古き幻想の紅い雪   作:珀靈雪魄

9 / 18
第8話:諏訪での邂逅

───やって参りました、諏訪湖です。

 

いやぁ、此処に来るまでにどれ程道に迷った事か。

やっぱり土地鑑が無いと苦労するものなんだねぇ……。

 

それはさておき。早速、洩矢神社に向かおうと思います。

さぁ、どんな感じの神様だったんだろうか。洩矢諏訪子は。東方正史に於ける諏訪子とどれ程違うのだろうか。楽しみで仕方が無い。

 

名の知れた神様……それも祟り神ときたもんだ。あれ? 祟り神はミシャグジ様だっけ? 少しでも蔑ろにすると神罰が下るだの何だの。んで、諏訪子がそのミシャグジ様をコントロール出来る存在で……あー、やばいな。あまりにも時間が経ちすぎて原作知識が無くなってきてるじゃんか。

 

……まあ、それはひとまず置いといて。諏訪子……というよりミシャグジ様は、聞いた話では、各地の人間には自分を信仰するように、妖怪には自分に従うように執拗に迫っているとか。

 

信仰するに見合うだけの恩恵は与えられるんだろうけど、そのやり方はどうなんだろうかと、地道に人々の信仰を得ていって神になった私は思う訳ですよ。ええ。

 

やはり北の方だからかやや肌寒いが、秋特有のさらっとした空気に撫でられながら、神社への道を歩んでいく。つーか人多いな、おい。参拝客とかそんな感じの人かな。

この髪の色が珍しいのか何か知らないけど、道行く人々が此方を凝視してくる。居心地悪い。

 

「神様……ですよね? 諏訪子様にご用でしょうか?」

「んあ?」

 

その中の一人が話し掛けてきた。神力出しっぱなしだったわ。

それよりも、諏訪子様か……やっぱり合ってたみたい。

 

「宜しければ御案内致しますが……」

 

神力が感知出来るから案内してもらわなくてもいいんだけど……厚意で言ってくれてるっぽいし、お言葉に甘えようかねぇ。

 

 

 

そして、参拝客(?)の一人に案内されて向かった先は、洩矢神社だった。まあ当然か。祭神がそこら辺でふらついていたら困るよね。……え? 私? さあ何の事かな。私は何も知らない。

 

参拝客(仮)と別れて、諏訪子を捜す。

と言っても、捜し回らずとも……ほらいた。本殿の屋根に座ってこっち見てら(帽子も)。手招きまでしてる。

えーと? つまり、こっちに来いという事だよね。

 

こちとら諏訪子と話をする為にわざわざこんな所まで来たんだから、言われずとも行くさ。

 

「何かご用で?」

「それはこっちの台詞だよ」

 

そりゃそうか。

 

「まあ、何やら凄い祟り神を統べている土着神がいるとか何とかを聞いて此処まで」

「へぇ……そう言うあんたも土着神?」

 

……ん? ああ、神力では新参の神とか土着神とか国津神天津神とかは見分けられないのかな? 流石に量で格は判るだろうけど……。

神力の量や質は明らかに諏訪子の方が上だ。流石にここまでの神なら見分けられてもいいと思うんだけど……まったく難しい世界だなぁ。まあ私は土着神じゃなくて最古の妖怪であり新参の神だ。神徳も何もあったもんじゃない。

 

「うんにゃ、違うよ。ほら」

 

言葉とともに、神力を引っ込めて妖力を全開放する。

すると、目を見開いた諏訪子が弾かれたように後退り、その上祟ってくる。正直息苦しい。

 

「ここまでの妖怪、見た事も聞いた事もないよ!?」

「だって長生きしてますし。億ぐらい」

 

納得が行かない様子の諏訪子だったが、次第に落ち着きを取り戻してきた。祟るのも止めてくれた。

 

「そんなに長生きしてそうな奴には見えないけど……」

「失礼な」

 

あんただって見た目幼女だろうに。そりゃ永琳みたいに大人っぽい容姿じゃないから何億歳とか言われても信じられないだろうけどさぁ。

 

「そうだ。そこまで言うならちょっと試させてよ」

「はぁ?」

 

何を言い出すんだこのケロちゃんは。何を試すって? 殺し合いや殴り合い以外はお断りだよ?

 

そんな半信半疑といった調子の諏訪子が言うには、少し離れた山に頑なに自分達に従わない妖怪がいるらしい。その容姿は、何かひらひらフリフリした奇妙な服を着た側頭部に二本の角が生えた──また鬼かよ。もう飽きたよ。

 

いや、まだ判らないぞ? ひらひらフリフリした服というと、洋服……それもフリル付きの服と見た。

そんな洋風の恰好をしているというなら……悪魔って可能性もあるかもしれないじゃないか。そうだよ。まだ希望を捨てちゃいけない。

 

まあ、諏訪子の要望としてはその妖怪を懲らしめてこいという事なんだけど……確かめてから決めよう。

鬼以外の妖怪だったら取り敢えず接近して様子を見る。鬼だったら不意打ちで仕留めなきゃならない。鬼は敵だ。あの駄鬼の例があるからね。

 

そうだ、(麓の)村に行こう。

 

 

 

来といて何だけど、何でどいつもこいつも山の麓に村起こしてんだろうね? やっぱり山の近くは川が流れてたりするからかなぁ?

 

何にせよ、こんな時代だ。貨幣や紙幣なんて出回ってないし、そもそも造られてないから村と村の間での交易は物々交換が主流である。でもまあそれに関しては万全の用意がある。道中での腹拵えの際に入手した熊や猪の毛皮があるから、商人としてなら多分通用する。問題はこの容姿だ。

 

大体の妖怪は片手で捻り潰せる妖怪神でも、見た目はただの子供。あちらでは怪しまれる前に土地神という存在になって疑問を持たせないようにしたから大丈夫だったが、此方でも上手くいくという保証は無い。

故に、どうやって自然に村に溶け込むかなのだが……どうしようか。

 

一番手っ取り早いのは、口減らしか何かで捨てられて泣く泣く生計を立てている少女を演じる事だ。それなら商人でも合う。

しかし、いったいどんな態度を取ればいいのだろうか。嘘泣きなら出来るけど。

 

「む? お前、見ない顔だな……」

 

うぇ、見付かったよ。めんどくせー。が、仕方無い。

よぉし、私の感動的なバックストーリーを聞けぇぇぇえ!

 

そして、嘘偽りの身の上を語る事三分くらい。

何とか理解してもらえたようで良かったぜ。まぁ、同情的な目を向けられたのは気に入らないけど。因みに、妖力も神力も消してるからまず人外と見破られない。ちょっとばかし勘のいい奴がいたら……まあ諦めて山に殴り込もう。

 

「しかし……今夜は妖が人を攫いに来るとの事だ。お前も誰かの家に匿ってもらいなさい」

 

あー……ごめん。それ退治するの、私。そして私も妖です。はい。

 

「そうですか……解りました」

 

まあ、ここは殊勝な態度を取っとかないと。でも……対策も何も無い訳ではないでしょ? 何らかの対抗措置を取った上でそれを破られて攫われるってのなら判るんだけど……。

例えば、妖怪退治を生業としている人達とか。何せ魑魅魍魎がゴロゴロ転がっているこの世界だ。そんな奴らがいたとしても不思議ではない。

 

でも、霊力を探ってみても、この村にはその妖怪を倒せる程の力を持っていそうな奴は見当たらない。駄目だこりゃ。

ウチの巫女さんだったら倒せるかなぁ……というか、不思議に思っているんだけど、あれだけ常軌を逸した鍛錬を積んでおいて腕は細いままとか……いったいあの子はどうなってるんだろう。え? 私や駄鬼?

や、私も駄鬼も妖怪だから仕方無いでしょ……筋骨隆々になんてなりたくないし……。

 

何にせよ、妖怪との対決が待っているんだ。さぁて、鬼が出るか蛇が出るか……鬼はマジで出てこないでくれ。私は鬼が苦手なんだ。

 

 

 

そして、夜も更けて。

 

「おぉう。皆寝静まってやがる」

 

どこもかしこも灯り一つ無いぜ。そんなにその人攫い妖怪が怖いのかな? まあどんどん怖がって欲しいけど。だって怖がられなくなって存在を信じられなくなったら妖怪消えちゃいますし。私はどうか判らないけど。

 

では、お仕事の時間ですねぇ。妖力探知結界、展・開!

…………んー……五時の方向、1キロ以内に強力な妖気を確認。この方角は……山からか。迎撃するか。

 

身を翻し、山より出でし邪妖を滅しに向かう。邪妖かどうかは会ってみなきゃ判らんけどね。

取り敢えずは……このまま山付近まで移動する。

 

妖気に向かって一直線。次第に近付いてきて視認すら出来る距離に入った頃に……一気に全身の妖力を放つ。さあ、恐れ戦くがいい。泣け! 叫べ! そして、絶望しろぉぉお!

 

「……ひっ!?」

 

何メートルか垂直に跳んでるよ。どんだけ驚いたのさ。

 

えぇーと? 黒を基調としたドレスっぽい……白いフリルをあしらった……ゴスロリ? そんな感じのフリフリした服を着ている二本角の妖怪。左角にリボンを着けているところが何か某半獣女教師っぽい。角の長さも服装もリボンの色もまるで違うけど。というかめっさ小さいよ、あの角。

 

でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。種族はいったい何なんだ? もし、鬼だと言うのなら……それじゃ、私……諏訪子の頼みを果たしたくなくなっちまうよ……。

 

そして、その妖怪と目が合った。

 

「な……っ」

「…………っ」

 

な、何だと……こいつ、可愛すぎる……。

艶やかな、流れるような漆黒の長髪にそれとは対照的に真っ白だけど健康そうな印象を受けるキメの細かい肌……伏し目がちに此方を見てくる潤んだその紅い瞳も……美しい。

 

「…………」

「…………」

 

めとめがあう~しゅ~んか~んす…………はっ!? いったい私は何をしていたんだろうか?

危ない危ない。魅了系の能力か? いや……これなら種族が割り出せるぞ。

魅了と言えば、西洋なら吸血鬼で……東洋、それも日本となれば……あれか!

 

「飛縁魔か!」

「…………」

 

あれ? 何で無反応?

無反応……と言うには、何かこっちを熱っぽい眼差しで見つめてくるような気が……。

凄まじく嫌な予感がするのは私だけだろうか。

 

私の懸念をよそに、飛縁魔はその口を開いて──

 

「……結婚して下さい!」

 

……ゑ?

 

はっはっはちょっと待とうか何だって?ケッコン血痕かでも血痕して下さいなんて何か変だよねぇどういう事だろうかよしここは相手の滑舌が悪いと仮定してケッポン欠本して下さい駄目だなぁやっぱりケッコンってあのケッコンだよねほらあの男女間でうぃるゆーまりーみー。

 

「…………はぁ?」

 

結論。何言ってんのお前?

 

「……ひ、一目見た時から、大好き……でした」

 

俯いて、消え入りそうなか細い声で絞り出すように告白をする飛縁魔。

可愛いし、微笑ましいからそれはいいんだけど、一目見た時って今だからね? 訳が解らないよ。

 

というか、どうしてこうなった? よし、こういう時はポ〇ナレフ状態になろう。そうしよう。

 

……あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!

私が奴の種族を見事な推理の下に言い当てた(多分)と思ったら、私は奴に求婚されていた。何を言っているか解らないと思うが、私も何をされたのか解らなかった。頭がおかしくなりそうだった……超展開だとかフラグ乱立だとかそんなチャチなものじゃあ断じてない。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

 

……ちょっと無理があったかな? 何だよ、フラグ乱立って。

と、まあ勢いに任せてネタに走ったのはいいが、本当に全く訳が解らない。

……いや、待てよ? ちょっと前に私は何を考えていた? 確か、奴の種族を割り出す為に吸血鬼を挙げた。その特徴に魅了が……魅了? おい待て。まさか、そういう事なのか? 奴が私の魅力に中てられたんだな!?

 

……私の魅力(笑)だってさ。言ってて寒いわ。

まあ、冗談抜いて考えてもそれが一番有力なんだよねぇ。私は半端に吸血鬼の特性を持ってるし。

 

流水は平気。

日光も平気。

牙、爪、羽根が生えている。

その他吸血鬼の身体的特徴あり。

血を美味しく感じる。

銀以外の吸血鬼の弱点が効かない(流水と日光以外未確認)。

相手を魅了する。←NEW!

 

……うん。見事に上位互換だね。

これは本気で調べなきゃならなさそうだ。

その為にも、まずはこいつをどうするかなんだけど……。

 

「…………」

 

あーあー返事待ってるよこいつ。

何で私の周りってイロモノが多いの?

 

「さて。ちょっと落ち着こうか」

 

場を仕切り直す為に一言挟む。それから本題に移る。

 

「……まずは、あんたの種族を訊くよ。あんたは飛縁魔で合ってる?」

「は、はい……そうです」

 

やっぱり飛縁魔だったか。事前知識としてお〇ひまを見てて良かったー……もう内容は殆ど忘れてるけど。

 

「んで、何でいきなり求婚?」

「それは──」

 

変に意識されながらも何とか聞き取ったこいつの動機。考えてみればごく普通の何でもない事だった……訳あるか!

 

人を攫いに(誑かしに)山を下りていた最中、急に至近距離から強大な妖力が放たれて驚いていると、その下手人が接近してくるのを感じた。

そしてその妖怪から逃げるかそれとも倒すか決めあぐねて顔を見た。そこには自分なんか目じゃない超絶美少女がいた。自分よりも魅了の力が強かった事も相まって一瞬で惚れてしまった。との事。

 

……超絶美少女とか言われ慣れてないから恥ずかしいっつーの、この馬鹿。んな美人でもないし可愛くもないだろ。

しかし冷静になってみると……顔が良い奴に言われると小馬鹿にされてる気がしてならない。こいつに限ってそれは無い……か?

 

「それじゃ、名前は?」

心誘(ここない)誑子(きょうこ)、です……」

「ごめん。漢字解らない」

 

紙とペンと下敷を出して、漢字を書いてもらった。

心を誘い誑かす……うわぁ悪女。こんな風にオドオドしているのも計算か? それならさっきの発言は私を馬鹿にしているものになるな。縊り殺すか。

 

……あ? 文具は何処からどうやって出したか? 神力使って零から生み出した。

何でこの時代に漢字があるのかって? 知らんわそんなもん。某風祝にでも訊いたら解るよ、きっと。

というか億年ほど前にも漢字あったし。つまり、常識に囚われていないという事。

 

「……はぁ。まあ結婚は無理だわ」

「え……そんな……!」

 

ショックを受けたのか何なのか、わなわなと震えてその場に頽れた。涙まで流してる。

…………べ、別に悪い事をしたなんて思ってないんだからね!

 

「……別に、一緒に行動するくらいならいいから」

「ほ、本当ですか!?」

 

くそ、罠か! 負けた!

先程までの態度とは打って変わって一瞬にして目をキラキラと輝かせて此方に走り寄ってくる誑子。

 

ああ……私の馬鹿。言質取られたよもう。

 

「そ……それでは宜しくお願い致します! 御主人様」

 

……ファッ!? 御主人様とな!?

何だこれは……たまげたなぁ……あ、そうそう。こいつの能力だけど、「誘い誑かす程度の能力」らしい。そのまんまだし、いまいち使い所がなー……。

 

……よし。ゆかりんが生まれたら式神について教えてもらおう。そんでもって、こいつを式神にしてやる。

散々扱き使ってやるぜ。大好きな御主人様に顎で使ってもらえて嬉しいだろう、ふはははは! 落ち着け私。

 

「……どうしてこうなった」

 

溜め息とともに漏れ出た言葉は、誑子の耳に届く事無く虚しく虚空に消えていった。

 

 

 

 

 

☆○☆☆○☆☆○☆☆○☆

 

 

 

 

 

「あっははははは!」

「笑うなクソ蛙!」

 

諏訪子の依頼を無事に果たし(?)朝方に洩矢神社へと帰還した私と誑子。

諏訪子と別れてから起きた出来事を事実十割捏造無しの純粋な事実のみで伝えたところ、目の前で馬鹿笑いをしている土着神が生まれたという訳だ。

 

「黙りなよ、ちんくしゃ」

「誰が何だって? あ?」

 

怒って顔を顰めていたらちんくしゃ呼ばわりされた。私の容姿は、どちらかと言えば美形ではありこそすれ、そこまで不細工ではないつもりだ。

 

「ババァ」

「だから何?」

「じゃあチビ」

「……ちょっと頭冷やそうか」

 

こんなに酷い悪口を叩くような蛙は、制☆裁してやらなきゃならないよね!

神力も妖力もフル開放して諏訪子の肩を掴む。そして、見たら嬉しさのあまりガタガタ震えて命乞いをしそうな笑顔を諏訪子にプレゼントしてやる。

……背、諏訪子もあんまし変わんねぇじゃないかよ。胸はどうかって? 負けたよ畜生。この怨みは諏訪子で晴らすとしよう。

 

「はい、此処に大岩があります」

 

近くの地面に突き刺さっていた、諏訪子の何倍もの大きさがある巨岩を片手で持ち上げる。地面も大きく抉れた。

 

「そして、ぶん投げます」

 

天空に向けて軽い調子で投げ飛ばす。

 

「最後に、塵にします」

 

駄鬼に受け止められて以来久しく使ってなかった大技。と言っても妖力を固めて放つだけの至極単純で簡単なものなのだが。

紅い極太の光線が岩を呑み込み、その光条が消え去る頃には何一つ残っていなかった。

 

「ね? 簡単でしょ?」

「……あ、ははは」

 

見事なまでに引き攣った笑顔をした諏訪子を見られたので、まあ、よしとしよう。

誑子? 目ぇ見張って驚きを露わにしてるよ。

 

「……す、凄いです! 御主人様!」

「ぷっ……このナリで」

 

誑子が私の事を御主人様と呼ぶのはもう仕方が無い事だ。だが……おいこら諏訪子。てめぇ笑ってんじゃねぇ。しかも何か失礼な事を言ってたよな?

 

「死刑」

「じ、冗談だって……あはは」

「…………」

 

もはや何も言うまい。

 

「んで、誑子。これぐらいならあんたでも出来るよ。流石に出力まで私と同じにはならないけど」

 

誑子の妖力は、純粋に強い。恐らく絶対量も高い。やっぱり何人もの人間を誑かして襲ったからかな? それに、ある程度は長く生きているだろう。

これ程の妖力なら……あれぐらいの岩なら、消し去る事は難しくても破砕する事は出来るだろう。

 

「……掌に妖力集めて、こう」

「こ、こう……ですか?」

 

誑子は私に倣って空に向けて手を翳し、掻き集めた妖力を解き放った。

しかし、私の方はいつもの紅い光束が天に向かって伸びていったが、誑子の方は何故か途中で止まって剣のような形状になっていた。

なんじゃこりゃ。やっぱ、こう、だけじゃ解らないか?

いや……でも、これでも十分に使えそうだな。消えずに残っているし、剣として振るえば結構な威力が出るだろうか。

 

「そのまま妖力を込めて固くなるように念じてみて」

「は、はい」

 

言われた通りに妖力を移動させる誑子。

そして、固められて剣として扱えるぐらいの強度になったであろうそれは、やはり消えずに残っている。

 

次は、その威力を確かめるのに最適な物体を……私の投げたもの程ではないが、大きな岩があった。あれでいいかな。

 

「んじゃ、あれを斬ってみようか」

 

頷き、大岩まで駆け寄っていって……一閃。

誑子の振るった光剣は岩を容易く真っ二つに裂いた。

 

おお……なかなかの斬れ味。

何でだろう、岩を剣で斬っている様子を見ると斬岩剣って名前が頭の中に浮かぶんだけど。あ、ネ〇まのやつね。桜〇刹那のあれ。

 

「何てもん教えてんの」

「知らん。私はあれを教えた訳じゃない」

 

諏訪子から入ったツッコミを真横に受け流した。

 

 

 

それから他愛もない話で盛り上がっていると、辺りはすっかり日が暮れていた。もう夕飯時になるのか。長居しすぎた。

そろそろ神社からお暇しようかな。……でも、塒はどうしようか。ひとまずは誑子の住処にでも行こう。あればだが。

 

「んじゃ、諏訪子。そろそろ帰るよ」

「んー? どうせなら泊まってきなよ」

 

軽い調子の諏訪子。

……有り難いけど、悪いよねぇ……でも他に行くあても無いし、お言葉に甘えよう。

 

───さて、諏訪大戦はいつ起こるのだろうか。愉しみで仕方が無い。




・キャラの特徴・

・名前:心誘誑子
・性別:女
・種族:飛縁魔
・性格:引っ込み思案でいつもオドオドしている。怖がり

ゴスロリ服に身を包んだモノクロ少女。赤い角と紅い眼が凄く映える。角には黒のリボンをしている。因みにリボンにも白いフリルがある。絵を描くとなると面倒そう。
紅雪は誑子の名前と能力から、裏で何か計算しているのではないかと思っているが、そんな事は無い。素で男を誑かす……天然タラシ(能力)?
「誘い誑かす程度の能力」が、女には効果が無いのに紅雪に効いた理由……それは、紅雪の生前が男だった事が関係していると思われるが、詳しい事は判っていない。



次回予告(嘘)

諏訪子「おらァ、ガンキャノン! その注連縄で首絞めてやろうか!」
神奈子「あぁ? 黙れ糞蛙が! 浮き輪投げてんじゃねぇよ!」
諏訪子「浮き輪だぁ!? テメェこそ電柱飛ばしてんじゃねーよ!」

洩矢諏訪子と八坂神奈子の血で血を洗う凄惨な闘争!

紅雪「茶美味いねー」
誑子「……そ、そうですね!」

そして、それを見物しながら茶を啜っている紅雪と誑子!

次回、『諏訪大戦』!(これは本当)
熱き闘志を、チャァァァァアジ・イン!

……何なんだろ、このテンション。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。