「床ウマ」
俺は地面を舐めていた。
もう一度言おう。
四肢をすべて投げ出して、俺は地面を舐めていた。
ちなみに付属品として上にはスライムが乗っている。ウワーイカワイイ
などと考えている場合ではない。薄れていく意識の中、俺は必死に何が起こったのが考えていた。
時は20××年。一つの技術が凄まじく発展していた。
そう、VRである。進化に進化を重ね、今やフルダイブ機能をも可能になったほどだ。
そしてこの技術を駆使して作られたゲーム、『End of the World』通称『EW』が世界中で流行していた。
他にも多くのフルダイブ型ゲームがある中でこのEWが多くのプレイヤーに遊ばれているのには訳がある。
それは………あえてここで言う必要はないだろう。これから嫌というほど分かるだろうから…
「よっしゃ届いたEW!!」
発売してから数日で店から消えた幻のゲームを手に入れた一人の男ははしゃいでいた。
それはそうだ。世界中にプレイヤーがいるとはいえ、日本では数日で売り切れてしまったゲームだ。日本サーバにアクセスしている人はまだまだ少ないだろう。
そんなゲームがプレイできるというのならゲーマーとしてこれほど嬉しいことはない。
「え~っと~…ふむ……なるほど!わからん!!とりあえずやってみるか!!」
日本語に翻訳された説明書を読んでいたのだが、秒で諦めベッドにポイ
「このディスクをここに刺して、ここをこーして、準備完了!それじゃ…」
「コネクト・オン!」
突如眠気のような物が頭を襲う。
体から力が抜けていき、意識は途切れた。
意識が戻ると、目の前に小さな女の子が立っていた。
腰まで伸びる銀色の髪に左右で色の違う瞳。140cmほどの小さな体に不釣り合いなほど大きな胸は明らかに日本人のものではない。
「は、はろー、あい きゃんと すぴーく いんぐりっしゅ…」
「Hello 言語は英語をお望みですか?」
「え?あ、日本語喋れるんですね…いや、言語は日本語でお願いします。」
その言葉を聞いて少女は首をかしげる。
数秒間俺の顔を眺めていた少女だったが、やがてはっとした顔に変わる。
「もしや最初の言葉が聞こえていなかった…?これはセラ、一生の不覚です。申し訳ございません。」
「うわぉ完璧な日本語…」
「では改めまして… ようこそマスター。これからお世話をさせていただきます。AIのセラです。よろしくお願いします。」
ペコリ、と頭を下げるセラさん…セラちゃん?どうにも容姿と話し方が一致しないんだよなぁ…いっそのこともっと幼女っぽい喋り方ならいいのに。そう、妹キャラとか
「わかったよお兄ちゃん!!テヘペロ♪」
「うわぁぁぁすいませんでした元に戻してくださいぃぃぃぃぃ」
「はぁ、はぁ、危うくロリコンになるところだった…」
「落ち着きましたか?ではキャラクター設定を始めてもよろしいでしょうか。」
「え?あ、はい!せひぜひ!」
「わかりました。それではまずはプレイヤーネームをお決めください。」
「ユウキで!」
「最初に浮かんだ『イキリト』はよろしいのですか?」
「あんな女たらしにはなりません」
「わかりました。プレイヤーネーム『ユウキ』………まだ登録されていないお名前ですので使用可能です。それでは次に…」
どんどん設定は進んでいく。見た目や声質なども変更できるので結構楽しい。
「それでは最後にあなたのチートをお選びくださいませ。」
きた!これこそがこのゲームの人気の理由だ。それぞれが自分の好きなチートを100以上の中から選び、それを駆使して遊べる。これほど楽しいことがあるだろうか。
「『ステータスUP』に『属性コンプ』、一つを限凸させることも可能か…色々あるな…」
「複数選択も可能です。しかしその場合ペナルティも強力になりますが。」
「ペナルティ?」
「はい。例えば『属性コンプ』ですとチート度は3ですのでペナルティ3が課せられます。ペナルティ3ですと、『毒耐性DOWN』や『魔法適正DOWN』などがありますね。」
「そのペナルティは選べるの?」
「いえ、チート度に見合ったペナルティが100以上の中からランダムに選ばれます。」
ふーむ、チートを選びすぎるとペナルティがエグいことになるってことか。
出来るだけ少なく…俺は基本武器は刀でいきたいからこれは必須…あとはこれも欲しいし…よし!
「この3つで!」
「はい。『筋力限凸』『魔法耐性限凸』『千里眼』でよろしいですか?」
「はい!」
「では『ユウキ』様。EWの世界をお楽しみくださいませ。」
その言葉が聞こえた直後、視界が真っ白な光に包まれた。
「おぉ…」
視界にだんだん色が戻ってくる。最初に見えたのは緑。右を見ても左を観てもひたすらの緑。これは草原のエリアだろうか…
「いたっ」
突然足に衝撃が走る。見下ろすとそこには一匹のスライムが。
「へぇ、敵キャラじゃん。まずはお前で腕試しを…!?」
体から力が急激に抜けていく。それはまるでこの世界に入る時に感じたあの脱力感のような…
「あ、申し訳ございません。セラ、一生の不覚でございます。お伝えするのを忘れておりました。」
突然頭の中にセラの声が響く。驚いたがもう口を動かすことさえ出来ないので黙って耳を傾ける。
「ユウキ様のペナルティですが………『HP1』でございます。」