悪辣な転生者に裁きを   作:フライング・招き猫

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第22話  臨海合宿→初日

  

 

 「今日から3日間お世話になる花月荘だ。全員挨拶を。」

 

 「よろしくお願いします!」

 

 「よし、これからクラス毎に部屋割りを発表する。部屋に荷物を置いたら、夕方6時までは自由時間とする。ただし、羽目を外し過ぎないように。」

 

 千冬がそう言うと部屋割りの発表となった。

 

 「夏輝は此方よ。」

 

 教員扱いで同行している刀奈が夏輝を呼ぶ。側にいる虚が申し訳なさそうにしている。

 

 「まさか刀奈姉さん?」

 

 「そうよ、夏輝は私と虚ちゃんと同じ部屋だよ。」

 

 事も無げ言う刀奈に呆れる夏輝。部屋に移動しながら刀奈に

 

 「そう言えば、ガーリオンは誰が扱うの?」

 

 「ロザリー先生です。」

 

 「2年の学年主任が来ているって事は刀奈姉さんのお目付け役の意味もあるのか。」

 

 「その通りです夏輝様。お嬢様が羽目を外し過ぎないようにするためのお目付け役です。」

 

 「ぶーぶー、酷いよ夏輝も虚ちゃんも。そんなに私って信用無いの!」

 

 「「信用して欲しがったら、普段からの生活態度を改めて(ください)」」

 

 二人の口撃に項垂れる刀奈。自業自得である。

さて、3人で宿泊する部屋に向かうと生徒達や教員が使う部屋から少し離れた部屋に着いた。

 

 「ここだよ。」

 

 そう言って扉を開けて部屋に入る刀奈。室内は広い和室で、造りも高級感に溢れている。

 

 「へーー、割りと良い部屋だね。」

 

 「夏輝!ジャーーーン!!」

 

 夏輝が荷物を部屋の端に置いた時だった。刀奈が制服を脱ぎ捨てる。そこには黒いストリングのマイクロビキニ姿の刀奈がいた。

 

 「へっ?! か、刀奈姉さんーー!」

 

 「お、お嬢様ーーー!!! なんて格好をしてますか!」

 

 虚が慌てて荷物からバスタオルを取りだして刀奈に被せる。

 

 「べ、別にいいじゃない。夏輝と虚ちゃんしかいないんだし。それに、泳ぐ時は別の水着だから。」

 

 「それでも、そんな破廉恥な水着はダメです!」

 

 「虚さん、後はお願いします。俺は他のところで着替えて海に行きます。」

 

 荷物から水着一式を取りだして袋に入れた夏輝はぐったりとした表情で部屋を出るのだった。

 

 

 

 

 

 更衣室で着替えて砂浜に出た夏輝は、近くの売店でパラソルとレジャーシートを借りて砂浜に広げる。

 

 「夏輝様。」

 

 黒江に呼ばれて後ろを振り替えると、フリルスカート付きの白いワンピースの水着に白いパーカーを羽織った黒江と黒いタンキニ水着の円華がいた。

 

 「早かったな円華、黒江。二人共よく似合っているぞ。」

 

 「ありがとう兄さん。」

 

 「ありがとうございます夏輝様。」

 

 二人共、顔を赤くしながらも嬉しそうにする。

 

 「兄さん!」

 

 「夏輝様!」

 

 「夏輝!!置いてきぼりなんて酷い!」

 

 「自業自得ですお嬢様。」

 

 続いて、黄色いネックホルダーのワンピース姿の簪、狐の着ぐるみ水着の本音、水色の三角ビキニの刀奈、赤いワンピースの水着に黒のラッシュガードを羽織った虚が現れる。

 

 「刀奈姉さんは自業自得。それにしてもみんな似合っているな、その水着姿。」

 

 「「「「ありがとう。」」」」

 

 嬉しそうに返事する刀奈達。

 

 「本音、砂の城を作るわよ。」

 

 「・・・・・・かんちゃん、ホドホドにね。」

 

 何やらツールケースのような物を持った簪は本音を連れて、少し離れた場所に向かう。

 

 「円華、ビーチボードと浮き輪を借りに行きましょう。」

 

 「わかった刀奈姉さん!」

 

 円華と刀奈は海に入るようで売店に向かう。黒江と虚はパラソルの下に引いてあるレジャーシートに座る。

 側にいる夏輝に黒江は

 

 「夏輝様は泳がないのですか?」

 

 「もう少しだけここにいるよ。目印になるしな。」

 

 「シャルさんですね?」

 

 「それもあるけど虚さん、他にも声をかけてくる人がいると思いますし。」

 

 そうよ、夏輝が言うと

 

 「夏輝様、ここにいたんだ。」

 

 そう言って声をかけてきたのはオレンジのビキニ姿のシャルだった。しかしそこにはシャルだけでなく青いビキニにパレオを纏ったセシリアとグリーンのワンピース姿のさゆか、そしてバスタオルを身体中にグルグル巻いた人物がいた。

 

 「やぁ、シャルにセシリアに夜竹さん。ところで、それは?」

 

 「あははははははぁ~ー。」

 

 呆れ笑いのシャルに、何処と無く困った様子のセシリアとさゆか。

 

 「ラウラさん、いい加減諦めてバスタオルを取ってくださいまし。」

 

 「そうだよラウラ、折角私が選んだんだし。」

 

 どうやらタオルオバケはラウラのようだ。

 

 「どうしてそんな姿なんだ、ラウラは?」

 

 「いざ、着替えたら普段と違う格好に恥ずかしくなったんだって。」

 

 「えぇーい、うるさい!・・・そ、そんなに見たいなら見ろ!」

 

 シャルが解説するとようやく意を決したのかバスタオルを脱ぎ捨てるラウラ。普段と違いツインテールに纏めた髪型にスカート部分や肩に白いフリルの付いた黒のワンピースの水着だった。

 

 「へーーー、可愛いじゃないか。」

 

 「うーーー、うるさい!」

 

 夏輝に褒められて恥ずかしくなったのか、海に走っていくラウラ。

 

 「ちょっとラウラ、待ってよ!」

 

 「あーーん、もう二人共!」

 

 慌てて追いかけるシャルとさゆか。

 

 「全く、随分と変わられましたわねラウラさんは。」

 

 「夜竹さんのおかげかな。彼女と一緒に行動するようになって随分と変わったしね。色々と気づいたんじゃないかな。」

 

 「そうですわね。」

 

 すると、少し離れた場所が騒がしくなる。視線をやると百春がおり、女子生徒が群がっていた。

 

 「相変わらずだな。」

 

 「浮かれているのも今の内かも知れませんけど・・・」

 

 「どういう事だセシリア?」

 

 「篠ノ之さんとの会話を偶然耳にしたのですが、どうやら期末テストの出来が悪かったようですわ二人共。自己採点をこっそりとしたようですが、半分くらいの出来で赤点ラインのようです。」

 

 「と言う事は、あの二人は。」

 

 「おそらく夏休みに補習が待っていると思われます。」

 

 「「「・・・・・・・まあ、これも自業自得。」」」

 

 その時、夏輝達のところにソースの焦げる香ばしい匂いが漂ってきた。

 

 「おっ!この匂いソース焼そばか。ちょっと買おうかな。」

 

 「すいません、ソース焼そばって何ですか?」

 

 「そうか、セシリアは?知らないか、1回食べてみるか?」

 

 「何やら美味しそうな香りですし食べたいです。」

 

 「虚さんと黒江も食べる?」

 

 「「はい!」」

 

 「それじゃあ行こうか。」

 

 四人で匂いの元を辿ると、少し離れた売店で焼そばやかき氷を売っていた。 メニューを見るとかなりの種類があった。

 

 「そうだ、食事にしようか?」

 

 そう言って夏輝達は店内に入って近くのテーブルに陣取る。

 

 「俺は焼そばとフランクフルトに唐揚げにフライドポテトにラムネ。」

 

 「私は焼そばとコーラで。」

 

 「私も焼そばとコーラで。」

 

 「私は焼そばとカレーと焼きイカとウーロン茶をお願いします。」

 

 「黒江さんって意外と召し上がるのですね。」

 

 「私は昔から消費カロリーが多くて、ある程度食べないと貧血を起こすんです。」

 

 そう言う黒江に、セシリアはIS学園での食事を思い出す。確かに常に大盛りや、2人前頼んで食べていたことを。

 

 「「「「私達も焼そば!!!」」」」

 

 突然響く声、音源に視線を向けると刀奈と円華と簪と本音がいつの間にか来ていた。

 

 「夏輝ズルいよ。自分達だけ、追加でフランクフルトとコーラ!」

 

 「私は焼き鳥と、兄さんと同じラムネ!」

 

 「かき氷を~レインボーで!」

 

 「焼そばをWでトッピングに目玉焼き、それから特盛唐揚げにポテトのLLにラムネ。」

 

 注文を終えると同じテーブルにつく。

 

 セシリアは近くの鉄板で焼かれる焼そばを興味深く見ている。

 

 「これなら私でも出来そうですね。」

 

 セシリアがそう呟いた順番

 

 「「「「「「「セシリアは、絶対作ったらダメ!!!!!!!」」」」」」」

 

 全員に反対されるのだった。

不満げに頬を膨らませるセシリア。

 

 そして出来上がった焼そばが来ると、全員で舌鼓を打つ。

 

 「んーーーー、このチープな味、やっぱり海には焼そばよね。」

 

 「これが焼そばですか、何か甘辛くて不思議な味ですね。でも・・・・・・・美味しいです。」

 

 「オーダー、焼そばW目玉焼き付き。」

 

 「・・・・・・かんちゃん、早い・・・・」

 

 「それにしても、本音のそのかき氷・・・凄い色合いだな。イチゴにメロンにレモンにブルーハワイに巨峰にピーチに練乳・・・・・」

 

 「すいません、追加でラーメンとお握りをお願いします。」

 

 

 夏輝達に誘われてか、他の生徒達も続々と店を訪れて、売店の売上は過去最高のものになったのだった。

 

 食事を終えると、簪の提案で全員で砂の城を作りに行った。全員で作業したこともあり、5m越えの砂の城が出来上がり、全員で記念撮影をした。 なお、この砂の城はたまたま売店の店主で地元の観光協会の会長が目撃し、観光の目玉にするからと言うことでそのままにすることにした。

 

 このあとも泳いだり、ビーチバレーをしたりして日が沈むまで遊ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へーーー、豪華だな。」

 

 目の前に並べられた夕食は、豪華そのものだった。

刺身の盛合せに、天婦羅、蟹の味噌汁、石焼ステーキ、紙鍋、等々、どう考えても高校生に出すレベルの料理ではなかった。

 

 「鯛に鮪にカワハギ、これだけでも凄いな。」

 

 「モグ、モグ、モグ、モグ。」

 

 「ハム、モグ、ハム、モグ。」

 

 「かんちゃん、黒ちゃん、美味しいね!」

 

 「兄さん、これは?」

 

 「それは茗荷の天婦羅だな。」

 

 「虚ちゃん、このお肉美味しいわね。」

 

 「お嬢様、お肉だけでなく椎茸も食べてください。」

 

 普段とは違う料理に生徒達は嬉しそうに舌鼓をうっていた。 ちなみに教員は別室で食事をとっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 さて、旅館ともなれば温泉があるのだが、生徒人数の関係上クラス単位で普段男湯に使っている浴室も使用して1時間交代制になっている。そして夏輝と百春は、それ以降にしか使用出来なかった。

 

 百春と一緒に入りたくない夏輝は室内の内湯を使うことにした。 

 ひとりでのんびりと浴槽に浸かる夏輝。内湯とはいえ

旅館の浴槽。4~5人くらいは余裕で浸かれそうな大きさだ。 

 

 「ふ~ーーーーーーー。いや~ー気持ちいいな。」

 

 大の字に手足を伸ばしてリラックスしている。

 

 「そういや、温泉旅行以来だな。こうやって浴槽に浸かるなんて。しまったな部屋を作ってもらう時に浴槽も頼めばよかったな。」

 

 夏輝の部屋は特別に作って貰った個室だ。最初から更識の手によって作られた防犯や襲撃にも対応できる特別な物になっている。室内も十分な広さを持っているが、唯一の欠点が浴室に浴槽が無いことだった。

 

 「今更、増設も頼めないし我慢するか・・・・」

 

 「そんな事無いわよ!」

 

 「へっ?!!」

 

 聞こえてはいけない声が聞こえてきて驚く夏輝。

慌ててそっちを見るが、慌てて視線を戻す。

 そこには

 一糸まとわぬ姿の刀奈とバスタオルを巻いた虚がいたのだ、

 

 「ちょ、ちょっと刀奈姉さんに虚さん、どうしたの!」

 

 刀奈と虚は顔を見合わせて

 

 「「背中を流しにきました。」」

 

 「冗談はやめてよ。」

 

 「冗談じゃ無いわよ。でも、まあいいわ。」

 

 「お嬢様、先ずは体を洗いましょう。」

 

 そう言って二人は体を洗い流す。そして浴槽に浸かる。夏輝にぴったりと寄り添う二人。

 

 「えーーと、なんでこんな事を?」

 

 「あら、いいじゃない?今更でしょ。」

 

 「たまにはよろしいのでは無いですか?」

 

 何時もは刀奈の押さえ役をする虚が刀奈に同調している以上はどうしようもなかった。

 両腕に触れる柔らかな感触が夏輝を追い詰める。

 10分・・・・いや20分たったようにも感じる。

 

 「えーーと、そろそろ出たいんだけど・・・・」

 

 「まだ、いいじゃない。ゆっくり浸かりましょう。」

 

 「と言うか、最初からの疑問なんだけど何でここに?刀奈姉さん達は大浴場に行かなかったの?」

 

 「その、私達は教員扱いなので入浴は生徒が終わってからになるんですけど、同じ時間に男性の順番なんだけど、ラッキースケベとか起こされて裸を見られたくないし、万が一の事態も避けたかったからね。」

 

 「それはそうだけど、俺が出てからでもよかったんじゃないの?」

 

 「んーーー、まあ、それは勢いというか、虚ちゃんも入りたがってたし。」

 

 「お、お嬢様?!」

 

 「あら、嫌だった?」

 

 「・・・・・・・いいえ。」

 

 「まあ、もう入っている以上は仕方ないけど・・・ところでさっき言っていたけど、増設の事なんだけど?」

 

 「そうそう、夏休みに織斑君用の個室を作る事になったの。場所は織斑先生の寮官室の隣。それで夏輝のも新たに作り変える事になったの。元々、夏輝のはプレハブをベースに作った奴だから、この際に新しく作り直そうと思うの。」

 

 「という事は、俺の要望がある程度反映させられるよね。」

 

 「はい、更識が全費用を持ちますので大丈夫です。」

 

 「それなら色々出来そうだな・・・・と、本当にそろそろ出たいんだけど」

 

 「もう仕方ないわね。」

 

 夏輝は刀奈と虚が離れてくれたおかげで二人より先に上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  こうして、臨海合宿の初日は終わっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ????????

 

 

 

 「おっ、トーマスこんなところで何やってんだ?」

 

 「なーに、明日のテストで俺のFー18(ホーネット)ちゃんとレースする女神ちゃんに挨拶をね。」

 

 そう言ってトーマスは目の前にある銀色の鎧に軽く叩く。

 

 「おいおい、傷をつけるなよ。私が怒られるんたからよ。」

 

 「おっと、すまねえな。それじゃあ女神ちゃん、明日はヨロシクな。」

 

 そう言ってトーマスはその場から離れる。それを見送り、整備士の女性は

 

 「・・・・・・・レースねぇ~・・・・・人生最期のレースを楽しんでね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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