ラビットハウスでのこと。
「…………………………」
シノンは窓の外に降る雨を静かに見つめていた。
「今日は雨でお客さんあんまり来ないねー」
「二人ともこんな天気なのに遊びに来てくれてありがとね」
「ちょうどバイトの予定が空白になっただけだし」
「でも私たちが来た時は晴れていたのに」
「誰かの日頃の行いのせいね」
「シャロちゃんが来るなんて珍しいことがあったからかなー」
「えっ!?」
「それにしても今日のシノンさんは少し静かな気がします。」
「そうか?」
「確かに少し元気がなさそうかも」
「そうね」
「……きっとお客さんがあんまり来なくてシノンも寂しいんだよ!ね?シノン!」
「……………………ん」
シノンは優しく微笑み返事をした。
4人は一応納得しそれ以上何も言わなかった。
リゼがコーヒーを持ってきた。
「シャロ コーヒー苦手なのに大丈夫か?」
「少しなら平気です」
(先輩がいれてくれたコーヒーだもの)
~3分後
「みんなー!今日は私と遊んでくれてありがとー」
「時間が空いたらいつでも来てねー」
「いいの?行く行くー!」
「あっ!チノちゃんふわふわー!」
(ココアが二人になったみたいだ…!)
「…………こんなに………………変わるの?」
あまりの変わりぷっりに驚きを隠せない。
「そうね酔った時はいつもこんな感じよ?」
「あ!?シノンー!!」
シャロはシノンに思いきり抱きついた。
「!?」
その勢いのままシノンは後ろに倒れた。
チュ
「「「「!?」」」」
「えへへ~」
「…………?……!…………!?」
「ななな何を」
「キャー!シャロちゃんとシノン君が!」
「!?!?」
「わー!シャロちゃんずるい!」
「…………ち、違う!……ほ、頬っぺただから!」
顔を真っ赤にし否定するシノン
「えへへ~シノン~」
シャロはキスしたことに気づいてないのかシノンの胸に顔を擦り付けている。
「頬っぺたとはいえキスするとは酔ったシャロは怖いな…」
「多分だけど酔いが覚めても記憶はないと思うわよ」
「シノンさん顔が真っ赤です」
「さすがのシノンでもあれは、恥ずかしかったと思うよ?」
「………………とりあえず…………シャロ……には……このこと…内緒で」かぁ~
「わかった」
「わかったわ」
「わかりました。」
「わかったよー!」
「シノン~」
「………………はぁ」
シノンは顔に手を当てて深くため息をついた。
しかし、余った左手はシャロの頭を撫でていた。
一通り暴れたシャロは満足したのかテーブルに伏せて寝ていた。
「雨激しくなってきたねー」
「風も強そうです」
「迎えを呼ぶから家まで送ってってやるよ」
「はっ!」
「家バレたくないー!」
千夜はそこでシャロが言ってたことを思い出す。
「いえっ私が連れて帰るわ!」
千夜はシャロを背負いお店を出ようとする。
「じゃあまたね」
「お おい…」
ザー!!
しかし、雨の中1人背負いながら行けるわけもなく力尽きる千夜
「千夜ちゃーーん!!」
「………………!!」
「あ!シノン!?」
シノンはすぐに二人のところに駆け寄ると千夜を背負いシャロをお姫様抱っこし始めた。そして、すぐにラビットハウスの中にと入る。
「ごめんねシノン君……」
「………………大丈夫………………気にしないで」
「んぅ?」
ラビットハウスに入るのと同時に目を覚ましたシャロ
ぐしょ~
3人はびしょ濡れになっていた。
「ごめんなさい」
「いつの間にびしょ濡れに……」
「………………さむい」
「えっと…今日は泊まってってください。」
「二人は先にお風呂どうぞ」
「お言葉に甘えちゃいたい所だけどシノン君は大丈夫?」
「…………………………大丈夫…………先に入って」
「なんだったら一緒に入る?」
「な、な、なにいってるのよ!?千夜!?」
「えーでもシャロちゃんのほ……むぐっ!」
シノンは千夜の口を後ろから押さえた。
「私がなによ」
「……………………なんでもない」
「?」
「………………風邪引く…………から……速く」
「ほらシノン私が拭いてあげる!」
「………………ん」
シノンの後ろから髪を拭き始めるココア
「私まで泊まって良かったのか?」
「構わないですよ」
「リゼちゃん緊張してるー?」
「いや…親父の部下に誘われたワイルドなキャンプしか経験した事ないから……こんなの初めてで」
「ワイルド?」
「チノの部屋ってチノって感じだなー」
「そうだ!」
~ちょっとして
「じゃーんチノちゃんの制服着てみたよ!」
「そのまま学校行っても違和感なくて心配だ」
「ホント!?」
「ちょっと行ってくる」
「待ってください!外は大雨です!」
「そういう問題じゃない!?」
「……………………可愛いよ?」
「そういう問題でもない!!」
~お風呂
千夜とシャロは背中を合わせて話していた。
「リゼちゃん達とお泊まり出来て良かったわね」
「別によくないし」
「ホントはみんなと会いたかったのよね」
「会いたくないし」
「シャロちゃんホントは楽しくないのね」
「楽しくなくないし…………って ん?」
「チノちゃんぎゅーしたらふわふわよね」
「そんなココアみたいな事したら迷惑じゃない」
(おもしろい…)
「シノン君にぎゅ~てしたらどうなるのかしらね」
「え!?ま、まさか私そんなことを!?」
「さぁ?私にはわからないなぁ~」
「千夜~!?」
「私も今度やってみようかしら」
「私もってなによ!?私もって!!」
「うふふ、さぁなにかしらねぇ~」
「う~千夜の……おばかー!」
顔を真っ赤にし怒るシャロだった。
風呂上がった2人は髪を乾かしながら雑談していた。
「チノちゃんにパジャマ借りたのはいいけどちょっと可愛すぎない?いつもはジャージなのに」
「本物のお嬢様みたい♪」
(リゼ先輩に笑われたりしたらどうしょう…)
部屋のドアを開けるとチノの制服を着たリゼがいた。
「これはちがっ……!ジャンケンで負けて……!」
「ほわぁ~~」
目を輝かせてリゼを見つめるシャロ
「……………………ごめん…………お先」ペコリ
シノンは、そう言うとココア達に軽くお辞儀して部屋を後にした。
「そういえば千夜は何て言おうとしたの?」
「え?何が?」
「雨に濡れたときといい、風呂場のときといい何か隠してない?」
「えっと」
(千夜、またシャロをからかって……)
(多分それで……)
(気づかれちゃう?)
リゼ、チノ、ココアはハラハラし始めた。
「わかったわ正直に言うわね」
「「「え!?」」」
「シャロちゃんは…」
「うん。」
「酔った勢いでシノン君に抱きついたのよ!!」
「「「・・・」」」
「な、な、ななにやってるの!?私ー!?」
~お風呂
お風呂に入ってたシノンはかすかに声が聞こえてきた。
私ー!?
「……!?………………まさか」
シノンは少し不安になっていた。
~しばらくして
「あっ!シノンおかえり~」
「………………ただいま」
「あっ」かぁ~
顔が真っ赤なシャロ
「………………」じっ~
千夜をじっと見つめるシノン
「・・・プイッ」
シノンから目をそらす千夜
「「「・・・」」」
じっと見守る3人
「シ、シノンご、ごめんね。だ、抱き付いたりして」
「……………………大丈夫」
そう言うとシノンは千夜の方に向い話始めた。
「………………なんで……話すの」コソッ
「大丈夫よ頬っぺたのことは言ってないわよ、抱きついたことしか言ってないわ」コソッ
「…………なら……よかった。」コソッ、ホッ
「?」
「……大丈夫…………忘れるから…………シャロも……気にしないで」
「うん、ありがとう。」
「とりあえず一件落着だな」
「そうね」
「チノちゃんお風呂入ろう~」
「そうですね」
~またしばらくして
「ただいま~リゼちゃんお風呂最後で良かったの?」
「あぁ、最後の方がゆっくり出来そうだし!なんか二人ともココアの匂いがするぞ!?」
「私の匂いってなにー?」
「飲む方のだよ!」
「入浴剤でした!これでリゼちゃんも甘い匂いに」
「余計なことを……」
「悔しいが悪くない」
お風呂の中でリラックスするリゼがいた。
「なんかいつもより一気に賑やかになったね」
「ところで、こんな機会だからみんなの心に秘めてる事を聞きたいんだけど」
(これは……好きな人を暴露する流れ!ちょっと待ってやだやだ心の準備が)
「とびきりの怪談を教えて…」
(恋をしたような瞳で言うな!)
「怪談ならうちのお店にありますよ」
「そうだったの!?」
「リゼさんとココアさんそして、シノンさんはここで働いていますけど…落ち着いて聞いてください。」
「この喫茶店には夜になると店内を白い物体がふわふわとさまよっているという。目撃情報がたくさんあるんです!」
(一生懸命怖がらせようとしてるけど)
(テッピィーでしかない!)
「…………………………怖いね」なでなで
微笑みながらチノの頭を撫でる。
「では次はリゼさんの番です」たっち
「もう終わり!?」
「小さい頃うちの使用人から聞いた話なんだけど」
「使用人!?」
「仕事を終えて帰ろうとすると……」
「ゆっくりと茂みの中から何かが地面をはって近づいて来たんだ」
「使用人はあまりの恐怖に逃げだした。」
「犯人はほふく前進の練習をしていた私だ」
「バラしちゃだめじゃん」
「…………」コクッコクッ
「とっておきの話があるの切り裂きラビットっていう実話なんだけど……」
カッ!!
「キャ!雷!?」
「わ!?」
「てっ停電!?」
「バーの方は大丈夫かな!?」
「………………ん」
「落ち着いてくださいこんな時のために……」
ポッ……
チノはロウソクに火を灯した。
「盛り上がって来ちゃった」
「よりによって懐中電灯じゃなくてロウソクか」
「……………………下…………見てくる。」
「え!?シ、シノンも一緒にいよ?」
「そ、そうだな一緒に聞こう」
「下は父がいますから大丈夫ですよ」
「そうね、シノンも一緒にいよ」
「…………はぁ…………わかった」
~お話中~
「はいっおしまい。今日はもう寝ましょう」
「ぜ……絶対取り憑かれる」ボソッ
「「!!」」
ココアが呟いた言葉に反応するリゼとシャロ
「……………………部屋……戻る」
そう言いながらシノンは立ちあがり部屋を出ようとする。
ガシッ!
シノンはココアに右手をつかまれる。
「…………?」
「シノン……今日は一緒に寝よ?」コテン
「……………………おやすみ」
シノンは何もなかったように部屋を出ようとする。
「シノン!?」
ガシッ!!
シノンの左手にチノが掴む。
「…………ん?」
「シノンさん今日は一緒に寝ましょう」
「……………………さすがに………………女の子とは…………寝れない」
「………………みんなも…………嫌……でしょ?」
「私は構わないわよ♪」
「…………!?」
「私は別にシノンは信用してるし」
「…………!」
「その、シノンなら……ゴニョゴニョ」
「………………?」
「…………シノンさんのことお兄ちゃんだと思うことがありますので」
「…………」
「私はシノンと昔よく一緒に寝てたもんね!」
「…………………はぁ…………わかった」
「そういえばシノン君は怖くなかったの?」
「……………………」コクッ
「なんかコツとかあるんですか!?あるなら是非教えてほしいです!」
「そうだ教えてくれシノン!」
「……………ごめん……………とくに…………ない」
「そっか」
「…………もっと……怖い……いる」ボソッ
「え?」
「………………なんでもない」
(気のせいかしらさっきシノン、"もっと怖いもの知っている"って言ってた気がするけど気にしない方が良いのかな)
シャロだけが疑問をもっていた。
「…………それで………誰と?」
「ここは公平にじゃんけんでいきましょ。」
みんな納得しじゃんけんをしようとする。
「「「「「じゃん けん ぽい!」」」」」
~しばらくして
「…………………よろしく…………お願い」
「よ、よろしく!」
「ほわぁ~よ、よろしくお願い!」
シノンの隣はリゼとシャロに決まった。
ちなみに勝った人から寝る場所を決めていった。
シノンはもちろん端を取ろうとしたが千夜とシャロが両端をとりココアとチノがベットになり
最後に負けたシノンが二人に挟まれることになった。
(シ、シノンがこんなに近くに!な、何を慌ててる。相手はあのシノンだ!大丈夫あいつは変なことをするやつじゃ……って変なことてなんだ!私ー!!)
(ど、どうしようシ、シノンがこんなに近くに!さっき抱きついたって千夜が言ってたしと、とりあえず落ち着かせよう深呼吸してスーハースーハー…………ん?なんか良い匂いが……ま、まさかシノンの匂い?……もっとって、私は何をー!?)
(…………なんか…………暑い)
(……トイレ)
「あ~もう千夜のせいで行くの怖くなったじゃない」
「キャーーッ!」
そこには膝を抱えているリゼがいた。
「ってリゼ先輩!!何してるんですか!?」
「ロ……ロウソクの火が消えて動けなくなった……わけじゃないぞ」
「一緒に行きましょう」
「そ、そうだな」
「……………………何…………してるの?」
「「キャー!!」」
「ってシノンか驚かせないでくれ」
「………………ごめん」
「それにしてもシノンはなんでここに」
「…………目が覚めたら…………二人…………いなかったから」
ピカッ!
その時雷が落ち窓がひかる
「「キャーー!」」
二人はシノンに抱きつく
「…………!!………………ん……落ち着いて」
シノンは落ち着いてもらうため二人の頭を撫でる
(あっ、シノンの撫で方優しい)
(シノンの体暖かい……って私酔っらった時こんな風に抱きついていたの!?)
(………………眠い)
「んー」
目が覚めたチノはカーテンを開けて太陽の日差しを部屋に入れる。その日差しのお陰か千夜が目を覚ます。
「おはようございます。」
「おはようチノちゃん。」
「う~んおはよう」
「シャロちゃんおはよう。寝言で今日は特売なのーって……むぐ」
「そそそんなこと言っててもここで言うなー!!」
「うーん!おはよう。そういえばココアは……」
ココアはドアの前で寝ていた。
「なんであんな場所に……」
「ほふく前進の夢でも見ているんでしょう」
「あれ?シノンは……」
リゼが隣を見ると
「…………う~ん」
そこには、寝ぼけいるのか枕を抱き枕のようにギュッとしながら寝るシノンがいた。
「「「「・・・」」」」
「「「「可愛い(です)」」」」
「………………ん」
これが無口な少年と雨の日のお泊まりでの出来事だった。
読んで頂きありがとうございました!
今さらですが感想を送ってくださったみなさん。ありがとうございます!
とても嬉しいです!
次回も気長にお待ちください。