悪辣な転生者に裁きを   作:フライング・招き猫

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 新元号は令和ですね。 
 どんな時代になるのでしょうか?
 
 そして最初に言っておきます、この作品はアンチ鈴です。 
 
 その事を心にとめて閲覧してください。 お願いします。
   
 



第18話  綻ぶ運命

 

 

 代表候補生のいる国の関係者には、特別生中継で国に居ても観戦出来るようになっていた。

 中国にいる春麗もその一人だ。モニター越しに鈴の敗退を見て春麗が

 

 「さて、あなた方が学園への復学を早めた結果がこれです。私はあなた方に忠告したはずです、凰代表候補生は復学させるべきでは無いと。彼女は表面上は兎も角、内面は未だに未熟だと。」

 

 春麗はそう言って、近くに座っていた数人の政府高官に鋭い視線を送る。視線に気づいて、慌てて目をそらす高官達。

 

 「元々、私は彼女を代表候補生に任命するのを反対していました。確かに相応の実力は有していましたが、精神があまりにも未熟でした。それにも関わらず、あなた方はISの適正と技量のみに重きを起き、彼女を代表候補生にしました。その結果、彼女は増長し自分の我が儘を押し通そうと、無茶な行動に出るようになりました。」

 

 春麗の言葉に身に覚えのある高官達は気まずい表情になる。

 

 「ここで、改めてあなた方に凰鈴音代表候補生に対する対応を提案させていただきます。IS学園を退学し、中国への即時帰国。帰国後は専用機を没収し、候補予備生へ降格し一から訓練のやり直しでいかがでしょうか?」

 

 春麗の提案を高官達は渋い顔で聞く。鈴の実力は中国国内において目を見張るものがあり、中国の力を諸外国に示す為にも必要な処置だったと思っていた。

 だが、結果を省みれば

 

 「わかった、黄管理官。君の意見を受け入れよう。直ぐに()()()()()()()に連絡してくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園

 

 アリーナでは1年生の試合が続いていた。

 

 そして、ついに夏輝達の順番になった、

 

 

 『さあ、1回戦の最大の山場を迎えました。いよいよ世界に二人しかいない男性操縦者同士の戦いが幕を開けます。』

 

 最初に出て来たのは百春と箒だった。

 

 『最初に登場したのは織斑百春&篠ノ之箒ペア。二人が纏っているのは共に倉持技研が開発した第3世代機スレードゲルミルとグルンガスト零式です。どちらも重厚な存在感を示しています。』

 

 次に夏輝と円華が登場する。

 

 『そして更識夏輝&更識円華ペアが登場です。ウイング社が開発した第3世代機のサイバスターとヴァルシオーネRを纏ってます。ある意味、日本を代表する2大ISメーカーの代理戦争と言えるでしょう。』

 

 四人とも無言で向き合っている。そして

 

 

 『それでは、試合開始!!』

 

 合図と共に百春と箒は斬艦刀を、夏輝はディスカッター、円華はディバインブレードを構えて飛び出す。

 

 「箒は円華とか言うやつを、俺がさ?!何!!」

 

 百春は夏輝と戦うつもりで向かっていたが、夏輝と円華が入れ替わり、円華が目の前にいた。

 

 「お前の相手は私だ。光栄に思え、私も兄さんも()()()()()()()()剣で戦ってやるよ」

 

 そう言ってディバインブレードで斬りつける円華。それを慌てて斬艦刀で受ける百春。 何より、自分達に合わせてという言葉に驚きと怒りを感じた。 即ち、自分達はその程度で倒せる、と言われたも同然なのだから。

 

 

 

 一方、箒も円華の相手をするつもりでいたのに夏輝が来たことに驚いていた。

 

 「貴様、何故百春と戦わない!百春が怖いのか!」

 

 「俺の妹が言ったんだよ。俺が相手する必要が無いと。織斑では俺の相手は務まらないとさ。」

 

 夏輝の言葉に激昂する箒。

 

 「馬鹿にするな!!むしろ、お前ごときが百春の相手をするなぞ烏滸がましい!私の手で成敗してやる。」

 

 「それなら、ハンデだ。お前に合わせて剣で戦ってやるよ。射撃武器を使って卑怯だの汚いだの言い掛かりを付けられたくないしな。」

 

 「剣こそ日本人に相応しい武器なのだ!銃なぞ邪道だ!! 見せてやる斬艦刀・雪片零式の力を!」

 

 箒の持つ斬艦刀・雪片零式の刀身が淡く光る。そのまま夏輝に斬りかかる。 

 

 「見よ、これが斬艦刀・雪片零式の力、零落白夜だ!!」

 

 だが、夏輝はその斬撃をディスカッターで受け流し、そのまま斬りつける。ディスカッターの斬撃を受けて箒は下がり間合いをとる。 そしてまるで勝ち誇ったかのように言う。

 

 「ふっ、見たか。零落白夜の力を!少し触れただけでもSEを大きく奪うのだ。今の一撃でお前のSEは・・・・な、何故だ!何故減っていない?」

 

 「なるほど、そういう事か。だが、剣で受け流せば何ら関係無いようだな。何より、もうお前の太刀筋は見切った。もう、お前の剣は俺に触れる事はない。」

 

 その言葉にまたしても激昂する箒は

 

 「ふ、ふざけるなぁーーー!!!」

 

 叫びながら、箒は斬艦刀を振るう。だが、それは剣道有段者とは思えぬ乱雑で力まかせの物で、素人のような滅茶苦茶なものであった。

 

 「右袈裟、横凪ぎ、唐竹、突き、逆袈裟、横凪ぎ・・・」

 

 「くそっ!避けるなぁーーー。」

 

 夏輝は箒の太刀筋を言い当てながら、それをディスカッターで捌く。少しでも隙が出来れば斬りつける。

 それを繰り返す内に、箒の太刀筋が鈍りはじめる。

斬艦刀という竹刀とは全く違う物を使いこなすのは容易な事ではない。まして、激昂したまま無茶苦茶に振るえば、普段より体力を失うものだ。 既に息があがり、肩が大きく上下している。

 

 何より、箒自身は気づいていなかったが零落白夜をずっと発動させ続けている事で自身のSEが3割を切っていることに。 

 零落白夜は発動と引き換えに自身のSEを減らすという諸刃の剣なのだ。 その事を千冬に忠告されていながらも激昂し冷静さを失った箒は失念していたのだ。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・こうなれば!!」

 

 箒はブースターを使い高く飛び上がる。そして斬艦刀を大きく振りかぶり

 

 「くらえ、篠ノ之流剣術一閃、疾風怒濤!!」

 

 瞬時加速と斬艦刀に装着されているスラスターを使いながら夏輝目掛けて斬艦刀を振りおろす。

 だが、夏輝はその斬撃を紙一重で避ける。斬艦刀はアリーナの地面に深々とめり込む。そして

 

 「もう終わりだ。神祇無窮流剣術、虚空斬!」

 

 箒の周囲を風のように舞い、ディスカッターを振るっていく。連撃は吸い込まれるようにグルンガスト零式の装甲を斬り裂いていく。

 

 『グルンガスト零式、SEエンプティー!篠ノ之箒、試合続行不能。』

 

 アナウンスを聞いて箒が喚く。

 

 「ま、まだだ!まだ私は負けてない!私はまだ戦える!!」

 

 『篠ノ之さん、貴女は既に負けたのです。試合の邪魔にならないようにアリーナの壁際に移動してください。』 

 

 管制室の真耶から箒に指示がとぶ。

 

 「いいえ!私はま『いい加減しろ篠ノ之!お前は負けたのだ。大人しく指示に従え。』ぐっ!!・・・・わかりました。」

 

 まだ駄々を捏ねようとした箒だったが、千冬からの叱責に渋々と従う。マスク越しに睨んでいるのが、夏輝には感じとれた。 諦めの悪い態度の箒に溜め息をつき、円華の方に視線をやる。

 

 

 

 

 時間は少し戻り、円華が百春と対峙した直後。

 

 「こっのおぉぉぉーーー!」

 

 斬艦刀を頭上でグルグル激しく回転させ、その遠心力を利用して、横凪ぎで斬りつける。 無論、そんな大振りの攻撃なんて円華には避けるのも容易く、軽々と避け斬艦刀が過ぎた直後に踏み込んで、ディバインブレードで突きを放つ。

 

 「?!」

 

 「ちっ!!」

 

 だが、何かを感じとった円華は百春に突きが当たる前に後退加速で、一気に下がる。

 直後、円華がいた場所を目掛けて斬艦刀が振り下ろされた。  百春も斬艦刀の扱いに馴れてきたようで以前より取り回しが早くなっていた。斬艦刀の重量と遠心力を利用しながら、次々と円華に向かって斬りつけていく。 この時既に百春の頭から斬艦刀以外を使って戦うという選択肢は消えていた。

 そう、試合開始直後に円華に言われた言葉が心に突き刺さっていたのだ。

 

 「何が、お前達に合わせてだ!舐めるな!!」

 

 だが、百春は失念していた。自分の未熟な斬艦刀による攻撃は読まれやすいという事を。

 斬艦刀はその大きさと重量故に常に動作が大きくなる。細やかな動作を必要とするフェイントや切り返しが今の百春では出来ないのだ。 つまり、単調な攻撃になるのだ。

 

 最初の内は百春が攻めていて押しているように見えたが、直ぐにその攻撃の合間を縫って円華の攻撃が当たるようになった。

 

    そして

 

 『グルンガスト零式、SEエンプティー!篠ノ之箒、試合続行不能!』

 

 というアナウンスが聞こえてきた。

 

 「そんな、箒が?!」

 

 箒が負けた事で明らかに動揺する百春。 何より2対1と不利な状況になったことに動揺した。

 だが、そんな百春の考えを読み取ったのか円華が

 

 「心配するな、兄さんは手出ししない。何よりお前は私に負けるのだからな。」

 

 そう言って円華がディバインブレードを振るう。 

 夏輝の指導を仰ぎ、円華は神祇無窮流剣術を徐々に会得していった。

 無論、技量に関しては夏輝はもとより身体能力では円華に劣る黒江の足元にはまだ及ばないものの、生来の学習能力の高さが発揮され1つ1つの技の完成度は目を見張るものなのだ。

 

 「くそっ!くそっ!!くそっ!!!」

 

 内心で焦りながら斬艦刀を振るう百春、だがその太刀筋は既に円華は見切っており、避けていく。逆に円華の斬撃が攻撃の合間を縫って百春に命中していく。

 

 「神祇無窮流剣術 虚空斬!」

 

 夏輝が風のように舞ったのに対して、円華は百春の周囲を蝶のように軽やかに舞い、ディバインブレードを振るう。連撃はスレードゲルミルの装甲を斬り裂いていくが、少し浅かったようでSEを削りきれなかったようだ。

 

 「くっそぉぉぉぉーー!こんな剣、もういらねぇーー! ドリルナックル!!」

 

 もう後が無い百春は、斬艦刀を投げ捨ててドリルを両腕に装着して殴りかかる。

 喧嘩殺法のように高速回転するドリルで殴り続ける百春。 だが、それすら円華には掠りもしない。

 

 「くそっ!くそっ!!くそっ!!!」

 

 「悪あがきだな。せめてもの情け、私が今使える最大の剣技で終わらせてやろう。」

 

 そう言って円華は後方に下がると、ディバインブレードを両手で握り頭上で構える。そしてゆっくりとディバインブレードで円を描いていく。

 

 「あたしの顔に照り映える月の光があんた、この世の見納めだよ。」

 

 ディバインブレードの軌跡が真円の月を描いた瞬間、円華は百春に向かって加速して近付き、直前で飛び上がり上段から斬りかかる。

 

 「・・・・・・・・・・あっ?!」

 

 円華が描いた真円の月の軌跡に一瞬目を奪われた百春は反応が遅れる。

 

 「秘剣、円月殺法!!」 

 

 上段で斬りつけた後、後方に少し下がり再び加速しながら近付き横一文字に斬る。 百春は避ける事が出来ずにまともに斬られる。

 

 「うわぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」

 

 そして、その瞬間

 

 『スレードゲルミル、SEエンプティー。試合終了!勝者更識夏輝&更識円華ペア!』

 

 勝敗が決したのだった。

 

 円華はディバインブレードを鞘に納めると、夏輝の元に行く。二人はそのままピットに戻る。 

 ピットに戻りISを解除すると夏輝は

 

 「よくやったな円華。 ただ虚空斬の斬りつけが少し浅かったな。あと、10cm程度踏み込むべきだったな。」

 

 夏輝に指摘を受けて少し落ち込む円華。しかし夏輝は円華の頭に手を置いて

 

 「まあ、円月殺法はよく出来ていた。頑張ったな円華。」

 

 そう言って頭を撫でて誉める。円華は撫でられて嬉しそうに頷く。

 

 

 

 

 

 

 反対側のピットに戻って内心で罵詈雑言を吐く百春と箒。明らかに負けた事が納得いっていないようで不機嫌な様子を露にしていた。

 

 (くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!なんだよ、なんで勝てないんだよ!俺はオリ主だろ、この物語の主人公だ。なんで、活躍出来ないんだよ!!主人公補正はどうした!!)

 

 (何故だ、何故負けた!私の方が、私の・・・・・私の?・・・・み、認めるか、認めるものか!あいつが、私より、百春より強いなどと!!)

 

 その時、千冬が入ってきた。

 

 「全く、無様な姿だな。」

 

 入って来て、第一声がそれだったので百春と箒は顔を背ける。

 

 「私が言っているのは試合内容も去ることながら、今のお前達の姿だ。自分達が何故負けたのかを理解せず、負けた事を認めようとしない、その姿だ。」

 

 千冬に指摘されるも、納得がいっていない二人。

千冬は溜め息をつき

 

 「さて、二人とも専用機を私に渡せ。」

 

 千冬に言われ二人は慌てる。

 

 「「ど、どういう事ですか千冬姉!」千冬さん!」

 

 

 「今日の試合を見てハッキリとした。お前達の専用機の武装である斬艦刀は、お前達には合っていない。そこで倉持に戻して武装変更をしてもらう。確かまだ打鉄改式用の雪片があったはずだからな。」

 

 千冬にそう言われ、二人は待機形態のISを渡す。

 

 「それから今後、アリーナでの訓練には私が付き添う。」

 

 そう言って千冬はピットを立ち去るのだった。

 

 

 

  

 

 

 

 

 アリーナ貴賓室

 中国の関係者が滞在する部屋に鈴の姿があった。鈴の後ろにはSPがおり、その前には3人の中国高官が。

 そして、中国高官の側にはハンディモニターがあり、そこには春麗の姿が映し出されていた。

 

 『さて、試合は確りと見せていただきました()()()()()()()。』

 

 春麗の言葉の一部分に反応し、動揺する鈴。

 

 「ま、待ってください、元代表候補生?!」

 

 『はい、そうです。先程決定しました。凰鈴音、貴女を代表候補生の地位剥奪、並びに専用機[甲龍]の没収。そしてIS学園を退学の上で中国への帰国を命じます。なお、中国帰国後は候補予備生として一からの再教育となります。』

 

 春麗にそう言われ、膝から崩れ落ちる鈴。SPの1人が手首にある黒いブレスレットを取り金属ケースに納める。それをみながら、鈴は首を横に振り

 

 「なんで、なんで・・・・・・」

 

 『元々貴女は、代表候補生としての必要な心構え、精神の資質を欠いてました。ですが、政府上層部は諸外国へのアピールを急務とし、まだまだ未熟だった貴女を代表候補生に任命し専用機を与えました。 ですが、前回と今回の一件を受けて貴女の代表候補生としての資質に問題ありと、判断されました。』

 

 その瞬間、鈴は扉を開けて部屋から逃げ出した。SPが慌てて後を追おうとするが春麗が止める。

 

 『お待ちなさい。あなた達が追う必要はありません。既に手配してあります。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   アリーナ貴賓室を飛び出した鈴。

 彼女は3時間後に、ある町の小さな食堂にいた所を確保され中国へと送還された。

 余談だが、その際に店内にいた少年と壮年の男性が鈴の逮捕に抗議し抵抗したが、事の経緯を説明できる範囲で話したところ、渋々引いてくれたとの事。

 




 
 残念ながら鈴はここで退場となります。
 
 ちなみに最後にでてきたお店はもちろん、空飛ぶお玉の、あのお店です。
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