つんつん
「ん、誰だ勝手に人の家に入ってきたのは」
頬を突かれて目を覚ました。寝起きで誰か分からないが目の前に人がいるのは分かった。それにしても今日はやけに寒いな。寒い?確か昨日は、
「へぇ、ここが蓮の家なのね。ずいぶんと広いようだけど、玄関どころか壁も無いからそのまま来たんだけど、勝手に入って悪かったわね。今度からは壁ぐらいは作った方がいいわよ」
「あ、そうえいば昨日色々あって野宿したんだ。だからちゃんと家はあるぞ、ホームレスじゃないからな。それより姫愛はどうしてここに?お前の高校はここら辺じゃないはずなんだけど」
「あら、そうだったの。私はまたあの部屋に行くの決まってるんだから、普段からちょとした事でも鍛えようと思ってね、少し遠回りしてたら見覚えのある人がいたから気になって見てたの。それで貴方は何でここで寝ていたの?」
「家に帰ろうとしたらオリジナルが生きていたのが分かってな、それで帰れなくなりここで寝てたんだ」
「オリジナル、そんな事も言ってたわね。それなら私に電話してくれてもよかったのに、なんのために交換したと思ってるのよ、もう。それにしても家に帰れないね、ふーむ……それならちょうどよかったわ、私ちょうど人手がほしかったのよ、はいこれ」
なんか渡してきたと思ったら鍵だった。おい、これって、
「まさかお前の家に住めって事か?」
「当たり前でしょ」
「いやお前、一人暮らしなんだろそんなとこに男を住まわせて襲われでもしたら」
「な、何言ってんのよ貴方は弟で私は姉、だから大丈夫よ。それとも貴方は私を襲いたいの?」
それりゃお前記憶にないだけでな……
「はぁ、分かったよありがたく貴方様の家に住まわせていただきます」
「最初からそう言ってればいいのよ。はいこれ住所、それと部屋は一つ空いてるからそこを使ってね、ご飯はこれ使って、帰ってくるの五、六時ぐらいになるから、私、時間ないからもう行くね」
「ああ、じゃあな」
それから三十分以上かかって着いた。ここから学校までなら十数分ぐらいで着く、あいつ本当に遠回りしてたんだな。それにしても案外普通のマンションだな、もっと豪勢な所かと思ってたが。
ガチャ
「お邪魔します、うっ」
開いてすぐにゴミ袋がいっぱいあった。あいつちょうどいいってこれの事かよ、はぁまあ住まわせてもらうんだからそんぐらいはするが、やるからには徹底的にだな。
二時間後
ふぅ、やっと終わった、結構汚れてたから見間違えたな。今は十時ぐらいか、ちょうどいいし父さんの研究所見てから昼にするか。
スーツを着てステルスモードを起動、なんか自分の家に隠れながら入るのって変な気分だな。
あった廊下の壁に掌ぐらいの機器がついているあそこが入口だ。掌を機器に押し付けるすると「ピッ」そんな音ともに壁の一部が開き俺を光線でスキャンする。
『認証完了、鍵を差し込んでください』
言われた通りに父さんの鍵を開いたとこに差し込んだ。
ガチャ、ガチャガチャガチャガチャガチャ
すると差し込ん所を中心にパズルみたいに開いていき何も無い白い部屋に繋がった。
今までの近未来的な装置は全部父さんの趣味だ。本当はもっと普通にできるのだが頑固なにそこは譲らなかった。
……懐かしでる場合じゃないな、ここはエレベータだ地下に研究室がある。実は俺も入るのは初めてだ。
ピッ ウィーン………チン ウィーン
扉が開いて部屋に入れば自動的に電気が点く。まず目に入るのは人が一人入れるぐらいのカプセルだろう、その近くにモニターが何個かあり他にもよくわからない機器がたくさんある。部屋はここと扉で繋がってる数部屋だけ。
あのカプセルはvrだ。父さんの夢はvrをもう一つの世界を作る事だった。映画や漫画でよくある意識を仮想世界に移す奴だ。でも今の時代そんな事やってもバカにされるだけ、だから父さんはvrは一人で細々と作って他の事で成果をだしそのお金でvrを作るというようなことをしていた。正直、父さんのおかげで他の技術が進んだと言ってもいいぐらい優秀だった。
さて、とりあえずは一通り見て回るか。
数十分ぐらいであらかたの事は見れたが、細々とした物やよくわからない物は詳しく見てないこれらは調べると時間を忘れるかもしれないからだ、とりあえずノートpcと他の俺が気になって持ってける物をリュックにしまって家を出た。
時間は十二時すぎだこの後は昼飯を食って少し黒い球の事を調べる事にするか。
「ただいまって、あれ部屋間違えたかな「おーい姫愛、合ってるぞ」あ、蓮じゃこれは蓮が掃除したって事?」
「ああ、まあな汚すぎて一瞬分からなかっただろ」
「うっ、しょがないじゃない、今まではメイドがやってんだから。まあここまで綺麗したんだし感謝してあげる」
「そりゃどうも。風呂、沸かしたからゆっくり入ってこい、そのうちにご飯作ってるから」
「え、あ、ありがとう。それにしても貴方手馴れてるし積極的じゃない」
「これでも一人暮らししてたからな、それに住まわせてもらうだ、これぐらい当たり前だろ。これでもお前には感謝してるんだからな」
「そ、そうだったの、貴方がそう言うんだったらまあいいわ。じゃ貴方の言う通りゆっくり入ってるわね」
機嫌のいい姫愛を見送り俺はご飯を作る事にした。ふっ、俺の腕前をみせてやろう。
「はぁーいい湯だった。ひさしぶりゆっくり入ったわ」
「お、あがったかご飯できてるから座れ、今日はカレーにしてみた」
「ふーんカレーね。私、結構な高級料理を食べてきたのよね。そんな私の舌を唸らせるといいけど、まあまずくても食べてあげるから」
「いいから食べてみろよ」
パクっ……ガツガツ
「おいそんなに急いで食べるな、ほれ水」
「ごくん、ふぅ……蓮、私の執事になりなさい!」
「急にどうした、まず落ち着け」
「ふぅそうね、貴方の料理が予想以上に美味しすぎて取り乱したわ。だけど執事と言うのは本当よ」
「急に言われてもな、今はごたごたしてるしすぐには返事できないよ」
「そうね、落ち着いたらまた聞くわね。まあ執事になるまでずっと聞くけど、そうしていずれ私の専属執事になって主従関係の禁断の恋まで……むふふ「おーい目覚ませ、全部聞こえてるぞ」はっ……んっん、落ち着いたらまた聞くわね。それで今日は何してたの」
こいつ無かった事にしたぞ、ただ顔がまだ少し赤いって事は自覚してるのか。ここは触れないのが優しさだよな。
「えっと、今日は部屋の掃除して両親の家から必要なものを運んで昼飯食べてその後は調べもしてたな」
「調べもの?それってもしかして」
「ああ、あの部屋についてだ。それでこれを見てくれ」
家から持ってきたノートpcを使いあるサイトを開いた。
「`黒い球の部屋`これって大丈夫なの?」
「何にも知らない人から見れば嘘と思われるからな。これ読んだらあの部屋についての実況みたいものだったんが、ここで情報交換だったりをしてるんだろ」
「へー結構いるのね。外国人までいるじゃない、それって世界中にあるって事よね」
「ああ、世界中にあるらしくてな、謎の黒い球を見たってのもあったしな」
「ふーん、ま、そこら辺は蓮に任せるわ。時間もちょうどいいし布団はベッドの隣に敷いてね」
ん?何言ってるんだこいつは、
「は、何言ってるんだ。俺の部屋はあっちだろう」
「ええ、そうよ。ただ寝るときは一緒の部屋」
「いや、だからなんでそこ一緒の部屋になるんだ」
「そ、それはもし何かあった時のためによ。そんなに蓮は嫌なの?」
うっ、上目遣い+涙目は卑怯だ。
「はぁ、分かったよ」
「お休み」
「ああ、お休み」
数日後
プルルルプルルル ピッ
「もしもし、姫愛かどうした」
『今日友達泊まる事になったから晩御飯よろしくね。多分驚くと思うよじゃ』
「あ、おい、切れてる。はぁ、あいつは急に。今晩は鍋にするか」
姫愛の家に住み始めて数日、この生活にも慣れてきた今では俺も立派な主夫だ。家事洗濯から姫愛の身の回りまで本当に執事みたいな事をしている。そのせいで最近は執事もいいんじゃないかと思い始めてしまった。姫愛はもお慣れてきたのかだらしなくなってきた、初めて会った時より口調が違ってる時がある。
もちろんガンツの事についても調べてる、ガンツとはあの黒い球の事だ。サイトでそう呼ばれてたの見て俺達もそうした。あと株もやり始めた、さすがに一銭も払わないのは嫌なので顔がみられるとまずいから、パソコンでできるので稼ぎ始めた。それと動物達に餌やりにいったら事故から庇った人がやってたから、もしかしたあの後知り合ってオリジナルの俺から頼まれたのかもしれない。これから餌やりができないのは残念だがしょうがない。
「ただいま」
「お邪魔します」
「おかえり、ご飯鍋だから先に飯食ってから風呂な」
「分かったわ、それでこちらが「あ、動物の人」「あ、謎の男の娘」、あれ知り合い?」
「いやそういうわけじゃないんだが、その話も飯食べながらにするか」
「そうねじゃ彩加さん、ここに座って」
「あ、うん」
「「「いただきます」」」
「それじゃ自己紹介として二人を知ってる私が、まず
それでこっちが神代蓮、蓮と私のお母さんが姉妹でね、蓮の両親が亡くなって最近ここに住み始めたのよ。それで二人はどこ知り合ったの」
「あー俺とえっと戸塚さん「戸塚でいいよ敬語もなくて、背の高い人からは言われ慣れてないから」それじゃ
戸塚は姫愛と会った日の夕方に河川敷に餌やりに行った帰りにすれ違った程度だよ。ただ金持ち学校の男物の制服着てたからここじゃ珍しいなと思ってな」
「僕は家あそこら辺だから、それに噂になってるよ週一の夕方に動物達が集まるって家も近いから見てたら目が合って」
「ふーんそうだったんだ、あーあせっかく驚かそうと思ったのに」
不貞腐れて言ってるが、
「お前そのために急に泊まる事言ったんじゃないだろうな」
「そ、そんなわけないじゃない。あーお腹一杯ごちそうさま。私さきにお風呂はいってくるね」
「おい、あいつ逃げやがったな」
「ふふ、仲いいんだね」
「そうか、まあ一緒に住み始めて数日はしてるからな。食器は置いといてくれ後で洗っとくから、先に風呂入っていいぞ」
「そんな悪いよ、ごちそうになって何にもしないなんて食器ぐらい洗うし、お風呂も先に入っていいよ」
「いや戸塚はお客様なわけだし」
「でも」「いや」
そん事を言いあってたんだが見た目に似合わず頑固だな。
「それじゃ一緒に洗って一緒に入ろう」
「いや一緒に入るのは「僕男だよ」そうだったな、じゃいいか。そうと決まったら食器洗うか」
「うん」
ジャー
「それにしても手馴れてるな」
「……僕、祖父母に育てられてるから、家事の事は僕がやってるんだ」
「あれ、両親は?」
「小さいころに亡くなって……」
「そう、だったのか悪い」
「ううん大丈夫、慣れたからそれに珍しい事じゃないし世の中にもっと不幸な人もいるから、僕だけ悲しでばかりじゃお爺ちゃん達に迷惑かけちゃうから」
「戸塚……」
自然と手が戸塚の頭をなでていた。
「悲しい時は泣いていいんだぞ」
「えっ」
「珍しい事じゃないし世の中にもっと不幸な人がいる、そんな風に思わないと立ち直れなかったのかもしれない、だけど今は違う戸塚の爺さん婆さんそれに姫愛と俺だっている。お前は一人じゃない、もし迷惑だと思ってるなら勘違いだぞ、もしろ逆だ大切な人が悲しんでるのを気づけなかった自分を怒るだろう。戸塚だって友達が悲しんでたなら何で言ってくれなかったんだって思うだろ」
「うん、でも」
「でもじゃない今は俺しかいないから頼りないかもしれないが、胸ぐらい貸すぞ。まあ最初は一人の方がいいかもな、それから周りにちょっとずつでもいいから頼っていけばいいじゃないか」
「うっ、あり、がとう……ううっえぇぇん」
泣きながら胸元に抱き着いてきた。こんな偉そうな事言える立場じゃないけどな、俺より戸塚の方が偉い。戸塚は立ち直ろうと、前に進もうとしたんだから、俺はまだひきずってる開いた穴を他の何かで埋めようとしてるんだから。だから俺は戸塚には前にちゃんと進んで欲しいと思う。俺のように間違わないように。
戸塚は数分して泣きやんだが少し顔が赤い。
「うっ、ごめんね服汚しちゃって、今日会ったばかりなのに」
「大丈夫だよちょうど食器洗いしてた時だったし、それに今日会ったばかりとか関係ない目の前で友達が悲しんでる、なら何かしてあげたいと思うの当たり前だろ」
「ふふ、そうだね。なら神代君が悲しき時は僕を頼ってね」
「ああ、そうするよ」
その後は色々な話をして戸塚が絵を描くのが趣味で後で写真を取る事になった。周りに頼める男の人がいなかったらしく、自分じゃ女っぽいからと言っていた。