指揮官が不細工すぎる   作:排無

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2話

今日は新しい艦船が何人か着任する。ちょうどユニオンからの艦船ということで私も立ち会うことにした。着任する際は個別で指揮官に簡単な自己紹介を行う。

顔を隠した指揮官を相手にするので、初めての艦船は決まって同じ質問をする。

 

「はじめまして。ノースカロライナです。これからよろしくお願いします。」

「ああ、貴殿の活躍に期待している」

「あの…そのマスクとサングラスはどうしたんですか?」

 

そう。素顔の確認だ。

 

「これは気にしないでほしい。お互いのためだ」

 

指揮官はいつもこの返答をする。悲しいことに本当にお互いのためなのだ。素顔を見てしまうと性格とのギャップに苦しむことになってしまう。

 

「指揮官がそう言うなら私も気にしませんが…」

 

どうやらノースカロライナは深く気にしないタイプらしい。彼女のように指揮官の顔を知らずに過ごしている艦船も存在する。しかし残念ながらそれは少数派だ。

 

 

 

「チース!アタシはワシントン!これからよろしくな!」

「はじめましてワシントン。貴殿の活躍に期待している」

「おいおいなんだそのサングラスは?ちゃんと外してアタシを見ろ!」

 

血気盛んな性格だったり駆逐艦のような多感な子はこうやって指揮官の顔を見たがってしまう。彼女の言ってることは何も間違っていないのに…あまり勧めたくない。

 

「…私の素顔を見て後悔しないかい?」

 

こういう顔を見たがるタイプには指揮官はこの質問を投げかける。これで思い留まった艦船は見たことないが…

 

「なに訳の分からないこと言ってるんだ?いいから外しな!」

「なら…」

 

指揮官の封印とも言えるマスクとサングラスが外される。

 

「………アタシが悪かった。着けてていいよ」

「すまないね」

 

あの元気で威勢のいいワシントンがここまでしょぼくれるほどの破壊力。悲鳴を上げないだけ大分マシな反応だ。

 

「おいエンタープライズ!ちょっと…」

 

執務室を出て行ったワシントンに手招きをされたので、指揮官に一礼をしてから彼女についていった。

 

 

 

「なあ…お前あの指揮官の下で働いてんのか?」

 

休憩室に招かれて開口一番そう聞かれた。ものすごく失礼な発言だが何故だろう。強く言い返せない。

 

「言いたいことはわかるぞワシントン。でも安心してくれ。見た目は確かに…悪いかもしれないけど指揮官としての腕は確かだ」

「嘘だろ本当か!?どっかの本で見たバケモンと同じ顔してたぞ!」

「君はそういうことを気にする性格じゃないだろう?」

「アタシにだって限度はある!」

「とにかく落ち着こう。何か飲もうか」

 

自販機の安い缶コーヒーを奢り、なんとかワシントンを説得させた。なんだか満足していなさそうだったが…彼女の性格なら数日後には割り切ることができるだろう。

 

 

 

ワシントンの後にも自己紹介が続いたが、執務室から出てくる艦船達の顔は揃いも揃って不安そうだった。カークとホビーは泣いてしまったのだろう、くっつく二人をノースカロライナが慰めていた。どうか指揮官を許してほしい。彼は泣かせたいわけでも怖がらせたいわけでもないのだ。

 

指揮官の顔は気持ち悪さからくる恐怖でダメージを与えてくるタイプだ。うん、我ながらとても失礼なことを言っているな。

 

「指揮官…その…整形とかはしないのか?いや、顔が嫌だからというわけじゃなくて…」

 

艦隊の士気に関わることなので思い切ってさらに失礼な質問を投げかけてみた。

 

「勿論試したさ。しかし残念ながら医者が『頭蓋骨から丸ごと取り替えないとダメ』だと匙を投げられた」

 

「そうか…すまない…」

 

指揮官がなんの対策も講じてないとは思っていなかったが…まさかそれほどとは。

さてうちの指揮官、特段太っていることも痩せているということはない。むしろがっちりとした筋肉質の男らしい体格をしている。しかし悲しいことにそれが威圧感を増幅させている。素顔抜きにしてもあれでサングラスにマスクをしていたら身構える。

とにかく、問題点は首から上だけなのだ。

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