ご注文は無口な少年ですか?   作:獅子龍

1 / 31
0羽 無口な少年と少女の出会い

「お前はいらないやつなんだよ!!」

「お前の声を聞くだけでイライラする!」

「もう一生喋るな!!」

 

 

 物心ついた頃から言われ続けた言葉だった。

 

 僕のお父さんは俗に言うヒモだった。そして、ギャンブル好きでもあった。

 僕への暴力もただの八つ当りだった。

 お母さんはそんな、お父さんの言動に耐えられなくなり僕を置いて家を飛び出してしまった。

 言ってしまえば僕を身代わりにしたのだ。

 

 お父さんは僕への暴力がさらに強くなった。学校にも行けずひたすら殴られちょっとでも声を出せばさらに殴られた。

 そんな、毎日が約5年続いた。

 気が付けば僕は、喋らなくなっていた。声の出し方を忘れてしまったのだ。

 

 そんな、ある日11歳になった僕にお父さんはこれまでにないほどに暴力をふってきた。理由は競馬で負けたからだった。

 殴られ蹴られ口の中を切ったのか血の味が口に広がった。僕は、限界だった隙を見つけて家を飛び出した。

 

 雨が降る中ひたすら走り続けた

 途中何回か転んで膝から血を流したが、痛いのを我慢しながら走った。

 しかし、小学生の体力では限界があった。

 

「!!」

 思いきり転び、立ち上がることが出来なかった

 膝に力が入らないのだ。

 

(ここまでかな)

 冷たい雨に打たれながらそんなことを思いながら意識を離した。

 

 

「!!ちょっと君大丈夫!?」

「ひどい怪我だ、とりあえず病院へ!」

 

 

 

 

 僕は、気が付いたら見知らぬ部屋のベットにいた。

 

(ここは?)

 

 周りを見渡しているとピョコと桃色の髪をした女の子かこっちを覗きこんできた。

 

「あなたおなまえは?」

「…………」

「わ、わたしココア! きみは?」

「………………」

「う、うぇ~ん!」

「!?」

 

 

 喋れず無言でいると桃色の女の子が泣き出してしまった。どうしたもんかとオロオロしていると

 

「あら、目が覚めたのね♪」

 

 ドアから桃色の長い髪をした女の人が入ってきた。

 

「うぇ~んおかあさん~!」

「あらあら、どうしたのココア」

「お、おなまえおしえておしえてくれない」

「そう」

 

 女の人は泣いている女の子を落ち着かせながら僕のほうをじっと見てきた。まるでなにもかも見透かされているような気持ちだった。

 

「ココア~?」

「おねぇちゃん~!」

 しばらくしてココアと呼ばれていた女の子より少し背の高い女の子がでてきた。

 

「モカ、ココアをお願いね私はこの子と少しお話しするから」

「うん!わかったよママ」

 

「さてと」

 そういうと女との人はベットの隣へと腰掛けた。

 

「あなた、喋れないのよね?」

「!?」

「順に説明するわね」

 

 そこからおれはいろんなことを話してもらった。

 僕のお父さんは虐待の罪で刑務所に入ったこと。

 ここにいる女の人とその夫が俺を助けてくれたこと。

 さっきの女の子がこの人の娘のココアとモカであること。

 そして、僕かこの人達の養子になったこと。

 

 

 僕が喋れないのを知ってたのは、お父さんの虐待をしていることを知り医者にもしかしたら喋れなくなってるかもしれないと言われたかららしい。

 

 

「それでどうする? あなたさえ良ければ私達の養子になってほしいの。年齢的にココアと同じぐらいだから、ココアの弟になるかしらね」

「……」

「もしかして、何か言いたいことがあるの? そしたら、はい紙とペン」

 

 

 僕は、渡された紙に書き始めた。

 本当にここの養子になっていいのか、あなた達の息子になってもいいのか、……家族になってもいいのか

 書いた紙をココアのお母さんに見せると

 ギュッ

 強くそう強く抱きしめられたのだ

 

 

「いいのよ私達の息子になって家族になってもいいのよ」

 そう言われた瞬間眼から涙が出始めた

 お父さんからの虐待で泣くことさえあきらめて約5年は泣いていなかったのに不思議と涙が溢れて止まらなかった。

 僕は、この日保登家の一人になったのだ。

 そこから、家族に紹介されたり、僕が喋れないのを説明したり引かれるかと思ったがお兄さんもモカさんやココアさんは僕を受け入れてくれた。

 

 

 

 それから、約3年の月日が流れた。

 俺は、14歳になっていた。あれからなんとか喋れるようになった。もちろん、保登家の人達のおかげだ。しかし、やはり後遺症のようなもので必要最低限しか喋れなくなってる。

 

「シノン~」

 シノンとは、俺の名前だココアのお母さんが俺につけた新しい名前だ。

「…………?」

「もう! こんな所にいた。もう!今日がなんの日かわかってる?」

「………………発表」

「わかってるならよろしい!」

 そういうとココアは嬉しそうに俺の手を引っ張った。

 そう、今日は俺とココアの高校の合格発表の日なのだ

 

 結果はもちろん、合格

 春から俺とココアは木組みの家と石畳の街にある香風さん家に居候させてもらい。高校に通うことになる。

 

 

「楽しみだね!シノン」

「…………」コクッ

 

 

 

 

 

 

 …………これは、無口な少年と5人の少女達の物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
第0羽は主人公とココアの出会いになります。
投稿は気ままにするので過度な期待はしないでください。
展開が速いことには気にしないでください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。