメェ…」
「その反抗の眼差し、嫌いじゃねえ。」
「
「氷結の魔女。コイツは生贄だ。お前達西区と俺達東区の戦争の為のな。」
「さぁ、光栄に思え。お前は選ばれし生贄だ。」
「ふざ…けん…なよ…!」
「思ったよりしぶといな。だが、これで終わり、ここから始まる。さぁ、この血を持ってして、開戦の狼煙となれ!!」
上に放り投げられた後、顔面に拳が飛んでくる。避けれるはずもなく、直撃。俺の吐いた血は天井を、ランプを汚し、滴った血で床をも汚す。その後、すぐに気を失った。
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「……っ!!」
「あら、目が覚めた?」
「マっちゃん…?」
「その様子なら大丈夫そうね。」
気がつくと、ラルフストアの休憩室に運び込まれて居た。
「………
「ごめんなさい…」
「?なんでマっちゃんが謝るんだ?」
「私ね、狼として戦ってた頃があったの。」
「マっちゃんが狼?………まさか、大勝負で負けたのか?」
「そう。
「………」
俺は黙って聞いていた。
「館川!大丈夫か!?」
「佐藤。なんとか大丈夫だ。」
佐藤や著莪あやめ、氷結の魔女が休憩室に入ってきた。
「派手にやられたな。大丈夫か?」
「……必ず反撃する。やられた分は絶対にな。」
「…………あのさ、アタシ思うんだけど、誰も性格変わってるのに突っ込まないの?」
「著莪が知らないだけ。館川は狼として戦う時はいつもこうだぞ。」
「あっ!弁当!弁当は!?」
「アンタの分は無いね。残念だけど。」
「そんな!?俺のかにめし…!チクショォ…」
「館川、俺かにめし取ったから半分ずつ食おうぜ?」
「佐藤…!!お前は親友だよ!!最高の友人だ!」
佐藤のかにめしを半分分けてもらい、その日を終えた。
東区と西区の全面戦争。そんな事させてたまるか。