D-クロニクルズ   作:ホワイト・ラム

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さてと、久々に投稿です。
本格的なデュエルがついに始まりました。


デュエル!!ストレンジャーを撃て②

そこは異様な空間だった。

赤と青の色で構成された宇宙。そしてその宇宙の中心、ゆっくりと渦を巻く中で紫色のいびつな形の惑星が存在感を放っていた。

 

「さぁ!テメェの最期のゲームだぜぇ?」

目の前の男は挑発するかの様に、舌を出し涎をこぼす。

 

「なんだ、なんだよ……何なんだよ!!これは!!」

その宇宙の真正面。まるで空間が砕けたように緑が侵食し、そこに想護が立っていた。

 

決闘(デュエル)よ。遊びなんかじゃない。本物の決闘』

何時になく真剣な顔で、コートニーが想護の隣に立った。

 

「げっへっへっへ!!良いな、良いなぁ!

魂を持ったカード!!雑魚を狩るよりよっぽどデケェ獲物だ!!

十分雑魚も狩ったし、そろそろ、元の世界へ帰ろうかと思ったが、こんなデケェ当たりが居るなんて、俺はマジでラッキーだぜ!!ひゃはははははははは!!」

男の後ろ、そこに目の無い巨大な口を持つ龍が、一瞬像を結んだ。

だが想護はそんな龍など気にしない。それよりも決して聞き逃してはいけないセリフをこの男は吐いた。

 

「『十分雑魚も狩った』?お前……俺の友達に何をした?」

この男がばらまいたカードに想護は見覚えがあった。

自身の大切な友人、中埜。彼の愛用する水単速攻のカード。

人違いかも知らない。偶然デッキが似ているだけの事かもしれない。

だが、目の前のこの男は間違いなく『誰か』を倒しデッキを奪い、ゴミの様に捨てたのだ。

 

「うるせぇ!!テメェも餌になるんだよ!!

さぁ!!『決闘(デュエル)』スタートだ!!」

 

「行くぞ、コートニー!!」

 

『分かってる!!『決闘(デュエル)』スタート!!』

 

男と想護、その両名の目の前に半透明の5枚の(シールド)が出現する。

デッキから5枚のカードが飛び出て、想護の目の前に並ぶ。

目を向けると男の方も状況は同じ様だった。

 

 

 

「俺の先手だ!先ずはマナをチャージ!そんでエンドだ」

男がマナゾーンに置くのは、召喚時にデッキからカードを一枚ドローする能力を持った熱湯グレンニャー。

少なくともこの時点で男のデッキには水と火の2色のカードが入っているのが分かる。

 

男 手札4 マナ1 盾5

 

「俺のターン、ドロー!」

ドローしたカードを見て、想護は心の中で小さく毒づいた。

手札にあるカードは全部で6枚。だが、その中に想護のデッキの初動を担うコートニーは無かった。

 

「終末の時計 ザ・クロックをマナにおいて、ターン終了」

 

想護 手札5 マナ1 盾5

 

お互い順当の始まった戦い。

だが2ターン、3ターン目になるとどう動くか分かりはしない。

未だ全容を見せない男のデッキ。

 

(一体、何を仕掛けてくる?)

 

「俺のターンだな!!ドロー!!」

デッキからカードを引いた時、男の口が歪む。

 

「来たぜ!学校男をマナに、2マナ使用!

戦略のD・H アツトを召喚!」

 

「アツトか!?」

バトルゾーンに出たのは、クリーチャーと呼ぶには多少違和感のある男。

完全な人間体で、紫のスーツと手にしたぺろぺろキャンディーがひどくミスマッチに思えた。

だが、そんな敬遠されがちな見た目をしながらも、尚もこのクリーチャーの使用者は多い。

なぜなら、その能力が非常に優秀だからだ。

 

「アツトの効果で、デッキから2枚ドロー。そして、2枚を墓地に」

2枚引き2枚捨てる。それは一見するとただ手札を交換しただけに見える、使用されたアツト自身を含めるとむしろ手札は減っている。

だが、この行為には多くの意味がある。

まずは、前途の様に2枚引くことで手札の必要ないカードを、必要なカードに交換できる点。

そしてもう一つは、手札の好きなカードを2枚まで墓地に送る事が出来る点!

 

「俺は天下統一シャチホコ・カイザーと黙示護聖ファル・ピエロを墓地へ」

男の準備は着々と進んでいる様だった。

シャチホコカイザーと、男が今しがたバトルゾーンに置いた学校男。

ならば考えられる可能性で、もっともあり得るのが――

 

『湧水シャチホコ……ね。厄介だわ』

いつの間にか隣に現れたコートニーがつぶやく。

湧水シャチホコとは、たった今墓地に落とされたシャチホコ・カイザーを湧水の光陣という墓地蘇生カードで復活させるデッキだ。

シャチホコは自身のクリーチャーが破壊されると超次元ゾーンから、クリーチャーを呼び出すことが出来るカードだ。

問題は、とある超次元クリーチャーとあのシャチホコ、更には湧水の光陣が非常に相性がいい事だ。

湧水の光陣は、シャチホコの早期召喚をサポートするし、シャチホコはその湧水の光陣を回収できるクリーチャーを呼び出せる別の超次元クリーチャーを持っている。

お互いがお互いをカバーし合い、やられてもやられてもしぶとく戦うことのできるデッキである。

 

男 手札3 マナ2 盾5 墓地2

 

 

 

「ドロー……っ、来ないか」

想護の必勝パターンである、2ターン目のコートニーに失敗した。

運の要素が絡む以上仕方のない事だが、あのデッキ相手に悠長にしていたくはない。

 

「フェアリーミラクルをマナに埋めてエンドだ……」

 

「なんだぁ?そんだけか?遅すぎるんじゃねーのかぁ?」

事故を起こしたこちらを男は馬鹿にしたように笑う。

 

「っ……」

悔しいが出来る事が無いのも、今の想護には本当の事だ。

 

想護 手札5 マナ2 盾5

 

 

 

「さて、と。事故ってるお前に良いもんやるよ。ほら、可愛いお人形さんだぜぇ?」

マナを溜めた男が呼び出したのは、ゴスロリ姿の少女のようなクリーチャー。

身の丈ほどある巨大な、刃こぼれしたカッターナイフと球体関節が、彼女が作り物だという事を物語っている。

 

「特攻、人形……ジェニー……」

苦々しく話す想護の、目の前でジェニーが自身の首にカッターナイフを突きさした!!

その瞬間、ジェニーは爆発して体のパーツが散らばる。

 

『タダで死んだと思わないでよね!!』

飛び散る破片、右半分になったジェニーの顔が笑い、跳んできたカッターナイフの刃が想護の手札を一枚斬り捨てた。

 

「ハンデス、せいこーだな!!」

 

「デッドブラッキオが……」

落ちたカードはデッドブラッキオ。想護のデッキのカウンターにして、破壊されると仲間を呼ぶシャチホコを破壊以外で処理できる貴重なカードだった。

 

「さぁ!お前のターンだぜ?」

 

男 手札2 マナ3 盾5

 

 

 

「まだだ、まだ始まってすらいない!!ドロー!!

来た!薫風の面(コートニースタイル)ニャスを召喚」

 

『ン、にゃぁ~!!』

想護のバトルゾーンに、茶色の毛をした猫の獣人が姿を見せる。

獣人が付ける仮面は、コートニーのバイザーとよく似ていた。

 

『やりなさい!ネコ!』

 

『にゃあ~あ~!!』

コートニーの声を受け、かわいらしい手を上げると想護のマナがレインボーに輝きだした。

ニャスはコートニーと同じく、マナを全色に着色する力を持っている。

 

「俺はターンを終了だ」

想護はようやく、動く準備が出来てきた。

だが次は4ターン目、4マナ溜まるという事は――

 

想護 手札3 マナ3 盾5

 

 

 

「俺のぉ!ターンッ!拝ませてやるぜ!俺の手下ってやつをなぁ!!」

男の手札のカード、炸裂の伝道師セレストがマナに置かれる。

セレストは光のカード。そしてその光を含む4マナがタップされて……

 

「呪文詠唱!!湧水の光陣この呪文は墓地よりコスト3以下のカードを再生させる。

だが、自分の自然又は水のクリーチャーが居れば、コスト5までが蘇生範囲となる!!俺は自分の墓地にある()()()を、アツトを進化もとに指定して復活!!

 

出でよ!異界の龍よ!!黄金の爪と真紅の牙で全てを食い荒らせ!!他者の魂を以て、異次元の扉を開け!!天下統一シャチホコ・カイザー!!」

 

『きぃしゃぁあああああ!!!』

墓地より出でるのは、異形の龍。

黒い体に目は無く、口が大きく裂け、肩にも口の様に真っ赤な牙が無数に並んでいる。

金色の爪を振りかざしこちらをちょうはつする。

 

「な、なんだ、この迫力は!?」

普通のカードとは違う、圧倒的なプレッシャーに想護の全身に鳥肌が立った。

 

「分かるか?これが魂を持つカードだ。なんの因果か魂を持ち、人格をもったカードたちだ。()()()()も、こいつに食われた」

男が指を鳴らすと、空中に何かが浮かび始めた。

それは人だった。10人ほどの人間が、男の宇宙の中で浮かんでいる。

 

「犠牲者が、あんなに……」

名前も顔も知りはしないが、それでも可哀そうと思ってしまうのが人の性だった。

 

「お前も!!お前のカードも!アイツらの仲間入りをさせてやるぜ!!

ぎぃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

男が笑うと、シャチホコ・カイザーも咆哮を上げた。

 

男 手札1 マナ4 盾5 

 

 

 

「あ、ああ……」

想護が震えだした。手に力が入らない。

手札のカードが、何枚か地面に落ちる。

 

食われる。比喩でもなんでもなく、あの怪物に自分が食われる。

 

それは想護が、自分の人生で初めて明確に『死』を意識した瞬間だった。

負ければ当然『死ぬ』想護はこの時、怖いと思った。

その時、後ろから誰かが想護に抱き着いた。

 

『大丈夫よ、想護。想護には私がいるわ』

 

「コート……ニー」

 

『何時か、こんな日が来ると思ってた。何時か、私のようなカードが襲いに来るんじゃないかって。

だけどね、「はいそうですか」って死んでられる訳無いでしょ!!

行くわよ、想護!あのデカい口野郎をぶっ潰すのよ!!』

コートニーの言葉と共に、一陣の風が吹いた。

 

「そうだ、よな……怖がってちゃ前に進めないよな。

怯えて、じっとしてたら、明日なんて無いよな!!

なら、切り抜けるしかない。

どんなピンチも、俺と!!俺のデッキのカードたちで、戦い抜く!!

行くぜ!俺のターン!!ドロー!!俺は手札のカードをマナにおいて、召喚ボアロジー!!」

 

『ボォウアぁああ!!』

密林の戦士ボアロジーが、姿を見せる。

そしてその両腕を振ることでマナが増える。

本人が持つ、素の能力で一枚。そしてニャスの効果により5色すべてのマナが有る扱いになり更にもう一枚。

これで、想護はこのターンだけで3枚のマナの増加になる。

 

「返して貰うぞ。俺の友達も、その人達も!!」

想護が決意を新たに、男に指を突き付ける。

 

想護 手札2 マナ6 盾5

 

 

 

「帰す?帰す訳ねーだろ!!せっかく集めた餌だぜ?

もっともっと、って食い足りねーってのに、帰す訳ねーだろ!!

寝言も休み休み言いな!!

俺のターン!!ドロー!!

さて、楽しいゲームの始まりだぜ!!」

男がカードを引き、その顔が嗜虐的に歪む。

 

「くっひっひ!来たぜ、来たぜ!俺は熱湯グレンニャーを召喚!

その効果でドロー!おっと、マジかよ。こりゃいいカードを引いたな」

男の手札は一枚。その一枚はグレンニャー。

自らを破壊するカードではなかったが、引いたカードがもし自懐する力を持っていたのなら、シャチホコ・カイザーの能力が発動する事に成る。

 

「闇を含むマナを2枚使用!召喚!学校男!!」

男のバトルゾーンに現れるのは、小学校の校舎をモチーフにしたクリーチャー。

泥に覆われ校舎が、大口を開けて舌なめずりをする。

2コストという、軽さに反して学校男のパワーは8000、しかもダブルブレイカーというシールドを2枚叩き割る能力も持っている。

だが、その分多大なデメリットも持っている。

それは――

 

「学校男の効果で、バトルゾーンの自分のクリーチャーを2体破壊!さらに、お前にも自分のクリーチャーを一体選んで破壊してもらうぜ!」

お互いのクリーチャーの破壊。

それも自分は2体、相手は1体。

つまり学校男を生き残らせるには、生贄となるクリーチャーが2体必要。

そう、『生き残らせる』には……

 

「俺は、グレンニャーと学校男を破壊!!」

学校男が、男のクリーチャーを巻き込んで自爆した。

そう、『自爆』した。

 

「シャチホコ・カイザー!!超次元の扉を開け!!

激天下!シャチホコ・カイザー!マザー・エイリアン〈よろこんで〉をバトルゾーンへ!!」

並ぶのは、シャチホコ・カイザーの様な(というか、片方は別のカードなだけの本人)目の無い裂けた口の意匠を持った2体のクリーチャーたち。

 

「学校男の自爆能力を利用したか……ボアロジーを破壊……」

想護が小さく舌打ちする。

学校の能力により、自分のクリーチャーたちを2体破壊し、シャチホコの能力で一気に2体のクリーチャーを並べる。

そして何より問題なのが、並んだ2体のクリーチャーたちだ。

 

「知ってるか?たった今、呼び出した超次元のシャチホコはターンの初めにコスト3以下を蘇生出来るんだぜ?

それだけじゃない、エイリアン・マザーは俺のエイリアン全員に、破壊を肩代わりするセイバーエイリアンを付与させるのさ!!」

そう、たった今、墓地に置かれた学校男のコストも3マナ以下。

次のターンの初めに復活し、想護のクリーチャーを巻き込んで自爆するだろう。

 

『このままじゃ、数に差が開くだけよ!!』

コートニーの言葉を想護はじっと聞いていた。

悔しい事に、ジワリジワリと想護は確実に追い詰められている。

 

男 手札0 マナ5 盾5

 

 

 

「まだデュエルは終わってない!!呪文!!英雄奥義!バーニング銀河!

能力でコスト5以下のカードを破壊!シャチホコ・カイザーを破壊だ!!」

 

「フン、悪あがきを!!超次元クリーチャーの方のシャチホコでセイバーして破壊を回避!」

 

「まだだ!マナ武装7発動!!コスト12以下のカード、再度シャチホコ・カイザーを破壊!」

 

「無駄だって言ってるだろ!?エイリアン・マザー本体を使って再度セイバー!

破壊から身を守るぜ!!」

今度はマザー・エイリアンが破壊された。

 

「これで、厄介な奴らは居なくなった!ニャスで攻撃!!」

 

『ニャー!!』

ニャスが己の武器を振るい男のシールドを叩き割った。

 

「ふん、焦って勝負を急ぎ始めたな?」

男がシールドを手札に加えながら笑った。

 

想護 手札1 マナ7 シールド5

 

 

 

「さぁて、さっきの攻撃で来てくれたこいつを使うかな!!」

男が掲げたカードはクリーチャーではなかった。

それは呪文。その呪文とは――

 

「詠唱!!復活のトリプルリバイブ!!

コイツの効果で、墓地からコスト3以下のクリーチャーを3体までバトルゾーンへ!!」

呪文の効果が発動して3体のクリーチャーたちが男のバトルゾーンへ並ぶ。

ジェニー、グレンニャー、学校男だ。

 

「グレンニャーの効果で、ワンドロー!学校男と共に自壊!!ジェニーで手札を奪う!!」

 

「くっ!」

ジェニーのカッターが飛び、想護の手札の最後の一枚を奪い去る。

 

「ほぉ、ハヤブサマルか!そいつで、その猫を守るつもりだったんだろうが……

もう全部無駄だな!!」

 

『ぎぃにゃぁああああ!!』

ニャスが学校男に抱き着かれ共に破壊される。

 

「う……」

想護のデッキのメインエンジンである、着色クリーチャーが居なくなった。

だが、それよりももっと重篤な問題が発生している。

それは――

 

「シャチホコ・カイザー!こいつらの魂を使い、再び超次元の扉を開けぇええええ!!」

男の叫びと同時に空中に超次元ゾーンへの扉が開く。

1匹目は、先ほど破壊した超次元のシャチホコ。

2匹目も、先ほど倒したエイリアンマザー。

この2体のコンボで相手は毎ターン、何のコストも払わずに超次元クリーチャーを展開できる。

 

「忘れてねーよな?破壊されたクリーチャーは3体!!

つまりもう一匹だ!!」

そして、最後の扉から現れるのもやはりエイリアンクリーチャー。

真っ赤な体に、球体を抱く様な姿。

そのクリーチャーは……

 

「こい!レッド・ABYTHEN・カイザー!!

コイツの牙が、お前の命を食らうぜ!!」

相手に選ばれた瞬間、相手のマナをすべて奪う最悪のクリーチャーが降臨した。

 

男 手札1 マナ6 盾4




いろいろと、工夫をしてみますが、正直いってまだまだ改善できる気がします。
けど、なにをすべきなのか……

うーん、難しいですね。
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