バンド姉妹の兄ちゃんは霊媒師(物理)   作:黒色エンピツ

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実は、チョココロネよりもクリームパンの方が好きなんだ……

俺は今、猛烈に腹が減っている……。気分はパンだ、パン。これはやまぶきベーカリーに行かなくてはな!

 

「にゃあん」

 

「お、クロだ。よく会うねぇ。」

 

前に見つけて、勝手に名付けをした黒猫のクロを頭の上に乗せる。うむ、調度良い重さだ。

 

「パン屋に着いたら降ろすからなー。」

 

「にゃー」

 

分かってるのか分かってないのか……。

まあ、そこまで離れてる訳でもないからすぐに到着して入口でクロを降ろす。

 

「大人しくしてろよ?」

 

「うにゃー」

 

……本当に賢いな。そのままお座りをして待っていた。

まあ、後でおやつくらいならあげようかな。

 

「こんにちは。」

 

「いらっしゃいませ!あ、響也さんじゃないですか!」

 

「や、沙綾ちゃん。クリームパンってある?」

 

「ありますよー、あそこです。」

 

指を指された方には確かにクリームパンがあった。ああ……導きのクリームパン。

 

「さーあやー!」

 

「ちょっ、香澄、お客さんいるから!」

 

「あ、ごめ〜ん。」

 

変わった髪型の子が沙綾ちゃんに絡んでいた。猫みたいだ。

 

「こんにちは、元気がいいね。」

 

「こんにちは!あ、お兄さんってもしかして氷川響也さんですか!?」

 

「え、ああ、テレビで見てくれたのかい?」

 

知名度上がってきたのかなぁ。嬉しい。

 

「はい!それに日菜さんから聞きました!」

 

「あれ、日菜とも友達?」

 

「そうです。私達もバンドしてますから!」

 

「達って事は……沙綾ちゃんも?」

 

「あはは、まあ、そうです。」

 

「お〜、そっかそっか。」

 

カシャッと予定にまた応援道具が追加された。色とか見るためにライブ見なきゃ。

 

「バンドの名前を聞いてもいいかな?」

 

「Poppin`partyです!ポピパって呼んでください!」

 

「ポピパね、了解了解。今度ライブとかあったら見に行くよ。」

 

「是非来てください!」

 

「ん、じゃあ、沙綾ちゃん。お会計お願い。」

 

「はーい!」

 

買ったパンの代金を払って外に出ると、クロがまだ外で待っていた。

 

「本当に賢いねぇ。」

 

来た時と同じ様に頭の上に乗せると、早速クリームパンを齧る。ついでに空いてる左手でポケットからスナックの猫のおやつをクロに与える。

 

「んー、うまーい。」

 

「んにゃー」

 

モシャモシャ食べながら帰ると友希那ちゃんが一人で歩いていた。

 

「お〜い、友希那ちゃーん。」

 

「?……っ。」

 

お?何だかいつもと目付きが違う気がする。

 

「こんにちは、散歩かい?」

 

「ええ、曲の参考になる事がないかと思って。……それよりも、少ししゃがんでもらっても大丈夫かしら?」

 

「へいへい、お安い御用で。」

 

言われた通りにしゃがむ。ううむ、前にもこんな事あったなー。

 

「………………。」

 

頭の上のクロが揺れる。

あー、これ間違いなく撫でてるね。でも、この体勢はどうかと思うんだよね。お兄さん。だって、傍から見たら俺が友希那ちゃんのお腹を凝視してるみたいになってるし。

 

「あー、友希那ちゃん?」

 

「…………にゃー。」

 

「にゃー」

 

「ダメだこりゃ。」

 

とりあえず一時間は動けなかったと言っておく。

 

 

 

 

「……満足したかい?」

 

おお……足がぷるぷるしてる……。

 

「ええ、ありがとう。」

 

「そりゃなにより。」

 

足に血を送る為に軽くジャンプする。

これってちょっと気持ち良いよね。

 

「さてと、俺はそろそろ帰るよ。はい。」

 

クロを持ち上げて友希那ちゃんの頭に乗せる。

クロは友希那ちゃんの頭の上も気に入ったのか俺の頭の上に居る時と同じ様にだる〜んって感じで垂れている。

 

「うんうん、これが猫もだらける良い女ってか。」

 

スマホで写真を撮る。頭の上のクロに手を伸ばして目をキラキラさせてる友希那ちゃんの完成〜。

 

「じゃ、友希那ちゃんも暗くなる前に帰りなよ〜。」

 

「…………。」

 

聞こえてるのかねぇ?

 

 

 

 

「ただいま〜。」

 

「あ、おかえりー、おにーちゃん。」

 

ソファから日菜が顔を出す。だらけてるねぇ。さっきのクロみたい。

 

「ん、日菜。来てたのか。」

 

「ちょっと前にね〜。」

 

「ふぅん。ん?何の本読んでるんだ?」

 

珍しく熱心に雑誌を読んでいるみたいだけど、そんなに難しい雑誌なのか?

隣に座って雑誌を覗き込む。

 

「これ?えっとねぇ、『男を落とす48の方法と52の搦手』っていう本だよ。ビビッと来たから買ったんだ〜。」

 

「随分物騒なタイトルだな……それ本当にちゃんとした雑誌なのか……?」

 

やべぇタイトルじゃねぇか。

 

「えー、じゃあ実践してみよっか?」

 

「あー、うん、そうだな。お試しでやってみてくれよ。」

 

「うんうん、おにーちゃんならそう言うと思ったよ。るんっ♪てきた!」

 

お兄ちゃんはそのるんっ♪のせいで嫌な予感しかしないよ。

 

「おにーちゃん、好き!」

 

?……ああ、好意を直球で伝えるのが大事とか書いてあったのかな。

 

「うん、俺も日菜が好きだよ。」

 

「じゃあ、結婚しよっか!」

 

「うん?待ってね。どうしてそうなったの?」

 

「えー、おっかしいなぁ、例題に載ってた。」

 

「本当にその雑誌大丈夫なのか……?」

 

雑誌を買わせる為にインパクトのあるタイトルにしたようにしか感じないんだけど。

 

「えっと……『相手が乗り気じゃないなら乗り気にしましょう』だね!」

 

「えぇ……。」

 

何その当たって砕けろみたいな内容。失敗したら目も当てられないぞ。

 

「おにーちゃんは抵抗とかしないよね?」

 

「寧ろしないって思ってたのか……?」

 

「えー、だっておにーちゃんだし、なんだかんだで受け身だし。」

 

そう言うといつもの様に手を掴んで来た。

 

「甘いわ。」

 

グイッと引っ張って股の間に座らせる。これで大人しくしててくれよ。

 

「んーっ!」

 

「ふぃ〜……。」

 

あー、やっと落ち着いた感じ。

ぴちゃっと音が聞こえる。ついでにぬるりとした感触。

 

「……ひぃ〜なぁ〜?」

 

視線を下げると日菜が俺の指を舐めていた。

 

「んぇ〜?らってほにょふらいひはふぇきにゃいふぉん。」

 

「はー……舐めてても良いから大人しくしててね。」

 

そう言ったのに日菜はくるっとこっちを向いて、空いている両手で体を触って来た。

 

「おにーちゃんは確か腰だよね〜。」

 

「ははは、そんな訳無いだろ。……んん」

 

「あ、ほら、反応したよ。」

 

「今のはあれだから、咳払いだから。

それで、満足したろ?止めなさい。」

 

「やだ〜。」

 

そう言いながらまた腰を触ってくる。

 

「ダメって言ってるだろ?」

 

こんっと優しく小突く。単純にあんまりやられたらお兄ちゃんとしての威厳とかあれこれがね。

 

「さっきの雑誌に『押してダメなら押し倒せ』って書いてあった!」

 

「日菜、今日は一緒に昼寝してあげるから止めなさい。」

 

「はい!」

 

シュバッと手を納めた。うん、えらいえらい。

後であの本は焼こう。

この後滅茶苦茶昼寝した。

 

 

 

 

夜、みんなが寝静まった頃に俺は外へ出ていた。

理由は簡単、唐突にチータラが食べたくなったからだ。あるよね、ふとした時に『あ、あれ食べたい』ってなるの。あるよね?

すると遠くから馬の走る音が聞こえる。ほら、パカラッパカラッてあれ。

 

「多分……夜行さんかな?」

 

ちょっと厄介だな。それにこんな道端で跪いて靴を頭の上に乗せたくない。

 

「丁度良いし、少しやっとくか。」

 

最近夜行さんの被害が増えてるってオペレーターが言ってた気がするし。

音がどんどん大きくなって目の前にやってきた。

 

「こんばんは、夜行さん。ご機嫌で走り回るのは良いけど、最近やり過ぎじゃない?」

 

まずは優しく語り掛ける事が大事だ。

そう思っていると乗っている馬の後ろ脚から蹴りが飛んできたのを慌てて横っ飛びで避ける。

 

「いい度胸だ、こっちが荒事にしたくなかったから優しくしてたのにてめぇ……。」

 

あっちからやって来たからね、仕方ないね。

袖から札を取り出して貼り付ける。

 

「許可なく走る事を禁ずる。蹴る事を禁ずる。」

 

そう言うと札が馬の中に入っていく。これで良し。

最後に夜行さんの頭に全力の拳骨を落とす。

 

「これに懲りたらもう少し穏やかになってくれよ。そしたらまた走れる様にしてやるから。」

 

そう言ってコンビニに向かう。問題はセ〇ンに行くか、ロー〇ンに行くかだ。

 





今回ちょっと雑でしたかね。
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