My " revenge play" ~僕の『復讐劇』~ 作:血糊
わかる人がいたらめっちゃ嬉しい。
a.m. 9:17
偶然だった。
ふらりと、気紛れに母の部屋へと入った。
誰も居るはずのない部屋に、一つ布団が敷かれていた。
そこで眠っていた彼女の顔に俺は酷く懐かしさを感じた。
五年前に失踪して、生存は絶望的だろうと言われていた、俺の小さい頃の親友。
未だに記憶の隅にしっかりと焼きついたその顔が、目の前の彼女に重なった。
その瞬間に俺は確信した。
間違いなく、目の前に居るのはあいつなんだと。
ある日、忽然と姿を眩ました『緑谷出久』なんだと。
でも、確信と同時に違和感を覚えた。
何かが違う。
目の前に居るのは確かに出久だ。
……出久の筈、なんだ。
a.m. 11:48
まずは状況を整理しよう。
確か僕は殺害対象のヒーローを探して一徹したせいでアジトに帰る途中で倒れた。そして今に至っている。
おそらく意識の無い間にどこかに運び込まれたのだろう。
見たところ刑務所の牢獄ではなさそうだが……
「待ってバッグは!?」
ばっと周りを見回す。だが、何も見当たらない。
「そんな……!!」
安全がまだ確保されていない状況で手ぶらというのはかなり不味い。不測の事態が起こった時自己防衛が十分に出来ないからだ。
「いけない、まずは脱出経路の確認を!」
彼女は個性を使用する。
「《ダークビジョン》《プレモ二ション》」
壁越しでの生き物の動きを把握できる能力を使う。
「(―――こっちに来てる!)」
プレモニションの効果でどこに向かっているのかが分かるため、近くに一人、彼女が居る部屋へと向かってきていることが分かった。
「(
使用している能力を解除して、相手が向かってきている速度でタイミングを計る。
一発勝負。ミスは許されない。
障子の窓から相手の姿が見え、動く。
「来た!《ブリンクッ!》」
相手の横をすれ違って、背後へとテレポートした。
「《ベンドタイム》走れッ!!」
八秒間時を止める能力を使い、とにかく遠くへ走る。
途中、階段を見つけたのでさっさと飛び降りて、一階の廊下を全力で走る。
常に発動している能力である《アジリティ/ラピッドダッシュ》によってかなりの速度で走れる為、あっという間に玄関らしきところに着いた。と同時に《ベンドタイム》の効果時間が丁度切れた。切れてしまった。
「「あ」」
なんと同時に玄関のスライドドアが横へとスライドして、幾度か見かけた男が現れたのだ。
「「……」」
彼女と男の間で流れる沈黙。そして。
「うわああああ《ウィンドブラストォッ!!!!》」
「がはぁっ!?」
反射的に相手を吹き飛ばす能力を使ってしまい……男は外へと吹っ飛ばされる。
しかも当たり所が悪かったらしく、そこで気絶してしまった。
「……《ファーリーチ》」
〈虚無の手〉を呼び出して物体を引き寄せる能力で気絶した男を回収する。
片手で持ち上げながら家の中へとまた戻る。
近くに部屋はないかと周りをちらりと見ると、近くにあった障子に目を留めてそこを開ける。
「リビングってとこか。ここまでザ・和風みたいな作りだったし、もしかしたらこの家は日本家屋なのか?」
一人、そう呟いて部屋に入り、端っこに男を寝かせる。
偶然だったがこれで一人、無力化できた。
「あとは、バッグを探すだけ……後は誰が居るんだっけ?」
彼女は冷静に自らの記憶の中から目的の情報を探し出す。
男の容姿から、おそらく正体はNo.2ヒーロー【エンデヴァー】だろう。となると、今彼女がいるのはおそらく轟家。轟家は日本家屋だから、なぜこの家がこんなに和風な造りなのかも説明できる。
今持っている轟家の情報としては、確か母は家庭内の事情で入院中だからここには居ない。だからここには父子二人しか今の所は住んでいなかったはずだ。
先程玄関を見たときには、成人よりも小さなサイズの一人分しか靴は無かった。だからおそらく母や客人は居ないだろう。
結論からしてあとは轟家の嫡男だけだ。確か名前は……
「轟……焦凍……」
個性は〈半冷半燃〉。エンデヴァーの炎に加えて氷も使える個性で、油断すれば彼女でもすぐに捕まってしまう強力な個性……だったはず。
情報がうろ覚えというのはどれだけ危険なのか。この瞬間彼女は悟った。
「うわぁ……これからは
轟焦凍、という単語にどこか引っかかりを覚えながらも、さっき閉めた障子を開く……前に《ダークビジョン》を使おうとしたときだった。
「ッ!?」
体が突然ズン、と重くなったのは。
意識を保ったまま、彼女は崩れ落ちた。
突然の出来事に、一瞬混乱したが、何があったのかということは、すぐ理解出来た。
「(―――個性の副作用ッ!!)」
彼女の個性は、短時間で何度も使用すると身体に大きな負担が掛かるというデメリットがある。
いつもならもう少し力を調整しながら使うものの、いかんせん今回は異常事態だった為に調整なしのフルパワーで使っていた。
(やばいやばいやばい……!この酷さだと多分クールダウンにはかなり時間が掛かっちゃう。幸い身体は這いずりながらの移動なら出来るから、まずはどこかに隠れて)
後ろから障子の開く音がした。
ダンガンロンパにはまりました。
今さらだけど剣は縮小可能。持ち運び便利。
次回は遭遇。
誤字報告お願いします。
読んでもいいし読まなくてもいいオマケ
a.m. 11:51
ヴィラン連合にて。
半日を費やして彼女を探したものの、見つからなかったので、一度黒霧のゲートホールを使って死柄木弔はアジトに帰還した。
お洒落なバーみたいな室内に、膝裏まである深緑色のコートを羽織った男―――というより青年がカウンターに座り、ノートパソコンを覗いていた。
雲のように波打つ白髪を揺らしながら青年がこちらを向いた。
端正なその顔が鋭い目をした彼を見ても、微塵も歪まずに青年は淡々と言葉を紡ぐ。
「おかえり、死柄木クン。今さっき緑谷さんの居場所特定したよ」
「ああ……てか特定できたんかい」
「え?携帯電話にGPS機能付けておいたって前言ってなかったっけ?」
「そういや言ってたな!それで、あいつはどこに居る?」
「……ちょっと面倒なところにいるみたい」
「はぁ?」
「移動経路調べてたけど、確か緑谷さん、久しぶりに徹夜したんだよね?それで途中倒れちゃって、連れて行かれたんだと思う。それで、さっき目覚めて今いる所を探索してるんだろうね。多分だけど、持ち物が無くなって探してる最中……かな?でも、
「現在地が不味いってどういうことだよ……ん?えっまさか」
「そのまさか、さ。ヒーローの住宅に居るんだよ。それもNo.2のね」
「ちょっとの話じゃねえぞ!?今すぐ助けに行かないと」
「······敵地の中で安全に、そして確実に彼女を助けられる策でもあるの?」
「うっ」
「幸い携帯は持ってるから連絡はできる。何かあったらあっちから来るだろうからそっとしておいたほうがいい」
「······そうだな」
彼女の実力を信頼してるからこそ、ナギははっきりと言った。
死柄木はそれを見て、自らに呆れ返った。
「(今のあいつの所に行っちまえば、確かに俺らは足手まといにしかならねぇな。助けるどころかただのお荷物だ)」
何はともあれ、今は彼女を信じるしかない。