バンド姉妹の兄ちゃんは霊媒師(物理)   作:黒色エンピツ

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飲んで飲まれて酔いどれて

紅とラインで連絡を取り合って決めた約束の日当日。

 

「……紅、お前小さくなれたのか。」

 

「ふん、そっちの方が普段の生活では不便では無いからな。」

 

「まあ、それもそうか。

よし、早速だが紅の同胞達を眠らせるぞ。彼らの墓に案内してくれ。」

 

「うむ、こっちだ。」

 

紅について行くと墓場があり、その墓場の柵を囲むように多数の鬼がいた。

 

「これは……よくこの数で姿を隠せたもんだ。」

 

「術に長けた者もいる。鬼とて、それぞれ個性や得意な事は違うからな。」

 

「そこら辺は人間と似てるな。」

 

「む……認めたくは無いが、そうだな。」

 

「んじゃ、紅も離れてくれ。流石に近過ぎると紅にも影響があるかもしれない。」

 

「ああ、頼んだ。」

 

「おう、頼まれた。」

 

墓場の入口に座り、手を合わせる。人の霊を成仏させるのとは勝手が違うから少し緊張してきた。

 

「変に時間掛けたって仕方ないか。男は度胸!」

 

二度手を合わせる。

 

「地に眠った霊よ、目を覚ませ。」

 

墓場全体が光、半透明になった鬼の霊が地面から出てくる。

 

「もう随分と眠ったろう。天に昇れ。」

 

右手を下から撫でるように上に上げると道が出来る。

霊達はそれを道標にして天へ昇って行く。

 

「多いな、少し時間が掛かるか。」

 

そのまま手を合わせ続けて、全て終わる頃には日が沈んで夜になっていた。

 

「同胞達の新たなる旅路にカンパァァァアイ!!」

 

「「「ウォォォォオオオ!!!」」」

 

「イェェェェエエエエイ!!」

 

やっべー!鬼の秘蔵の酒と飯うめぇ!

 

「ねぇ、お兄さ〜ん。うちのボスとマトモにやりあったってホント?」

 

「あー、紅?やったやった!ガチンコのステゴロで殴り合いしたぞ!」

 

あ〜……酒が染みるぅ……。

 

「……鬼は強い者を好むからな。」

 

「くぅれぇなぁいぃぃ……飲んでんのかぁ?」

 

「当たり前だ。」

 

「オラ!もっと飲め!」

 

瓢箪から紅の杯に酒を注いで、自分のにも注ぐ。

 

「〜っかぁ!うっめぇ!」

 

紅に肩を組む。

 

「……酔うと面倒だな。」

 

「良い飲みっぷり〜!」

 

「かっこいい〜!」

 

「……お前ら、余り煽るな。

響也、そろそろ家へ帰れ。」

 

「おぉぉぉ〜…………。」

 

うぇへへ〜……い〜きぶん〜。

 

 

 

 

「ふんふんふふーん!」

 

響也は家にいるのかしら?また色んなお話を聞いてみたいわ!

 

「あ……こころ。」

 

「あら、蘭。こんにちは!何をしているの?」

 

「今は特に何もしてないけど。」

 

「じゃあ一緒に行きましょ!」

 

「え、どこに?」

 

「響也の所よ!」

 

「良いけど……ちょ、ちょっと、引っ張らないでよ!」

 

 

 

 

まぶしい〜……。

 

「うごっ……!?」

 

あたまいたい。

 

「なんだぁ?この電柱〜?なんでこんなところに立ってんだよ〜……うぼぁ」

 

ふかふかのベッドだぁ。

 

 

 

 

「……あれ?あれって響也さんじゃない?」

 

「響也?どこに居るの?」

 

「ほら……あそこのゴミ捨て場。」

 

なんであんな所で寝てるんだろ……。

 

「響也〜?寝ているの?それにお酒の匂いがするわ。」

 

「え、じゃあ昼までずっと飲んでたの?」

 

と、とりあえず響也さんのアパートに運ばないと。

 

 

 

 

「響也〜、起きて〜。」

 

「ん〜……」

 

全然起きないわ。ぐっすりしているのね!

 

「こころ、もう少し寝させてあげたら?」

 

「……あ〜れ〜?こころ〜?ら〜ん〜?」

 

「あら、起きたのね。」

 

「うぇへへへ〜、こーこーろー……。」

 

「……あら?」

 

初めて響也からキスしてくれたわ!

 

「ちょ、ちょっと……!」

 

「ねぇ、響也。もう一度してくれるかしら?」

 

「ん〜……」

 

「はい、チーズ!

しっかり撮れてるわ!」

 

「…………。」

 

「蘭?赤くなってどうしたのかしら?

そうだわ、蘭も一緒にやりましょう!」

 

「あ、あたしは、良いから。」

 

「ら〜ん〜!」

 

「ちょ、ちょっと響也さん!?」

 

「はいっ、チーズ!後で送ってあげるわ!」

 

 

 

 

「……あ〜、良く寝た。」

 

今何時?

 

「うわ、もう夕方か。」

 

それに家に帰ってるみたいだし。酔ったまま来れたんだな。

 

「……?あれ、服着てない。」

 

あれ、腕が動かないんだけど?まさかまた美咲ちゃんかな?

 

「んぅ」

 

「……きょーやー」

 

サッと顔が青くなった、気がする。

え、何でこころと蘭ちゃんが俺の横で寝てるの?酔った勢いでやっちゃった!?

 

「……よし、二人とも服着てるし、ベッドも濡れてないし、匂いも無いからセーフ、だと思う。」

 

それにしても、鬼達と飲んでからの記憶がまるで無い。

 

「くぉぉ……頭痛てぇ……。」

 

二日酔いの薬あったっけ……。

 

「……そういえば、腕枕してるから二人が起きちゃうな。」

 

起きるまで待つか。

 

 

 

 

「いや、申し訳ない。」

 

こころと蘭ちゃんが起きた後に何があったのかを聞くと十割俺のせいだった。

 

「どうして謝ってるのかしら?あたしは気にしてないわ。」

 

「あ、あたしは……うん、大丈夫。」

 

「そ、そう?だったら良いんだけどさぁ……あ、晩飯は食べて行きなさい。お詫びって事で、俺のせいで遅くなったからね。」

 

「なんか、いつもご飯食べさせてもらってますけど良いんですか?」

 

「良いよ良いよ。だって、二人が帰っちゃったら俺一人でご飯になるからね。ちょっと寂しくなっちゃうよ。」

 

冷蔵庫を開くと、いくつかの野菜と肉があった。後は卵か……。

 

「簡単だけど、野菜炒めにかき玉汁と漬物かな。」

 

うん、健康的だし、良いんじゃないかな?

よ〜し、美味しく作ってやるからなぁ!

 

 

 

 

「ご馳走様!」

 

「ご馳走様でした。」

 

「はい、お粗末様。帰りは車で送ろうか?」

 

「いえ、そこまでしてもらうのは……黒服さん達もいますし。」

 

あー、そっかそっか、じゃあ安心か。

 

「んじゃ、二人とも気を付けてね。」

 

玄関が閉まるとその場にしゃがむ。二日酔い辛い……。

 

「まだ薬局開いてるよな……。」

 

ふらふらとした足取りで薬局に向かった。

 

 

 

 

「こころ、何見てるの?」

 

学校の休憩時間、珍しくこころがスマホを見つめていたのが気になって聞いてみた。

 

「う〜ん、美咲なら良いわよ!」

 

向けられた画面にはこころとこころにキスをする響也さんが写っていた。

 

「これ、どうしたの?」

 

「この前の休みの日に酔った響也がしてくれたのよ。とっっても嬉しかったわ!」

 

「ふぅん、そっか。」

 

素っ気ない態度でその場から離れる。相手はこころなのに、何ムキになってるんだろ……。

でも、ずるい。私だって……

 

『ホホ……憎いかえ?』

 

「え?」

 

何、これ……。

 

『あの男、憎いかえ?』

 

「響也さんの事……?そんな、憎い訳……。」

 

『女を取っかえ引っ変えしている男でも?』

 

「なんだ、貴様。一応妾の主に何の用だ。」

 

ポンッと音がすると私と霊の間に狐の耳と尻尾を生やした女の子が出てきた。

 

「白!もう、早く来てよ!」

 

「ふん、妾は寝ていたのだ。仕方あるまいて。美咲は短気だな。」

 

『狐の霊……厄介な奴じゃ。ここは退散させてもらおうかのぅ。』

 

「逃がす訳無かろう。」

 

白が手を伸ばすと霊が立方体の壁に囲まれる。

久し振りに見たけど、やっぱり強いんだ……。

 

「ふん。」

 

そのまま立方体が小さくなって霊は潰れて消えた。

 

「白、ありがとね。」

 

「約束だからな。それとお礼ならば貴様の妹を少しは落ち着かせよ。いつももみくちゃにされるわ。」

 

「はいはい、分かったよ。」

 

「それと稲荷寿司も忘れるな!」

 

「分かってるってば。」

 

そう言えば響也さんってあたしが白に助けられる度にお稲荷さん作ってるけどどうやって気づいてるんだろう?

 

「ならば良い。……それとだな」

 

「まだあるの?」

 

「じ、自分の好いた男くらい自分の手で確実に仕留めるのだぞ。あのような奴の指図など受けるな。」

 

「……うん、ありがと。」

 

白も何だかんだ響也さんの事気に入ってるよね。今日はいつもより良いお揚げを使ってあげようかな。

 

 

 

 

「ふぃ〜……はっ!なんか今、白が美咲ちゃんを助けた気がする!」

 

今度白にお稲荷さん作ってやろっと。

 

 

 




投稿前に文字数確認したら思ったより短かったっすね。

所でR18小説考えちゃいました。うへへ、すみませんねなんか。でも投稿する気は無いです。
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