深山さんちのベルテイン/the Great Ultimate One   作:黒兎可

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本作のCVイメージ:
 司会(ツッコミ):柳原哲也
 司会(ボケ)  :平井善之
 
今回ちょっと短め


FILE.05 激闘!D-1グランプリ!! ゲストもいるよ!

 

 

 

 

 

『さあ、やってまいりました北海道一のカレーを決めるグランプリ・Ⅾ-1グランプリ! 誰が呼んだかD-1グランプリ! 今回も2日間にわたり、手に汗握る熱く激しいバトルが幕を開けるんや! 出場資格はなんでもあり、プロも家庭もなんのその!』

『ちなみに去年は青森開催だったでヤンス』

『こらっ! いらんこと言うなっ! ってか何やその語尾、意味不明や! もっと流暢にしゃべらな流暢に』

『じゃ、普通にしゃべらさせていただきやっす(笑)。どうも玩――――』

 

 全国ネットで配信されることもあってか、結構有名なお笑い芸人を司会に招いてのイベントである。カメラも複数台回っており、スタッフが各所でカンペを出し「ここ、笑いどころ!」「笑い声お願いします」などなど、ジェスチャーもまじえながらオーディエンスに指示を出していた。決して生放送というわけではないが、琥太郎もそれに苦笑いを浮かべながら、リアクションをとっていた。

 D-1グランプリ。ちょっと名前を変えるとお笑い芸人のグランプリとか、総合格闘技とかと被ってしまいそうな感じのそれだが、ともかくその番組収録があるということを、はがきが送られてきたことで知った。見れば参加者はベータで登録されており、つまりこれは、ルナーサというらしいあのアンドロイドが「だぜだぜ」言いながら準備してくれたものだということか。命を狙う刺客として送り込まれてきてる割に、やってることがちんぷんかんぷんなのは、決して誤解などではないだろう。実際、ルナーサのAIはポンコツと言って差し支えはないのかもしれない。

 ちなみにこのイベントについては、視界の漫才師たちが言っていた通り昨年は青森で開催されており、そのときはO-1グランプリとかいっていた。特にどの県で開催するという決まりはないらしい。

 ともかく琥太郎は、ベータのアシスタントとして隣に立っていた。

 

「人、結構来てるね。さすがにテレビのイベントだからか」

「まだ春先なのに、よくやります」

 

 ちなみにベータは、既に大人サイズとなっている。エプロン姿の琥太郎の横で、クールな様子で周囲を見回していた。集客人数は近隣の人に加えて観光客、芸能人やアイドル、どうも学校帰りにでも寄ったと思われる高校生などなど。家族連れの出場者などがいたりもして、「がんばるぞ!」と声を荒げる小さい子がほほえましいと言えばほほえましい。

 

『さて、ではプログラムを説明するで! えー、Ⅾ-1は、まず予選として、今日の午前中に各々カレー系の料理を作成してもらい、その集客数を競ってもらいます! また、予選通過者で本日夕方から明日の午前中にかけて決勝のカレーを準備してもらい、当日にお出ししてもらいます!』

『予選においては、一晩寝かしたりといった一手間を認めないってことですね』

『素人もプロもなんでもありですが、味の傾向が完全に似通ってしまうからだそうです。また、材料については事前にスタッフが持ち込みに関してはチェックをつけておりますので、その辺りはご安心を! 

 さぁ! 道民による道民のための、カレー大会! 開幕や――――――――ぃっ!』

 

 わーわーと湧く会場。オータム特設会場に張られたテントブース複数のうちの一つに、琥太郎たちはいた。おっかなびっくり包丁を持つ琥太郎と、その手から包丁をさっと取り上げて「とりあえずまず、野菜を洗うであります」と指摘するベータ。

 

「ころ太、来たわよー!」

「お、意外と本格的なブースだなこれ」

 

 土曜日早朝というに、当然のように顔を出す幼馴染二人。理々はジャージ姿、耕平はあくび一つ。存外付き合いが良い二人であるが、休日の過ごし方に明らかに差が出ていた。

 あっ、と気づいて手を振る琥太郎と、会釈するベータ。二人はそろって、大人サイズになったベータに「誰これ?」という顔を向けていた。

 

「ベータです。本日はテレビカメラに映るとあって、人間大のサイズになってます」

「お、おぉ……、すっげー美人だわこれ……」

「本当にベル助!? くっ、おっきいわね……っ!」

「りりさん、何その般若みたいな顔?」

 

 琥太郎の指摘に「なんでもないわよっ!」と、ぷいっと顔を背ける理々。なお、ベータ本人はその視線誘導をロボットらしくセンサーとかで明確に感知しているので、首肯一つとともに、一言。

 

「大丈夫、女子高生なら将来性はあります」

「……なんで慰められてるのよ、アンタに」

『ほら、赤ちゃんできたら嫌でも大きくなるから、ね?』

「本末転倒じゃないそれってば! っていうか、ころ太のお母さんの声のライブラリが多すぎない!?」

 

 得意げになることもなく頷くベータ。そのバストは豊満である。己の実際平坦なそれと見比べ、忸怩たる思いを抱く理々であった。

 

「で、何を作るの? ベータさん」

「オーソドックスに、ドライカレーにしようかと考えています。どうせ皆さま、色々なところをめぐっていらっしゃるでしょうから、軽くつまめて、インパクトに残りそうな感じにできればと」

「へぇ。どういう感じ?」

「まずレンコンを取り出します」

「うん、知ってた」

 

 ともあれ完成図としては、野菜のちりばめられたドライカレーにするイメージであるらしい。ごぼう、にんじん、枝豆にレンコンと、ひき肉に合わせる具材にしては煮込みものとかきんぴらに使いそうな代物だが、ベータいわく「カレーの包容力は並大抵じゃない」とのことであった。

 

「本当は油通しした方が触感が楽しいかと思いますが、今回はやめます。事前に全体の準備の傾向からして、欧風ならびにスープカレーが多いと判断しました。どれも煮込んだり細かくしたり、カレーを全面に押し出しているかということで、逆にこちらは野菜で攻めようかと思います」

「なるほどね。他と違うってことで、一点突破しようってことか」

「時たま、本当、プロでもないのにとんでもないものを作る人もいたりして、中々困惑したりもしますが……」

 

 ちらり、と近くのブースに視線を送るベータ。つられて琥太郎もそっちを見ると。

 

「八坂くん、何それ、ハンバーグ?」

「別に、大した話じゃないぞ? 今回はあんまり煮込んだりする時間がとれないから。オブラート入れたりとか色々手を変え品を変えはできるけど、ブイヨンとスパイスの強さばかりはどうしようもないから、変わり種で攻めるってだけだ」

「おぶら……? いや、それにしては、なんで包丁と、あと氷水?」

「肉は熱が勝負だ。家庭で作る分には素手とかでこてこてにしてもいいんだけど、今回合わせるカレーは香りが強めだから、逆に肉のパワーを強くしようかって思った。あらびきで、あんまり油が溶け出さない程度に調整してる」

「へぇー、すごい……。って、カレーも何これ? 野菜ジュース? にしては色がグロいっていうか……」

「グロい言うなっ。牛乳とかワインとか、色々バランスをとって混ぜてるだけだ。単純なベースに水を持ってくるより、味に深みが出る」

「へぇー」

「スパイスの方も、市販のパウダーベースから作るから、結構手間なんだよなこれ……」

「いや、面倒がってるところ悪いけど、私、女子として自分の料理技能に疑問を持っちゃうくらいだからね? 八坂くん。何平然とワインの栓抜いたりとか、味調整したりとかしてるのさ……。なんでそんな本気なの?」

「決勝まで進むと商品券もらえるからな。それで、この間通販でやってた包丁セットを買う」

「所帯じみてるね!?」

 

 ポニーテールの妙に声が妙に響いて煩い女の子と、友達なのか面倒くさげな表情のままさも平然とプロ級? の調理をする男の子である。

 

「いや、あれはちょっと本格的すぎない? ベータさん」

「しかもあのハンバーグ、間違いなく美味しいです」

「それは、なんとなくわかる」

「カレー単品でなく、カレーとハンバーグとライスとで普通に美味い逸品に仕上げるといったところでしょうか。ただ味は確実でありますが、調理時間がネックとなるので、こちらは現状の作戦のまま続けます」

 

 と、理々が「あれ、タマ公?」と声の響く少女の方に走っていく。どうやら知り合いらしい。そして妙に手慣れた料理男子が、琥太郎たちの方に一度頭を下げた。どうも、彼女の質問責めから解放されたことに感謝してる様子だった。苦笑いしながら手を振る琥太郎と、特に気にせず調理をすすめるベータであった。

 

 

 

「――――ぜーっぜっぜっぜ! 今日こそ覚悟してもらうぜ、お姉様! 琥太郎様!」

 

 

 

 と、そんなところに平然とこのセリフを投げ掛けてくるのは、予想するまでもなくルナーサであった。ただしベータ共々、こちらも大人サイズになっている。そしてその胸元を確認して自分のそれを見て、理々は再び「くっ、やるわね!」みたいな顔になった。実際、大人ルナーサのバストも豊満であった。大人ベータのバストも豊満である。

 

「こちらにかかずらず調理してる? 大丈夫、ルナーサ」

「あ、それは問題ないって。今、アシスタントに野菜切ってもらってる」

「あれ、ルナーサさん、アシスタントってそうやって使うものなの?」

「だって琥太郎様、さっき私、指、ちょっと切ったし……」 

 

 実際、大人ルナーサの右手人差し指には絆創膏が巻かれていた。アンドロイドが指切るって何だよって話でもあるし、切ったところに絆創膏を巻いたところでどうだという話でもある。なにより侍女型アンドロイドが料理下手って色々どうなのよ、というツッコミが、琥太郎や理々ら三人の脳内に駆け巡った。

 

「ちなみにどこのテントなの?」

「あっちあっち!」

 

 ルナーサが指さす方では……、馬の被り物? と思しきそれを装着した女性が、せせこまとじゃがいもから芽を取り除いていた。ちなみにだが、このイベントはなぜかコスプレ大会めいた様相を呈しているところもあり、あまり肌の露出がない範囲では多少突飛な恰好でも許容される。ベータたちのようなメイド服程度では対して問題にならないのだった。

 

 そして、試食後の午後投票。

 

 

 

「な、なんでえええええええええええええええええええええ!?」

「まぁ、ルナーサだから納得ではあります」

 

 

 

 まさかのルナーサ、直接対決前に予選落ちだった。

 

 

 

 

 

 




本作のCVイメージ(ゲスト):
 妙に声がよく響く系女子:中原麻衣
 妙に気だるげな料理男子:鈴村健一

 
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