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ここは何もない場所。
なにもあってはいけない場所。
オレ/オレはそこから
1/
冬も終わり、季節は春も中頃といったところ。
少し前の厳しい寒さなんて忘れたように、気温はすっかりと暖かくなっていた。
まあ、それもあと少しすれば、あの茹だるような暑さに塗りつぶされるのだが。
ここはとある
正午だというのに店内は
店名はアーネンエルベ。ドイツ語で「
春は出会いと別れの季節だと言うけれど、どうやらそれは本当だったらしい。
私こと
「珍しいですね。私たち三人が偶然ここで集まるなんて」
「あら。これは偶然ではないのではなくて?」
「あ!それじゃあ皆さんにも
お
その隣の席で緊張した面持ちでいるのは
「…まぁ、そうなんだけど」
そう招待状。数日前、
『次の日曜の正午に、喫茶アーネンエルベに来るでちゅ!他にもステキなゲストを呼んであるのでお楽しみにでちゅ!』
と大体こんなもので。それにつられて私たちはやって来たのである。
「それで、この招待状になにか心当たりはありませんか?」
招待状をヒラヒラと揺らす秋葉さん。
「いえ、私にも心当たりはありません。でも…」
そう、私たちが3人で囲んでいるテーブルには、一枚の手紙が置かれていた。
「「「……」」」
ええい!迷っていても仕方がない!決心して開くとそこには、
『よく来てくれたでちゅね!なぜ君たち三人に集まってもらったかというとズバリ!君たちが”妹”だからでちゅ!そんなわけで、妹ならではの悩みなり、兄の
「「「………」」」
あのきのこ、いい加減とっちめてやろかしら…!!
「あの、先輩方…、どうしましょうか…?」
「うーん。手紙に書いてある事が本当なら、とりあえずなにか話さないと。っと、別に"先輩"なんて、堅苦しいので呼ばくなくても名前でいいわよ。私も桜、て呼ばせてもらうし。秋葉さんもそれでいいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ。それでは、今後はこちらもお名前で呼ばせてもらいます」
「…はい!!それじゃあ、よろしくお願いしますね。鮮花さん、秋葉さん。」
先程とは打って変わって、パッと笑顔になる桜。
そんなこんなで話し合いは始まっていく。
まぁ、私たちはお互いの事を深く理解しているとも言えないし…。
…いい機会ではあるのかも…?
2/
話し合いを始めるにあたって、順番はジャンケンで決めることになった。
結果は、
私としては納得のいかない結果だけれど、公正に決めたことなので仕方がないだろう。
話も長くなりそうなので、私たちは追加でそれぞれ紅茶を注文した。紅茶がテーブルに並び、それを一口飲んでから話を切り出す。
「それでは、まずは私からですが」
困った、何を話せばいいのやら。
とにかく、思いついた事から話すことにした。
「兄さん────、兄の名前は
「はい。私も桜も一応は魔術を修めています。私は、根源なんてものに興味はありませんけど」
「私も、そういうのはあまり…」
…驚いた。魔術師は皆、根源を目指す為に魔術を身に着けるものだと思っていた。どうやらこの二人のように珍しい魔術師もいるようだ。
「でも、それがどうかしましたか?」
「いえ、ただそれなら隠しておく必要はないかと思いまして。兄は"
「うそ!?」
ダンッとテーブルを叩きながら立ち上がる鮮花。
私も桜も唖然とする。
すると、鮮花はハッとしたように、周囲をキョロキョロと見渡し始めた。幸い、この喫茶店には私たちの他に客は居らず、変に注目を集めることはなかったようだ。紅茶も意外にも無事である。
「ごめんなさい。私ったらつい…」
「いえそれで、鮮花さん一体どうしたんですか?」
「…実は、秋葉さんのお兄さんの他に、その”直死の魔眼”っていうのを持っている人を知っていて────」
「それ本当!?鮮花!!」
「え、えぇ。私も詳しくは知りませんが、なにやら死の線が視えるとかなんとか」
今度は鮮花が唖然としている。しかし、そんな事は今の私には二の次三の次!!
「その方、どうやってその眼と折り合いをつけていの!?」
「式が言うには、普段は目の焦点をズラしているそうですが…」
「な!?そんな事で…!?」
兄さんは”
「───すみません。取り乱してしまいました。今のは気にしないでください。…とにかく、兄も一般人ではないという事です」
もし出会ったら話を聞いてみよう。その方と兄さんはどうにも他人の気がしない。
…名前も同じだし。
◇
「それじゃあ、お二人は別々の高校に通っているんですね」
何やら珍しいことのようで、桜は少し驚いたたような顔をしている。
「そうです。でも、少しの間なら兄の高校に通っていたこともありましたのよ」
「へえ、またどうしてそんなことを?浅女も名門だけど、志貴さんの通っている高校も名門だとか?」
「いいえ、鮮花さん。ただ兄の素行の悪さが、遠野家当主として無視できるものではなかったものですから。できるだけ私の目の届く所に置いておきたかっただけです。大体、兄さんは勝手すぎるんです。いつもマイペースでふらふらとして、いつになっても家の門限は守らないし、果ては夜に家を抜け出して他の女に会いに行ったりするんですから!」
兄さんには遠野家長男としての心構えが──!、なんて続けていると二人が妙にニコニコと私の顔を見ていた。
「な、なにかしら、二人とも」
「いえ、秋葉さん、なんだか楽しそうだなって。お兄さんの話をする時、すごく生き生きしてますから」
なんて、ものすごいことを鮮花は言い出したのである。
「そ、そんな事はありません!私はただ──!」
桜もまあまあと、ニコニコとした顔のまま私を落ち着けようとする。
(編集?)
この二人…後で憶えていなさい…!
◇
その後、私が落ち着いてから、桜がひとつ質問をしてきた。
「でも、どうしてお二人は別々の高校に?」(消し)
…私は紅茶を一口飲む。
ティーカップを口から離しても、それをテーブルの上においても、私の視線はティーカップから離れなかった。
「私と兄は、八年間離れて暮らしていましたから。同じ高校には通えなかったんです」
あ…。と桜が声を漏らす。
私が落ち込んだように見えたのだろう。私は気にしないで、と首を横に振る。
そう、八年間。あまりにも長い、あまりにも遠い時間。
ましてや幼少の頃からの、成長期の時期に一緒に居られなかったのだ。
寂しくなかったと言えばそれは───────。
それでも、と知らず口が動いていた。
「それでも、兄さんはちゃんと帰ってきてくれました。ちゃんと、
兄さんが帰ってきてくれて、本当に毎日が楽しくて。
アルクェイドさんや、シエル先輩。他にも何人か家に出入りするようになったけれど、それはそれでまあ、賑やかで悪くないかな。なんて最近は思ったりもする。
本人は分かっていないだろうけど、これも全部兄さんのおかげ。きっと私だけじゃ上手くはいかなかった。
すぐに調子に乗るから、兄さんの前では言ってあげないけれど。
だからきっと、あの人だって救われて─────。
「八年前と変わらない、今もずっと優しくて強くていつも私を引っ張っていってくれたそんな───」
そんな兄さんが私は──。
ハッとして、顔を上げるともう手遅れ、目の前には先にも増してニヤニヤとした顔が二つ。
「貴方たち…どうかしたのかしら…?」
「べっつにー?秋葉さん、なんだかんだ言ってもやっぱりお兄さんがす───」
「そ、そそそそんなわけないでしゃう!鮮花さん!私は別に兄さんのことなんて!」
それをまあまぁと桜が和ませる。
結果は無残。予想通り、先のやりとりをもう一度するだけだった。
まあ、今回は先にも増して、自分の顔が熱くなっているのは認める他ないだろう…。
-続-
初めましての方は初めまして。
というか初投稿なのでどう足掻いても初めましてです。はい。
そんなこんなで始まってしまいました、ただ私の推しを絡ませたいシリーズその1。
読んでくださった皆々様、大変申し訳ありませんがこの作品、ただの私の自己満足作品でございます。
それでもいいよという方、なんとなく続きがきになる…?そんな方がいらっしゃいましたら、もう暫しお付き合いを。
…………続けられるといいなぁ!!