数字はかなり適当なので酷かった場合ご指摘下さい。
「潜水艦…だと。確かなのか!?」
「はい、目標は深度を固定したまま機関音と
だがムーやミリシアル帝国といったこの世界の中心と呼ばれる国家は潜水艦を持ってない筈―――と続けようとして、止めた。今行うべきは今後の対応であるからだ。TACCOは無線機を開き、まずはF-2に連絡した。
「こちら178号機からキングフィッシャー隊へ、不審船の正体が潜水艦である可能性が浮上した。ジャミングはまだ切っていないか?」
「2機ともジャミングはまだ切っていない。このまま接近をする。貴機はどうするんだ?」
「後続の機体を誘導し、RTBをする。貴隊らも慣れない海域であろうからガス欠には気を配って」
「了解」
無線を切った後、再び無線を開く。司令部へだ。
「こちら178号機、事後報告となって申し訳ありません。現在の状況―――」
『――了解。潜水艦への監視と追跡、後続機の誘導をを引き続きお願いします』
「了解」
『当該艦付近に別の目標は存在しますか?』
「いえ、今のところは確認できません」
『そちらの方にも気を配っておいてください。第3文明圏に潜水艦はないはずなので不可知の攻撃も潜在的にあり得ます』
元々第3文明圏にロデニウス大陸やカルアミーク島などは入っていないがアジアやアフリカのような地域区分を作るため便宜的に入れていた。文明の意味も優劣ではなく、ただ違うという意味で新しく付けられたのだ。
『目標のレーダー波はどうなりました?』
「
『原潜である可能性は?』
「高くはないかと。原潜であれば浮上してレーダーを出し続ける理由がありません。こちらの常識で考えるならば浮上してエンジンを回している最中レーダーに異常を確認して急遽潜航したというのが自然に思われます」
原潜に限らず、通常の潜水艦であってもバッテリーの充電以外での理由で普通浮上しないものである。理由としては敵に探知されるから、というのと艦体が水中航行に向いた涙滴型や葉巻型であるため浮上航行すると波に揺られて逆に水上航行に向かないからだ。
潜水艦の敵とは今も昔も航空機である。完全に制空権は敵にとられているのに航空機を見つけて潜らないのは相当危険な行為だと言えた。
「付近に軍用艦が展開可能な場所などないと思いますが…」
『ではロデニウス大陸沖付近等の未帰属の群島などをどこかの近代国家が根城とした可能性を考慮しつつ行動をお願いします』
「そうなれば捜索範囲が広くなりそうだ」
恐らく転移後にその群島とやらは見つけていそうだがロウリア出兵や日パ戦争などにより帰属問題も曖昧なまま放置した結果掠奪されたのだろう。とTACCOは適当に考えた。
『後続機
「はい、自機レーダーでも捕捉しました…。ビンゴまであと3時間ほど余裕はありますが」
『オンステージを繰り上げる。到着次第帰投を』
「了解」
ビンゴというのは航空機が基地に帰れる最低量の燃料という意味である。恐らく司令も長丁場になると判断して替わりの話をしたのだろう、と理解する。続いて機内無線を繋げた。
数10分後、
「
「頼む」
『178号機へ、こちら同航空団所属108号機。これより対海上警戒任務の後任を
「了解――、尻を突かれぬよう気を付けろ」
『了解』
TACCOがPICに帰投する旨を伝え、航法員が航路の策定と時間の計算を行う。
指示変更を受けた操縦士がモニターに諸元を打ち込み、178号機は海上自衛隊那覇航空基地へ帰投するために翼を傾けた。
―――
場所が変わりF-2のコックピット内。彼らは司令部から敵泊地又は母艦の捜索と海自機の護衛へと任務が更新されていた。
「サイドワインダーで哨戒機を護衛とは、務まる気がせんな」
「まあ水上戦闘機程度であれば十分考えられますしこの武装でも適してるかと」
通常警戒待機時の装備で航空機の護衛などはしない。やらないよりまし、どうせいるならという理由で押し付けられた。那覇に帰るよう伝えられたが、水城は青木の予想を聞いていたので特に不審がることはしなかった。
通信を切った後、P-3Cに護衛任務の事を伝えて合流する。
「
水城が船舶を発見した。一瞬遅れて1番機の青木も見つける。F-2の
「新たな潜水艦か洋上艦か?」
「いえ、HL-01。海上保安庁の測量船『
「海保の測量船だと?」
P-3Cが船を捉えAISを使用すると、船舶情報が来た。確かに海上保安庁の測量船であるらしい。コースは北から現場海域に近づくような針路をとっている。
まだ調査船のいる海域は潜水艦がいないと断言できるがこれ以上進まれると怪しくなってくる。あいにく、あの調査船個人の周波数が解からないので
「こちら当空域を哨戒している海上自衛隊のP-3C。昭洋へ、応答求む」
「調査船昭洋。難破か遭難船の救助ですか?」
「すまない違うんだ。緊急事態があったが貴船の無線の周波数帯が分からずこちらを使用した。貴船の周波数帯を教えてもらえるか?」
「はあ、当船の周波数帯は―――」
「了解。折り返しかけなおす」
昭洋は海上保安庁が運用している3000t級の調査船である。海自の艦艇に限らず、海保の巡視船や巡視艇にも平仮名で船名を決めるが、測量船には漢字で船名を決めるのが慣例となっている。
この船には測位・地形調査、地質・地層調査、環境、海洋調査の為の装備が揃っており、そして海底火山近傍の危険な場所の調査ができる特殊測量艇『マンボウⅡ』が搭載されている。この測量艇はかつて第五海洋丸が遭難した
昭洋の船長は無線先の声がやけに真剣だな、と感じた。この船には乗組員他研究員や学芸員も乗せている。安全のために言われるがままに教えたがどうしたんだろうか―――。と考える間にまた掛かってきた。
「こちら海自のP-3C、応答を」
「こちら昭洋。どうかしましたか?」
「貴船の針路上に国籍不明の潜水艦を探知しました。恐らく洋上艦も存在するかと思われます。針路変更をするか戻ってください」
「この先に国籍不明の潜水艦、ですか。では戻るしかなさそうですね」
針路変更の選択肢もあったのにすぐにそれを捨て、帰港を選んだ。あまりに早く選択したのでTACOは不思議に思い、調査船の行き先や目的などが単純に気になった。
「貴船の行き先はどこだったのでしょうか?」
「新しい群島か諸島の調査です。人工衛星で存在が判り、クワ・トイネの漁民などから生態調査を行い、今朝方出航しました」
「そんな島、存在してたんですね」
「はい、生態調査は大変でしたよ。ブオーと吠え続けている大きな緑色の体色をした龍や水の中を行く黒龍なんて話がありましたから」
「え…。すいません。詳しい話をうかがっていいですか?」
「わかりました。調査した人間に代わりますね」
ブオーと吠え続ける緑色の龍に水中を潜る黒龍。それがもし、大型の航空機と潜水艦だとしたら。それがもし、自分たちが捜しているもので調査船の目的地だとしたら―――。
すぐにその情報の細部を掘り出さなければいけないと詳しく質問する。
「その緑色の龍や水中の黒龍はいつ頃の話か聞きましたか?」
「はあ、5か6ヶ月ほど前の話だと現地の方は言ってましたが」
「その2体の龍の詳しい情報は?」
「緑色の方は遠くの方を飛んでいたが羽音が十分聞こえたと言ってましたね。黒龍は少し遠くの海に行こうとよく晴れた日に出たら雲がないのに黒い影が動いていたらしいです」
現地で話を聞いた者が代わりに無線の質問に答えた。やはり二種類の龍は航空機と潜水艦と断定して間違いない。
5、6ヶ月前は日パ戦争で海自全護衛隊群がパーパルディアやアルタラスに出向いた頃だ。しかもP-3Cが改装し、空自の戦闘機も7か8割は日本にいなかった頃でもある。海保の巡視船はタンカーの護衛、ミサイル艇や潜水艦は日本列島の沿岸警備についており、こんな本土から離れた地には誰も近づかなかったのだろう。
「その島の詳しい位置などは把握してますか?」
「いえ、近くに到着したらレーダーで島影を確認しようと思っていました。」
「なるほど。どのあたりまで近づこうとしてましたか?」
「当船からまっすぐ
「わかりました。情報提供感謝します。」
昭洋の進行方向の
「これから潜水艦の追跡ではなく島の把握に目的を変える。だが潜水艦の監視はまだ続ける。ソナー員、頼むぞ。」
「大丈夫です。例え機関停止しても見失いはしません。」
「キングフィッシャー隊へ、潜水艦へのジャミングを解除して下さい。島の捜索、燃料が許せば上空に達しましょう」
「了解」
3機の航空機は隊列を整え、渡り鳥のように編隊を組み、進路変更をした。GPSも消失し、最近輸送機が突然1000km彼方に移動していたという事例もあったので無線が使えなくても編隊を組むことや帰還できる能力を空自海自航空機パイロットは上げに上げていた。
―――
「レーダー探知、恐らく目標と思われる。距離60nm、方位190」
航空機そのものの質も高く、搭乗員の技倆も高い中で島を見つけるという作業は意外と早く終わった。最初に見つけたのは案の定F-2だった。飛行中ECMが探知し、方位は判っていたのでそれの元を辿っていた。
「02、我が機の直上に点け」
「何故です?」
「どうやら敵泊地の電子機器も2次元対空レーダーの様だ。2機が横に並ぶより上下で揃った方がレーダーの目を誤魔化せる。それとも
「隊長機直上高度1000につけます」
2次元レーダーというものは原理上、線のようなレーダー波を一周させて索敵を行う。故に測高レーダーを同時に用いねば相手機の位置は解かっても高度までは把握できない。
「それでは我が方は目標に接近してきます」
「吉報を待ってます」
「貴機の護衛を離れ、島の
「こちらもレーダーで航空機や洋上艦を察知するか監視します。大丈夫です」
「了解。
――
「02、copy」
航空管制に繋げ、目標に向かうことをコールした。蒼い鉄の鳥2機がP-3Cから離れ、島へ向かうために揃って機体を傾け腹を空に向ける。そして探知した周波数にチューニングしたジャミング波を島影に照射する。そしてほどなく数十分ほどで島影を肉眼で認識した。
「目的らしきいくつかの島を目視」
「滑走路らしき場所は見当たりません。緑の龍というのは水上機でしょうね」
「ああ、というかでけえ水上機見えるしな」
全周20kmもなさそうな島だ。おそらく航空機は回転翼機かティルトローター機位しか出入りは出来なさそうということが軍事的観点から見た感想だった。そして大きな水上機は翼は胴体上部に付けられ四発のプロペラを携えてフロートは2つ、機関銃が各箇所に設置されている。見る者が見れば二式飛行艇と答え、もう少し詳しいものなら晴空だといいそうな機体がそこにあった。
「周りのは環礁ですかね。州島かな」
「いや、
島は断崖絶壁とまではいかないが山らしきものが存在し、その周りを白い堡礁が取り囲んでいた。
ちなみに、堡礁と環礁の違いは、大まかに基盤岩がまだ頭を出しているかいないかである。堡礁はオーストラリアのグレートバリアリーフ、環礁は原爆実験や水着の名前で有名なビキニ環礁が有名な例として挙げられる。そして本来どちらも日本にはない。
「よし、これからは一時バラけよう。我が機は群島らの北側を周回する。02は逆だ」
「了解。本島らしき場所にはどのタイミングで近づきますか?」
「指令も来てるしな、まずはこちらが真上を通る。その反応を見てからタイミングを計るぞ」
「了解」
一番大きな島の周囲は数十キロ程度、他に幾つかの島も見つけられたが木が茂っており、其処に人がいる形跡がなかった。そして艦艇も見受けられた。
「隊長、あれは…」
「ああ、グラ・バルカス帝国の海軍旗だ」
周回してる中、開けた場所に小さな地方自治体の役所位の大きさの建造物に旗棒があるのを見つける。その旗棒に掲げられた旗には赤い日の丸の中に黒と白の十字が切られていた。
次話は柳京ホテルが完成したら投稿します。
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