首相官邸5階、総理執務室にて防衛相と統合幕僚長が総理大臣に衛星写真などで得た最新の画像情報をもとに数十枚のレジュメと共に口頭で強襲作戦の内容を説明する。使う兵器などや侵攻するルートなどがレジュメには書かれており損耗率も書かれていた。
「
防衛相が作戦説明を終了した後、総理大臣が質問を始める。レジュメはきっかり書かれている為わかりやすいがその他の事が解かり辛い。自らが考えられる作戦のリスクについて質問を投げた。
「この攻略作戦による被害はどの程度だと推察している?」
「陸自の場合2%程度が損傷すると見込んでおります」
「彼の国の分も含めて…だ」
「…現在あの島に存在する戦力が潜水艦、水雷艇が存在し、兵員は海軍陸軍合わせて中隊3個ですので最低でもその30%以上が死傷します」
「自衛官を直接投入する以上長期戦は避けたい。終了はどの程度時間がかかると見込んでいる?」
「2,3日程度かと」
詳しくは歩兵中隊2個と重火器中隊1個であり大雑把に考えれば約400名。その30%と言えば120人だ。総理は少ないとはとてもではないが言えないと感じる。
彼はこれを認可すれば戦果はエスカレートしパーパルディア戦の際に出した累計戦死者60万という数字が頭にちらついていた。
とりあえずその思考を断ち切り、
「そういえば新編された第10艦隊だったか、その対策はどうなっているんだ?」
「衛星画像や海自哨戒機や艦艇で捜索を始めていますが探知できておりません。我々がまだ国交を結べていない国の無人島に潜伏しているとなると、現状での探知は困難を極めます。」
「後手に回るが近づいて来た所を沈めるほかないのか。」
「はい、ですが日本のEEZ内に潜伏しているという可能性は完全になくなりました。」
海自空自や
「官房長、至急NSCを再度開く」
「は…この作戦についてでしょうか?」
「いや、グラ・バルカス帝国との戦争の認可についてだ」
「わかりました総理。至急会合を――」
防衛相は内閣官邸地下へ入り、統幕長は先に防衛省へ戻った。予定では日の出には制圧するとあるが何があるかわからないのが戦場だ。例え80年前のレベルが相手であっても出方を100%予測することなど不可能だからである。
「そういえば、この作戦に名は付けているのか?」
「あ、はい。省内職員は専ら空亡作戦と呼んでいます」
「空亡…ね。我々が付けるとはこんな皮肉もあったものかな」
空亡とは真珠庵本の最期に描かれている太陽が妖怪であるという解釈の元創作された元々は存在しない妖怪だ。妖怪とは太陽を嫌うもので空亡とはすなわち百鬼夜行の終わりを示す。そして干支において天が味方しない時という意味もありこの時は何事もうまくいかないとされており機雷封鎖という有効な一手が撃てない自分達を皮肉る意味も恐らく込められている。
NSCが終わったのち、対グ戦争についてのある決定が閣議決定で下され、国民に伝えられた。
―――
「つまり
「まあ、有体に言えばそうなるな」
「無茶でしょう」
「そうか?島に行って、帰って来るだけだ」
「物は言いよう過ぎますよ」
「それは君も同じことだ。勿論、こちらも出来得る限りのフォローアップも行う」
航空自衛隊那覇航空基地。那覇に進出した第8飛行隊らのメンバーが会議室にて航空司令を交えた作戦のブリーフィングが行われていた。
その作戦の大まかな流れと言えば、作戦開始時間となったら隊を二つに分かち低空飛行して島に接近、プルアップしてチャフをまき散らしチャフ
第2作戦は各機高度を保ちつつ沿岸に備えてある揚陸艦保護のために目障りな中口径砲(155mm程度と思われる)の始末や兵廠の空爆と大まかにいえば2つに分かれていた。
「あの、質問が」
「何だ」
「特殊作戦群が空爆の前に潜入するとありますが空爆に巻き込まれる可能性がありませんか?」
「彼らは小隊程度で行動し、IRストロボを装着しているからFLIRでの発見は出来る。それに空自との共用の無線を繋いでそちらからも誘導を行ってもらう」
質問した藍野が納得したような顔になった。兵廠や対空砲の発見もどうしようかと疑問に思っていたので同時に解決したのだ。
航空隊の面々に作戦概要を伝えたという事で、司令は一時退出する。
「先ずは、だ。SEAD戦はハンター機とキラー機どちらが受け持つか決めようか」
切り出したのは青木だ。通常こういう場合、レーダー網に最初に近づきレーダーを照射されるかチャフをばら撒き安全地帯を形成するハンター機とその後方からレーダー位置を発見しミサイル又は爆弾を投下するキラー機に分かれる。誰もが委縮しているという訳ではないが、発言しかねている空気に気付き青木は続た。
「とりあえず隊長機の俺はハンターを務める。キラーはもしもの場合に備えて藍野がやれ」
「我が隊は5機編成ですが割合は?」
「ハンターを3つにする」
「では水城がキラー機でいいんじゃないかと」
碧海が発言した。もう一人の浅海も同意見、というかのように無言で軽く頷いた。
「碧海さん、いいんですか?」
「言わんとすることは判る。本来フェンにもデュロ爆撃にも参加したベテランである俺が最適任だってんだろ?」
うんうんと当然であるかのように自信の能力に語るが、彼の場合実際に高いので文句をつける場合青木位しかいない。言葉の意味的に水城はそうでないとは言いたいが違う意味で捉えられそうなのでとりあえず黙った。
「ただ手柄の機会は均等にがうちの隊のモットーだ。日本初のSEAD任務一番槍の名誉ははくれてやるよ」
「そんな…」
そんなの、隊全員の活躍あってではないか、とは思ったが碧山の優しさをとりあえずは甘受することにした。青木も決まったようだと感じ取り次についての話に切り替える。
「決まったな、んじゃ沿岸砲と対空砲についてだが…」
「何か問題でも?」
「これに関しては空爆の難易度というより空中接触しないかの方がが問題だ」
「でしたら各機高度差付けてで宜しいのでは?」
「まあそれが妥当だが、空対空爆撃のような事あってはならんぞ」
「まあありえなくはないですが…目標は狭い島ですし」
ガチャリと司令室の鍵が開いた。先程退出した司令が戻ってきたようだ。
「ん、大体各機事の割り振りは決まったようだな。では作戦課と仮想戦闘上での打ち合わせを行うが、いいか?」
「大丈夫です」
がたがたと各々が退出し、別室へと向かう。最後に出た水城が部屋の明かりを消した。
―――
一旦那覇港で第2護衛隊と別れた第6護衛隊はおおすみ型輸送艦2隻に輸送機で運ばれた水陸機動団の車輛、物資、人員を積載が完了するまで沖縄で舫をつないで待機をしていた。
予定では今日中にも完了する見込みではあるが舫をとくのは明夕となっていた。だが第2護衛隊は今もハレー島近くで海上優勢確保への任務を行っており、駆け付けられない歯がゆさを感じていた。
そして時刻も、群司令へ定時連絡する時間になった。
「そっちは騒がしいか」
「いえ、メディアや市民も駆けつけてはいますが。騒擾や左右両方デモが呼び起こることは…」
「在野も銃後ではない事を認識できる環境になったのは、良い変化ではある。引き換えになったモノは多すぎたが」
「一から始まったものが些か重要過ぎましたね」
「そうだな、本題に入るとして作戦要綱の再確認だが―――」
一応作戦情報の確認のためきりしまの艦長と情報を照合する。アンジャッシュ状態になるのは最も忌むべき事態であるからだ。幸い作戦情報の勘違いはなかった。
そして潜水艦の探知も問題なく終わっていた。いせの艦載ヘリやアクティブソナーを使わずとも複数艦の艦首ソナーで充分数や位置が正確に分かっていたからだ。
「はい、こちらが聞いた作戦情報と同じです」
「そういえば、戦艦を擁した艦隊、第10艦隊だったか、あれは何処が担当するんだ?」
「先ずは見つけてから――らしいですが、太平洋、ロデニウス海(パーパルディア皇国が接している海域)からのルートが想定されているのでそこは我々が対処すると」
「…東周りから来たらどうするんだ」
群司令はロデニウス大陸を日本列島に例えたルートを勘案し、不安を感じた。そもそも沖縄諸島から小笠原諸島沖にかけて、第2護衛隊群の護衛カバー範囲なのだ。
「その際は第3航空隊と陸自が対応に当たるそうです」
「第3航空隊はともかく、陸自か。新型の支給は間に合ったのか」
「聞く限りだとそうなのだと思われます」
第3航空隊は海上自衛隊所属の哨戒機部隊であり、この事件で第2護衛隊群がこの海域が留守になると決まった際クワ・トイネの東部の都市にODAで新設した空港に臨時で移動されていた。
「まあ我々が合流するのは丸1日後だ。それまでこちらは釣りを楽しんでいるさ」
「爆薬を使っての釣りはこの世界でも禁止されていますよ」
「別に魚を釣る訳ではないからな。それにしては小物だが」
きりしま艦長兼第6護衛隊隊長はモニター越しに敬礼し、群司令が通信を切り、定時連絡を終わらせた。
―――
彼らの通信から丸一日。C-2輸送機は降下実施点5000m上空にいた。搭乗しているのは昨日習志野から送られてきた第一特殊作戦群らであった。輸送機は与圧調整系統を開放しており既に減圧されていた。機の中では全員腕時計を見て群長が時刻規制が行なっている。
「全員時計を合わせるぞ。…2128…2129…57…58…59…2130、ジャスト!」
全員がGショックのスイッチを押し、午後9時30分で合わせた腕時計が時を刻み始めた。この機に乗り込んでいる第1小隊隊長は全員に降下に関するの最終確認を行う。
「いいか!本機は
「応ッ‼」
GショックにはGPSが内蔵されている機種があり、空挺部隊のこの人員らは全員それが内蔵されているタイプの腕時計をしている。だが前述したとおりGPSが消失したこの世界では使えなくなってしまった。なのでGPSが再建される一定期間、夜間では暗視装置による降下に切り替えるようになっていた。
夜間の降下は自分たちは降下地点の正確な場所が把握できない。だがそれによって敵もよほどのことがない限りこちらの降下に気付けないという利点も存在する。月明りがないこの日に夜間光源は存在しない。あとは降下地点に敵が偶然いないことを祈るだけだった。
「IR走査カメラに予想降下ポイントへの兵の動きなし作戦続行可」
「了解。作戦開始」
「後部カーゴドアを開放!」
「カーゴドアオープン!」
このC-2には降下用のIRSTカメラが搭載できるよう改修を行い距離30kmで人の捜索が可能な分解能があった。
「装備最終確認。自動開傘と時刻良いか」
「了!」
『
「降下!降下!降下!」
22:30。機内の緑のランプが点ると2機のC-2輸送機から200名の特殊作戦群が飛び降りた。
書いてて思いましたけど原作の名前付きキャラ一人も登場してませんね。
次話は田中タイキックがなくなったら投稿します。
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