おジャ魔女どれみドッカ~ンレジェンド!! 作:魔鬼靐ユリア@仇助に命捧ぐ闘鬼神
どれみ達が魔女界の女王様からプロベーション・インカムを受け取ってから、数日がたったある日の事。
その日さつきは、MAHO堂で頼まれたカレーの材料を買いに行っていた。
さつき
「野菜も買った、お肉も買った・・・よし、お買い物終了!って・・・重いし・・・」
材料の量が半端なかったため、さつきはヨロケながら歩いていた。
しばらく歩いたその時、突然それは起こった。
突然遠くから、女の子の悲鳴が聞こえてきたのだ。
「キャ~ッ!!」
さつき
「今の声、まさか!?」
さつきがヨロケながら急いで向かうと、急に黒いワゴン車が飛び出して来た。
ワゴン車はいったん止まったが、すぐに猛スピードになり、黄色信号の交差点を乱暴に曲がって行った。
その瞬間、窓からうっすらと青色の髪が見えた。
さつき
「ほ、ほのか!?」
さつきは叫んだが、時すでに遅く、もう車は走り去っていた。
さつきが車と遭遇する前・・・
ほのか
「フ~、あっつ~!!」
ほのかはセンスであおぎながら、MAHO堂に向かっていた。
ほのか
「はよ戻って、麦茶でも飲も・・・」
そんな事を言っていたほのかの後ろに、怪しい黒のワゴン車が近づいてきていた。
そして、次の瞬間・・・
ガバッ!!
ほのか
「えっ!?キ・・・キャ~ッ!!」
ほのかは悲鳴と共に、ワゴン車の中に連れ込まれた。
こういうワケである。
しかし、さつきはさっきの一瞬の間に車のナンバーを覚えていた。
さつき
「吹田68 に 72-43か・・・」
ナンバーさえ抑える事ができれば、あとは警察が何とかしてくれる・・・
さつきはそう思っていた。
だが、さつきはある物を見つけて、その考えを変えた。
さつき
「こ、これ・・・ほのかのコロンタップ!!」
なんと、ほのかのタップが歩道に落ちていたのだ。
さつき
「ほのかは今、魔法が使えない・・・!」
ほのかは、その性格からして犯人達相手に大人しくしているハズがない。
魔法が使えないほのかにとって、それは明らかに自殺行為である。
さつき
「警察じゃ遅すぎるわ・・・そうだ!」
さつきは近くのマンションの屋上に駆け上がった。
誰もいない屋上に風だけが静かに吹いている。
さつき
「ここなら、大丈夫よね・・・」
シュッシュ!
さつき
「プリティ~ウィッチ~さつきっち~!」
見習い服と一緒に、新しくなったプロベーションインカムもセットされていた。
さつき
「(お願い!あいちゃん・・・気づいて・・・)」
ほのか
「このぉ、離しいや!!」
案の定、ほのかは車の中で暴れていた。
「おとなしくしろや!!」
ほのか
「ナメんなや・・・いてこましたるで!!」
ほのかはポケットに手を突っ込んだが、その瞬間顔が青くなった。
ほのか
「(コロンタップがあらへん!!)」
なんと、変身に必要なコロンタップがなかったのだ!
ほのか
「(まさか、さっき落っことしたんか!?)」
ほのかが唖然としていると、ニヤリと笑った男が彼女に飛びかかってきた。
ほのか
「キャッ!!」
ほのかは座席に押さえつけられ、手足を縛り上げられてしまった。
同時刻、あいこは美空小にいた。
理科の小テストの結果が悪かったため、居残りだったのだ。
あいこ
「ほんま、カブトとかクワガタは頭こんがらがるで・・・」
テストの範囲はどうやら昆虫類だったようだ。
廊下を歩いていたあいこは、何か振動を感じた。
あいこ
「な、何や!?」
ポケットの中のタップが震えたのだ。
あいこ
「えっと・・・とりあえず変身やな!」
あいこは、そばの非常階段を駆け下りて校舎の裏に出た。
普段はこんな所に人は来ない。
あいこ
「誰もおらへんな・・・」
シュッシュ!
あいこ
「プリティ~ウィッチ~あいこっち~!」
こちらも、真新しいプロベーションインカムが誇らしげだ。
変身が終わった瞬間、そのインカムがさつきのインカムと繋がった。
さつき
「あいちゃん!よかった、わかったのね・・・」
あいこ
「さつきちゃんやないか!どないしたん?」
さつきの声から、あいこは何かが起きた事を悟った。
さつき
「それが・・・ほのかが誘拐されちゃったの!!」
あいこ
「何やて!?」
さつき
「しかも、ほのかったらコロンタップを落っことしちゃって・・・」
あいこ
「それって・・・魔法が使えへんっちゅう事やんか!」
さつき
「うん、それでアタシ達が助けるのが一番早いと思ってね・・・」
あいこ
「せやな!」
さつき
「じゃ、美空公園の上空で待ってるわ!」
あいこ
「美空公園やな?すぐ行くで!」
数分後、公園の上空で2人は合流した。
あいこ
「で、どっちに行ったんや?」
さつき
「方向は大丈夫よ!ほのかの魔力を追っているから・・・」
あいこ
「わかるん!?」
さつき
「距離があるせいで正確じゃないけれど、だいたいはわかるわ・・・南東の方よ!」
あいこ
「ほな、道案内頼むで!」
さつき
「任せて!」
2人は猛スピードで飛び始めた。
さつき
「よぅっし、この速さだったら名神までには追いつけるわ!」
あいこ
「何でそこまでわかるんや?」
さつき
「あの車は高速に乗る事ができないもの!」
あいこ
「え?普通、逃げるんやったら速いほうがええやろ?」
さつき
「よく考えて!誘拐したほのかを乗せたままじゃ、料金所で係員に怪しまれるでしょう?料金所からは後部座席も少し見えるしね・・・」
あいこ
「・・・せやな!さつきちゃん頭ええなぁ!」
さつき
「車のナンバーだって、ちゃんと覚えてるわよ!」
あいこ
「さすがやな!」
2人はさらに加速した。
ドギャン!!
2人はだいぶ遠くまで飛んできた。
さつき
「近い・・・近いわよ、ほのかの魔力!」
あいこ
「で、車はどんなやった?」
さつき
「黒のワゴン車、吹田ナンバーの68 に 72よ!」
あいこ
「・・・とりあえずは黒いワゴンを探せばええんやな!」
2人は目を凝らして探したのだが、黒のワゴン車だけなら数が多すぎる。
あいこ
「・・・アカン!黒ワゴンぎょうさんおるで!」
さつき
「落ち着いて!ほとんどが和泉ナンバーよ!」
あいこ
「そうやった!吹田ナンバーやもんな・・・」
その時、1台のワゴン車があいこの目にとまった。
あいこはその中の青いポニーテールの影を見逃さなかった。
あいこ
「見つけたで!」
走り去っていくワゴン車を追って、あいこはホウキを急旋回させた。
さつき
「ちょっと、あいちゃん!?」
さつきもその後を追う。
問題のワゴン車の中は、スモークガラスのせいでよく見えない。
あいこ
「あれ、ナンバーがちゃう・・・」
さつき
「ほのかの魔力は感じるけど・・・」
ナンバープレートは『和歌山134 ま 689』で、最初に見た物とは違っていた。
さつき
「・・・そうか、そういう事ねぇ!」
あいこ
「さつきちゃん?」
さつき
「あのナンバープレート、封印がないわ!」
あいこ
「封印?」
さつき
「軽自動車以外の全ての車の後部ナンバープレートには、必ず封印が施されるのよ。」
あいこ
「ふんふん。」
さつき
「それがないって事は、壊したに決まってるわ。つまり、ナンバープレートを付け替えたのよ!!」
あいこ
「なるほどな~!」
さつき
「アタシだけだったら、ナンバーに騙されて危うく見逃しちゃうところだったわよ!」
あいこ
「ほな、車が走ってる間は危ないから、どっかに落ち着いてから魔法で助けよか!」
さつき
「賛成!それじゃ、このままあの車についていけばいいわね!」
ワゴン車は山道を走り、山小屋に着いた。
あいことさつきも、そばの茂みに着陸した。
2人の男が、手足をロープで縛られ口をガムテープで塞がれたほのかを小屋の中に連れ込んでいた。
ほのか
「ん~、ん~・・・」
「ったく、少しはおとなしゅうせいや!」
「黙ってられへんのか・・・」
あいこ
「ほのかちゃんや!間違いないで!」
さつきは2人が中に入ると、車を観察し始めた。
さつき
「やっぱりね・・・」
トランクの中には、『吹田68 に 72-43』のナンバーが2枚、放ってあったのだ。
そのそばには、封印を壊すのに使ったであろうハンマーもあった。
さつきは、さらにすごい事に気がついた。
さつき
「ん?・・・キーシリンダーにこの傷・・・こじ開けたのね!」
あいこ
「こじ開けた?」
さつき
「これ、盗難車よ・・・」
あいこ
「ホンマか?」
さつき
「誘拐及び窃盗・・・断じて許せないわね!」
そう言うと、さつきは魔法のポロンをかまえた。
さつき
「ライライロ~ンフォイリ~ラリ~ラフー!!アタシの竹刀よ、出てこぉい!!!」
ボンッ!
すると、さつきが愛用している竹刀が出てきた。
さつき
「この京極さつきが成敗してやるんだから!」
いきり立つさつきを、あいこは何とかなだめようとした。
あいこ
「ほな、まずは中に忍び込もう!さすがに正面から入るワケにはいかへんやろ?」
さつき
「う、うん・・・でもどうやって?」
あいこ
「まあ、任しとき!」
そう言うと、あいこは魔法のポロンをかまえた。
あいこ
「パメルク~ラルク~ラリロリ~ポップン!2人共ハムスターになれぇ!」
ボンッ!
2人は小さなハムスターになった。
さつき
「わわわっ、アタシ、ハムスターになったの!?」
動物に変身するのが初めてらしいさつきは、少しとまどっている。
さつき
「なんか変な感覚ね・・・体に合わせてアタシの竹刀まで小さくなってるし・・・」
それに比べると、あいこはやはり慣れている。
あいこ
「まあ、ゴキブリよりはマシやろ?」
さつき
「ゴ、ゴキブリ!?何それ!!?」
あいこ
「他にも、犬、猫、鳥、虫・・・思えばいろんなもんになったもんや・・・」
さつき
「虫は・・・気が進まないわね・・・アタシ達全員の苦手分野だし・・・」
あいこ
「話がズレてしもたな・・・で、どこから入り込むかやが・・・」
見ると、壁に都合よくも穴が空いている。
さつき
「あそこの穴から入れそうよ!」
あいこ
「よっしゃ!行くで~!」
さつき
「ええ!」
ハムスターになった2人は、柱をよじ登って梁(ハリ)の上まで来た。
下には、縛られたほのかと犯人の2人組がいる。
「もう後戻りできへんのやな・・・」
「戻ったかて、仕事に就けへんで飢えてまうだけや・・・」
「早う身代金もろて、国外逃亡して・・・」
「死なへんように生きるのは、ホンマつらいで・・・」
ほのか
「(あ~もう・・・こういう暗い話はイヤやなぁ・・・)」
ほのかは縛られている事よりも、暗い話をされる事の方がイヤなようだ。
あいこ
「哀れなヤツらやなぁ・・・」
さつき
「食い詰めたあげくの果てが、これかよ・・・」
あいこ
「そやかて、ほのかちゃんこのままにできへんし・・・」
さつき
「・・・でも、やっぱり犯罪には変わりないわよ!!」
さつきはつまようじみたいな大きさになった竹刀で、梁を叩いた。
その時なんと、あいこのかけた魔法が解けた。
柱をよじ登るのに時間をかけすぎたため、魔法の時間切れになってしまったのだ。
ボンッ!!
さつき
「ええっ!?」
あいこ
「アカン!!」
2人は、おジャ魔女の姿に戻ってしまった。
そしてまずは、ほのかが2人に気づいた。
ほのか
「(あいちゃん!?さつきも!?)」
さらに、犯人達も視線を上に向けてしまった。
さつき
「しかたないわ!速攻よ!!」
「な、何やオマエら・・・」
さつき
「成敗っ!!」
バシーン!!
そう言い終わる前に、さつきの竹刀が犯人の頭にヒットした。
あいこも、さつきに続いて梁から飛び降りた。
あいこ
「やああああ!!」
そして、もう1人の犯人の脳天にかかと落としをお見舞した。
犯人達は不意をつかれ、気絶してしまった。
あいこ
「ふう~、危なかったで・・・」
さつき
「ま、一瞬だけだったから顔は覚えてなさそうね・・・」
そして、2人はほのかを解放した。
ほのか
「プハ~!助かったで~!!」
あいこ
「無事で何よりや!」
さつき
「さて、この2人は後で警察に連れてってもらうとして・・・」
さつきがそう言うと、ほのかがいきなり叫んだ。
ほのか
「アカン!話聞いてたやろ?しかたなかったんや・・・見逃してやろうや・・・」
あいこ
「ほのかちゃん・・・」
ほのかは目に大粒の涙を浮かべていた。
そんなほのかに、さつきは諭すように言った。
さつき
「ほのか・・・その気持ちはわかるけど、それでこの2人は幸せになれるかしら・・・?」
ほのか
「えっ・・・?」
さつき
「罪を背負ったままで、人は幸せかしら・・・?どうかな?ほのか・・・」
ほのか
「そやけど・・・そやけど死刑になってもうたら、どないすんねん?幸せも何もないやろ!!」
さつき
「・・・確かにね。でも、この2人は死刑にはならないわよ。」
あいこ
「えっ?どういう事や?」
さつき
「だって、立証できるのは車の事だけだもの!」
ほのか
「ほえっ?」
さつき
「ほのか、あなた警察の事情聴取って嫌いでしょ?」
ほのか
「・・・うん。嫌や!」
さつき
「誘拐された本人がこれじゃあ、誘拐は立証できないでしょ?」
あいこ
「そや!誘拐された人がおらへんねやったら事件にもならへんし!」
ほのか
「そっか!ほな、ウチは絶っ対に名乗り出えへん!」
さつき
「・・・今回はほのかに免じて、大目に見てあげたんだからねっ!!」
あいこ
「さつきちゃん、もっと素直になればええのに・・・」
さつき
「ア、アタシは・・・別に・・・」
ほのか
「さつき・・・!おおきにな!」
その後、さつきが匿名で警察に通報した。
押収されたワゴン車を引いたレッカー車に続いて、犯人達を乗せたパトカーが山道を下って行く。
あいこ達3人はホウキに乗って、その様子を上空から見ていた。
あいこ
「行ってしもたな・・・」
さつき
「執行猶予が付くと良いけどね・・・」
ほのか
「これで・・・これで良かったんやな・・・」
ほのかは袖で涙を拭きつつ言った。
ほのか
「・・・ほな、帰ろか!」
あいこ・さつき
「・・・うん!」
夕日が明るく、そして優しく、、あいこ達3人を照らしていた・・・
ほのか「元気してたか、みんな!今回のリポーターはこのウチ、風戸ほのかや!!いや~、今回はウチ、大ピンチやったなぁ~・・・いきなり車に押し込まれて、抵抗しようとしたまではよかったんやけど、コロンタップ落としてしもてなぁ・・・あっさり縄で手足縛られて、口を塞がれてしもたわ・・・あー、情けな・・・ま、助かったから結果オーライやし、あのオッチャン達もウチが名乗り出えへんおかげで窃盗罪で済むだけやし、まぁ良かったんとちゃうんかな?『良くない!!(さつき談)』ウチはこれでよかったと思うで!!次回、おジャ魔女どれみドッカ~ン!『大阪の騒動!狙われたあいこ!!』次回も、応援よろしく頼むで~!!」
今回のリポーター:風戸ほのか
声:宮村優子