~ある朝のラビットハウス
「いただきまーす」
「いただきます」
「……………………いただきます」
「あ~ん。ん~♪…………あっ」
ココアはトマトジュースを見て食べていた手が止まる。
「?」
それにつられてチノは、セロリを見て止まる。
二人とも嫌いな食べ物が目の前にあったのだ。
「ふぅ~やれやれ」
ティッピーは二人の様子をみて呆れる。
シノンもまた呆れる。
「……………………ふぅ」
「ね~シノン飲んで?」
「お、お兄ちゃん食べてください」
「…………………………だめ」
「そ、そんな」
「シ、シノンさん」
「…………二人とも…………一口…………食べて?」
「…………そしたら…………食べてあげる……から」
「う~それなら」ゴクッ
「う~」パクっ
「「まずい~」」
「………………ん…………えらいえらい」なでなで
「ん~ありがとう!」
「ありがとうございます」
シノンは二人のトマトジュースとセロリを受け取り食べ始める。
(シノンは2人に甘すぎる気がするのぉ~)
~登校中
ココアは朝のことをチノに言う。
「チノちゃん! 好き嫌いせずちゃんと食べないと駄目だよ!」
「ココアさんだってトマトジュース残していたじゃないですか」
「えへへ~、でも私よりチノちゃんの方が好き嫌い多いよ?大きくならないよ?」
「心配はいらないです。ココアさんと同じ年の頃には私の方が高くなっています」
「なんでそんな自信あるの!?」
「でも毎日ティッピー頭に載せてたら……伸びるかな」
チノはシノンの服をギュッと掴み悲しい顔で聞き始める。
「!! シ、シノンさん!わ、私これ以上の、伸びないのでしょうか?」
「………………わからない」フルフル
シノンの言葉に落ち込むチノ
「そうですか」しょぼん
「…………でも」
「?」
「……………………応援…………してるよ?」
そう言いながら微笑むシノン。
「あ、ありがとうございます」
「むぅ~」
「……?…………ココア姉も…………応援……してる」なでなで
「えへへ~」
「あっ、わ、私も良いですか!?」
「……? …………ん」なでなで
朝からシノンになでなでしてもらい笑顔になる2人だった。
~チノの学校
「おはよーチノ」
「今日は暑いねー」
じっ……
二人を見つめるチノ
「どうしたの?」
メグを見て
(私とあんまり変わらない)
マヤを見て
(私より小さい)
「ほっ……」
安心するチノ
「そんなに休み中私たちに会いたかったの?」
「照れるじゃん」
ちょっと勘違いする2人
キーンコーンカーンコーン
~お昼休み
「授業終わった!」
「お昼食べようぜ!」
「昨日スーパーでチノのお父さん見かけたよ!それと……黒髪のお兄さんも一緒にいたよ?」
「多分お……シノンさんだと思います」
「シノンさん?」
「ココアさんと一緒に下宿している人です」
「そうなんだ。お父さんシブくてかっこいいよね。そのシノンさん? って人もかっこ良かったし」
「そうですね」
「弁当はお父さんが作ってるんでしょ?」
「最近はシノンさんも作りますね。今日は2人で作ったみたいですが」
「豪華なフルコースっぽいの作ってもらってるんだろ!」
マヤが叫ぶ
「昨日買ったもので作ったのはたぶん……これだと」
弁当箱には可愛いうさぎのおにぎりが入っていた。
「「かわいい!!」」
「うちの親 夜更かしするとチビのままだぞってうるさくてさー」
「よく寝る人なら身近にいますよ」
「そういえばチノちゃんの喫茶店にスタイルいい人いたね」
「寝ると育つってやっぱ本当なんだなー」
チノは思い出す
「今日はお昼寝日和だよ~」
「カフェインは駄目なの~」
「ふわぁ寝不足~」
「……そうとは限りませんよ」
「あれー?」
「そういえばジャンブすると良いって言うよね」
「バナナも良いって聞くよね」
~下校中
「ジャンプすると伸びるって本当かな」キョロキョロ
周りを見渡したあとスキップし始めるチノ
「楽しいことあったのかな……」ほほえまー
それを見て微笑む千夜
「スキップだと効果が薄いかな」
「そうだ、赤い石畳の部分だけジャンプして渡って帰ろう」
赤い石畳をジャンプしていくチノそこにうさきが横切る
「は!」ガッ!
電柱にぶつかるチノ
(チノちゃんが暑さのせいで暑さのせいで!)
「そうだバナナ……スーパーに寄ってこう……」
「タイムセールまであと10分だから……それまでにもやしとああ、あと魚が割引きだったわね。タマネギ3玉100円にキャベツ半分で50円……これで1150円だから……よし1500円以内に収まりそうね!」
「シャロさん?」
「ぴゃっ!」ビクッ
「シャロさんみたいなお嬢様でもスーパーに来るんですね」
「えっえーと……」
「あっあの商品棚にぎりぎり手が届かなくて!」
「お互い苦労しますね」
棚の上の品物を取ろうとジャンプする2人
ぴょんぴょん
そこに下校中に偶然会ったシノンとリゼがスーパーの前を横切る。ちなみにココアは買い物があると先に帰り千夜とは途中でわかれた。
「なんだこれは新しい訓練か」
「………………違うと思う」
スッ
シャロの横から手を伸ばし品物をとるシノン
「…………ん」
「シ、シ、シノン!?」
「リゼさん、シノンさん奇遇ですね」
「外から見えたからな」
(背が小さくてよかった……!)
「すっぽん汁とは渋いな」
(……もしかして)
シノンは少し考えたあとシャロの肩を叩き
「…………シャロ」
「ん? なに、シノン」
「……タイムセール…………行かない?」
「「「え!?」」」
驚く3人
「シノンなんでシャロを?」
「そうですよお嬢様なのに」
(シノンもしかして私に気を使って!)
「………………シャロに…………庶民の……知って……もらおうと」
「なるほどなそれは良いかもな」
「ですね。あっ、もうそろそろタイムセール終わりそうですね行きましょうシャロさん」
納得した2人はシャロをタイムセールに案内しょうとする。
「えっ、あ、うん!」
(や、やったー! タイムセールに行ける!)
内心すごく喜ぶシャロ
「あっ! ありがとうねシノン」ボソッ
「………………」コクッ
こっそりとお礼を伝えてきたシャロにシノンは微笑むながら軽く頷く
「……」かぁ~
「……ん?」
急に顔が真っ赤になるシャロを不思議そうに見つめるシノン
「チノちゃんのためにセロリパン作ったよ!」
「ココアさんのためにトマトジュースを買ってきました」
「一緒に克服しよう!」ゴクッ
「はいっ!」パクパク
「………………」
2人を静かに見守るシノン
「2人とも戻ってこないなぁ~キッチンかな」
キッチンを見るとそこには
「!?」
チーン!
「………………ふぅ」ふきふき
テーブルにうつ伏せに倒れているチノとココアがいた。
シノンはテーブルを拭いていた。
「で?いったい誰にやられたんだ?またシノンの天然攻撃でもくらったか?」
「……………………ん?」
「……トマトジュース」
「……セロリ」
やつれたように言うココアとチノ
「野菜?」
「…………好き嫌い……克服」
「あ~なるほどな」
「声が大きければ存在も大きく見えるかもしれない」
「錯覚ですか」
「ほら言ってみろいらっしゃいませー!」
「いっいらっしゃいませ……」
「声が小さい!」
「いら……っ」
「ちがう!」
「いら……」
「もっと声を張り上げて」
いらっしゃいませのいらで言われてしまうためなかなか言えないチノ
「チノちゃんがイライラしてる」
「……リゼさんの…………違う…………気が…………する」
カランカラーン
「らっしゃいませ!」
「リゼちゃん! なんか八百屋さんっぽい!」
すぐに止めに入るココア
「……………………ふぅ」
シノンは厨房に戻るとケーキを持ってお客様のところまで行く
「……先程は失礼いたしました」
「……こちらサービスのケーキです。よろしければどうぞ」
「シノン、いつもより喋れてないか?」
「あ~あれは、すごく頑張ってるね!」
「頑張ってるですか?」
「うん、お客様とかに話さなきゃいけないときはあんな風にすごく頑張って喋るんだよ」
「なるほどな。シノンには悪いことしたな後で謝っとく」
「それが良いと思います」
「シノンは好き嫌いとかあるのか?」
「………………ある」
「あるのか!?」
「以外ですね」
「シノンはね辛いのが苦手なんだっけ」
「………………」コクッ
「好きなものが甘いので苦手が辛いのって……可愛いな」
「ですね!」
「シノンは可愛いよ!」
「………………違う」
「?」
「…………可愛いの…………3人」
「「「……」」」かぁ~
「またシノンの天然攻撃が」かぁ~
「防ぎようがないからね!」かぁ~
「ですね」かぁ~
しばらく顔が真っ赤な3人だった。
~更衣室
「チノがココアの身長抜かしたら面白いよな」
「モフモフする側じゃなくてされる側になるぞ?」
「それでもいいかもー」
「あ 私抱きついたりとかしないので大丈夫ですよ?」
「!?チノちゃんは大きくなっちゃだめー! 寝ちゃ駄目ー! 食べちゃ駄目ー!」
そう言いながらチノの頭をポフポフするココア
「無茶言うな!」
着替え終わりケータイを開くココア
「ん? 千夜ちゃんからメールだ」
千夜のメールにはこう書かれていた。
「チノちゃん夏バテみたいなの! ちゃんと栄養と睡眠とらせてあげて!」
ココアは厨房に戻るとすぐに更衣室に行き
「チノちゃん!」
「はい?」
「ちゃんと栄養とっていっぱい寝なきゃだめー!」
「どっちですか!?」
~シノンの部屋
シノンのケータイにも千夜からメールが来ていた。
「…………………………ん」
シノンは厨房に戻るとあるものを作り始めた。
~しばらくして
コンコン
「はい」ガチャ
ドアを開けるチノ
「シノンさんどうしたんですか?」
「………………食べて」
そう言いながらオレンジ色のケーキを出した。
「え? これケーキですか?」
「………………」コクッ
「どうしたんですか?」
「…………セロリ……食べなくても……いい」
「………………そのかわり…………他の…………野菜…………食べて」
「え、あ、はい。でもそれじゃあ、なんでケーキなんですか」
「………………にんじん…………ケーキ」
「え?」
「………………栄養…………満点だから…………食べて」
「クスッ。はい、わかりました。いただきます!」
「………………ん」コクッ
お互いに少し笑い会うシノンとチノだった。
これが無口な少年と野菜の好き嫌いでの出来事だった。
読んでいただきありがとうございました!
次回も、気長にお待ちください。