悪辣な転生者に裁きを 作:フライング・招き猫
アンケートの結果
シャルロット救済、友人ルートでいかせてもらいます
生徒会室
ラウラが来る前に、一足早く集まった夏輝達。
『とりあえず、そのラウラって娘が何を考えているのかわからないと、どうしようも無いわな。此処は後手に回るけど、内容を聞いてから判断しようか。』
モニターに映る美兎がそう言う。
「それじゃあ美兎姉さん、カメラはONにしておくから、そっちでも見聞きして判断してよ。」
『了解!』
モニターの映像は一旦消える。
「さて、みんなに幾つか報告があるんだけど、来客の事を考えると、先に此方の方を報告するわね。 来月に行われる学年別トーナメント戦なんだけど、シングルマッチからタッグマッチに変更されたわ。」
刀奈の話を聞き
「いきなりだけど、何か理由が?」
「それはね簪ちゃん、この間の学年別クラス対抗戦の事があり、万が一の場合に備えて教員部隊の出動が間に合わない、若しくは遅れた時の対策なの。万が一の事が起きても、フィールドに4人の生徒がいれば少しは対応が取れるだろうということなの。」
簪の問いに答える刀奈。
「レギュレーションはどうなるんだ?まさか、専用機持ち同士や代表候補生同士でのペアを認めるんじゃないよな?」
「最初、織斑先生が制限無しで通そうとしたみたいだけど、あまりにも不公平だと言う意見が他の先生達からの出て、話し合いに話し合いを重ねた結果、専用機持ち同士のペアは禁止されたわ。専用機は一般生徒とペアを組むことが決定して、代表候補生に関しては専用機を持たない者同士ならOKとなったわ。」
そう言うと大まかなレギュレーションが書かれた用紙を見せる。
「なるほど・・・・本当なら代表候補生同士も禁止して欲しかったけど、あまりいないから、そこまで問題視されなかったのか。それにしても織斑先生も、考えが見え見えだね。恐らく、織斑と篠ノ之をペアにするつもりだったんだろうね。」
夏輝の言葉を聞いて
「そういえば、凰さんが明後日から学園に復帰するそうです。どうやら、向こうでかなり絞られたようです。」
「果たしてまともになっていますかね?」
「あれは無理。織斑への依存というか盲信というか狂愛があるから、直ぐに元に戻る。」
虚のもたらした情報に黒江が疑問を口にすると簪が切り捨てる。
トン、トン、トン
生徒会室の扉がノックされた。
「どうぞ。」
「「失礼します。」」
刀奈が返事をすると、ラウラと共にセシリアが入ってきた。 どうやらラウラを案内してきたようだ。
「それではボーデウィッヒさん、私はここで失礼しますね。」
「すまなかったなオルコット、部活に行く前に。」
セシリアはラウラを部屋に導くと、そのまま生徒会室を後にした。
虚がソファーを勧めると、ラウラはソファーに座る。早速、夏輝が尋ねる。
「さて、ボーデウィッヒさん。昼休みの時に言った用件について聞かせてもらえるかな?」
「ふむ、まずは更識夏輝との模擬戦並びにガーリオンの購入契約の願いだ。」
「俺との模擬戦はわかるが、ガーリオンの方は何故だ。あれは国が申し込むのが普通じゃないのか?」
「簡単な事だ。今、世界中からウイング社に購入依頼が殺到しており、契約を結ぶ迄にかなりの時間を要してしまうのがわかっている。だからこそ、営業を飛び越えて本丸に申し込むという手段を政府は選んだ。」
「つまりボーデウィッヒさんは伝書鳩にされたという訳ね。でも、その割にはストレートに言ってきたわね。もう少し絡め手を使って有利に事を運ぼうとは思わなかったの?こんな形だと断られる可能性の方が高いと思うけど?」
「結果なぞ、私は知らん。ただ言われた事を伝えるのが命じられた任務なのだ。そもそも軍人の私に商人の真似事をさせる方が間違っているのだ。本当に購入したいなら私なぞに命じるより、他の者にあたらせるべきなのだ。」
ラウラは眉をひそめながら言う。どうやら余程気に入らない任務だったようだ。それでも、上層部からの命令には逆らえないので受諾はした。 やる気の無い任務でもあるし、成功する確率が極めて低い内容なのだから失敗しても構わないと思っていたので、提案したという体裁だけ示したのだ。
「・・・・・・ガーリオンの購入契約に関しては保留とさせてもらいます。生憎と私の一存では判断出来ないので。それから模擬戦ですが、来月に行われる学年別トーナメント戦後ではダメでしょうか?」
「学年別トーナメント?」
「はい、来月に行われる学園行事の1つで、学年別に行われるトーナメント戦です。そこで対戦できればよし、もし出来なければ、終了後に日を改めて模擬戦をするというのは?」
「理由は?」
「1つは、トーナメント開始までの間は特例によりアリーナの利用規約が緩和されて、本来なら1棟につき平日は最大6組12名で2時間というのを50分の2部制に、土曜は4部制にして少しでも多くの生徒に訓練時間を与える為の処置をすることになったんだ。つまりアリーナが混んでいる為に模擬戦をするには問題があるんだ。」
夏輝はそう言うと、レギュレーションの書かれた用紙をラウラに見せて、その項目を示す。ラウラはそれに目を通していく。
「2つ目は、此方の事情が少し入るんだけど、今の所は俺のデータはウイング社が独占していて情報の開示は細心の注意を払い、かなり限定し行ってます。これはうちの技術の秘匿に関わることなので仕方ないのですけど、そろそろ批判が高まっています。そこでトーナメント戦での公開試合という事でお茶を濁しておこうと思ってます。」
「なるほど、その前に私と模擬戦をするとドイツ贔屓という批判が起きて、そちらだけでなくドイツにも抗議が殺到するという訳か。」
ラウラは暫く思案して
「よかろう、トーナメント戦終了後の模擬戦という事で、その提案に乗ろう。どうせなら、タッグマッチではなく、1対1で戦いたいしな。」
そう言うとラウラは夏輝と握手をする。それを終えるとラウラは
「さて、もう1つの用件だが・・・・・」
そう言ってラウラは黒江を見る。そして
「・・・・・・・貴女は、いま幸せですか?」
ラウラにそう聞かれ黒江は
「・・・・・・・・はい、幸せです。私の周囲には私を大切にしてくれる家族がたくさんいます。私は一人じゃないと教えてくれました。」
黒江さん言葉にラウラはそっと頷いて
「それなら良かったです。それを聞いて私は安心しました。私にも大切な部隊の仲間達がいます。お互いに一人じゃないと知りました。これで安心です。」
ラウラはそう言うと夏輝達に頭を下げて
「どういった経緯で姉様が、そちらにいるのかは伺いませんし、他言もいたしません。どうか、これからも姉様をよろしくお願いいたします。」
「ボーデウィッヒさん、黒江は大切な家族です。安心してください。」
ラウラにそう答える夏輝。
「それでは、今日はここで失礼する。」
そう言ってラウラは立ち上がり、一礼して生徒会室から出ていった。
それを見送り刀奈と簪が
「少し拍子抜けしたね。」
「そうね、表裏というか、隠し事はあまり出来ないタイプみたいね。」
「というよりは、純真無垢なのでは?」
「軍人でありながら純真無垢ね・・・・なんというかあり得ない組み合わせだけど、彼女を見ると納得してしまうな。」
虚の言葉があまりにもはまり過ぎていて納得してしまう夏輝。 黒江の顔を見ると、どことなく嬉しそうな表情をしていた。
「それで、どうする美兎姉さん?」
モニターに美兎の姿が映し出され。
『そうだね、まあくーちゃんの事に関しては信用してもいいかな。ただ、ガーリオンに関しては保留かな。あの娘はまあ、信用できそうだけど国の方がね・・・・・未だにキナ臭い感じがするから、少し探ってみるよ。』
「キナ臭いといえば、あの自称3人目なんだけど。」
『あぁ、あの性別詐称の雌猫ね。』
夏輝の疑問に美兎はシャルルのことを雌猫と言った。つまり・・・
「シャルル・デュノアは男ではなく、男装して性別詐称して編入してきた女という事ですね。」
虚がそう言うと。
「やっぱり雄んなの子だったか。」
「だからかんちゃん、それは文字にしないと誰もわからないよ。」
簪が呟き、本音が突っ込む。
「性別詐称してIS学園に来た目的は俺と百春?」
『そういう事。本名シャルロット・デュノア、デュノア社の社長アルバート・デュノアの隠し子みたいだね。あの雌猫の実家のフランスの大手ISメーカーのデュノア社なんだけど、第3世代機の開発が遅れていて、経営危機に陥っているんだ。』
「ですが、デュノア社はラファールのライセンスとかでかなりの利益を上げているはずでは?」
『残念だけど、それも既に頭打ちで減益が続いている上に第3世代機開発遅延で消えて行く開発費。増え続ける人件費、そしてそれらを直視せずに楽観的に過ごしてきた上層部。もうデュノア社の内情は火の車で、何時倒産してもおかしくない状況になっているよ。』
虚の疑問に答える美兎。
「つまりお尻に火がついて漸く気がついた狸ということか。」
簪の例えに何故か納得してしまうのだった。
「じゃあ、あの子の目的はさしずめ夏輝と織斑君の持つ機体データというところかしら?」
「ですがお嬢様、いくらなんでも機体データを盗んだところで、そのままでは使えませんし、その事がバレたら倒産処じゃすみませんよ。」
『たぶん切羽つまりすぎて、そこまで頭が回らないんじゃないの。というか、既に逃げ出したり、夜逃げの準備をしてる奴もいるみたいだよ。』
「それにしても、何で男で編入できたの?普通は国のやIS学園の審査でバレるんじゃないの?」
本音の疑問に美兎が
『どうやら、デュノア社から多額の献金を受けた複数の議員が手を回したみたいだね。それで誤魔化して貰ったみたいだね。全くお金の使い方が間違っているよね。』
「それじゃあ [トン、トン、トン、トン]と、誰か来たみたいね。」
突然、扉がノックされた事でモニターから美兎の姿が消える。そこで刀奈が
「どうぞ。」
入室を促すと
「失礼します。」
話題にのぼっていたシャルルが入ってきた。
シャルルは入室して扉を閉めると
「1年1組、フランス代表候補生のシャルル・デュノアです。」
「僕を助けてください。」