D-クロニクルズ   作:ホワイト・ラム

13 / 18
ゲームに夢中ですっかりご無沙汰……うーん、いろいろすいません。


禁断の影 ~蠢く者~

「俺のターン。ドロー、マナチャージ。

2コスト使用。『斬斬人形コダマンマ』を召喚」

虚ろな目をした男が、淡々とデュエルを進めてく。

まるで機械の様な一切の抑揚を捨てた、無機質な声で進めていく。

 

『何なのよコイツ……気味が悪いったらありゃしない!』

その異様な雰囲気は想護の相棒にも伝わったのか、コートニーが悪態をついた。

 

「使用デッキは多分だけど、火単速攻……だよな?」

 

『事故って、2ターン目で光のマナが来ていないだけの可能性もあるわよ』

二人が視線を絡める。

デュエルは相手の先手で始まり現在2ターン目。

相手のバトルゾーンには、先ほどのターンに召喚された『ブレイズクロー』。

そしてマナゾーンにはバイクに跨る真っ赤なクリーチャーが2体。

 

「『バイク』は確定か」

想護が苦い顔をする。

『バイク』とは、ソニックコマンドというクリーチャーたちを使った速攻デッキであり、3~5ターン目に勝負を決めてしまう超攻撃デッキの総称である。

使用する文明によって前後するが、いずれにせよかなりの攻撃速度を持つのは共通している。

 

「コダマンマの能力発動。シールドを手札に加える」

赤いぬいぐるみが腕を振り上げると、男のシールドが一枚手札に加わった。

 

「手札補充か……」

速攻は手札の消費が非常に速いデッキである。

その為、使用できるカードが増える手札補充は戦略として非常に優秀なのである。

だが――

 

「加えるカードを墓地に送る」

男はそのカードを直接墓地に送ってしまった。

 

S(ストライク)バックか!」

 

「手札より『デュアルショック・ドラゴン』を召喚」

男のバトルゾーンに現れるのは、真紅のドラゴン。

翼を広げ、右腕の剣を雄たけびと共に振り上げ、自身の盾を一枚破壊した。

『デュアルショック・ドラゴン』は登場時に自身の盾を破壊する能力を持っている。

だがその代わり、シールドの火のカードを捨てる事で自身をバトルゾーンにタダで召喚する能力を有している。

 

「ブレイズクローで攻撃」

2足歩行するトカゲの様なクリーチャーが腕の爪を振り上げ、想護に襲い掛った。

盾が割られ、想護の手札に加わる。

 

「ターンを終了」

 

男 盾3 マナ2 手札1

 

「盾が減ったとはいえ……

この状況は……」

相手のバトルゾーンを見て、想護が小さく舌打ちをする。

ブレイズクローに、コダマンマ、更にはWブレイカーを備えるデュアルショックが控えている。

想護の盾は4枚。

このままトリガーが無ければ、次のターンで全てのシールドを割られ、もしスピードアタッカーを引かれたらその場で負けが確定する。

だが恐ろしいのはそのスピード。

想護はまだ、クリーチャーを召喚してすらいないのだ。

 

「そんなワケ行くか……そんなワケに行くかよぉ!!

ドロー!!マナをチャージして2マナ!

頼むぞコートニー!」

 

『まったく無茶いうんだから!』

想護のマナが2つタップされ、相棒のコートニーが召喚される。

 

「だけど、これ以外出来ない……ターン終了だ」

そう、出たターンクリーチャーは攻撃する事が出来ない。

マナも使いきった。

想護に出来る事はもう何もない。

 

想護 盾4 マナ2 手札5

 

「くそっ!こんなとこで、モタモタしてられないってのに」

 

『落ち着きなさい想護。短気を起こすのはアタシの役目でしょ?

アンタはいつも冷静でいなさい。

じゃないと――』

 

『ガァアアアアア!!』

コートニーの言葉も途中で、デュアルショックの攻撃が想護に迫る!

 

「!? ニンジャストライク1!『光刃忍 ライデン』!」

想護のバトルゾーンに、光のクリーチャーが現れる。

 

「ブレイズクローをタップ!」

ライアの効果でブレイズクローが体制を崩す。

しかし、それでもデュアルショックの攻撃を止める事は出来ない――

 

パリん!パリッ!

 

1枚、2枚と想護の盾が割られる。

 

「っ!ぅうううう!!」

飛び散った破片が、想護の身に刺さる。

そこに男が冷淡に告げる。

「ターンを終了」

 

男 盾3 マナ3 手札1 

 

『へぇ、鉄面皮ってこういう奴の事言うのね』

ギリリとコートニーが歯ぎしりをする。

有利な状況に運んでいるにも関わらず、男の態度はやけに冷静だ。

そこから感じ取れるのは、一切の躊躇もない純粋な『作業』。

Aのスイッチを押されたら①の動作をする、Bのスイッチなら②の動作、と言ったようなある種の機械的、あるいは昆虫的な動きに感じられた。

 

「……ターンの終了時、ライデンはデッキのボトム()へ送られる」

想護のライデンが、忍者の様に印を結ぶと書き消えた。

ニンジャストライクでバトルゾーンに出たクリーチャーたちはそのターンの終了時にデッキの一番下へと帰ってしまうのだ。

 

「俺のターン、ドロー!……よし、これなら!

俺はマナを一枚チャージ、そして呪文『フェアリーミラクル』を使用!」

今しがた3マナになった想護のマナがこれで一気に5マナまで増える。

 

「よしっ!落ちたマナは両方とも単色マナだ。

これで、コートニーをもう一体召喚だ!」

 

想護のバトルゾーンに、もう一体コートニーが現れる。

 

『自分がもう一人って、びみょーにイヤなのよね……』

コートニーがもう一体の自分を見て顔をしかめた。

 

「安心しろよ。すぐに、入れ替わらせるからさ!」

 

『ふぅ~ん、そういう事か』

何かを察したコートニーが、その場でぴょんぴょんとウォーミングアップを始める。

 

「コートニーでブレイズクローを攻撃!

その時に――」

 

『革命チェンジよ!!』

コートニーが飛び上がり、右腕を高々と掲げる。

そして、想護の手札から一体のドラゴンが現れ、コートニーと手を打ち合わせる!

 

一面(イメン) エニク=アークをバトルゾーンに!」

その姿はイメン=ブーゴを想起させる姿をしていた。

そして雄々しく咆哮し、ブレイズクローを戦闘で破壊した。

 

「さっき召喚した、コートニーでシールドをブレイク!」

コートニーが追撃し、男のシールドを奪う。

 

「エニク=アークはマナゾーンに5つの文明が有れば、自身のクリーチャーすべてをスピードアタッカーに変える。

コートニーの効果で、当然条件は達成済みだ!」

ブレイズクローを倒し、シールドの数も並んだ。

おまけに次に出るクリーチャーも皆スピードアタッカーだ。

 

(それに……)

想護は自身の手札を見た。

ニンジャストライクでブロッカーを持つハヤブサマルと、最早常連となったデッドブラッキオ。

5マナ溜まった今では相手のクリーチャーをカウンターでマナ送りに出来る貴重な防御カードだ。

 

(ハヤブサで守って、割られた盾からデブラで追撃……そして返しのターンで、手札に戻って来たコートニーの達で決める!

ようやく、希望も見えたきたな……)

想護が手札のカードを見る。

 

「俺はこれでターン終了だ」

 

想護 盾2 マナ5 手札3

 

「俺のターン、ドロー。

呪文『瞬閃と疾駆と双撃(パーフェクト)の決断(ファイア)』」

 

「な!?」

想護がそのカードを見た瞬間、顔色が悪くなる。

それは3つの効果から2つを選び、自由に使える呪文のシリーズの一つだった。

その効果はそれぞれ――

①コスト3以下のクリーチャーを手札から踏み倒す。

②自身のクリーチャーにスピードアタッカーを付属させる。

③自身のクリーチャーの攻撃後にアンタップという物だった。

 

「能力の一つ目、踏み倒しを選択。『覇王速 ド・レッド』をバトルゾーンに」

バトルゾーンに現れるのは、バイクに跨った真紅のクリーチャー。

これが、このデッキがバイクと言われる所以でもある『ソニック・コマンド』だ。

ド・レッドが姿を現すと、ドキンダムの封印が一つ外れた。

 

『3ターン目にして、ようやくお出ましってワケね』

手札のコートニーが口を開く。

 

「能力の二つ目、攻撃後にアンタップを選択。ド・レッドを攻撃後にアンタップ。

ド・レッドで攻撃」

 

「まさか……!?」

ド・レッドが走り出す。

そして――

 

「侵略発動。『轟く侵略 レッド・ゾーン』」

ド・レッドが一瞬で変形して、大型クリーチャーへと変わる。

これこそが、攻撃時に無料で進化できるギミック『侵略』だ。

 

「に、ニンジャストライク!ハヤブサマル!!ハヤブサマルでブロックだ!」

想護が手札からハヤブサマルを呼び出し、自身の身を守らせる。

レッドゾーンの拳によってハヤブサマルは叩き潰され、地面に叩きつけられた。

更に――

 

『ぐぅああああああ!!!』

レッドゾーンの拳が、エニク=アークを貫いた。

 

「くそっ……」

 

「レッドゾーンの侵略時、相手の最もパワーの高いクリーチャーを破壊する」

後の攻撃の要になるハズのエニク=アークを想護は奪われた。

それどころか――

 

「レッドゾーンをアンタップ」

レッドゾーンが再び、自身のエンジンをふかし始める。

進化元となったド・レッドのアンタップ効果がまだ生きているのだ。

 

この時点で、想護の手札にこの状況を覆せる方法は存在しない。

デブラでは処理しきれない。ニンジャももういない。

 

「あっ……」

思い出すのは、先ほど見た中埜の姿。

心の傷がフラッシュバックした友の姿。

次は自分が()()なるのだと理解してしまった。

 

「デュアルショックの攻撃」

デュアルショックで想護の最後の2枚の盾が割られる。

 

「レッドゾーンでトドメ」

 

ぶぅうううううううううううううう!!

 

爆音を響かせバイクが迫る!

レッドゾーンが、その腕を突き出し想護にトドメを刺そうとする!

その時、想護の割られたシールドが形を成す。

 

「シールド・トリガー!『テック団の波壊GO』!」

そのカードを見て、レッドゾーンが機械の目を見開いたように見えた。

 

想護の手に握られたのは、水と闇の力を持つ呪文。

その能力は相手のコスト5以下のカードを全て手札に戻す事。

或いは、相手のコスト6以上のクリーチャーを一体破壊する事だった。

 

レッドゾーンコストは6。

このカードの破壊対象に選ぶ事は可能だった。

だが――

 

「俺はコスト5以下のバウンスを選択する」

 

『!?』

想護のカードから蒼い衝撃波は放たれ、レッドゾーンを通り過ぎる。

そしてレッドゾーンの進化元である『ド・ゼット』とバトルゾーンにいた『コダマンマ』が戻される。

そして、最後にドキンダムXの封印が全て解かれる。

封印はコストの無いカード扱い。

テック団の波壊GOは()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

『……?……??』

バトルゾーンにずっと鎮座していた、ドキンダムXが意図せぬタイミングで目覚める。

禁断が解放された本人自体、何が起きたか分からないようで、周囲を見回す。

 

「お前がブレイクした手札は2枚。

1枚はテック団、もう一つはトリガーじゃない……

トリガーじゃないが……!」

想護がもう一枚の手札を捨てる。

これは、先ほどバイク使いがやったのと同じこと。

 

多色S(レインボー・ストライク)バック発動。

デッドブラッキオをバトルゾーンへ」

シールドに加わるハズのカードが捨てられ、姿を現す新緑のドラゴン。

 

『グルルルルルルル!』

 

『ハァ……アァ!』

デッドブラッキオがドキンダムXに組み付くと、ドキンダムXの体が大地から生えるツタにからめとられ始める。

 

「バトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを一体マナゾーンへ送る。

そして――ドキンダムXの効果」

 

「バトルゾーンを離れた時、敗北する……」

男はその言葉と共に、その場に倒れた。

その後、デュエルゾーンが崩れていく。

 

 

 

 

 

「倒した……だけど、完全に運だった……」

戻って来た路地裏で想護が、息を吐く。

最後の最後まで、想護は完全に負けていた。

冷静さを失い、自身の戦いが出来ていなかった。

 

『そうね、今回は運が良かったわ。

けど、次は無いかもね』

コートニーまでもが、同意する。

 

「あ、あの子は!?」

想護が思い出すのは、派手な服装の少女。

年齢は同じ位だと思うが、日本人離れしていた容姿の為、正確には分かりはしないが……

だが、自身の事を「ニニィ」と呼んでいた気がする。

今はその子の事が気がかりだ。

 

「この先だよな!」

倒れるプレイヤーを横目に、想護はさっきの子が走っていった路地へ足を進める。

狭い中、雑多に置かれた物を避けて進む。

だがその先は――

 

「行き止まり?」

路地の裏の奥は、ビルの壁。

階段も無く、分かれ道も無い。

そして、逃げたハズの彼女の姿も無い。

 

『どっかで、帰ったとか?』

 

「帰れる訳なんて……まさか他の奴が?」

一本道で行き止まり。

そして、姿は無い。

想護の脳裏にイヤな予感が走った。

 

『ンなわけ無いわよ。誰もアタシたちを抜かさなかったし、第一仲間がいたならソイツとで出会うハズでしょ?

追手って線もナシね』

コートニーが冷静に説明する。

 

「じゃ、一番現実的なのは……」

 

『どっか壁でも上って逃げたんでしょ。

物が落ちてるからそれを足場にでもしてね。

はい、問題解決!』

多少強引だが、コートニーが納得させようとしてくる。

想護にはそのコートニーの態度が自身を勇気づけようとしているのだと、理解出来た。

 

「コートニー、ありがとな」

 

『別に、感謝される事なんてして無いわよ。

そんな事より、倒れてるアイツから情報聞きだすわよ』

二人は話しながら、結局元の場所に戻って来た。

まだ仲間がいるのか、何の目的なのか、それを聞くのが確かに一番手っ取り早い気がする。

 

「なぁ、アンタ――」

 

「はぐっ!?ぐぅあ!!!!」

想護が話しかけた瞬間、男が突如として白目を剥く。

そして、自身の体をのたうち回らせた。

 

「い、一体何が!?」

突然の出来事に、想護が慌てる。

そして次の瞬間には――

 

しゅぅううううううう……

 

男の体が溶けて、地面には着ていた服と体の形のシミだけが残った。

 

「な、なんだよコレ……一体何が起きてるんだよ……」

突然の出来事、被害者も加害者も全て消えてしまった。

残されたシミが無ければ、想護は夢でも見たのかもと思ってしまっただろう。

遠くから聞こえる四ッ谷の声を聴きながら、想護は混乱する頭を必死に落ち着かせようとした。

 

 

 

 

 

想護の叫ぶその路地の入口に、コートの男が壁にもたれてその様子を見ていた。

そして、興味をなくしたようにその場を後に歩き出した。

 

人の来ない路地の更に奥へ奥へと、歩を進める。

そしてその姿が影の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

『ホムラ!!ホムラよ!!我に贄を!!

我に人とクリーチャー共の魂を捧げよ!!』

怒号と共に、赤い空間が揺れる。

怒りをまき散らすドルマゲドンの前に、ホムラがこうべを垂れている。

 

「今しばらく、今しばらくお待ちください!

ドルマゲドン様!!」

 

『待てぬ!!我は待てぬのだ!!今すぐ贄を!!贄を!!』

怒りと共に空間の軋みが大きくなる。

ホムラがその揺れでバランスを崩した時に声がかかった。

 

「どうやらずいぶん空腹のご様子ですな」

 

「なんだお前は!?」

ホムラがコートの男に驚く。

この空間はいわばドルマゲドンの作り出した空間。

招待される以外の方法で第三者が侵入する事は不可能なハズだった。

 

『ハクノよ。帰ったか』

ドルマゲドンが一瞬だけ、穏やかに声色を変える。

 

「ご無沙汰しております。この葉久野ただいま戻りました」

掌を斜めにし額に付け、軍隊風の敬礼をして見せる。

 

「なるほど、なるほど。今はこの様な餓鬼を使っているのですね?」

葉久野が品定めでもするように、ホムラの顔を覗き込む。

 

「駄作ですな。我が奴隷兵の一端より少々使えるかどうかですな」

 

「てめぇ!!バカにしてるのか!!」

ホムラが葉久野の声に激高して、殴り掛かる。

だがその拳をあっさりと葉久野は躱し、ホムラの後ろ手に回り込み押さえつけた。

 

「思慮が浅い。実力の差も分からん。無能め」

葉久野がホムラに吐き捨て、手を離す。

 

「その様子では、まだ魂を持つカードも手にしていない様だな」

 

「ああん?んなモンは、この前捨てちまったよ!」

前の交戦の時、捨て駒にしたシャチホコ・カイザーの事を揶揄する。

 

「違う違う。人に性格や相性が有る様に、カードと人にも相性がある。

言い換えれば、魂の持つ『波長』とでもいうべきものだ。

その人間とカードの『波長』が合えば、カードは真の力を見せ、使用者はその力を引き出せる。

それが無い状態を含めて、お前は無能だ」

淡々と事実を突き付け、ホムラを責め立てる。

そして、背後のドルマゲドンに向き直る。

 

「ドルマゲドン様!私の旅の成果をお見せいたしましょう」

仰々しく葉久野が右腕を振り上げ、指を鳴らすと空間に穴が開きぞろぞろと虚ろな目の人間達が入って来た。

 

「っ?」

皆が皆、意思の様な物を感じなく、ただ命令のまま動くその様はホムラには不気味にして異様に見えた。

 

「コイツ等は奴隷兵でございます」

 

「奴隷兵?」

先ほどの会話の中にも聞こえた単語にホムラが反応した。

ホムラの驚いたリアクションを受けて、葉久野が満足気にうなづきポケットから一枚のカードを取り出す。

 

「そう!これこそが我が研究の成果。

偉大なるドルマゲドン様のお力の一端!」

葉久野の取り出したカードは「ドキンダムX」だった。

僅かではあるが、ドルマゲドンと同じ力を宿しているらしい。

 

「そして、コイツ等(奴隷兵)は全員、ドキンダムXの所有者だ」

 

「なに!?」

 

「弱く脆弱な人間の精神を、ドルマゲドン様のお力の掛かった強大なカードで乗っ取る!

敢えて自我を封じ込め自由に使用できる様にした物が、この奴隷兵でございます」

葉久野が指で指示をすると、奴隷兵がほぼ同時に気を付けをした。

 

「皆が皆、命を惜しまぬ使い捨ての兵隊でございます。

陽動、工作、捨て駒、無論()()にもご自由にお使いください」

 

『すばらしい!素晴らしいぞ!!ハクノよ!!』

ドルマゲドンXがその身を震わせ、歓喜する。

 

「さて。貴様の様な数合わせの必要は無くなった。

何処へでも――と言いたいが、ドルマゲドン様が選んだ存在。

まだ、生かしておいてやろう」

葉久野はホムラを挑発するように肩に手を置くと、その場を後にした。

 

 

 

「それに……もしかしたら、アイツはコイツ等の器に成れる可能性がある」

そう言った葉久野が懐から取り出すのは、無色の大型クリーチャーたちだった。

いずれもゼニスと呼ばれた強力なるカード達。

 

「くくく、我がコレクション達。

お前らに会う器はしっかりと見つけてやるからな」

そのカードたちを懐に仕舞い、葉久野が不気味に微笑んだ。

 

「そして――目的はもう一つ……」

葉久野が懐から一枚の写真を取り出す。

赤と青のオッドアイに、金の髪。

派手な服装と、日本人離れした容姿は嫌でも目を引く。

 

「お前も捕まえてやるぞ……サンジェルマンの孫め」

葉久野は歪な笑みを浮かべた。

 

 

 

「ラン、ららん、らら、らんら……」

ニニィが病院内をスキップして進む。

多くの医者や患者がいるが、誰一人として彼女を咎める者は無い。

視界に入ろうとも、誰も反応しない。

まるで、幽霊か透明人間かの様に、スキップをして歩いていく。

そしてその歩みは、一つの病室の前で止まる。

 

「アハッ!み~つけた」

ニニィはカードを手にその病室へ入っていった。




最近キャラクターが増えてきました。
少数でストーリー回せる人って、本当にすごいと思う今日この頃……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。