今回若干シリアスあります。そして、長いです。
ご注意ください。それでは、暖かい目で御覧ください。
ラビットハウスのカウンターでのことココアとチノとシノンは父の日が近くに来てることで話していた。
「そういえばもうすぐ父の日だねー」
「今年は何を贈りましょう…………」
「…………………………?」
三人が悩んでいるとドアが勢いよく開きリゼが入ってくる。
バン!
「明日から私は短期で他店でもバイトすることにした!シフトを少し変えてもらったからよろしく」
ココアとチノは震えながら勘違いした。シノンは少しむすっとしていた。
「リ、リゼちゃんが軍人から企業スパイに!」
「スパイなんて頼んでませんよ」
「…………スパイ…………め!」
「軍人じゃないしスパイでもない」
呆れながらそう答えるリゼ。
「実は昨日……親父のコレクションのワインを一本台無しにしてしまってな。だから、父の日を機に飲みたがっていた高価なヴィンテージワインを贈って罪滅ぼしがしたい」
「女子高生がそんな高い物を!?」
「…………………………あ、」
「シノンさん?どうしたんですか?」
「……………………自分も」
「え!!そうなの!?」
シノンの一言に凄く驚くココア
「ど、どうしたんだココア!?」
「ココアさん教えてください」
「"自分もリゼさんと同じように短期バイトするからシフト変えてもらったんだった"って」
「「えぇ~!?」」
「シノンどうして!?私達には飽きたの!?」
「………………買いたいのが…………あるだけだから」なでなで
こうして、シノンとリゼの短期バイトが始まった。
ちなみにリゼは後々知ったが偶然にも同じ時間の同じ場所だった。
最初に千夜が働いている甘兎庵にきた二人。
~甘兎庵
「上手く着れたかしら」
「いや、まだだ着物はなれなくて」
ドアを開けて千夜が覗くと着物が少しはだけだリゼがいた。
「あら着方が違うわ左前にならないようにね」
そう言いながらリゼの着物を直す。
「す すまない最初から素直に頼めばよかった」
「あ、そうだわ!」
リゼの着物を肩を半分出してサラシを巻きチンコロの人のように着させた。
「…………想像以上に似合う」
「ちゃんと着せろ。そういえばシノンは着れたのか?」
「えぇ、手取り足取り手伝ったわ」
頬を微笑みながらそう言う千夜に焦った表情でツッコム
「なにやってるんだ!?」
「冗談よ♪私が教えなくても普通に着れてたわ」
「な、なんだ驚かせるなよ」
「そういえば、リゼちゃんが来てくれるからミリタリー月間にしようと思うの」
「しなくていい!」
「抹茶の迷彩ラテアートよ」
「悪くないが気持ち悪い!」
「私もモデルガンを装備してみました」
「何だこのイメージ!?ついポーズをとってしまった。」
「こんなに連続でつっこまれるの初めて!つい はしゃいじゃった」
「今までワザとボケてないよな」
千夜の連続ボケに呆れるリゼ。
コンコン
「?はーい」
千夜が返事すると作務衣姿のシノンがいた。
「「・・・」」
「……………………?」
急に黙る二人に首を傾げていると
「に、似合うな」
「何度見ても心臓に悪いわ」
「……………………??」
店内にはシャロが来ていた。
「先輩すごく似合ってます!」
「あ、ありがとう、それで、何にす……しますか?」
いつもの口調で言いそうになりすぐに言い直すリゼ
「この黒曜を抱く桜華ってなんですか?」
「黒曜を抱く桜花?えっと~」
なんのことかわからず困っていると
「はい、こちら新作の黒曜を抱く桜華」
そう言いながら桜餅を持ってきた。
「おぉ桜餅のことだったのか」
「相変わらずね、お客さん混乱しないの?」
「初めての人には指南書を配っているわ」
「だったら最初からそうしなさいよ」
「そうかしら……こちら新作の桜餅です」
「「・・・」」
千夜は膝から崩れて
「うぅ、駄目よ!普通すぎる私負けちゃう!」
「何に負けるのよ」
その姿に呆れるシャロ
「この桜餅いただくわね」
「どうぞ」
桜餅を食べるシャロ
「ん、おいしいわね」
「いつもの和菓子と比べてどうかしら?」
「?そういえばいつもの和菓子と同じぐらい美味しいけどなんか違う気が」
「フフッさすがシャロちゃん、実はそれシノン君が作ったのよ」
「そ、そうなのか!?」
「すごい千夜のおばあちゃんが作った和菓子と同じぐらい美味しい!」
「だってシノン君」
「「え?」」
振り向きながら言う千夜の言葉に驚く二人
「……………………」コクッ
「シ、シノンいつからそこに」
「…………………………さっき」
「・・・」かぁ~
「……………………?」
「なんでシャロは真っ赤になってるんだ?」
「多分作ったのがシノン君って知って自分が褒めてた事実とシノン君の作務衣姿に照れてるんだと思うわ」
「なるほどな」
「………………??」
~ラビットハウス
チノとココアが父の日に何を送るか悩んでた。
「私たちはチノのお父さんに何贈ろうか?」
「実用的な物がいいんですか……」
「それなら手作りネクタイなんてどうかな?水玉なんて可愛いよ!」
「水玉はちょっと……うさぎ柄ぐらいじゃないと父は喜びませんよ」
「今度生地買って来て二人で作ろっか」
「かわいいうさぎ柄見つかるといいですね」
ドアの近くで聞いていたタカヒロは少し照れた。
「……うさぎ柄」てれ
「そういえばシノンさんは何を送るんでしょうか」
「シノンからね、チノちゃんのお父さんには個人的に送って私のお父さんには私と二人で渡そうって言ってたよ」
「ん?では、シノンさんはなんで短期バイトを」
「それが私もわからないんだよね」
首を傾げる二人
~フルール・ド・ラパン
リゼはロップイヤーの制服を着た姿を見て輝いていた。
「……」ぱぁ~
コンコン
そこにシャロが入ってきた。すぐにキリッとした表情になるリゼ
「服のサイズの方大丈夫でしたか?」
「問題ない」きり
「・・・」じっ
「へ 変だったら正直に言えよ?」
「いえ……先輩が着るとこの制服いかがわしさが増すなぁと」
「どういう意味だ!?」
二人は着替え終わりフロアに出る
「シノンは?」
「今着替えて来ると思うんですけど」
ガチャ
「あ、シノン……」
「着替え……」
「……………………?」
そこには、紺色のスーツ姿のシノンがいた。
「「・・・反則すぎる」」かぁ~
「………………??」
この前から皆の反応によくわからなくなるシノンだった。
~しばらくして
落ち着いたリゼが話しかける。
「シノンどうしたのその姿?」
「………………店長が…………これ着てくれ……って」
「また、店長の趣味ね」
「でも、シノンって接客じゃ」
「…………………………たまに……フロア……でる」
「そう店長から頼まれたの?」
「…………………………」コクッ
リゼとシャロはシノンから少し離れて小声で話始め。
「もしかしてこれからフルールのバイトはこのシノンなのか?」ボソボソ
「ですね。心臓に悪いです。」ボソボソ
「だな」ボソボソ
「「・・・」」ちらっ
「…………??」
「「はぁ」」
バイトの前に疲れる二人だった。
~フロア
「あ、先輩もシノンも恥ずかしいとは思いますが仕草を変えて……いらっしゃいませ~」
シャロはいらっしゃいませと言いながら手を出してとても可愛いポーズだった。
「こんな感じです」
「わ、わかった……い、い、いらっしゃいませ~」
リゼも可愛いポーズをとり、それを見たシャロが照れて手で顔を隠す。
「は、はぅ~」かぁ~
「ってお前が照れてどうする!」
「すみません なぜかいけないものを見た気がして」
「シノンもあれやるのか?」
リゼはシノンもあのポーズをやるのかと思い聞いてみる。
「フルールは男性のスタッフ少なくて私もわからないんですよね」
「……………………教えって…………もらった」
「店長から?」
「…………………………」コクッ
シノンは軽く頷くと二人の前に立った。そして、少し前屈みになり左手を胸の所に持っていき右手を後でくみ、顔を上げ
「…………いらっしゃいませ……………お嬢様方」にこっ
「「!?!?」」かぁー!!
急な不意打ちに顔を真っ赤にする二人だった。
ちなみに、このあとシノンのいらっしゃいませという名の攻撃を受けて撃沈する女性が後を絶たなかった。
~皿洗い中
「そういえばシャロはどうしてここでバイトしてるんだ」
「そっそれはっここの食器がすごく気に入っていて決してお金に困ってるとかいうわけでは……」
少し焦りながらそう答えるシャロ
「そういえばティーカップ好きとか言ってたっけ」
「そういう先輩は……」
「あのお店に縁があったし親に頼らずお金使いたいもんな」
「初めて自分のお金で好きな物買えた時ってうれしいですよね」
「感動したなー……シノンは父の日のためだっけか」
「……………………」コクッ
「でも短期バイトをするほど高いの買うの?」
「……………………」フルフル
「「?」」
「…………………………」
シノンは何も言わずただ皿を拭いた。その姿に何も言えなくなった二人だった。
~更衣室
「もうすぐバイト最終日ですね」
「あぁ」
「せ、先輩!こっこのままここでバイトしませんか!?仕事中の先輩すごく輝いてました!」
少し頬を染めながらそう言うシャロ。リゼは少し間をおいて
「いや 遠慮しとくよこの店に染まるのは自分に合わないからな」
「先輩……」
「ところでシャロもこの後ワイン見に行くか?」
「先輩!もう若干染まってます」
リゼの頭には取り忘れたロップイヤーの耳がついていた。
~ワイン店
「お金が足りない!!」
ワインを見るがお金が予想以上に高かったのだ
「予想以上だった」
「それなら……ワイングラスはどうですか?」
~グラス店に移動し
「あれ?シノン?」
「…………………………」コクッ
「シノンも何か買いに来たのか?」
「………………………………」コクッコク
「シノンは何を買うんだ」
「……………………秘密」
「何故秘密にする」
少しむすっとしながら言うリゼ
「…………………………なんか…………恥ずかしいから」
「「シノンに恥ずかしいという感情があったのか!?」」
「……?」
「それより先輩、このグラスの透明感たまりませんよね!」
「陶器フェチというか器なら何でも興奮するのか」
少し引くリゼ
「今ならセットがお得みたいです」
「親父とペアグラスだと!?さすがにキツイだろ」
「両親用とか考えないんですか?」
「あ、そうか」
「こんなに頑張ったんですからどんな物でも喜んでくれますよ」
「………………」コクッコクッ
「あぁ」
シャロの言葉と同意してくれたシノンに優しく頷くリゼ。
~ラビットハウス
ココアとチノは父の日のためにネクタイを作っていた。
「あぁまた失敗した!ミシンって難しいねー」
「今更ですかココアさんまでプレゼントに気を使わなくていいんですよ」
「えーやだやだそんな寂しいこと言わないでよ!チノちゃんのお父さんは私のお父さん同然だよ!!一緒に作らせてよ」
「そうですか」
チノがココアと交換しミシンでネクタイを作り始める。
「……」ダダダダダダダ
「私より上手かった」
~しばらくして
「出来た!喜んで使ってくれるといいねー」
「ココアさん今気づいたんですか、父が仕事中にいつも着けているのは蝶ネクタイです。このネクタイを着けてくれる機会はあるんでしょうか」
少し考えながらそう言うチノ。
「……こんなに頑張ったんだからどんな物でも喜んでくれるよー」
「それとこれは別です」
~リゼの家
「直接手渡すのは恥ずかしいから手紙を一緒に部屋に置いていこう」
ドアを開け心なしかスパイのように入るリゼ。机の上には割ってしまったワインが置いてあった。
「!このワイン手に入ってたんじゃないか ちゃんと閉まっとけよ」
机にワインを置きながら
「今はこんなプレゼントしか出来ないけどいつかこのグラスで一緒に飲めたらいいな」
~ラビットハウスのバーで
「息子よワシの秘蔵のワインが一本足りないんじゃが」
「あぁ、あれなら昔馴染みに譲っちまったよ」
「なにー!ワシのワインをー!?」
泣き出すティッピーだった。
ガチャ
タカヒロが働いているとドアが開きシノンが入ってくる。
「ん?シノン君?」
「………………………………お仕事中…………すみません」
「構わないさそれで、どうしたんだ?」
「……………………これ」
シノンは青いリボンがついた白い箱を渡した。
「これは?」
「………………父の日なので…………ウイスキーグラスを」
「そうか……ありがとう」
「…………………」コクッ
「しかし、ココア君もそうだが私まで気を使わなくてもいいんだよ?」
「………………………………」フルフル
シノンは首を軽く振るとそのままドアの方に向かった
(怒らせてしまったかな)
タカヒロが少し考えてるとシノンは少し振り向き小さくしかし、確かに聞こえる声で呟いた。
「………………自分には……………最高の父親が…………二人います……から」
軽くお辞儀をすると部屋に戻っていた。
「彼は、女性だけでなく天然攻撃するんだな」
「なんじゃ照れてるのか息子よ」
「あれは、無理だ」
「じゃな」
そのあと少し笑うタカヒロとティッピーだった。
シノンは部屋に戻ると机の上には二つの箱があった
一つはココアと一緒に買ったココアのお父さんへのプレゼント。ちなみに中身は新しい木製のめん棒とのし台。明日宅配で送る予定である。
そして、もう一つは……………………元父親へ。
中身はお酒と手紙。手紙の内容は……
"拝啓
お元気ですか、
今回は父の日ということであなたがよく飲んでいたお酒を送ります。
何故送ったのか疑問を持つと思いますが理由は少なからずあなたに感謝しているからです。
俺から母も声もそして、自由を奪ったあなたを許すつもりはありません。
しかし、あなたのおかげで今の家族に会えました。
あなたが声を奪ったおかげで声でなく心で繋がることを知れた。
あなたが母を奪ったから母の大事さを知れた。
あなたが自由を奪ったから今幸せになれた。
今後あなたに会うつもりも手紙を出すつもりはありませんがこの父の日の贈り物と手紙で終わりにしたいと思います。
それでは、もう二度と会わないことを願っています。
敬具"
そう書かれていた。
シノンは箱を見つめ静かに呟いた。
「……じゃあね…………お父さん」
これが無口な少年と父の日での出来事だった。
今回も読んで頂きありがとうございました!
次回も気長にお待ちください。