魔法少女リリカルなのは 永遠に   作:dejitaru

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第14話

集会所……

 

名誉元帥ことレンさん、およびアコース査察官は別件で用事があるとのことで、二人は着いて早々どこかえ消えていった。

残った私たち機動六課の面々は、各自用意された席に座ることにした。

私、高町なのは、フェイトちゃん、はやてちゃんは前列、壇上前最前列の席が指定されている。

他の六課メンバーとは、席がかなり離れていて10席以上後ろに腰を構えている。

 

「また随分と離れてるね、席」

 

「それ以前に人数多すぎるやろ」

 

「余った人は別室でモニターだからね、今回」

 

「「「はぁ~」」」

3人は盛大なため息を吐いた後、重い空気を纏いながら席に着いた。

 

なぜこんな空気かは置いておいて、今回の集会の違いを説明したいと思う。

 

その例がまず今回出席した人数と人物である。

普段の倍はあろう人数に、三提督、まだ到着はしていないようだが、クロノ君にユーノ君、フェイトちゃんのお母さんであるリンディさんに、カリムさんなどのメンバーが来ることになっている。

いつもなら仕事が重なり、集会には基本的不参加の人達がこれほどまでに集まるというのは、異常事態だと言ってもいいだろう。

 

もう1つは、私達三人が座っているこの席である。

普段この席に座る人は決まっていて、元帥、中将、少将、提督などかなりのお偉いさんが座る席といってもいいだろう。

なぜ私達がこの席に座ることを指定されたのかは、今のところ知る由もない。

ただ一つ分かることと言えば……

 

果てしなく居心地が悪いという事だけである。

 

{というわけで、席を入れ替えませんか}

 

{何がというわけや、たかが2席移動したって変わらへんで……}

 

前置きもなく話したのなら当然の結果だと皆思えよう。

だけどはやてちゃん、フェイトちゃんは空気読みの達人、KYでない限りこのどろどろとした空気が分からないはずがない。

 

というか分かってほしい。

そして私と同じ気持ちを味わってほしい。

そうゆうことで次は私の永遠の友、フェイトちゃんと交渉したいと思う。

 

{えーフェイトちゃん……、言い辛いんだけど}

 

{うん、無理}

 

一刀両断、せめて最後まで言わせてもらいたかった……。

それにしてもこんないい笑顔のフェイトちゃんは珍しい。

いつもなら申し訳なさそうに言うのに、今回は満面の笑みで断られたのだ。

 

こんな空気に陥れる元凶はというと……、

私の左隣に座っているこの方、体の体積は私の2倍はあろうかと思われる巨漢、濃すぎるひげ、そしてなにより不機嫌さを隠す気のないこの表情、通称陸といわれる地上本部トップの生けるたぬき、レジアス中将その人である。

というより普通、この席順はあり得ないんじゃないだろうか。

 

ここで私は思った、陰険さと姑息さ、この二つを兼ね備えているはやてちゃんこそ、この席が合っているんではと……。

 

などと考えていたらお声がかかった。

 

{真剣に悩んでるとこ悪いんやけどええかな}

 

{なにかな、はやてちゃん……}

 

{……、わざとやろ}

 

いったい何のことだろう。

わざととはやてちゃんは言ったけど、まったくもって心当たりがない。

 

私がはやてちゃんの事で考えている事と言えば、陰険さと姑息さを兼ね備えたはやてちゃんなら、この席でも大丈夫だろうということ。

もしくは左に狸、右にちび狸がいると思った位だろうか……。

 

はっ! じゃぁ左にちょっと太って、おっさんになちゃったはやてちゃんがいると思えばいいのか!!

 

……

 

考えるんだ私!! 左にいるのははやてちゃん、首から上ははやてちゃん……。

 

結果を言おう。

果てしないほどの気持ちの悪さだった。

 

まずい、まずいよこれは!

このままいくともうはやてちゃんを直視できないばかりか、はやてちゃんとの間にさらなる亀裂が入りそうな勢いだよ!!

 

{ほんまやな!! なんちゅう想像しとんねん! おぞましすぎるやろ!!!}

 

{なにが?}

 

{ここまできといてまだしらばっくれる気か!!}

 

それでもなお事態を把握できないでいるなのはに、フェイトが助け船をだす。

 

{なのは、いままで思ってたこと全部念話で筒抜けだったよ……}

 

ばかな!?

どうしてこうなった!

 

{それも筒抜けね}

 

{はやてちゃん、私ほんとに知らなかったんだよ}

 

{普通気付くやろ、後ろをみてみぃ。わたしの威厳は崩落や!!}

 

はやての一言で後ろを振り返った私の目に映ったのは、笑いを堪える機動六課の面々だった。

 

ある者は目に涙をため、ある者は下を向きながら小刻みに震えている。

決して誰とは言わないが、ここが集会所でなければ腹を抱えて笑っていることは間違いない。

 

だけど私の中では全く悪いと感じてはいなかった。

なぜなら事実だからである。

 

だがしかし、私は大人。

表面上は謝ることにする。

 

{はやてちゃん……、ホントウニゴメンね}

 

いけない! 心にもないことを言ったせいで片言に!!

 

{な~の~は~ちゃ~ん?}

地響きが聞こえそうな低い声で言うはやてを見て、流石にまずいと思ってか謝罪する。

 

{すみませんでした、八神部隊長}

 

{わかればいいんや、でも次はあらへんでぇ}

 

ふ~とりあえずこの件はこれでよしとして、早く終わってほしい。まだ始まってすらいないんだけどね!

 

{それにしても、なのはが念話で思ってること漏らすなんて珍しいね?}

 

{それが念話使った覚えないんだよね~}

 

{前にも似たような事あらへんかったか?}

 

{そういえばあったね、そんなこと}

 

{あの時は確か、レイジングハートが原因っだたんだよね~}

 

「「「…………」」」

 

しばらくの沈黙ののち、三人の無言の視線はなのはの首に下げてある赤い球体、レイジングハートに集中した。

 

{……、フェイトちゃん、なのはちゃん}

 

{うん……}

 

{そうだね……}

以心伝心、はやてちゃんが何を言わんとしているかは手に取るように分かった。

 

私達3人は、決して呼び起こしてはいけない記憶を封じ、静かに集会が始まることを待つ。

その時微かに我が愛機が、舌打ちしていたような気もするが、言及はしないでおこう。同じ過ちは絶対に繰り返したりしないのが、長生きのコツなのだから。

 

 

~開始時刻~

 

レジアス中将との問題が、解決しないまま始まりの時刻を迎えた。

開始時刻ちょうど、颯爽と壇上に現れた進行役は、なぜか黒いスーツを纏ったアコース査察官だった。

その普段とは違う服装に、多少の違和感を感じつつも集会が行われた。

 

「本日は皆様、お集まりいただきありがとうございます。まずは、簡単な挨拶からさせていただきます。」

 

アコース査察官進行の元、着々と集会が進む中、別の場所で怪しい集団による作戦会議が行われていた。

 

 

~集会所近くの喫茶店~

 

人気店なのか、なかなか繁盛しているお店の一角に、一際目立つ集団が鎮座していた。

人数は8人と一匹? そのうちの7人はくすんだ灰色のマントを羽織、時折甲斐まみせる服装は、肌にピッタリとフィットした青いスーツを着ている。

そして足下には店には到底不釣り合いな、布で覆われた身丈はあろう物体が置かれていた。

 

まぁ普通にこんな格好でいたら目立つわけで、周りの人々から好奇の視線を向けられていた。

 

「いくら何でも目立ちすぎろ、あんたら」

一際小さな生命体が言う。

 

「普通だろ」

 

「人気者……」

 

「もう帰っていい?」

 

「わ~! まって下さいっすお嬢!!」

 

と個性的な面々が言い合ってる中、腕を組み幼い顔には違和感のある眼帯をつけた少女が言葉を発した。

 

「お前達いい加減にしろ。これ以上目立ってどうするつもりだ」

小さなため息をつくこの少女、言っている事はまともだが格好が格好だけに説得力がいまいち欠けてしまっている。

 

「それ以前に何でこんなところで作戦会議するんすか~」

 

「ドクターの命令……」

 

「それは分かってるっすけど」

 

「まぁまて、もうすぐ待ち人がくるはずだ」

 

「そう言うけどチンク姉、かれこれ30分近く待ってる気が」

 

「後ちょっとまて」

 

カランカラン

 

「来た」

 

「おっ! ほんとっすかお嬢!!」

 

「うん」

 

お嬢と呼ばれた少女の目線の先には、管理局の服装をした一人の男性がいた……。

 

 

~集会所~

 

「それでは、今回の本題に入りたいと思います。ですがその前に、司会をレン名誉元帥に変わりたいと思います」

 

アコース査察官が促すと、左奥から名誉元帥が現れ、代わりにアコースが退席した。

 

「ではアコース査察官に代わり、続けさせていただきます。先程配られた資料をお開き下さい」

 

その一言で一斉にページを開く。

そしてデカデカと書かれた冊子の題名は、

 

 

『生死を分けるバトルロワイヤル! 今開幕!!』

 

 

この題名を見た全員が声をそろえて思った事だろう。

 

なにこれ!? と……。

 

その場の空気を察したレンは、淡々と解説し始める。

 

「さて、皆さん疑問に思っていることは、次のページを読んでいただければすべて分かると思います。それではお読み下さい」

 

 

*今回の企画は陸と空の友好関係を築くのが目的である。

        (場合によっては悪化する可能性あり)

*場所は戦技場、二人一組で行われる。

        (リミッターをかけている者は外すこと、パートナーは抽選によって決められる)

*対戦相手は抽選によって決めるため、空vs空、陸vs陸となる場合あり。

*手加減無用のバトルのため、命の危機を感じた場合棄権あり。

        (ただし、この棄権はその1回のバトルを回避するためのものであり、バトル事態を拒否する事はできない。なお棄権は一人1回までである)

*パートナーとの信頼感を築くため一ヶ月間の準備期間を設ける。

*参加人数が過去最多なため、三日三晩にかけ対戦を行う。

        (場合によっては、短くなるか延びる可能性あり)

*負けた場合罰あり。

        (人によってはトラウマになりかねないため、全力で戦う事を推奨する)

 

 

「ということになります。納得できましたか?」

 

さて私は皆さんに聞きたいと思います。

もしもあなただったらこんな説明で納得できますか?

私だったらもちろん……

 

ガタッ!

 

「納得などできるものかぁぁ!!」

です。

念のために言っておくけど、今言ったの私じゃないからね?

 

「ふざけるのも大概にしろ!! こんな下らない事のためにわしを呼んだのか!」

 

「下らないことはないと思いますが、レジアス中将殿。現に空と陸の問題は年々悪化の一途を辿っていますから」

 

「だとしてもだ! こんな事をしている暇があったら、ナンバーズの連中やスカリエッティを逮捕する方が先決ではないのか!!」

 

この発言には、周りの管理局員も賛同した。

 

「確かにそうかもそうかもしれません。ですがもしこの企画を考えたのが、そのスカリエッティだとしたらどうですか?」

 

「なっ!!」

 

レジアスだけではなく、集会場全体がざわめきあう。

それも当然だ、スカリエッティは敵である犯罪者であり味方では決してないからだ。

 

「さらにこの企画を行わなかった場合、市民街を襲撃するとまで言われてしまったら、私達に選択の余地などないと思いますが?」

 

この一言で会場中が静まり返った。

 

レンさんの言うとおり、選択の余地などない。今まで戦闘空域が海上などで、人が巻き込まれなかった事が異常だと言ってもいいだろう。

やろうと思えば、町を戦火に包むことだってできるはずだ。

ましてやレリックあるなし関係なく襲われでもしたら、防ぐよしなどありはしない。

 

「わかって頂けたでしょうか? 彼らを捕まえる事ができなければ、私達は言うことを聞くことしかできないんです」

 

レンの言うことに渋々納得したようで、レジアス中将は静かに腰を下ろした。

レンはというと、表情を変えることなく話を続けた。

 

「ですが、私達もバカではありません。ただで彼の言う事を聞いたりしません。ちゃんとメリットもありますからご心配なきように」

 

「それでは皆さん、後ほど抽選の結果を送らせていただきますので、それまでの間しばしお待ち下さい」

 

レンは一礼をした後、未だ静まり返る会場を後に幕裏へと消えていった。

 

 

この時、私は着々と進行していく計画に気付くことはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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