第六幕 将軍との謁見と驚愕の事実
京で蔓延っていた裏取引を検挙した祐希とクニナガ。その際にクニナガが怪我をしたので将軍ヨシテルの好意により二条城へと足を運ぶことになった。
二条城の固く閉ざされた門が開き城の中へと招かれた祐希とヨシテルにお姫様抱っこされているクニナガ。
一先ず傷を診るとの事で薬草が保管された医務室と言える場所までをクニナガを連れていく。
「此方が傷に良く効く薬草がある部屋です。」とヨシテルが先頭で部屋へ入る。
「私も全て把握しているわけではありませんが、大体どれが効くかは判りますので安心してください。」
「ヨシテル様ここからは私が処置いたしますので少し御休みになられては。」
「ありがとう。ミツヒデ。しかし彼女は義昭の命の恩人。ならば姉である私が治療をすべきだと思います。」
「しかし。」
「ミツヒデ殿 俺も多少の医術の心得はあるから任せてはくれないか?」
「ミツヒデ殿。ヨシテル様のお気持ちもありますし此処はお任せしても宜しいのでは?」「ユウサイ殿……判りました。」
「心配してくれてありがとう。ミツヒデには義昭のことをお願いしても宜しいですか?」
「かしこまりました。失礼致します。」
「ではヨシテル様。私も職務に戻らさせて頂きます。祐希殿ヨシテル様を頼みます。」
「あぁ任せとけ。」
「ではクニナガ殿、包帯を取りますね。」「ありがとうございますヨシテル様。」
「診たところ其処まで深い訳ではないし肩から腕に流れる神経も問題なさそうだ。」
祐希は薬草を合わせた塗り薬があるかをヨシテルに効くと保管されていた容器をヨシテルが持ってきた。
「それでは塗りますね。多少染みますが我慢してください。」「ッツ」
そうして塗り終わり祐希が取り出した細胞組織を活性化させて治りを良くする術式を込めた包帯を出しそれをヨシテルが巻いていく。
「これで大丈夫ですね。後は傷が癒えるまで何度か包帯を巻き直してください。」
「お風呂も出来る限り、左肩を熱しないようにすれば入っても問題ない。包帯は水も弾くものだからそのままで大丈夫だ。」
「ありがとうございました。貴重な薬を私のために。」
「感謝するのは私の方です。義昭は私にとって唯一の家族です。それを救ってくれた方には最大限の礼を尽くさなければ将軍としても姉としても恥ずかしいことです。」
「ヨシテル様は立派ですね。お若いながらも家臣にも慕われていて。」
「私は良い家臣に恵まれました。しかし、前将軍から遣えるものからすれば私はまだ未熟者です。」
「人間誰しも最初から何でも出来るなんてあり得ないんだ。大事なのは学ぶ姿勢と自分自身が何をしたいのかを考えることだと思うな。」
「自分自身が何をしたいかですか?それは将軍としてではなく私個人のものでしょうか?」
「こればかりは自分で気付かないといけないことだ。他人の考えで出す答えよりも自分自身が出したことなら納得も出来るしな。敢えて言うなら他の戦国乙女に会ってその姿勢を見るのも有りかもしれない。人間誰しも考えは異なるからそれを聞いた上で答えを出したらいい。幸い時間はまだまだあるだろうしな。」
「祐希殿。ありがとうございます。」
「……ワタシニハジカンナンテソンナユウチョウナコト…」
「?クニナガ殿どうされましたか。」
「いえ何でもありません。」
「そうですか。お二人とも日も暮れて来たので城で寝泊まりしてください。それからお二人をもてなしさせて頂きます。此方へどうぞ。」
「ありがとうございます。ヨシテル様。」
「(……さっきのクニナガの言葉…近い将来何か不吉なことが起きるか知ってるみたいにも感じられるな。)にしても遠目から見るとあの二人まるで姉妹みたいに見えるな。」
そうして日も暮れて夕食の時間となる。京の都で取れた野菜や山菜に魚や鹿肉等が出され、クニナガがご飯を10杯程お代わりして驚かれたり等あったが何気無い話で過ぎていった。
そして、様々なことがあって疲れている義昭を布団へ寝かせにいったヨシテルが将軍の間にて話をしたいと言い、クニナガ、祐希とユウサイ、ミツヒデを将軍の間へと誘った。
「まずは今一度義昭を救ってくださりありがとうございました。」
「ヨシテル様。私は人として当たり前のことをしただけです。」
「その当たり前のことを出来る方は少ないものです。だからこそ聞きたい。貴女方はどう言った目的でこの京の町へ来たのでしょうか?」
「どういう目的とは?」
「数日前から幕府でも頭を抱えていた作物の被害が減りました。村人から話を聞くと刀を持った青年と少女の二人組が助けてくれたと言いました。これは貴女方ですよね。何故その様なことを?」
「作物が取れないことで、貧しい村人たちの生活がこれ以上困窮しないようにしたいと言う善意と少しの打算がありました。」
「善意は解りますが打算とは?」
「ヨシテル様に謁見し話をしたいと思っていました。幕府で頭を抱えていた問題ならばそれが解決したなら必ず調べると思っていたので。」
「成る程。それで私に話しとは何でしょう?」
「ヨシテル様。お待ちを。義昭様を助けていただいた手前ですが素性の分からぬ者の話しを聞くのは危険では?」
ミツヒデの指摘にクニナガはそれもそうかと納得する部分があった。素性がわからない者と将軍が話すかとなど普通は有り得ないことだからだ。しかし彼女の思っていないところから擁護する声が。
「ミツヒデ殿。確かに彼女らは素性がわからないかもしれませんが少なくとも善人であることは間違いありませんよ。」
「ユウサイ殿。何故断言出来るのですか?」
「それは彼女が祐希殿の連れだからと言うのが一つです。私は半年前に祐希殿に助けられました。そうでなければ今頃私ではない私が居たかもしれません。それに彼女の目は純粋な目をしています。覚悟を決めた力強い瞳です。何かあれば私が責任を取ります。」
「ユウサイがここまで言うのです。ミツヒデわかってくれませんか?」
「ヨシテル様。入らぬことをしました。申し訳ありません。」
「良いのです。貴女は私を心配してくれただけのこと。謝る必要はありません。クニナガ殿貴女が私に会って話したいこととは?」
「私が話したいことは3つあります。まずひとつはヨシテル様はカシン居士というものを知っていらっしゃいますか?」
「カシン居士?聞かぬ名前ですね。」
「ヨシテル様。お話を遮ってしまい申し訳ありません。しかし彼女に聞かねばならないこと故、宜しいですか?」
「ユウサイ。貴女はもしやそのカシン居士を知っているのですか?」
「知っていると言うよりも半年前私はカシン居士に殺されかけました。いえ、乗っ取られ掛けたといった方が宜しいでしょうか。」
「乗っ取るとは一体?」
「カシン居士は言うなれば世界を滅ぼそうと古い時代から生き続けている存在です。訳合ってある方を守るため、私自身カシン居士を滅ぼそうと身体のなかに入れました。しかしカシン居士は私の意識を消し私に成り済まそうとしたのです。もし乗っ取られていたら、ヨシテル様方を危険に晒していたことでしょう」
「ユウサイさん。今の貴女はカシン居士に乗っ取られていないと言うことでしょうか?」
「えぇ。幸い寸前に祐希殿に救われました。あと少し遅ければどうなっていたことか。」
「どうやら貴方にも御礼をしなければならないようですね。私の家臣を助けていただいたこと深く感謝致します。」
「頭をあげてくれ。偶々そこにいてユウサイ殿を助けられる術を持っていただけのことなんだ。」
「祐希はどうやってユウサイさんを助けたの?カシン居士は肉体を持たない幽霊みたいな存在なのに。」
「それはこれを使ったのさ。」
と取り出したのはおふだである。
「これは札ですか?」
「只の札じゃない。とても強い対魔の力、邪悪を祓う事が出来る札なんだ。これでユウサイ殿からカシン居士を切り離したんだ。普通の札よりも丈夫でかつ高威力だけどそう何枚も作れるものでもないから貴重ではあるけどな。そして追い出したあとこれに封じた。」
と厳重に蓋をされた瓶を取り出した。
「この瓶が割れるでもしない限りカシン居士は復活はしないはずだ。」
「そうなんだ。良かった。」
「クニナガ殿。貴女は何故カシン居士を知っていらっしゃったのですか?あれは我々の一族の中でも限られたものしか知らない存在であるのに。」
「その質問は最後に説明します。なのでそれまで待っていただけませんか?」
「分かりました。」
「カシン居士については分かりました。クニナガ殿がその危険を伝えようとしたかとも。」
「私もカシン居士については安心しました。まさか祐希が解決してたとは思わなかったけど」ツーン
「悪かった。まさかカシン居士のことだったとは知らなくてな。」
「まぁいいけど。」
「話しを戻して。二つ目の話です。」
「ヨシテル様は死を振り撒く呪いの桜をご存じですか?」
~クニナガサイド~
「死を振り撒く呪いの桜をご存じですか?」
祐希がカシン居士を封じていたことは正直驚いたけど、前の時と違ってユウサイさんが味方なのは正直有難い。魔法のこともそうだが彼女は知識が豊富であるから色々知りたいことを知っているかもしれない。悩みの種が減ったことを考えれば嬉しいことでもあり心配事が減ったことでやれることが増える。
「桜は分かりますが……呪いの桜ですか。曰く付きの桜の事でしょうか。私も京の町に長くいますが聞いたことがないですね。ミツヒデとユウサイはどうですか?」
「申し訳ありません。私もその様なことは聞いたことがないですね。」
「私も分からないですね。」
「そうですか。」
残念ながらどうやら収穫は無いようだ。何か情報を得られればと思ったが、そう簡単にはいかないか。
「その桜はどういうものですか?」
「私も詳しくは知らないんです。でも分かるのはその桜に触れると生命力を奪われて死に至る恐ろしいものぐらいしか……」
あの桜の力がなければあの人も死ぬことはなかった。クニナガは知らず知らずの内に手に力が入る。
そうして話しを終わらせようとした時。
「その桜の呪いは無差別で死に至るまでにどれぐらいかかる?」
祐希がそう聞く。
「無差別で少し触れるだけで数日寝込むこと、桜に触れ続けるとその場で死ぬ。」
そう言うと祐希は上を見る。
「祐希殿はその桜を知っているのですか」とヨシテルは尋ねる。
「確証がないんだがもしかしたらっていう推測のものになる。」
それは今まで手がかりを得られなかった物に手が届いた瞬間だった。
「それでも良いの!!お願い教えて!!!」
今までのクニナガを知っている祐希はとても真剣で藁にもすがる思いをするクニナガに言葉を紡ぐ。
「その前に将軍さん。西行法師という歌人を知っているか?」
「西行法師でしたら知ってます。今も京では彼が残した歌は有名です。」
「西行法師が亡くなった理由は分かるか?」
「確か身体が桜へ向いて倒れてそのまま眠るように亡くなったと書物にありました。」
「西行法師に娘が居たっていう話しは。」
「西行法師には娘が一人居たとあります。彼女については色々謎があって西行法師が亡くなった次の年に突然居なくなってしまったらしいです。」
「十中八九決まりだな。縁っていうのはバカにできないな。」
「祐希殿。勿体振らずに教えて戴けませんか?」
「あぁ済まないユウサイ殿。その呪いの桜は西行妖だと思う。」
西行妖それが呪いの桜の正体。
「西行妖は人の生気を吸って成長する妖怪桜。多分だが西行法師とその弟子たちそこに住む住人まで手当たり次第に生気を吸っていった。記録がないのは多分だがそれを知るものがいない内に封印されたからだろう。」
「祐希殿。貴方は何故其処まで詳しく知っていらっしゃるのですか?私も色々な書物を見てきましたが知りませんでした。まるで実際に見たようです。」
「将軍さん。まるでじゃなくて実際に見たことがある。此処とは違う場所で。」
「祐希どうすればその桜を消滅させられるの私はもう二度と大切な人を喪いたくないの!」
「一先ず今の西行妖は封じられている状態だ。だから封印が解けなければ無害なだけだ。もし解けたときは俺が何とかする。」
「でもそれでもダメなら。」
私はあのとき庇われた。そのお陰で今も生きている。しかし自分には桜に対処できる力がない。祐希には色々世話になった。私の勝手に付き合わせてもし万が一死んでしまったら。私のせいで ワタシノセイデ
マタシナセテシマッタラ。
その時クニナガの頭に手をのせた。
「クニナガ。お前の過去に何があったかは詳しくは知らない。お前の気持ちがどういう物かもわからない。だけど、俺は約束は破らない男だ。だから信じてほしい。」
「本当に?祐希は私の前から居なくならない?私を置いてかない?」
「あぁ。約束だ。お前を一人にしないと誓うよ。」
「ありがとう。本当にありがどうぅ」
今まで自分一人で本当に出来るかわからない不安と自分の性で誰かが傷つかないかの恐怖があったクニナガは初めて安堵し祐希の胸の中で涙を流す。
そうしてひとしきり落ち着いたクニナガは自分の秘密を打ち明ける。
「ごめんなさい。話しを途切れさせてしまって。」
「いいえ。貴女の気持ちを知れて良かったです。気にしないでください。そして最後の話しとは?」
「私のことです。私が何故カシン居士を知っていたのか。呪いの桜のことを知ってたかそれは…」
「私が時を越えて未来から来た存在だからです。」
あとがき
待ってる人がいるかはわからないですが第六幕やっと投稿できた月光です。
社会人になり仕事の忙しさで執筆作業が中々進まず気付けば前回から2ヶ月経ってました。今回で漸くタイトルの時を越えし乙女がクニナガのことだと判明しました。因みに彼女はある存在の未来の姿になります。その正体はまた次回以降で。
そして東方で幽々子が亡霊になった原因の西行妖。公式では言及されてませんが小説内では西行法師の娘とさせてもらいます。因みに戦国乙女の世界には幻想郷がありませんので西行妖は封印されてる状態で何かに守られているわけではありません。
最後に活動報告でアンケート実施するので協力お願いします。内容は紫を出すか出さないかです。
一応アンケートは1週間で締め切ります。出す場合は西行妖とがっつり関わり出さないなら祐希との会話シーンだけ出します。
次はもう少し早く投稿出来るようにしたいですね。そしてFGO二部4章が何時になるのか気になるところです。今回も読んでいただきありがとうございました。
早速次に取りかかり、はて原稿がない一体どこに? キィィィィィィ
ん?あれはキテルグマ?手に持ってるのは?
( ゚д゚)ハッ! 待ってくれーそれは次の原稿だー。 グゥゥ
続きはキテルグマが巣へと持っていってしまいました。
出雲 祐希 補足
祐希は幻想郷に行ったことがあり、そこで昔世話になった永琳から医療を学びました。永琳には及ばずとも大抵の怪我は治せる腕と知識を持っています。そして博麗神社に定期的にお賽銭を入れているため、霊夢とも知り合いで、(祐希の賽銭でご飯を食べている状態)霊夢からそのお礼に博麗印のおふだを何枚か譲ってもらい、さらに八雲紫とも知り合いそこで西行妖について知ったとのこと。
今後の予定
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番外編で相模の地に寄る
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ノブナガのところに久しぶりに寄る
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室生オウガイに戦いを挑まれる
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番外編を挟んで原作へ
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三人目の逆行者の正体が知りたい