晩飯の買い物帰りに見覚えのある奴を見かけた。あれは、加藤か、で隣の子供は例の弟かな?。ちょうどいい。
「加藤!」
「ん、蓮ちゃん! どうしたんだ?」
「買い物帰りにお前が見えたからちょうどいいと思ってな。携帯の番号教えてくれ」
「分かった」
「兄ちゃんこの人誰?」
加藤の弟らしき人が言った。
「ああ、紹介してなかったな、すまん」
「俺は神代蓮、加藤とは小学生時代の同級生で、最近再開してな。よろしく」
「どうも、加藤歩です。兄ちゃんの弟です」
「やっぱり君が弟か。加藤から聞いてるよ、歩は俺が守るって」
「兄ちゃん……」
「ちょ、蓮ちゃん! 今は関係ないだろ! 携帯!」
「何恥ずかしがってだ、冗談だよ」
それから番号を交換した後少し話をした。
中学の頃に両親を亡くして弟と一緒に叔母の家に居候してるが冷遇されてるらしく、バイトをしてアパートを借りるつもりらしい。
「そうか、ならアパートは俺が探すよ、ちょうど心当たりもあるし」
「いや、悪いよ蓮ちゃんも忙しだろうし」
「それがそうでも無い、ちょっとした事情で学校に通ってなっくてな、結構暇なんだよ。それに俺も両親亡くしてるし、それがどんなに大変か分かるし」
「蓮ちゃん……分かった、頼むよ。ありがと、ほら歩も」
「ありがとうございます。蓮さん」
「気にするな、こっちは暇だからな」
「それにしても蓮ちゃんあの時と雰囲気ちがうな、何か昔に戻ったみたいだ」
「そうか? いやそうかもな」
思えばそうか戦闘ばかりしてきた感情が動かない奴が、日常を違和感なく過ごせるっていうのは少し異常か。こうした何気ない日々を過ごしてる時は感情も動くし、これは戦闘と日常で意識を切り替えてる、と言うより感覚的にそこに
「まあ、気にするな気持ちの切り替えみたいなものだ。晩飯の支度しないといけないから帰るな。じゃあな」
「ああ」
それから家に帰って晩飯の支度をしたら、姫愛が帰ってくるまでアパートを探してた。探すと言っても候補は何個かある、オリジナルの俺が住んでるアパート、姫愛のマンションと父さん達の家の周りのアパート、の何処かから探してる。何かあった時のために近くにしたが、数日悩んでちょうど三つの近くになる所にした。
加藤に電話して伝えたら、お礼を言ってお金が貯まり次第引っ越すそうだ。株で稼いでるからお金も俺が建て替えもいいが、そこまですると加藤に限って無いと思うが、人は与えすぎるといつかそれが当たり前になって堕落するものだからな。まあ自分で稼いだ金の方が気持ち的にもいいだろう。
ジジジジジジ
転送されたら加藤と目が合った。
「あ、蓮ちゃん、この前の事ありがとな」
「そう思うなら生き残れ、俺が探したのが無駄になるからな」
「ああ、絶対生き残ってみせる」
今回は暴走族四人、老婆と子供の二人、貞子みたいな女とイケメンのカップル二人の八人が転送されてきた。加藤は皆が死なないためにも説明した―西は反対したが―がやっぱり信じてもらえなった、特に暴走族に。だが武器には興味がでたらしい、スーツはダサいそうだ。ちょっとしたいざこざで西が暴走族の一人を殺してしまった。そのおかげか、老婆達とカップルはスーツを着た。加藤はyガンを使うらしい、そうすると思ってたが一応xガンも持たせた。
田中星人
特徴 つよい ちわやか とり
好きなもの とり ちよこぼうル からス
口癖 ハァー ハァー ハァー
最後に転送され場所は前回と同じ住宅街、周りには姫愛が一人だけ。レーダーを確認すると近くと少し離れた所に星人がいる、疑似探知には近い方に加藤達の反応があるが、どうやまずい状況ぽい西から恐怖が感じ取れる。俺達は急いでそっちに向かった。
「加藤!」
「はぁはぁ」
状況を確認するに遅かったようだ。川の岸に西の死体があった。周りは加藤とカップルと橋の上に暴走族だけ、婆さん達はいない。加藤の顔色は悪いが時間がもったいないし、何があったか聞いた。
まず転送されてすぐ田中星人と遭遇したが「裕三くん?」と聞いてきたり、不気味な小動物を連れ歩いてて戸惑ってた所、田中星人が変な方向に口からビームみたいな攻撃したら、そこに西が現れ直撃し、田中星人は西に標的をうつした。助けを呼ぶ声に我に返りyガンで転送したがすでに西は瀕死だったらしい。婆さん達は怖くなって逃げたって感じかな。
田中星人はステルスを看破する特性の他、西がもう一度ステルス機能を使わなかったと言う事は、コントローラーの破壊もできると考えた方がいいな。ビーム自体も数発くらうだけで死ぬって事は威力も強いと。
田中星人について考えをまとめ、加藤には休んでもらい、もう一つ反応があった場所に行こうとバイクに乗ろうとしたら、姫愛の顔色が悪いのに気が付いた。
そうか、そうだよな、あまり親しくないとはいえ一年一緒に戦ってたんだ、西自身も問題のある奴だったが捻くれた子供って感じで少しは情も湧くものだよな。
「姫愛、お前はここで休ん「行く!」だが」
「大丈夫、彼奴、問題のある奴だったけどなんだかんだ生き残ってたから、こんなにあっけなく死んだのに動揺しただけ。それに蓮、一人で行かせる分けないでしょ。忘れたの、誓いの事」
「そうだったな、悪い。じゃあ行くか。加藤お前はここで休んどけ」
「悪い蓮ちゃん」
「まだ二回目だ、むしろ敵を倒したんだし誇っていい事だ。だから西を救えなかった事は気にするな、話を聞く限り西の油断が招いた結果だ」
そう言ってレーダーの反応があった場所に向かった。
加藤にあんな事を言ってるが他人事じゃない、死は唐突にやってくる理不尽なものだ、死んであの部屋に送られて色々な人の死をこの一年見てきたから分かる、俺達はそういう世界にいるって事が。だから俺達も例外じゃない、その事を西の死であらためて感じた。
付いた場所はボロアパートだ。疑似探知によるとアパートには星人しか感じ取れない、一応xガンの透視機能でみたがやっぱり星人だけだった。ならzガンでアパート事やった方が効率がいいな、ここは姫愛に任せる事にした。俺の援護ばっかりだったから点数はあまり取れていないのだ。姫愛も分かってたようで引き受けてくれた。俺は生き残った奴の後始末だ。
ドンッドドン ギョーン ギョーン
姫愛が連続して撃った。俺その中の生き残った奴をxガン撃った。
「蓮!」
「分かってる!」
姫愛の声と同時に横にずれ後ろを振りながらガンツソードを振るった。すると何か斬り真っ二つになった大きな鳥のような奴が現れた。田中星人の中身で多分大きさからしてボスだ、俺達の死角に周りこんで攻撃するつもりだったんだろうが、疑似探知で分かってたのでガンツソードを準備してたのだ。
「ふぅ、分かってたなら言っておいてよね、心臓に悪いじゃない」
「悪い悪い、相手が喋るって聞いたから一応な、今晩はカレーにするから許してくれ」
「やったー、蓮はやっぱり分かってるわね」
そうしてなごんでるがもちろん警戒も怠ってない。敵を倒した直後にこういう会話もできるようになったのも慣れてきたからだろう、それをそっちょくに喜んでいいのかは分からなが。
ほどなくして転送が始まった。
どうやらあの後は何事もなかったようで婆さんと子供以外は生き残った。婆さん達は頭の無い死体が見つかったらしい、エリア外にでたか。
それと採点でカップルがカップルじゃない事が分かった。女はストーカーで男はホモだった、本人は必死に否定してたが加藤と暴走族は距離を取っていた。俺が距離を取らないのを見てホモは熱い視線を向けてきたので「俺は見た目が女ぽければ、性別は気にしないからな。まあ彼女がいるがな」と言ったら、見て分かるほど落ち込んでた、お前本当に隠す気あんのかよ。
何故か加藤が「すげぇよ蓮ちゃん」なんて言ってきて、こいつ馬鹿なんじゃないか、いや馬鹿か。姫愛は姫愛で変な顔してたがどうせ戸塚の事考えてたんだろう。まあ当たってるがな、戸塚と一緒に過ごすようになってもう性別なんて関係ない見た目が女ならいいかと開き直ったのだ。違いがあるとしたらちんこが有るか無いかだけだしな。
何事もなかったかのように姫愛をひっぱって部屋を後にした。
解析のためゼットガンを研究室に置いてきた帰り道、唐突に感情の波を感じた。恐怖と罪悪感のこの感情は覚えがある。今の現代日本では俺達みたいな裏の世界じゃない限り無いだろう、そう俺が初めてトラ星人を殺た時に感じた
ついた場所は周りから見えない路地、とりあえず入口から中を覗いて安心した。そこに居たのは女子高生四人だった、もしかしたら人が死んでいたかもしれないからだ。見た感じギャル三人が顔色の悪い眼鏡の子を囲んでる、とりあえず状況確認のため耳を立てた。
「バン! へへ、なあ朝田、兄貴がさぁモデルガン何個かもってるんだよなぁ、今度学校で見せてやろうか、お前好きだろ、ピストル」
「っ! っ! うっうっぷ」
囲んでる中の一人が手を銃の形にして脅して、囲まれてる子は必至に首を振って否定して吐きそうになってる。
これはいじめか、ただ……
「おいおいゲロるなよ、朝田」
「あんた教室でゲロって倒れた時、すっげぇ大変だったんだぞ」
「とりあえず今持ってるだけで許してやるよ、朝田具合悪いみたいだし」
やりすぎだな。本人達は軽いつもりでも実際はもっと重い。感情が感じ取れる俺だからこそ言葉の重みはよく分かる。俺はカバンを取ろうとした相手の手を掴んだ。
「痛っ! 痛い痛い離して、何なのあんた!」
思ってたより強く掴んでた。どうや俺も無意識に怒ってたようだ。取り巻き二人が何か言ってが無視して、掴んだ手を引っ張って壁に押し付けた。いわゆる壁ドンだ、まあそんな甘いものじゃないがな。
「ちょ、セクハラ! 訴えるぞ!」
「なあ、お前らは何を思ってそんな事ができるんだ。俺には理解できないよ」
「は、意味分かんない。あんた正義の味方のつもりなら間違いだよ、あいつはね人殺しなんだよ」
女がそう言うと眼鏡の子はついに吐きだしてしまった。はぁ、こいつはどうしてこうも俺の怒りを煽ってくるんだ。
「お前はあれを見ても、まだそんな事が言えるのか」
「汚いだけっしょ。何、もしかして同情でもしてるの、それでも人を殺した事に変わり無いっつーの」
どうやら口だけで言っても分からないようだな。俺は女がやったみたいに手を銃の形にして向けた。
「お前に死の重みを分からせてやるよ」
「何その手、別に私は朝田と違ってそう言うの無いから意味ないんだけど。てか早く離せ「バン!」っ! ひっ!」
女はしりもちをつき股から尿を流しながら俺を恐怖の視線で見た。
相手の意識が高まったところに大声と殺意を放ったのだ。意識が集中してる時に急に大きな音をだしたら頭が真っ白になるのと同じ原理だ、そこに殺意を伝えた。俺は相手に感情を伝えられるのと実際に殺してきた本物の殺意だったから、相手は実際に殺されると思っただろう。普通の奴がやるより何倍も強烈だ。
「ちょ、遠藤! あんた何したんだよ!」「それよりこれ、まじやばくね。関わらない方がいいって」
取り巻き達が女を立たせて連れて行こうとしたから、一言いっといた。
「もう関わんなよ、次やったらどうなるか、分かるよな」
そう言うと女は必死に頷きながらどっか行った。
はぁ、久しぶりだな姫愛の事以外で怒りを感じるのは。とりあえず眼鏡の子の対処だな。
「これで拭け。それと近くに水道のある公園がある、歩けるか」
「ええ、ごめんなさい」
「気にするな」
ハンカチを渡しながら立たせ、近くの公園まで連れ添った。