バンド姉妹の兄ちゃんは霊媒師(物理)   作:黒色エンピツ

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夕焼け小焼けでまた明日。

「ふんふんふーんふふんふんふーん。」

 

「にゃー」

 

いつも通り頭の上にクロを乗せて商店街をぶらぶらする。もうお馴染みの光景となっていて、子供達が寄って来たりする。

 

「あー、猫の兄ちゃんだー!」

 

「猫ちゃん触らせてー!」

 

こんな風に。

 

「いつも言ってるけど、クロに聞いてくれよ。後、あんまり強引に触ったら嫌がるから程々にね。」

 

「「はーい!」」

 

クロを手渡して手持ち無沙汰になったからスマホを開く。こんな時にでも仕事の依頼があれば良いんだけどね。

 

「響也さーん!」

 

「あれ、彩ちゃんだ。最近よく会うね。」

 

「丁度オフの日が多い期間ですから。」

 

なるほど、そういう時もあるか。

 

「兄ちゃんありがとー!」

 

「またねー!」

 

「おー、気を付けて帰れよー!」

 

クロを受け取ってまた頭に載せて、手を振る。

子供は元気が良いなぁ。

 

「あっ、もうこんな時間だ!」

 

「うん?何か用事があったのかい?」

 

「商店街でアフターグロウがライブやるからそれを見に行んです!」

 

なん……だと!?

 

「よし、俺も行ってもいい?」

 

「え?あっはい、もちろん!」

 

くそぉ、事前に知っていれば応援道具を持って来ていたのに……。

 

 

 

 

「おっ、やってるやってる。」

 

「でも、前の方にはもう人がたくさんいて見えませんね……。」

 

「よっしゃ、お兄ちゃんに任せなさい。」

 

しゃがんで彩ちゃんに背中を向ける。

 

「えっと……これは?」

 

「俺がおんぶすれば見えるでしょ?」

 

俺なら身長高いし。

 

「前もやったし、気にしないで。」

 

「人がたくさん居るんですけど……。」

 

「まあまあ、乗った乗った。」

 

「う〜……お願いします……。」

 

彩ちゃんが乗る……あれ?乗った?軽くない?こんなに軽かったっけ?

 

「彩ちゃん……ちゃんと食べてる?」

 

「食べてますけど!?」

 

俺が鍛えてるから軽く感じるのか。彩ちゃんが軽いのか。

 

「よっしょと、見えるかい?」

 

「お、思ったより高い……けど見えます!」

 

ならよし。……でも、彩ちゃんの顔が周りから頭一つ分高いから目立ってるんだよなぁ、髪も目立つし。蘭ちゃん達もギョッとしてる、まあいいか。

 

『Y.O.L.O!!!!!』

 

おっ、始まった。曲に集中するか。

 

 

 

 

「凄かったな!」

 

「うん!すっごいかっこよかった!」

 

「べ、別にいつも通りだし……ありがと。」

 

「いや〜、照れますな〜。」

 

「まあ、アタシ達にやらせればこんなもんだな!」

 

「楽しかったよ!」

 

「ちょっと、びっくりしちゃったけどね。」

 

アフターグロウの子達と合流して感想を伝える。もっと具体的な言葉が出せれば良いんだろうけど、本当に凄かった。

 

「これから出店が出るけど〜、きょーやさん達はどうしますー?」

 

「えっ、そうなの!?う〜……これからバイトだから私は無理だね……。」

 

彩ちゃんが肩を落とす。そんなに祭りが好きなのか。

 

「よし、今度俺が祭りに連れていこうか?」

 

「えっ!?良いんですか!?」

 

「もちろん、お兄ちゃんに任せなさいっ。」

 

「あの、みんなも呼んでも良いですか?」

 

「どーぞどーぞ。アフターグロウのみんなも行くだろうし。」

 

「やったー!じゃあまた連絡しますねー!」

 

ハイテンションのまま走ってバイトに行った。元気だねぇ。

 

「んじゃ、出店見て回ろうか?」

 

季節外れだけどかき氷食べたい。

 

 

 

 

「ふぅー……食った食った。」

 

「モカちゃん大満足〜。」

 

「ま、また結構食べちゃった……。」

 

「やっぱり祭りと言えば焼きそばだな!」

 

出店の食べ物って祭りの雰囲気もあって凄い美味く感じるよね。

 

「あれ?蘭とつぐは?」

 

「一緒にいたよね?モカ、見てない?」

 

「そーいえば、いつの間にー?」

 

もう夕方かー、と思っていると蘭ちゃんの人魚の精霊がこっちに飛んで来た。

……おかしい、いつもは俺にも見えないように姿を消しているはずなのに。しかも、焦ってる?

 

「三人共、俺が戻って来るまで絶対にここを離れるなよ。」

 

「え?」

 

「響也さん、どうしたんですか?」

 

「分かりました〜。きょーやさん、よろしくお願いしまーす。」

 

モカちゃんが察してくれたみたいだ。

 

「さてと、多分お前も蘭ちゃんを見失って焦ってるんだよな。」

 

人魚が首を縦に振る。何かの力が干渉したのか……?

 

「とりあえず、一緒に探そう。お前は着いて来て、俺の上から探してみてくれ。」

 

変なのに捕まってなけりゃいいけど……。

 

 

 

 

「蘭ちゃん、みんなどこに行ったのかな?」

 

「多分、屋台回ってたら会えると思う。」

 

あたしとつぐみはみんなで祭りを回っていて、少しつぐみと話しをしていたらはぐれてしまった。

 

「そ、そうだよね。あんまり大きな祭りでもないもんね。」

 

すぐに見つけられるはず。

 

「もし、そこのお嬢さん達。」

 

「え?」

 

振り返ると着物を着た男性がいた、少し変わっていて、鼻から上を隠すお面を着けている。

 

「どうかしましたか?」

 

「迷ってしまいまして、道を聞きたいのですがよろしいですか?」

 

「大丈夫ですよ!」

 

「ちょ、ちょっとつぐみ。」

 

「ごめんね、道だけだと思うから……。」

 

「……分かった。」

 

ちょっと変な人だから早く離れたいけど、つぐみがそう言うなら。

 

「分かりましたか?」

 

「ええ、どうも。しかし、また迷うかもしれません。出来れば一緒に来てもらいたいのですが。」

 

「つぐみ、戻るよ。」

 

「え、でも……。」

 

「道は教えたんでしょ、私たちだってはぐれたんだから……。」

 

「では、あなたも一緒に来てくれると安心できるのでは?」

 

急に腕を掴まれる。

 

「ちょ、ちょっと、放して!!」

 

そのまま男は私とつぐみの手を掴んで歩き出す。

なんで、つぐみは嫌がってないの!?

すると、一瞬だけ男に羽が生えた姿が見えた。

 

「あ、あれ?何、今の……。」

 

「おや、あなたは目が良いみたいだ。」

 

跳ねるような嬉しそうな声をして手を引く力が強くなる。

 

「痛いって……!」

 

「大丈夫、これから行く所は楽しい所だから。」

 

で、電話は……圏外!?なんで!?

 

「そんな事しても無駄ですよ。」

 

「見つけた。」

 

声がすると後ろから石が飛んで来た。

 

「お前……何してる?」

 

後ろを向くと今にも男を殴りそうな程に怒った響也さんが居た。

 

 

 

 

「やあ、祓い師か。」

 

「その子達に何してんだって聞いてんだよ。」

 

「さて、私は道案内をしてもらおうと思っていただけだが?」

 

こいつ……つぐちゃんに何か術を掛けたな。

 

「惚けんな、お前天狗だろ?上手く隠してるみたいだな。」

 

「バレていたか。」

 

男が姿を隠すのをやめて翼を出して高下駄になった。……服は自前なのか。

 

「その子達を攫うつもりだったろ?」

 

「そうだとも、私は妖怪。神隠しに似た事だってする。」

 

「随分ハッキリ言うな。山の大将はなんて言ってた?人攫いはやめるって話しだったろ。」

 

「私の独断だよ。良いじゃないか、人の一人二人。」

 

「良くねぇよ。」

 

天狗の顔面を掴んで壁に叩き付ける。その時につぐちゃんと蘭ちゃんを掴んだ手を放させる。

 

「いたた……君、人間かい?」

 

「人間だよ、混ざってもない。」

 

「……ああ、そうか、思い出した。君が氷川響也か。

分かった、やめるよ。痛いのは嫌いでね。」

 

じゃあね、と言うと男は飛び立った。もう二度と来んな。

 

「つぐみ、つぐみ!!」

 

……せめて、術くらいは解除してけよ。

つぐちゃんの目の前で指を鳴らして術を解く。

 

「え……?」

 

「つぐみ!大丈夫!?」

 

「あれ……私……。」

 

「天狗の術に掛かってたんだよ。」

 

鬱陶しいやつだ。

天狗は山に引き篭ってると思ってたけど、警戒を強める必要があるな。

 

「ほら、帰るよ。この雰囲気は特に良くない。さっきみたいなのがまた来ちゃうからね。」

 

他の子達が心配だ。紗夜と日菜は来てないみたいだから大丈夫そうだけど。置いて来た三人も心配だ。

術を掛けられて疲れてるつぐちゃんを背負うと蘭ちゃんに手を出す。

 

「ん。」

 

「え、あの……。」

 

「手。ほら、早く。」

 

「う、うん……。」

 

おずおずと手を握られる。

あー……疲れた疲れた。またなんかあったらお山に突撃してやる。

 

「うおっと……。」

 

ガクンと左足から力が抜ける。

 

「響也さん……?」

 

「いや、ちょっと疲れただけさ。大丈夫だよ。」

 

あの野郎……最後に足の筋切りやがった。

いくらぶっ飛んだ体つっても治るのに何日かかると思ってんだ!?誤魔化して歩くのもしんどいな。

また協会に薬貰わないとなぁ……自然成分オンリーとは言え、薬漬けは勘弁。

 

「あ!蘭ー!つーぐー!」

 

「心配したぞ!」

 

「あたしはー、きょーやさんが行ったから大丈夫だって思ってたよー。」

 

「そら、帰るぞ。これ以上遅くなったら怒られるだろー?」

 

テキトーに話をぶった切って帰る。もちろん、この子達は送ってくよ。

 

 

 

 

実家の方が近いから実家に帰って自室で切られた所に薬を塗る。

鎌鼬みたいに血を流さずに斬るとか、変に技術の高い事しやがって……。

 

「兄さん、入るわよ。」

 

「え、ちょ、まっ……!」

 

無情にもガチャリと扉が開けられる。

 

「……兄さん、怪我したの?」

 

「やー……これは、ちょっと擦りむいて。」

 

「これが?」

 

グッと切られた所が握られると、激痛が走った。

 

「っあ!?」

 

「これの、どこが擦り傷、なんですか?」

 

力を入れられてその場で倒れる。

あ、あれ、紗夜ってここまでするような子だっけ?

 

「痛いですか?私はこれよりももっと心配しているんですよ?」

 

「わがっ……わかっ、たからぁ!?」

 

でも、お兄ちゃんはその理屈はおかしいと思う。

お兄ちゃん、紗夜をこんな子に育てた覚えない……。

 

「さ、紗夜……?なんか楽しんでない?」

 

「そんな事はありません。」

 

あ、あれ?でも、紗夜がそう言ってるし、嘘吐くよくな子じゃないし、そうなんだろうな。

 

「いてて……ところで、何の用事だったんだ?」

 

「ああ、そうだった。……これ。」

 

紗夜から一枚のチケットが渡された……ってこれは。

 

「兄さんが楽しみにしてたし、暇だったら……来て。

へ、部屋に戻るわ。変な格好で来ないように!」

 

「はーい!」

 

ィヤッホォォオオオオ!!まさか紗夜から貰えるだなんて思ってなかった!やべぇ、ラフかつ、それなりの格好して行こう!

 

「あー……楽しみだなぁ。」

 

あ、これ、ハロハピとポピパも出るんだ。

……ちょっと心配だ。






色々と頭に思い浮かんできて纏まらないのが続きますね。
これからも暖かく見守っててくださいな。
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