お化け死すべし慈悲は無い
「ふんふふーん、この魔法のカードでガチャが無料で引けるぅ。」
いやー、今回は奮発して一万使っちゃったぜ。何が引けるかなー。
「あぶなーい!」
「えっ。」
横を向くと目の前にトラックが迫っていた。
「せめて、ガチャを引かせてくれy」
最後に肉が潰れる音がして俺の意識は消えた。
『はい、こっち。こいつこっち。これあっち。』
ここ、どこだ……。真っ白で何も無い。
『あーもー!人死に過ぎ、俺だって過労死するぞ!』
白く発光?したような人型が白い塊を色んな所に分配している。何かの工場?
『はい次!……へぇ、意識あるんだ、珍しい。次の人生頑張ってね、君こっち。次早く!』
もしかして、あの世だったりしたのか。ああ……眠い……。
「生まれて10年で両親が他界するってどう言う事だってばよ。」
「どうかしたかい?響也くん。」
「なんでもないでーす。」
はい、両親が死んで親戚に引き取られました。母さんの妹なんだって。個人的には勘弁してほしい、両親が死んだのもあれだがほぼ知らない人との共同生活とか笑えない。
「うちには双子の娘が居てね、仲良くしてくれると嬉しいかな。」
「え?ああ、はい。」
女の子かー、あんまり子供は相手した事ないんだけどな。今は俺も子供だけど。
つーか前から思ってたけど髪が青黒いなー、なんなのこの世界、これがデフォ?
「ただいまー。」
「お、おじゃまします。」
「こらこら、今日からは君の家でもあるんだから。」
「た、ただいま!」
ああー、小っ恥ずかしい!
悶えていると奥から緑?……うん、緑の綺麗な髪をした姉妹と女性が来た。
「おかえりなさーい!」
「お、おかえりなさい。」
「あら、その子が響也くん?将来有望な子ねぇ。」
「はぁ……どうも。」
うん、イケメンな旦那に綺麗な奥さん、将来美人確定な姉妹。この家どうなってんの?
「……響也です。お世話になります。」
「敬語なんていらないわよ。私は氷川朝日、よろしくね。」
さいですか、とぼーっとしてると姉妹の片方が出てきた。
「ひかわひな!よろしくね!」
ひなちゃんね、元気で結構。
すると物静かな方はおずおずと顔を出してきた。
「ひ、ひかわさよ……。」
さよちゃんは人見知りか。慣れるまで時間かかりそうだな。
「これから、よろしくお願いします。」
うーん、親戚とは言え不安だ。けど、頑張るか!
と思っていた時期がありました。
『ミ…えてル?』
「…………。」
知らんぞ。つーか聞いてない、部屋に幽霊とか、聞いてない!
『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……』
「ぶるぅぁああ!近寄るんじゃあねぇ!」
近寄って来たのにビビって顔であろう部分をぶん殴る。
「あれ、消えた……?」
もしかして……それっぽいパワーある?
「……将来の夢は霊媒師!」
ぬ〜べ〜読も!
「おにいちゃ〜ん!」
「んー?どしたの日菜ちゃん。」
「遊んでー!」
「はいはい、何しよっか。紗夜も、一緒に遊ぶ?」
「……うん。」
そう言えば二人ともまだ5歳らしい。丁度可愛い時期だ。実際可愛い。
「絵本読んで!」
「はいはい。」
ソファに座ると二人が膝に乗る。ここが好きみたいだ。ふふふ、可愛いやつらめ!
「……?グリム童話?」
「うん!」
へぇ、分厚い原本と同じ様な見た目だな。訳してあるみたいだけど。
少しずつ読み進める。
「んん?」
これ、規制の入ってないやつじゃねぇか!?
「日菜ちゃん、これじゃないやつにしよっか?紗夜ちゃんもいいかい?」
「う〜ん、いいよー!」
紗夜ちゃんは頷いてくれた。よし。
その後は普通にシンデレラとか読みました。
「日菜ちゃん、紗夜ちゃん、肩にホコリが付いてるよ。」
『『ケェアァァァォォォ』』
こいつらしつこいな。
そんなにこの子らが魅力的かい?
「…………。」
初めて会った頃が懐かしいなぁ。もう六年前か。
俺は今義務教育が終わった後に家を飛び出して霊媒師をしている。物理だけど払えりゃ良いよな。ちなみに16歳。親父とお袋には無理を言ったなぁ。
あの子達は泣いちゃうし。困ったもんだ。
まあ、今は仕事に集中しよう。
「やぁ、みんなー!マイケルだよぉ!」
今臨時でクマの着ぐるみに入ってデパートの屋上のイベントに出て風船を配っている。後マイケルって映画思い出すね。
あ?何?霊媒師じゃないのかって?そう頻繁に来るかよ。来るときゃでかい金が入るけどな。
これはなんかアクターさんがぶっ倒れたんだてたまたま通りかかった俺に話が来たんだよ。
「ふうせんくださーい!」
「はぁい、どうぞ〜!」
ふふふ、なかなか上手く出来ているのではないかな?
ふと気配を感じ、その方向を向くと女のコがいた。きっとこの中の子供達の誰かのお姉さんかな。
のっそのっそと近付き、マスコットっぽい動きをする。
「そこの君にも、はい、風船。」
「えっ、あ、どうも……。」
人と話すのに慣れてないのかな?
ふむ、それにしてもそういう事か。
これは後で厄介な事になるな。
「ほラ、コッチダヨ、コッチダヨ。」
「うん、うん、待って……。」
一人の少女がふらふらと歩いていく。
「はヤく、ハヤく。」
「待って、待ってって。」
良く見ると少女の周りには黒い靄が付き纏っていた。しかし、周りに居る人には彼女の周りの靄もふらふらと歩く彼女も見えていない様だった。
そのままふらふらと屋上の端に歩いていく、端に着くと強い風が吹き、手に持っていた風船が手を離れて空に上がる。
「あ……。」
空を見上げて風船を名残惜しそうに見上げた少女の背をナニかが押した。
「えっ」
そのままふらりと出て空中に出る。そこで少女は振り返り、遂に自分の現状へと気が付いた。
「あ、ああ……。」
必死に手を伸ばす、それでも伸ばした先に居るのは自分を嗤う黒い靄。自分はもうダメだと思い、涙を流す。
「おい、何諦めてんだよ。」
その手はしっかりと握られた。