ありがてぇ、ありがてぇ!
今回戦闘描写を稚拙ながらも頑張りました。
もし、こうした方が良いなど思ったらビシバシご指摘下さい。
『どうしたぁ⁉︎ 実戦じゃカウントなんざねぇんだよ‼︎ 走れ走れぇ‼︎賽は投げられてんだぞ⁉︎』
そうだ、ここは自由が売りの雄英高校。
なんでもありなんだ。
大地を思い切り蹴り、走り出す。
「突撃ぃぃっ‼︎」
一度は言ってみたかったセリフを大声で叫び、一人走り出す。
皆ポカーンとしている中、俺は幸先の良いスタートダッシュを決めることが出来た……そのはずだった。
ステータスを機動力に全振りしているようなやつがものすごいスピードで俺を抜いていきやがった。そして、徐々に後方の奴に抜かれていった。そう、武器が重すぎるのだ。
銃一つですら4キロ程、手榴弾二つで約1キロ。ヘルメットは500グラムほど。その他マガジンも含めたら合計……いやもう止めよう。
と、不意に前方左の壁をぶち壊し、何かが来た。
1ポイントロボットが現れた!
『敵、補足、ブッコロス』
あかん奴やこれ。
「演習モード!」
銃を構え、射撃。やはり、かなりの反動だ。肩が痛い。
エアガン弾は跳弾した。
「グホッ!」
不意の腹パンを喰らい、2〜3メートル飛ばされ尻餅を着いてしまった。
だが、これで……
『攻撃を確認。これより専守防衛の下、敵群団を撃滅せよ!』
でもフルオートは許してくれないんでしょ?
一心不乱に引き金を引いた。
あんな巨体、この距離なら狙いを定める必要もないとはいえ、全くもって慣れない射撃。そして、大きな反動。
銃を真っ直ぐ支える事がこんなにも難しいなんて思わなかった。今の俺ではフルオートなんてまともに使えないだろうな。
全弾撃ち終わる前にロボットは黒煙を吹き出し、動かなくなっていることに俺は気づかなかった。
空のマガジンを外し、新たにマガジンを再装填。その後、標的撃滅の任を続行した。
戦闘時以外引き金には指を置いてはならない。もし、誤射をして他人に命中してしまえば、自衛隊失格だ。
だから今、いつでも撃てるようグリップを軽く握り締める。
☆
壁が崩れる音。そして、大地を揺るがす地響き。
左右から一体ずつ、上空からは二体。
壁の向こうからだけでなく、空からも奇襲してくるとは、しかも、さっきのやつより強そうだ。
2ポイントロボットの群れが現れた!
すぐさま射撃を開始。
突然のことだった為、当然狙いはてきとう。さらに、また一心不乱に引き金を引き続ける。しかし、カチッ、カチッ、と引き金を引いているのに弾は出ず、音だけが鳴る。弾切れだ。
まだ一体も無力化できていない。
「くそっ!」
マガジンを外し、予備マガジンを取り出そうとする。
「あれっ、抜けない」
慌てすぎてマガジンが取り出せない。しかも、ようやく取れた思いきや、マガジンを落としてしまったのだ。
俺はまた腹にパンチを喰らい今度は十メートルも飛ばされてしまった。さらに不幸は重なる。飛ばされた拍子に六四式すらも手離してしまった。
「これは予想以上にまずい」
体勢を立て直し、手榴弾を手にする。
「ピン抜きよし! 投げ!」
手榴弾は敵の手前に着弾し、数秒後に爆発。時間差により敵の背後で爆発という形になった。
倒れたロボットの装甲には穴が空き、所々配線は剥き出しになり、ジリジリと電気の音が鳴る。
四体全て黒煙を上げ、動かなくなっていた。
落とした六四式とマガジンを拾い、個性を発動。マガジンをいくつか補充した。
☆
「オラオラ、かかって来いよ1ポイント共! 今の俺なら憲法9条だって怖くねぇ! ヒヤッハー!」
1ポイントは3、4発で動かなくなる。
撃つときは止まり、しっかり狙う。そして、タン、タン、タンとゆっくり。
そうでなければ銃が跳ね上がり、違う所に飛んでいってしまう。
2ポイント以上の敵(まだ3ポイントとは敵対していない)には全くと言っていいほど小銃では歯が立たなかった。マガジン内の20発、全て使って倒せるかどうか。
だから、
「ピン抜き良し! 投げ!」
手榴弾で対抗する。
しかし、これでもう手持ちの手榴弾が無くなってしまった。
個性で出そうとすると数秒の時間が掛かる。だから予備を持っていたのだ。安全を確認できたらばすぐ補給しなくては。
しかし
『貴様! 一等陸士の癖していったい何個使う気だ! 貴様なんぞにくれてやる手榴弾などもう無い! これでも持っとけ!』
掌に信号拳銃が現れた。
『条件を達成しました。新たに信号拳銃が使えるようになりました」
「なめんな!」
俺はそれを地面に思い切り叩きつけた。
☆☆☆
「痛えっ!」
「クソっ、足が……」
「流石は雄英……俺なんかが来て良い場所じゃ無かったんだ……クソっ!」
多くの者がそこに倒れていた。そしてその周辺では3ポイントの残骸らしきものが山となっていた。
中には3ポイントの残骸に囲まれて、倒れている者も何人か。
『ラッキー、ライバルが減った。早くポイントを稼ごう』そう思った。だが、足が先に行く事を止めていた。
そうだ、俺の個性は国民を守る『自衛隊』だ!
俺の目的はここに合格することではない。目的は自衛隊を布教する事。これはその手段に過ぎない。
自衛隊を布教する俺が自衛隊にあるまじき行為をしてたまるか。
俺は武器を投げ捨て、負傷者達の所へ走り出した。
『条件達成。衛生科の資格を取得』
「大丈夫ですか! 意識はありますか! どこが痛いか話せますか!」
「右脹脛が、痛ぇんだ。多分折った」
「安心してください。なぜなら、貴方達の自衛隊が来ましたから」
添木と包帯、医療用テープが現れた。
この個性は人助けには協力的だな。
添木を右脹脛の左右に置き、包帯で巻いていく。
「痛いでしょうが、我慢して下さい!」
包帯を巻き終え、医療用テープで止める。
しかし、これ以上専門的な事は出来ない。
「応急処置完了。ちゃんとした医療の方がここに来るまで動かないでください」
そうして全員の処置が終わる頃にはとっくに試験など終わっていた。
☆☆☆
「嗚呼ああああっ! やっちまった。俺はなんて愚かな事をしてしまったんだ! なんであの時柄にもない事を……自衛隊を布教するには目立たないといけない。だから目立つための手段として、受験したのに!」
燃え尽きたぜ……真っ白にな。
この時、レスキューポイントなるものがあることを今の弘はまだ知らない。
試験後、怪我により『リカバリーガール』さんとやらに治癒してもらい、今現在、入院中である。
あの時はアドレナリンが湧き出て、痛く無かった。しかし、それが終わった後とてつもない痛みに襲われた。
☆☆
入院している間に中学校では卒業式が終わり、俺は病院で中学生を卒業してしまった。
卒業記念なんたらも書いていない。本当に何も無い中学校生活を過ごしてしまった。
きっと笑い者にされているのだろう。
入院のため、他校の試験も受けられなかった。
ペーパーテストでギリギリで、さらに実技でも得点を全く稼げなかった俺は落とされているだろう。
中卒。
今の厳しい社会では全く生きていけない。
ヒーロー科の教育課程を修了していないため、夢の自衛隊すらも夢のまま。
次の日
手紙が届いた。雄英からだった。どうせ、落選通知だろう。『貴方様の益々のご活躍を云々』と
破き捨ててやろうか。いや、虚しいが記念に持っておこう。
爆豪が言った通り記念受験になってまうな。あいつはなんて言うんだろうか。
そんなことを考えながら手紙を開けた。
『私が投影された‼︎』
よくテレビに出てくるオールマイトさんだった。
『君筆記は可もなく不可もなく、普通だね。筆記は合格だ。しかし、実技は20ポイント。これでは不合格だ』
よし燃やそう。
『それだけならね』
どう言うことだ? 俺は不合格。それで終わりだろ?
『先の入試で見ていたのは敵ポイントだけにあらず! 人救けした人間を排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ‼︎ 綺麗事? 上等さ! 命を賭して綺麗事を実践するお仕事だ!』
『レスキューポイント。しかも審査制! 我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力‼︎ 山口弘 レスキューポイント40。合計60ポイント!合格だよ』
そして映像は消えた。
俺はどうやら受かったらしい。
やったぜ!
この個性対物戦に全く適してない。
しかも次体力テストやん。
何しろって言うんだよ!
階級を自衛隊式にすべきか!
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自衛隊式
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大日本帝国式