追記2020/5/6 7話の上陸は改めて見て不要だと考え削除しました。
特殊作戦群が島に降下して1時間、風向きも考えキングフィッシャー隊は島にエンジン音が聞こえなくレーダーの抜け穴であろう成層圏で待機している。そして司令部から飛行隊に攻撃箇所が届き、どんどん島に肉眼では確認できないストロボが焚かれていき最終的に15か20近くに膨れ上がっていた。パイロンが無かったら周回してたのか無理やりF-15jにmk.82を載せてたと思うとゾっとしない。
「やはり空と地上同時に気を配るというのは難儀ですね。こういう時はJHMCS搭載機が羨ましい」
「何だ、そんなライノかイーグルに乗りたいのか?」
「いってませんて。しかもどっちも米軍機じゃないですか」
「別に止めはしないが応援もできんぞ。ツテがないから口利きも出来ん」
「米軍転籍より10年待った方がまだ蓋然性があります」
上空はキャノピー越し、地上はFLIRから投影されるディスプレーを眺める作業を並行して行う必要性があるので藍野が少し無いものねだりを言った。
そして司令部から全体に無線が来た。目標への最終確認を行うためだ。
『作戦に変更はない。承知していると思うが最優先の目標はレーダー施設、計三ヶ所だ。その次が沿岸砲と対空砲だ。この二つは隊を2つに分けて爆撃して同時に攻撃しろ。そして機関砲や陸自が発見した目標となる。皆被弾するなど思いもよらないだろうがしても攻撃は続けろ』
「高度は
「そうだ、その高さならMANPADSでもでも御しきれまい。それに威力も上がる」
「そんな装甲物はないでしょうに」
『…一応言うが貴隊が一番気を付けるのは空中接触だ。それで2機以上墜落なんてこれ以上の恥はないぞ。あと無線は陸自とのを使うように。先に上陸した部隊はそれを傍受する』
「了解」
『ではこれで最終確認を終える、以後の通信は攻撃を終えてからだ。詳しい指示は長機を当てにしろ。以上だ』
通信が切れた。高度は既に固定してある。敵はおそらくこちらのエンジン音が聞こえたら電灯を消すだろう、だがそれは意味のないことだ。既に位置は解かっているし今日は雲が出ていない。絶好の高空爆撃日和だ。残すところあと10分ほどになり向かっても良い時間となる。
「各機に通達、我が隊はこれより規定通りバラける。03,04は我に続け、高度を10mに落とす」
「了解」
「02は、わかるな?」
「04とともに待機し、既に空対地モードに移行完了」
「よし、
1機の航空機が先んじて機首を変えた刹那、他2機が機首をハレー島に向け、左方に捻り腹を上空に向けて降下を行った。到達するのは10分もかからない。地獄が具現するであろうその場所はまだ灯りが点々と光りまるで穢れを知らない子供の様だった。
―――
空爆まであと3分、その時間も知らない地上部隊の様相は狂乱の一言である。聞こえてくる音は空間と空間が引き剥がされるような異音、正に蒼い悪魔が先日出していた雄叫びと同種の物。しかも明らかに複数いるとなれば攻撃手段は空襲としか考えられないのだ。弾着観測のための航空機と考えられなくはないが見張員から艦艇が出現したという報は届いていない、故にそんな悠長なことを考える者は一人もいなかった。
「灯りを消せ―――!」
「砲手はすぐに射撃開始しろ!」
「塹壕に身を隠せ!」
事前に夜襲があった場合のシュスターが作成したマニュアル通り部下が準備を進ませており機関銃の砲手は既に射撃をはじめ緋色の糸が空に昇っていた。
何故曳光弾を使っているのかは、機関砲は撃墜する事が目的ではなく威嚇目的であり操縦を不安定にさせることが主目的だからだ。無論撃墜することは諦めておらず曳光弾は4発に1発の割合でありのこのこ近づいても不意は突ける。
この島の最高司令官であるシュスターは極めて優秀であり戦術的判断だけは正しく推測できた。だが、前提が間違っている以上戦略的な俯瞰はすることは出来ない。そしてシュスター自身はそのことに気付いた。となれば次にとる行動は決まっている。味方を信頼することだ。
「奴らは爆撃機を持っていない。なのに夜間に決行したという事は上陸作戦が近いぞ…!」
「敵航空機3機が急上昇し、何かを発射しました!」
「焼夷弾か!?」
「いえ、落下速度も遅いですし一つ一つが小さすぎます」
パパパパ、とオレンジ色の小さな光を灯したのち、機体の後方で炎上している火炎がどんどんと小さくなっていった。垂直で機体を起こしたのにあり得ない速度で姿を消した機体に一瞬呆然としたが、ハッと我に返りレーダーに追尾の情報を寄越させる。
「レーダー、敵機の姿は!?」
「こちら第3監視所、レーダー使用不能!」
「こちら第2島東部の捜索が出来ません!」
「こちら第1同じく!」
「司令、いったい何がー司令!」
情報を寄越させ、今度こそシュスターの思考が完全に止まった。こちらにしては意味不明な動きでも、確実に目的があり、結果が自分達に降りかかってからようやく何があったかを認識する。全く未知の出来事に思考が追い付かない。そして自衛隊はまたシュスターを現実へ引きずり戻させた。
「爆音が近づいてきます!」
「…各監視所、レーダーをとりあえず切れ!今の状況では闇夜に提灯だ!」
「…」
「…おい、レーダー!返答しろ!復唱はどうした!」
島の地が弾んだ。そしてその数瞬後、強烈な衝撃波と爆音が室内に伝わる。あるものは体にガラスが刺さり、あるものは横に吹き飛ばされていた。コンクリートで数週間ほど前にできた建造物の埃が舞う。
自衛隊は、待たない。その伝令を向かわせる時間をも許さない。3機のF-2により形成されたチャフ
―――
「fox3.fire」
「アクティブレーダーミサイルじゃないだろ、っと」
水城はARH誘導方式のミサイル発射コールを行い、藍野はそれを茶化した。それを上空で確認した隊長機の青木は無視し、次の割り振りに移る。
「ECM反応消失、レーダー施設破壊確認。では隊をこのまま分かち次の優先目標を狙うぞ。高射砲を叩く」
「こちらは沿岸砲ですか?」
「ああ、02,04は沿岸砲を叩け。合図は本機が行う。ブレイク」
「了解」
担当目標がある場所に向かう。5000mもあれば移動する必要もないがなるべく直下で喰らわせる為に移動を行った。沿岸砲はともかく高射砲は発砲している為位置がよくわかる。
「レーザー照射完了、そちらはどうだ」
「終えています、いつでも大丈夫です」
「ダブりはないな?よし、A,B,Cとα,βにドロップ」
「02,04全弾命中、我が方は目標が多いため第2波が必要だ」
「長機、こちらも同じだ。第2波の投下指示を」
「ああ、レーザー照射後直ちに投下しろ」
「了解」
第2波が青木の指示の元投下される。そして第1波と目標を捉え同じく撃ち損じなく攻撃を終えた。この爆撃でおそらく数十人は吹き飛ばされ、遺体すら残らない者もいる筈だ。だが飛行隊に感情に囚われている者はいなかった。ただ機械的に黙々と次の優先目標を叩く作業に没頭する。LJDAMの残弾は32発だ。
「02,04へ、機関砲も数が多い。こちらは東側、そっちは西側を担当しろ。合図はこちらを待たなくてもいい」
「勝手にやっても宜しいのですね?」
「ああ、無駄撃ちはするなよ。あと自機レーダーに目を配らせておけ」
「了解、ターンヘディング」
「04、コピー」
沿岸部にいた2機のF-2がグオと機首を変えて移動する。島の中ほどにいた3機は待たずに先に爆撃を開始している。恐らく車載の機関砲を先に叩いたんだなと藍野は思った。島の西側にある機関砲は掘りにあるような大型のもので今の青木の視野は広く冷静であった。
―――
「なんだ、これは…」
シュスターは認識が甘かったと再度後悔する羽目になった。敵のエンジン音が強くなることなく爆音がとどろいた。これは水平爆撃をした証拠だ。立て続けに鳴らなかったので少量を投下したのだろう。ならば奇跡的に無傷かもしれないという思いがあったがその願いは消え失せた。今も建物外から見える爆炎はレーダー施設の方であり被害報告が来ないのだ。
「大隊長、流れ弾に当たったら事です!お戻りください!」
「あ、ああ…うおっ!?」
島が再度揺れ、完全に同時に違う場所から爆炎と衝撃波が響き、そしてそれは高射砲と沿岸砲のある場所からだった。内紛か事故かどちらかの方が精神安定的にまだマシだ。敵が夜間に重要拠点のみを狙い、破壊できる技術を持っていると理解することを感情が拒否していた。
敵の音に変化は感じられない。やはり急降下爆撃ではなく水平爆撃であの命中精度を叩き出している。静止目標である固定砲台やレーダー施設は確かに水平爆撃でも当てられるし、地表が見えにくい夜間なら水平爆撃を選ぶだろう。だが一発ずつ正確に当てるなんて狙って出来ることではない。
「航空士、今の爆撃をどう思う」
「…人間じゃないの一言ですね、もはや練習でどうというレベルの話ではありません」
「やはりか、糸でも垂らして爆弾を伝わせてるんじゃないだろうな」
「そうでもしないと、無理です」
少々の冗談を交えたつもりだったが真面目に返されてしまった。そしてシュスターがいった推論はLJDAMの誘導方式的にはあながち間違いでもなかった。
指令所に戻るとガラスは割るかテープが貼られ、唯一灯りが使える地下室で軽傷者の順から手当てを始めており懸命の復旧作業が行われていた。
「ここは大丈夫なんだよな…?」
「この指令所は鉄筋コンクリート製ですし爆風には滅法強いはずです」
「狙われたらおしまい―――」
また爆発が起きた。近場に落下したのか爆風によって飛ばされた石が空気を切り裂いて高音を奏でる。恐らく銃弾にも匹敵するそれは当たれば致命傷になるだろう。
現状激しく取り乱している者はいないがいつ出てくるかもわからない。敵航空機が大量ではなく少量の爆弾をあり得ない精度で落とすので逆に恐ろしく感じる。
―――
『
「ここに落ちるぞ、身をかがめろ!」
降下した特殊作戦群は空爆の最中は特に動くでもなく担当目標の監視を行っていた。見張らせる場所がなかった時は一緒に降下を行ったドローンを活用する事になり、それらは沖合数10kmの海域で待機しているいせの多目的フロアで操縦が行われていた。
監視が終わると一時着陸させ給油を行い、そして一班に数目標が割り当てられるので離陸させたら次の監視に向かう。夜と言えど夏の南の島で長袖のボディーアーマーは堪える。
島にあるかもしれない罠類は歩哨を行っていた班をとっ捕まえて質問をした。笑顔で聞けば献身的にサポートを行ってくれる気の良い人達だった上、空爆により地上の警戒が散漫で比較的自由に行動できる。
「現状潰したらしい拠点は18だ。回っている最中も新しくは発見していないしもうひと踏ん張りだな」
「時間的には10分も掛からなそうですね。むしろこっちが遅くしているというか…」
「一番我々が命張ってんだ。これくらいは許してくれるさ。あと熱中症になると事だ水分はちゃんととっておけよ」
「了解!」
数分の小休止を置いたのち次の目的地へと走る。ドローンが無かったらこうはならなかったなと走りながら
目的地に着き、監視が出来る場所に待機した。その数十秒後、傍受しているF-2の通信からこの場所の空爆を明言する符丁がコールされた。
「…よし、我が班が担当する全ての目標の破壊の誘導を確認しました」
「ああ、他も同じでだろう。これで次のフェーズに移行できる」
「水陸機動団が上陸する、空爆できなかった洞窟の中にある拠点を重火器で一蹴する第3段階ですね」
「その前に如意自在が動くぞ」
―――
接岸できそうな砂浜がある東側は、担当する班から不自然な行動を起こす兵員はいないという報告はある。地雷なども一週間後戦艦を擁する艦隊が来る予定の島に態々トラップなども用意しないだろう。だがその前提で動きもし設置されれば大変なことが起きるのでそれを防止する班も存在する。
この班だけは任務が特殊であり施設の監視ではなく人の動きの監視が主任務となっている。そして事情が事情ならば水陸機動団が上陸する前から射撃が許可されている。指令所らしき施設をコンクリートマイクで盗聴していた所そんな指示は聞けなかった。
上陸まで1時間もないので責任者らしき男はもう用済みだ。指揮官含め内部にいる全員生かしておく必要はないのだが施設そのものはまだ
施設周辺には5つの班が取り囲み、内部の人間はそれに気づいていない。
「距離523m,窓にいる右から2番目の男」
「ああ、見えている」
「風は北から秒速0.5m。目標はヘルメットを装着している」
「了解…カウントを」
「5,4,3,2…」
「…1,ヘッドショット。続いて2番目に偉そうな奴に照準を合わせる、今倒れた奴を運ぼうとしてる奴だ」
「……」
観測手は帝国の
「腹部に命中、恐らく致命打だ。撤退するぞ」
「あぁ、急ごう」
位置は完全に露見、そして特殊作戦群の存在も割れることになった。だがそれ以上の損害をあちら側に与えた。狙撃班如意自在は近場にいる班と予定通り合流し狙撃地から姿を消す。
これにより水陸機動団が上陸するという第3フェーズに移行した。
何で空爆しなかったかは聞かないでください…。
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