また、迷走してます。
パン作りのお礼にと千夜の喫茶店に招待された、4人は甘兎に向かってた。
「どんなとこか楽しみだね」
「………………」コクッ! コクッ!
目を輝かせながら勢いよく頷くシノン。
「そっか、シノンは甘いもの好きだもんな」
「………………」コクッ! コクッ!
「やっぱり可愛いです。そういえば、なんて名前の喫茶店ですか?」
「甘兎って聞いているけど」
「甘兎とな!」
「チノちゃん知ってるの!?」
「おじいちゃんの時代に張り合っていたと聞きます」
しばらく話していると甘兎に到着した。
「着いた~」
「ここみたいですね」
「看板だけやたら渋い……」
「面白い店だな」
ココアは首をかしげながら呟いた。
「オレ うさぎ あまい」
「甘兎庵(あまうさあん)な、俺じゃなくて庵(いおりだ)」
「………………昔…………右…………だから」
「へぇ~そうなんだ、さすが、シノン! 物知りだね!」
「ココアさん、シノンさんは、なんて?」
「うん! "昔の日本語は漢文に倣い、文字を上から下へ、また行を右から左へと進めて読む習慣があったんだよ。昭和辺りに左横書きに統一されたらしいよ。"だって」
「シノンはなんでそんなに物知りなんだ!?」
「………………………………趣味」
「趣味って……」
苦笑いになるリゼ
「シノンさん、さすがです!」
「………………」フルフル
「こんにちはー」
「みんな! いらっしゃい!」
「あっ! 初めて会った時もその服だったね!」
「あれは、お仕事でようかんをお得意様に配った帰りだったの」
「あのようかん美味しくて3本いけちゃったよー」
「3本丸ごと食ったのか!?」
「シノンさんも食べたんですか?」
「…………………………」フルフル
ココアは、お店の真ん中のテーブルにいる黒い兎に気づく
「うさぎだ!」
「看板うさぎのあんこよ」
「置物かと思ったぞ」
「あんこはよっぽどのことがないと動かないのよね」
その時あんこがティッピーに飛び付いた!
チノはその勢いで後ろに倒れそうになる。
「!!」
「………………ッ!」
シノンは咄嗟にチノの後ろに行き抱き止める。
「チノちゃん大丈夫!?」
「び、びっくりしました……」
「縄張り意識が働いたのか?」
「いえ、あれは一目惚れしちゃたのね」
「一目惚れ!?」
「恥ずかしがり屋君だったのに、あれは、本気ね」
「あれ? ティッピーってオスだと思ってた」
「ティッピーはメスですよ」
(中身は違いますが)
「…………………………起きれる?」
「えっ?」
そこでチノはシノンに抱き止められてることに気づく
「えっあ、ご、ごめんなさい!」
「………………………………」フルフル
「………………怪我………………ない?」こてん
「はい、大丈夫です」
「………………………………良かった」
「……」ぽ~
少し微笑みながらチノの頭を撫でるシノン
チノは頬を染めながらそれを受け入れた。
「私も抹茶ラテでラテアートを作ってみたんだけど、どうかしら?」
「え、どんなの!?」
「ココアちゃんたちみたいに可愛いのは描けないんだけど」
「北斎様に憧れていて……」
富士山や女の人の絵がかかれている
「浮世絵!?」
「俳句もたしなんでいて……」
そこには、ココアちゃんどうして今日はおさげやきん? と書かれている。
「風流だ!!」
「えっ季語は」
「はいシノン君にも」
シノンの前に置かれた抹茶ラテには、シノン君なんか良いことでもあった? と書かれていた。
「…………………………甘いの…………食べれる」キラキラ
「あら、それでそんなにキラキラしているのね」
「…………………………」コクッコクッ!
「メニューは何があるの?」
「はい、お品書きよ」
「なんだ、この漫画の必殺技みたいなメニューは!」
「わー! 抹茶パフェもいいし、クリームあんみつ、白玉ぜんざいも捨てがたいなぁ」
「わかるのか!? シ、シノンもわかるのか?」
「……………………………………」フルフル
「そ、そうか」
「………………………………でも」
「ん?」
「………………美味しいのは………………確か」
「なんでわかるんだ?」
「……………………千夜が………………作るから」
「「「……」」」
「……」かぁ~
顔を真っ赤にして、照れる千夜
「も、もぉ~な、なにいってるのシノン君~でも、お世辞でもうれしいわ」
「………………? ……………………………………本気」
「……え」かぁ~
シノンの天然攻撃にさらに顔を赤くする千夜
「さすが、ココアさんの弟ですね」
「私まで顔があつくなってきたぞ」
「千夜ちゃんも顔が真っ赤!」
「ココアちゃん!」
「………………………………?」
シノンだけがなんのことかわからず首をかしげて不思議そうな顔をしていた。
「じゃあ私は、黄金の鯱スペシャルで」
「海に映る月と星々で頼む」
「花の都三つ子の宝石」
「……………………………………これを」
「白と碧の小さな都ね」
「は~い、じゃあちょっと待っててね」
4人の注文を受けて厨房に戻っていく千夜
「和服っておしとやかな感じでいいねー」
「……」
千夜の方をじっと見るリゼ。
「着てみたいんですか?」
「いやっ! そ、そういうわけじゃっ……!」
「リゼちゃんならきっと似合うよ!」
「…………………………」コクッコクッ
ココアは博打をやっているような和服をイメージし、シノンは、紫色の和服に身を包み和傘をさし紫陽花の道を歩くリゼをイメージする。
「ココアのはそっちか!? そして、シノン! 嬉しいがそれは、恥ずかしい……」
「………………?」
照れた顔を隠す姿に何故そんなに照れるのかわからず、また首をかしげるシノンだった。
「お待ちどうさまー」
「きたっ!」
「………………」コクッコクッ!
「リゼちゃんは海に映る月と星々ね」
「白玉栗ぜんざいだったのか」
「チノちゃんは花の都三つ子の宝石ね」
「あんみつにお団子がささってます!」
「シノン君のは、白と碧の小さな都」
「………………和風………………ミニパフェ」
「………………………………バニラ…………もある!」
「ココアちゃんは黄金の鯱スペシャルね」
「鯱=たい焼きって無理がないか?」
「あんこは栗ようかんね」
あんこがじっとココアのパフェを見る
「どうしたの?」
「こっちのを食べたいんでしょうか?」
「しょうがないなーちょっとだけだよ。そのかわり後でもふもふさせてねー」
スプーンをちらかせるとあんこはパフェにまっしぐらにむかい無我夢中に食べ始める。
「本体まっしぐら!? あ~ほとんど食べられちゃた……」
「…………………………ん」
落ち込むココアにシノンはそっと自分のをスプーンで取りあ~んをし始める。
「シ、シノン!?」
「………………………………あ~ん」首を傾げながら
「あ、あ~ん」パクっ
「う、うん! シノンのも美味しいね!」
「シノンに恥ずかしいって感情はない気がする」
「同意です」
「私もそう思うわ」
「それにしてもこのぜんざい美味しいな」
「うちもこのくらいやらないとダメですね」
「それならラビットハウスさんとコラボなんてどうかしら? きっと盛り上がると思うの! コーヒーあんみつとか」
「………………」グッ! 親指たてる
「いいねぇ! タオルやトートバッグなんてどうかな?」
「私、マグカップが欲しいです」
「ん……?」
「料理の方じゃなくて?」
「触らないの?」
「チノはティッピー以外の動物が懐かないらしい」
「………………………………頑張って」なでなで
「はいっ」
チノは恐る恐るあんこの頭を少し触る。あんこはなんともなかったように動かない。
「やったよチノちゃん! おめでとう!!」
「……!!」
「ちゃんと触ってから祝ってやれよ」
ココアのお祝いの言葉にビックリして手を離してしまうチノ。 そのあと、チノは撫でたりギュッと抱き締め、そぉ~と頭の上に乗せた。
「すごい! もうこんなに仲良く!」
「頭に乗せなきゃ気がすまないのか?」
それぞれの和菓子を食べ終わり帰ろうとしていた。
「私の下宿先が千夜ちゃんの家だったらここでお手伝いさせてもらってたんだろうなー」
「今からでも来ていいのよ。従業員は常時募集中だもの」
「それいいな」
「同じ喫茶店ですし、すぐに慣れますね」
「じゃあ部屋を空けておくから早速荷物をまとめて来てね」
「誰か止……!」
「…………………………ダメ」
言いきる前にシノンがココアにあすなろ抱きをした。
「「「「え!?」」」」
「………………ココア姉……一緒に……いるって……約束……した」
「え、あ、うん、そ、そうだね」かぁ~
(((あのココア[さん、ちゃん]が真っ赤!!?)))
しばらくココアが落ち着くまで時間がかかった。
「千夜ちゃんまたねー!」
4人は挨拶を、済ませたあと帰っていた。
「昔はこのお店とライバルだったんだよね?」
「今はそんなこと関係ないですけどね」
「私たちもお客さんに満足してもらえるように頑張らなきゃね」
「だなー」
「…………………………」コクッコクッ!
ココアはそこで、あることに気づく
「あれ!? あんこ!?」
「いつのまに!?」
「…………………………ふぅ」
シノンはゆっくりとため息をつく。
これが無口な少年と甘兎庵での出来事だった。
次回はシャロが出ると思います。
気長に待って頂ければ幸いです。