日常部へ、ようこそっ!   作:雨宮照

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コミュ力低いやつは脳内で多弁である。

結局、今週中は生徒会やバイトで忙しい部員が多く、日常部は休部という形になった。

かといって、保育園の手伝いを頼まれた日は刻一刻と近付いてくる。

だから俺は放課後準備をしようと、部室に顔を出したのだった。

部室の鍵は、教室で既に茨木から入手済みである。

到着すると、俺は鍵を開けーー。

「あ、あれ……? 蛍原くん、きたの……?」

糸ちゃんがいた。

「!!」

「え、えーっと……そんなに驚かれると、ちょっと傷つくっていうか……」

「お、おおおおおはよ!」

「……もう、放課後……だよ?」

うわぁ失敗した失敗した!

誰もいないと思ってたのに、いたら緊張するランキングぶっちぎり第一位の糸ちゃんがいるなんて!

「あー、えっとだな……」

落ち着け落ち着け。

落ち着け冷静になれ落ち着け。

呼吸を整えて……。

よし、雑談でもして場を和ませよう!

「あー、昨日温泉に行ってきたんだ」

「へぇ〜、そうなんだ! いいねぇ」

「すっごい気持ちよかったんだけど、糸ちゃんは普段温泉行ったりする?」

…………何聞いてんだ俺!

普通の女子高生は普段から温泉行ったりしないだろ!

何考えてるんだ大輔! 落ち着け!

「え、えーっと……ぁ、あんまり行かなぃ……かな」

ほらみたことか!

そりゃそうだ。

いくら糸ちゃんがおっとりしてても、温泉に日頃から入ってるなんて、そんなカピバラじゃないんだから。

……よし、気持ちを切り替えて……次のひとことが大切だぞ大輔。

まだ持ち直せる!

「あの……糸ちゃん?」

「ぅん……? なぁに」

「えーっと、今度一緒に温泉にでも行かない?」

……うぁべしっ!

待て待て待てーいこのバカチンが!

女の子をいきなり温泉に誘い出すバカがどこにいる!

ここにいるよ!

好意はバレるしちょっと引く!

俺は秒速で後悔してたんだけど、それに対して糸ちゃんは……。

「き、機会があったら行こうね……あはは」

な、流してくれたー!

なんて女神なんだ糸ちゃん。

女神より女神なんじゃないの糸ちゃん。

やばい……また惚れる。

惚れ重ねるよぉお!

「ほ、蛍原くん……」

「! な、なに糸ちゃん!」

おっ、今度は糸ちゃんの雑談か……?

なにを話す!

いつでも俺の準備はできているぞ!

「……保育実習の準備、しよ?」

ですよね!

 

「じゃあね……えーっと、今日は、出し物について考えよ……」

「ああ、そういえば保育実習でなにかやるんだったね」

俺たちは先日先生を通じて、先生の妹さんから保育実習の詳細を受け取っていた。

そこに、この「出し物とかやってくれると助かるのだ」っていうメモが書いてあって……。

「でね、私……なにやるか考えてきたの」

と、いうことなので糸ちゃんに任せてみることにした。

 

「今回はね、パネルシアターっていうのをやろうと思うの」

「へぇ……聞き慣れない単語だな?」

「パネルシアターっていうのはね、布のパネルの上で貼ったり剥がしたりできるイラストを描いた布を動かして、おはなしとかうた遊びをやることだよ!」

「ほう……紙で人形劇をするような感じか?」

「うん、だいたいそれであってる」

イメージだけど、そういう感じらしい。

糸ちゃんに動画を見せてもらうと、なんと。

児童も参加型で、充分に楽しそうな出し物である。

「これをね、みんなでやりたいの」

「いいんじゃないか? まず、なにからすればいいの?」

「ん……まずは、材料を買わなくちゃ」

ってことで、次の日に買い出しに行くことが決定した。

 

続く

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