早期警戒機は電文とか傍受できないらしいですが諸々の都合でできるようにしております。申し訳ありません。
追記2020/5/3に上の設定をある程度修正させていただきました。
午後24:00、星の灯りで海が薄白く照らされている頃、ハレー島から50km離れた海域にある黒い亀が水深10m付近でアンテナを伸ばし鎮座していた。
遠浅な海であればその大きな潜水物は海色とは溶け合わず、目立つかもしれなかっただろう。しかしここら海域は黒潮が転移してからも海流として存在しており、透明度の高い海流は逆に太陽光を吸い青黒く平均水深3000mの海は浅い海にいても擬態させていた。
SS-504けんりゅうは連続潜航時間が通常動力型の潜水艦よりも遥かに長い。故に任務艦、
「新たな通信文書を傍受しました」
「そのまま情報支援隊に送れるか?」
電報や通信文そのものは第三文明圏国家やムーなどに売り込みをかけているが当然ながら文章はアルファベットである。だが傍受した文章は信号の幅は計器により観測できるがディスプレイに投影するとエラーと表示されている。
ただ傍受したものは読むことはできない。彼らは
「駄目ですね、やはりアルファベットは勿論数字でもないです」
「では解析記録そのものを送信しろ」
「了解」
「艦長、艦艇が接近してきます」
「図々しい奴らだな」
「はい?」
「探知されているのに居座り続けるというのは、何とも度し難い」
「ではハープーンでも撃ちますか?」
「それはサブマリナーとしての生き方じゃない。それにああは言ったが敵の行動は我々の油断からくるマッチポンプだ」
けんりゅうは潜航せずに黒潮に対して水平に向きを合わせて流れることで躱した。その間にも短い文章のやり取りが受領され、収集した情報は基礎情報支援隊第3科に届けられた後、市ヶ谷の防衛省情報本部に送られた。
文字は判らなければと何らかの規則性や単語を抽出する解読作業や情報局員らは自分たちが敵に存在が割れたのにも関わらず通信文のやりとり行っている意味を推察する作業を始めることになる。
―――
その頃滑走路に埋め込まれた赤色の誘導灯火を目印に、那覇空港に蒼い3機の猛禽が翼を下す。キングフィッシャー隊所属の3機でありハレー島の空爆任務に備えるために派遣された。
タキシングを経た後1番機と2番機が駐機している格納庫に駐機した。そしてパイロット3名が先に那覇基地入りしていた2名と言葉を交わす。
「青木隊長ご無沙汰です!」
「朝礼どころかスクランブル前に会ったじゃねえか気持ち悪ーな」
「2日ぶりは十分でしょう」
キングフィッシャー隊副隊長兼隊長の女房役である藍野2尉が隊長である青木に敬礼をし、軽口を叩き合った。
続いて横にいた部下である青木に労いの言葉を掛ける。
「相変わらず酷いな。よお水城、お前もご苦労だったな」
「ああいえ、任務ですし…」
「ん?ああ違う隊長の相手の事だ」
「それはきつかったですね」
「ぶっ殺すぞお前ら…」
他2名も機体から降り、3人に向かって敬礼をした。いずれも階級的には水城の上に位置している。
「隊長ご苦労様です!」
「聞いたか藍野。こういうのでいいんだよこういうので」
「はいはい了解です。そういえばC-1輸送機もこの後来るそうです」
「陸自の輸送か?」
「いえ、主に
ハレー島を空爆するための輸送である。日本は元々専守防衛、交戦権否認の見地の元航空自衛隊は対地ミサイルは所有していない
転移と戦乱に伴いASM-2にデータリンク機能と画像センサーシステムを盛り込むASM-2Cへの改修が行われる改修案が取りざたされたが
そしてもう一つLJDAMが使われる理由は島の規模を鑑みるとエジェイ攻撃のような面制圧目的の大量の爆弾は使用すると逆に非効率になるからだ。
「
「スマホと財布でしたっけ?水城のも含めて持ち込みましたが」
「え、自分のも頼んで下さったんですか?」
那覇に飛んだしばらく後、現場職員に10円を借りて青木は藍野の携帯に電話をかけていた。藍野はその時今さっき那覇へ行けと命令されてと言われたからよかったが言われてなかったらどうするつもりだったんだと問うた所青木は頑張ってきてもらうつもりだったと答えた。
「いや?俺は頼んでないけど」
「だから隊長舐められるんですよ」
「いや、舐めてないですって」
フォローしつつも青木への評価が上げて下がった。そして死んだ目を尻目に2人は雑談を続ける。
「というか2日か3日位携帯なくても大丈夫でしょう」
「藍野お前知ってるか?沖縄は民放3つしかないんだぞ」
「ああ確かニポテレと東テレが無いんでしたっけ沖縄は」
そんな四方山話も終わったその十数分後鳥取県美保基地から飛び立ち築城基地にて物資と人員を積載したC-1輸送機が那覇基地へ降り立った。その姿を見て隊長の青木は思い出したことを隊の全員に伝える。
「そういえばここの航空隊司令に聞いたが離島強襲作戦の決行は明日明後日が濃厚らしい」
「はあ、そうなんですか?」
「主に海自主導の作戦らしい。シーレーン防禦の為もあるだろうのが早く幕引きをしたいんだろう」
「こっちも無罪ではないですけどね」
―――
「やはり我が国を舐めてるとはいえこんな時に平文で通信文送る馬鹿ではないか」
「けんりゅうのデータの事か?そりゃそうだろ一応旧日本軍と比べれば電子機器のレベルは高いと知ってる筈だしな」
東京都新宿区にある航空自衛隊市ヶ谷基地に構える防衛省庁舎にはA~Fの6つの棟が存在する。その中のどこかに存在する情報本部にて情報官2名の集積した情報を精査していた。
情報本部の代表される組織と言えば以下の通りである。
〇テレビや雑誌、インターネットなどの公開された情報を解析する
〇偵察衛星や偵察機で常時観測し、軍事基地や他国の主要都市を分析し続ける
〇ハッキングやクラッキング、通信傍受を司る
などが防衛省情報本部の諜報部の中にある組織である。スパイ映画や探偵モノで出てくるような人員による諜報活動は
そして2名が所属しているのはSIGINTの中で傍受や暗号解読を受け持つ
「沖縄でけんりゅうが観測した文面とムーでEP-3が観測した文面を訳したがさっぱりな文章だ、暗号化されている。だが信号と文字の対応表は出来た」
「よし、
日本はグラ・バルカス帝国に宣戦布告されるまで手を
そして二人が機械式と見ただけで断定したのは暗号文が数字ではなかったからである。平文を64桁の2進数にし16回シャッフルするDES暗号や素因数分解を鍵に用いたRSA暗号では安全性や鍵の強度を滅茶苦茶に上げるため文字は使わない。数字を用いた言語又はその逆を使っているのならば話は別だが。
「解析完了…か。どれどれ」
「対応表見せてみろ」
数十分が経ち、解読が終わる。だが出力されたものはアルファベットなので対応表に照らし合わせてグラ・バルカス帝国が使っている文字に直し、更にそれを翻訳する作業が残されている。2人ともグラ・バルカスの言語の文法はわからなかったため単語を拾いつつその意味を理解する作業に移行した。翻訳は諜報員が撮影した辞書を使う。結果的には翻訳作業の方が手間取っていた。
「了解、と書いてあるな」
「じゃあこのやり方で正しいんだろう。そのもうひとつ前の長い文章もその方式で試そう」
二人で文を半分に割り、手分けして端末を操りつつ翻訳作業に移った。初めて見る文字は全てミミズがのたくったようにしか見えずかなり時間がとられる。2人が数時間かけて単語を全文翻訳し終える。
「私達、大変、残念、努力、潰れた、ちゃんとした、挽回、期待、それにより、新しい、作戦、命令、戦艦、10番、艦隊、加わる、○○島、北、砲撃、一週間後、○○、全員、努力、期待」
「北と砲撃っつーのは日本のどこかに艦砲射撃するってことなのか?場所がわからんとな」
「何個かわからなくて読み飛ばした単語がある。○○の所だ」
「しくったな。彼の国が日本の地名をどう読んでいるかここにはかいてないし」
「いや、アルファベットとこの文字を対応させてみよう。発音でどこかわかるかもしれない」
この世界は誰も高い塔を作らなかったのか少なくともヒト同士の言語の壁が存在しない。故に文字を表す言語との一致が難しい。特に一方だけが翻訳作業を行っている場合は。
だが帝国の言語は日本語のように複数の文字体系が組み合わさったモノでも漢字のような文字そのものに意味がある表意言語を使っているわけではなかった。それが彼らの日本語に起こす作業を可能にした。
「ha,re,ー…?」
「ハレー?そんな場所日本にはないと思うが」
「これは彼の国が拠点にしてる島の名前じゃないか?」
「そうか、じゃあ2つ目のここが日本の地名かな」
辞書を駆使し手探りで帝国語と日本語の発音を同調させるようにする。当然ながらアルファベットによる発音記号など記されていないので非効率な方法でやるしかなかった。
「o、ki、na、wa」
「沖縄だと!?いや立地的には最も狙う確率は高いか…!」
「文面的に受け取ると第10艦隊をこちらに寄越しハレー島に集結、新しく編入された艦を中心に沖縄本島北部を艦砲射撃するということか?」
「一昔前の自動翻訳みたいになってしまったがそれが一番高いだろうな。とりあえず部長に報告しよう。」
完全とは言えないが、けんりゅうが送信してきた暗号文のあらかたな解読と翻訳が終了する。帝国の明確な作戦と地名などを把握できたので大戦果と言えるだろう。
そしてこれまで傍受した暗号文も解読する作業が始まるので2人は部長に報告した後新たな文章に手を付けた。
―――
「という訳で情報部が解読した情報によると戦艦を擁した艦隊がハレー群島へ接近する。第2護衛隊には水上目標に特に気を付けるように指示を」
横須賀に設置されたJTFの画面が、第2護衛隊群群長が座乗するいせFICとつながっている。群長と話すのは横須賀JTFのトップである水山司令官だ。
そして日本側も明確な島の名称が存在しないのでグラ・バルカス帝国にあやかって同じ名前を呼称することになった。
「ですが一週間後なのですよね?」
「ああ、彼らが到着する頃にはハレー島に日章旗が掲げられているだろう、まさにハレー島の日章旗だ」
「あの、到着するのは実に拙いと思うのですが」
水山は米国の対日戦線で最も有名な写真を例に挙げたブラックジョークを述べた。だがそこまでにかかった時間と血の量を2人とも知っているので言った方はともかく言われた方は笑えない。
「それを見て諦めるような敵かどうかわかりませんがね」
「その時こそ我々の出番だ。貴官も知っての通り潜水艦も付近に存在しているし十分だろう」
自衛艦隊司令が潜水艦隊に号令を出し、けんりゅう旗艦の第3潜水隊に出動を命じていた。もし高い火力投射が行える艦が出てきたらという理由で出した艦がここに来て生きてきた。
「まあ無責任なことを言ったが仕事は主に対潜だ。失敗したら日本が負けると思って任務にあたってくれ」
モニターの通信が終わる。そして第2・第6護衛隊長である各艦長に伝令し情報を共有させ、長かった夜がようやく明けかけようとしていた。
暗号解読の所は作者の憶測と妄想でやっているので酷かったらご指摘ください。
次話は紅白にサザンが出ることになったら投稿します。
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