悪辣な転生者に裁きを   作:フライング・招き猫

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第17話  開幕、タッグマッチトーナメント戦

 

 

 ついに開幕した学年別タッグマッチトーナメント戦。

 

 第1アリーナと第2アリーナを使って1年生の部が行われる事になっている。

 生徒達は観客席でトーナメントの組み合わせが発表されるのを今や遅しと待ち構えていた。

 いや、生徒達だけでなく企業関係者に国の重鎮等も待っていた。自国・自社の選手の活躍のみならず未発掘の原石を得る為に目をこらしていた。

 ペアに関してはを既に抽選組を含めて決定しており、アリーナの正面入口に貼り出してあった。

 

 

 ちなみに、1年生の主なペアとしては

 

 百春&箒  

 セシリア&相川清香 

 ラウラ&夜竹さゆか(抽選) 

 鈴&メフィル・ボーラング(抽選)

 ティナ&ユノー・ヌイーゼン

 夏輝&円華

 簪&貴家澪

 本音&白川美咲

 黒江&神楽

 

 

 となっている。 ラウラは最初から抽選にするつもりでパートナーを探しをしなかったが、鈴は百春とパートナーになれないと決まってから探したものの、クラスで孤立していた鈴とパートナーになるものは居らず、抽選となったのだ。

 

 

 

 『さあ、いよいよ学年別タッグマッチトーナメント戦、1年生の部が始まろうとしています。なお、実況を務めますのは2年生整備科の黛薫子です。 そして、みなさん中央メインスクリーンにご注目を、対戦トーナメント表が発表されます。』

 

 薫子の言葉と共にスクリーンにトーナメント表が映し出される。

 

 おおおぉぉぉーーー!!!

 

観客席にどよめきが広がる。1回戦から注目すべきカードが出来たからだ。

 

 

  夏輝&円華VS百春&箒

 

 鈴&メフィル・ボーラングVS黒江&神楽

 

 

 

 『おぉっと、いきなり1回戦から注目すべきカードが生まれた。なんと世界で二人しか未だに確認されていない男性操縦者、更識夏輝&更識円華ペアVS織斑百春&篠ノ之箒ペアの一戦。そして専用機を持つ者同士、中国代表候補生、凰鈴音&メフィル・ボーラングペアVSウイング社企業代表候補生、布仏黒江&四十院神楽ペアの一戦。これは目が離せない。』

 

 薫子の実況に観客は大いに盛り上がる。

 

 

 『さあ、対戦カードが決まりましたので、選手のみなさんは準備にかかってください。第1試合は今から15分後に開始されます。第1試合から第3試合までに出場する選手はピットに移動してください。』

 

 

 

 

 

 

 「やれやれ、1回戦からあれと試合か・・・なんか憂鬱だな。」

 

 「そう言うな円華。あいつとは何らかの形で戦う事になるだろうし、それが遅いか早いかの違いだ。」

 

 「そうだけど・・・・待って兄さん。どうせなら私があいつと戦いたい。そして兄さんはあの女と戦って、本当の剣というのを思い知らせて欲しい。」

 

 「どういうつもりだ円華?」

 

 「あの女は刀奈姉さんと簪姉さんの話を聞くと剣だけに拘ると聞く。それなら逆に剣だけで戦って、その傲慢な思いを粉々に砕いて、更に普段から相手しているあいつとの格の違いを見せつけ、そして間接的にあいつにも兄さんとの実力の差を思い知らせるんだ。」

 

 なかなか腹黒い事を考える円華。その考えに苦笑しながらも

 

 「まあ、いいだろう。でも円華、油断するなよ。お前が負けたら意味がないからな。」

 

 「わかっているよ兄さん、私も神祇無窮流剣術を少しは会得したんだ。」

 

 「それなら良い。兎も角、試合はまだ先だから今はみんなの試合を見て応援しよう。」

 

 「わかった。」

 

 

 

 

 

 「いきなりあいつとか・・・・(たぶん、これも原作の流れとは違うんだろうな。もう殆ど思い出せない・・・何で思い出せないんだよ)」

 

 「百春!あいつに勝って、お前の方が強いと証明するんだ!大丈夫だ、私とお前なら勝てる!」

 

 「あぁ、そうだな。勝てるさ、きっと!」

 

 

 

 

 

 

 (・・・・・・・いきなり、更識と試合か。不味いな、百春が少しでも戦績を残せるように専用機持ちや代表候補生とのペアを認めさせたのだが、それが裏目に出てしまった。これが凰なら、まだ少し可能性があるのだが・・・篠ノ之では厳しいな。)

 

 トーナメント表を見ながら、自分がとった策が裏目に出た事を悔やむ千冬。

 

 (篠ノ之や凰でなく、私が指導するべきだったな。あの二人は人に教えるのに不向きだったしな。)

 

 箒は擬音だらけ、鈴は言葉でなく感覚任せ、指導というには程遠いものだった。

 

 (まあ、1学期は仕方あるまい。テストでの成績さえ問題無ければいい。あとは夏休みに特別指導という形で私が指導するとしよう。)

 

 

 それぞれ思いにふける事になる対戦表であった。

 

 

    そして試合は始まり

 

 

 

 

 

 

 セシリア&相川清香ペアの試合

 

 

 

 「相川さん、クイックC。」

 

 「はい、オルコットさん!」

 

 セシリアがビットとライフルで二人の生徒を同時に牽制する。打鉄を纏った清香が焔備を連射しながら、同じ打鉄を纏った片方の生徒に突撃していく。頭上から降り注ぐレーザーと清香の放つ銃弾を避けきれずに被弾していく生徒。

 

 「きゃぁぁぁー!」

 

 そして近づいたところで、巨大なメイス・・3年整備科が作った浪漫武器、通称[漢女棒]を呼び出し両手で確りと握り、遠心力を利用して振り抜く。

 

 「ぶっ飛べぇーーーー!」

 

 「グッ£Åヰ&ⅸ%∂$!!!」

 

 腹部にメイスの一撃をまともに喰らい、女性にあるまじき声を出して悶絶する生徒。そしてそのままアリーナの壁まで飛ばされ激突する。

 

 「あっ?! 大じょ えっ!!きゃぁぁぁー!」

 

 パートナーに気をとられ足を止めてしまうラファールを纏った生徒だったが、その瞬間にセシリアからのレーザーの雨をまともに喰らってしまう。

 

 そして、この瞬間に勝敗が決した。

 

 「試合終了! 勝者セシリア・オルコット&相川清香ペア。」

 

 セシリアと清香は近づいてハイタッチする。

 

 

 

 ラウラ&夜竹さゆかペアの試合

 

 「いまだ、しっかり狙って射て!」

 

 「は、はい!センターに入れて、トリガーを引く!」

 

 AICで二人の生徒の動きを止めたラウラはパートナーであるさゆかに命じる。

 ラファールを纏ったさゆかは、ラウラに言われたまま重機関銃[デザート・フォックス]で狙いを定めてトリガーを引くのだった。

 

 「「きゃぁぁぁぁぁーーーーー!!!」」

 

 銃弾の雨にさらされた二人は、その場から一歩も動く事が出来ずにただ銃弾を受け続けるのだった。

 

  そして

 

 「試合終了! 勝者ラウラ・ボーデウィッヒ&夜竹さゆかペア。」

 

 「よくやった夜竹。」

 

 「あ、ありがとうございますボーデウィッヒさん!」

 

 ラウラに労われて、笑顔で返すさゆか。

 

 

 

 

 

 そして、1回戦の山場の1つを迎えた。

 

 

 『さあ、1回戦の山場の1つです。先ずはこのペア、中国代表候補生、凰鈴音&メフィル・ボーラングペアです。そして続いては、ウイング社企業代表候補生、布仏黒江&四十院神楽ペア!!』

 

 紹介と共にアリーナに現れる四人。

 

 『先ず注目すべきは、それぞれの専用機でしょう。凰さんが纏うのは中国の第3世代型IS【甲龍】。燃費と安定性に重点を置いた、ある意味量産を前提条件としたと思われる機体です。次に布仏さんが纏うのはウイング社の第3世代型IS【アステリオン】。世界初の宇宙専用の機体、その性能は未だに未知数。果たしてどのような戦いをするのか楽しみです。』

 

 黒江のアステリオンは既に第5世代型にアップグレードされているのだが、その事は秘密にしており未だに第3世代型としている。

 

  「ふ~ん、宇宙専用のISね。本当かどうだか?まあ、私の甲龍には敵わないだろうし、化けの皮を剥いであげるわ。」

 

 黒江のアステリオンを見て呟く鈴。そして抽選でペアとなったメフィルに

 

 「あんたは、私があの宇宙専用とかいうのを潰す間に、打鉄の娘の相手をして。直ぐに片付けるから抑えるだけで良いわ。二人共、私一人で十分倒せるし。」

 

 そう言う。抽選で鈴とパートナーになった同じクラスのメフィルだが、決して成績は悪くないのだ。ただ人見知りで若干対人恐怖症がある為に、パートナーをなかなか組めずに当日を迎えたのだ。 だが、クラスで孤立している鈴はその事を知らず、成績が悪いからペアを組めなかったと認識していた。

 

 「神楽さん、おそらく自己顕示欲の強い凰さんは最初に私を狙って来ると思います。」

 

 「わかりました、それでは私が最初のうちに凰さんの相手をすればよろしいのですね。」

 

 両肩のシールドが4枚に増強し胸部装甲に兜のようなヘッドパーツ、更に両腕に小型のシールドを装着し重厚な装いとなった打鉄を纏った神楽は、黒江の考えを理解し答える。

 

 「凰さんは、神楽さんが向かってきたら私と戦う為に短期戦で決着をつけようとするでしょう。」

 

 「わかってます、手順としては玄武の陣でよろしいのですね。」

 

 「お願いします。」

 

 黒江と神楽も打ち合わせを終える。 そして

 

 

 『それでは、試合開始!!』

 

 「いくわよぉーーー?!って、何で!!」

 

 黒江に接近しようとした鈴だが、その行く手を神楽が塞ぐ。

 

 「お相手願います。」

 

 神楽は右手に柄が短く片手で扱える手槍型の近接武装[飛燕]を、左手にこれまた3年整備科がバリスティックシールドをベースに作った多機能型武装楯[紫陽花]を構える。 神楽が紫陽花を構えたことで、ティナとの一戦を思い出した鈴は龍砲を使わずに双天牙月で攻撃する事に切り換える。

 

 「邪魔よ、落ちなさい!」

 

 両手の双天牙月を演舞の如く振るう鈴。神楽は左手の紫陽花と両肩のシールドを巧みに使いながら捌いていく。

 この時、鈴は神楽が一般生徒と思っていた。しかし、それは間違いなのだ。神楽は確かに一般枠で入学したが、その本質は役目こそ違えど、更識家と並ぶ日本政府の諜報組織の一族なのだ。次期当主として幼い頃より教育を受け、それ相応の腕前を有しているのだ。

 入学試験の際は役目上、目立たなくする必要があった為に実力を隠していたが、その力は代表候補生と比較しても拮抗するものなのだ。

 それ故に

 

 「くっ! 何で当たらないのよ!」

 

 中国に帰国させられて、春麗とのマンツーマンの特訓を受けた鈴は確かに実力を上げ、そして表面上は心を入れ換えた風に装った。 だが、春麗はその事に気づいており、本来ならまだ学園に戻すつもりはなかったのだが、学年別トーナメントの時期が迫っている事もあり国は復学を急がせたのだ。

 という訳で鈴の性根は未だ以前のままなのだ。取り繕う事を覚えたので表面上は誤魔化せる。ただ、見抜く者は見抜く。 そして、何より感情の起伏の激しい鈴は興奮すると、それが出来ないのでぼろが出る。

 

 「クソ、クソ、クソォォォォーー!」

 

 鈴の刀撃をシールドを使い、反らしていく。

 

 

 一方、黒江の方だが、メフィルを全く寄せ付けない戦いぶりだ。 高機動型のアステリオンの長所を生かし 右手のアサルトブレードと内蔵されているマシンキャノンを使いヒット&アウェイを繰り返す。

 その試合運びは一方的な展開となっているが、それも仕方のないことだ。決してメフィルの実力が低い訳ではない。 一般生徒の中では、おそらく上位にあたるだろう。もし、対戦相手が他の一般生徒ならその実力を観客に見せる事が出来ただろう。しかしそれは叶わなかった。

 なにしろ、黒江とメフィルの間には大きな壁が存在しているのだから。

 

 

  「ダメ! ぜんぜん捉えられない。」

 

 ラファールを纏ったメフィルはショットガン[レイン・オブ・サタデイ]を構えて、何とか反撃しようと試みるも、黒江の攻撃を完全に避ける事が出来ず被弾していく。 そしてついに

 

 『ラファール・リヴァイブ、SEエンプティー。メフィル・ボーラング試合続行不能。』

 

 SEが0となり敗北したメフィル。その場に留まっていたら試合の邪魔になると考え、アリーナの壁まで移動する。

 

 (負けちゃった・・・・・・でも、次は勝てなくても、もっと接戦になるようにしてみせる。その為にも、もっと頑張らないと!)

 

 意外と負けず嫌いで、努力家のメフィルであった。

 

 

 

 メフィルが負けたのを知った鈴。

 

 「役立たず! 少しは粘りなさいよ!」

 

 言うに事欠いてメフィルを詰る鈴。自分は格下と思っている神楽を相手に苦戦しているのに。

 

 (何でよ?!何で落ちないのよ!あたしは強くなったのに!!)

 

 未だに双天牙月に拘って攻撃を続けるが、シールドを利用して逸らされ続けられ、更に合間を縫って飛燕で突かれ少しづつだが、ダメージを受けていく。

 

 「こうなりゃ、出し惜しみ無しよ!喰らいなさい龍砲!!」

 

 至近距離で放たれた龍砲。左手の紫陽花で防御するも体勢を崩されてしまう。

 

 「流石に、至近距離では受け止めることは出来ませんわね。」

 

 「一気に終わらせる!! 喰らいなさい!!」

 

 鈴が龍砲を撃とうとした瞬間だった、右の肩部ユニットが爆発する。

 

 「きゃぁぁぁー! 何?!」

 

 突然の衝撃に驚く鈴。黒江がアサルトブレードを投げて肩部ユニットを破壊したのだ。

 

 「お待たせしました神楽さん。いきます!!」

 

 「わかりました黒江さん!」

 

 右の肩部ユニットを破壊され黒江に意識が向いた鈴に、神楽は紫陽花を水平に構えて先端部分を向けるとワイヤーアンカーが発射され鈴をグルグル巻きにして拘束する。

 

 「えっ?なに?! 何よこれ!!」

 

 突然拘束された鈴は抜け出そうともがくが、両手も巻き込まれて拘束されているため抜け出せない。

 

 「さあ、楽しい回転木馬(地獄のメリーゴーランド)の時間です。」

 

 神楽は両手でワイヤーを確りと握ると、その場でハンマー投げのように回りはじめる。そしてブースターを使い少しづつ加速していく。

 

 

「にゃぁぁぁぁーーーー、め、目が、目がまわるぅぅぅぅぅーーーー!!」

 

 高速回転により目を回していく鈴。そして神楽はワイヤーを切り離し鈴を解放する。

 

 「ふぎゃあ!!」

 

 遠心力により天井まで飛ばされて激突し、そのままアリーナ地面に向けて落下していく。そこに

 

 「ソニックブレイカー!!」

 

 アステリオンの肩部アーマーから伸びる突起部分にエネルギーフィールドが形成され、鈴に向かって高速で突撃する。

 

  「ぎゃあぁぁぁぁぁーー!!!」

 

 ソニックブレイカーの直撃を受けて、再び天井近くまで飛ばされ、そのまま回転しながら地面へと落下し激突する。アリーナ地面には衝撃と共にクレーターが生まれ、中央に鈴が犬神家さながらの体勢で突き刺さっていた。 そして

 

 『甲龍パイロット意識消失により試合続行不能。試合終了!勝者、更識黒江&四十院神楽ペア!』

 

 

 

 

 

 試合終了のアナウンスと共に、アリーナ壁際に退避していたメフィルが鈴を助けようと近づいていくのだった。




 
 
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