僕の個性は自衛隊   作:こしあんA

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今回戦闘シーンなど物足りないと思うかもしれません。
よろしければ、こう書いた方がいいよなど是非アドバイスしてください。

これから最低でも月一のペースで投稿できたらいいな。


8話 孤軍奮闘

「1……2……3……」

 

片手に持つ銃を大事そうに手入れしながらゆっくりと数えていく。

 

どう甚振ってやろうか。それを考えるだけで高鳴る鼓動が抑えられない。今すぐにでも走り出し、奴を仕留めたい。

 

「9……10……11……」

 

だが、ここで殺してしまうには彼は惜しい。未熟な果実がこうも魅力的だとは。

 

「17……19……20……」

 

残念だ。彼とは全く後に会いたかったものだ。

 

「28……29……30……」

 

しかし、数え終わる頃には男はもう考えるのをやめた。

さあ、楽しい楽しい戦争の始まりだ。

 

男はズカズカと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走って走って必死に階段を探す。

窓からは荒廃した街が見える。おそらく地震の際の救助訓練に使うのだろう。

市街地ならスナイパーの狙撃をうまく回避出来るかもしれない。

しかし、階段は瓦礫によって塞がれていた。人の力では到底持ち上がりそうにもない。

 

 

しかし、状況が状況とはいえど、六十四式の回収すらせずに逃げてしまった。

今更戻る事なんて出来ない。

ヘルメットを被り、P220を装備。

一応、六十四式を発注してみたところ出たには出たのだが、左肩の負傷と不向きな室内戦のため使用は難しいだろう。

仕方なく俺は六十四式を消す。

これで武器のアドバンテージを失った。

 

銃を見つめる。

先の攻撃で俺は実弾射撃が可能となった。

しかし、例え相手が(ヴィラン)とはいえど殺せば殺人。相手を殺すことは何があってもいけない。

今の俺は、まさに敵を殺すことのできない軍隊(自衛隊)だ。

実に皮肉なことだ。

 

 

この部屋の一番窓側にある柱に身を隠し、息を整える。

しかし、緊張、恐怖も相まってか少し動いただけでだいぶ息が上がった。

音を出さないようにと思えば思うほど呼吸は荒くなっていった。

 

 

コン、コン、コンと歩く音がする。

わざと俺に聞こえるようにやってるんだ。

きっと、どういう気持ちで俺が銃を撃つのかそれを見たいんだ。そして、俺が殺せないということもわかっているのだろう。

 

まるで俺の位置が分かっているかのように足音が近づいてくる。やはり音はだだもれだったのだろうか。

 

遮蔽物からP220だけを腰の高さで出し、やたらめったら撃った。

銃口はブレ、当たったかどうかも分からない。

 

8つの空の薬莢が床に散らばる。

マガジンを床に捨て、マガジンを再装填。薬室に弾丸が装填される。それと同時に聞き慣れたピンの抜ける音がし、カランカランと床を転がる物体。

手榴弾だ。

 

手榴弾とは反対の方向の遮蔽物に向かって逃げる。

その時、柱から顔を出し見たものは、男がこちらへ銃を向けている姿だった。

咄嗟にホルスターへ手を伸ばす。

 

 

 

彼我の弾が交差する。

 

 

 

男の弾は山口の右大腿、右下腿に計2発が命中した。

右下腿のものは肉を抉り、貫いた。しかし、右大腿のものは肉を貫くことなく山口の体に残ってしまった。

一方山口の弾丸は男の左下腿に命中。貫通せず男の中に残った。

 

 

 

これまで体験した事のない痛みが俺を襲う。

倒れてしまいたい。倒れて横になって楽になってしまいたい。だが、ここで倒れたらゲームオーバーだ。

死んでたまるか。

 

左足で地面を蹴る。そらと同時に手榴弾が爆発。爆風の力も借り、倒れながらも柱の裏に辿り着く。

しかし、手榴弾の破片が背に浅く食い込んだ。

背を柱に寄り掛け、空いた足の穴を押さえる。

 

2発も食らった。だが1発当ててやったぞ! けど痛みで立てそうにないや。

 

「惜しい! 右足と左足、両方を狙い機動力を完全に奪ってやるつもりだったが……まあ、機動力を多少は奪えただろう。それよりどうだ? 本物の銃に撃たれる気持ちは? 爆風の痛みは?」

 

男は痛みに何の反応も見せず、淡々と話す。それどころか山口が激痛で動けないことをいい事に銃の手入れすらし始めた。

 

「君は、君は実に良い! どうだ私の仲間にならないか? 君の力を思う存分振るわせてやる。きっと楽しいぞ?」

 

「嫌だね……この力は……日本の為に使うものだ。断じて……犯罪に使うものじゃない! それに……なんだルガー拳銃なんていう骨董品使いやがって……! 悪役といえばドイツみたいなノリで使ってるのか……? ふざけてるのか……?

どこぞの……少佐殿みたいな口調して。そんなに……戦争ごっこしたきゃ欧州にでも行ってこい」

 

「ほう、はやり君もあれを知っているか。君とはとことん趣味が合いそうだ。だが欧州、あそこはダメだ。日本は先進国の中でもかなり犯罪者が生きやすい国なのだぞ」

 

男は語り出した。その間攻撃されそうにないので応急措置を施すことにした。

 

銃は反社会組織や裏サイトで誰でも買える。銃刀法違反を掲げ、アメリカ等とは違うぞと言うが大して変わらない。むしろ日本の方が対処に困る。

 

日本はテロ組織に狙われない? 何をバカなことを。いとも容易くやられたではないか(ヴィラン)組織に。毒ガスを撒く個性の持ち主に地下鉄を襲われ、何十人死んだと思う?

 

社会的弱者を救うはずだった生活保護金が不正に受給され、さらに本当に困っている者にはちっとも許可が降りない。

それは今でもだ。ああ、ちなみに生活保護金は私たち(ヴィラン)組織も一つの資金源としてもありがたく使わせてもらっている。

あの時は国家ぐるみで(ヴィラン)の支援をしているのかと疑ったね。

そして、メディア共はその問題について報道を少しするだけ。警察も本腰を入れられない。

 

ああ、他にもあったな。

ハロウィンなどの日はモラルのない人間が東京を徘徊し、東京は汚され、人気のない場所では窃盗、暴力、強姦は当たり前。そしてそこには当然(ヴィラン)もいる。

ヒーローがどう対処しようが蛆のように沸いて出る。

 

日本は本当に良い(活動拠点)だ。

私も多くの国を見て回ってきたが、ここまで私達に都合のいい国は無い。

 

 

 

 

 

「さあ、応急はもう終わっただろう」

 

返事として銃弾を数発プレゼントしてやった。

弾丸は男の腹を破り、中に留まった。その時、金属と金属が擦れ合うような独特な音が耳に入る。

 

「痛いじゃないか、君」

 

「ひぃっ……!」

 

柱から身体を出した男から逃げるように手で地面を押し後ろへと下がる。

ふと電気がバチバチと鳴る音がした。男の体には所々穴が開いてはいるが、血が一切流れておらず、穴からは光が発せられ、内部の光景がほんのりと山口の瞳に映った。

 

「き、機械……サイボーグ?」

 

『残念、ハズレ! これは私の意思通りに動くロボット(オモチャ)だ』

 

奴の体の中から男の声がする。しかし、奴は口を開いていない。

 

『残念賞だ。受け取ってくれ』

 

ロボットは男の意思通り引鉄を引く。

2発の弾丸が撃ち出され、両耳を大きく抉る。

血が滴り、衣服と床を汚す。

 

「アアアッ!……」

 

痛い、怖い、死にたくない。

絶望の感情が脳を埋め尽くし、目からは大量の涙が溢れていた。

 

『どうだ? 大きなイヤリングの穴ができたぞ!』

 

こいつ……狂ってやがる。

急に体が小刻みに震え出した。

 

 

 

 

『……もう一度聞く、仲間になる気はないか?』

 

『…………』

 

 

 

ここで頷けばきっと楽になれるのだろう。プライドも信念も、なにもかもを捨てれば俺は生き残れる。

 

そうだ、信念なんてもの死んでしまえば何の意味もないクソ以下の存在だ。

俺は人間なんだ、生物なんだ。死にたい筈がない。

 

 

 

 

 

 

 

それでも、

それでも、俺の大好きな日本を裏切ることだけは俺には出来ない。

 

 

 

「……嫌だね!!」

 

『そうか……』

 

残念だ。そう男は言って山口の腹に1発撃ち込む。

腹部から赤い染みが広がっていく。

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!」

 

意識がだんだん遠退いていく。

 

『なんだ、情けないやっちゃのう』

 

普段出てくる男の声ではない。彼が鬼軍曹だとすれば、この男は古参の兵士のようだ。

 

 

 

 

 

『こんな子供が日本の守護者の名を背負わされるとは、本当に嘆かわしい。どれ、身体を一旦俺に寄越せ。戦いの手本ってのを見せてやる』

 

『なんでもいい……この状況を打破してくれ』

 

『了解、しっかり見て学べよ』

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、俺の意思では体が動かなくなり、感覚を失った。痛みも何もかも。

辺り一面真っ暗。

ただ一つ光るものがあって、その光景を見ること、聞くことができる。まるで映画でも見ているようだ。

その光景とはさっきまで俺が見ていた風景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体の主導権が男へと移った。

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みを感じる。色彩を感じる。鉄の匂いを感じる。硬いものに触れている感覚を感じる。

懐かしい感覚。

一時的だが、俺は2度目の生を受けた。

 

 

P220を抜き、引鉄を引く。

弾丸はルガー拳銃に命中し、ルガーは破損した。

 

それにより出来た隙に、痛みを堪え立ち上がる。そして勢いに任せロボットへ飛びかかる。

しかし、ロボットは内ポケットに隠していたもう1つのルガーを抜き、構えていた。

引鉄が引かれ、弾丸は銃口を離れ、こちらへと飛翔する。しかし、弾丸は左の頬を掠めるだけで致命傷には至らなかった。

そして、接近した山口は首根っこ掴んで足をかけ、後ろへと転倒させる。

重心を崩したロボットはいとも容易く地面へと叩き落とされた。

 

両腕を踏み付ける。ロボットは強い力で抵抗し、今にも拘束が解かれそうだった。人間と機械では馬力が違う。それはどんな技量があろうが覆らない。

 

P220で両肩を撃つ。

 

最初はかなり強い力で足を退かそうとしていたロボットだったが回路を撃ち抜いたのか力が弱くなってきた。

 

 

ロボットから離れ、手榴弾を出す。

ピンを抜き、ロボットへ投げる。それと同時に安全レバーが空で外れ、数秒後ロボットは爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

暗い暗い部屋。

光があるとすれば青白く光るパソコンだけ。そのパソコンを男は座ってじっと見ていた。

あたりには戦争のジオラマ、完成した戦車、飛行機の模型や異なる国の兵隊のオモチャが大事そうにガラスケースに飾られている。

 

 

 

 

「ああ、やられてしまった」

 

最後は思わず情をかけ、外してしまった。

だがこれで彼はもっと強くなる。この体験を糧にして。

 

 

「山口 弘……今後かれがどう成長し、我々(ヴィラン)にとってどれほどの障害となるか……フフ、楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

男は新しいオモチャを手に入れた子供のように無邪気に嗤う。そしてその後ろには飽きたオモチャが飾られていた。

それは人体実験された元人間、脳無にすらなれなかった朽ちた死体。それを犬に食わせている。

犬は次第に人間の味を覚えるようになった。

 




表現するかどうか悩ましい描写がありかなり悩んでしまいました。
特にルビで「軍隊」の上に自衛隊と表記することや男が語った内容など。
もし本当に生活保護金が本当に反社会勢力に回っていたらって考えると怖いですよね。

誤字脱字があった場合、もしくはここ変だよと思ったら是非忠告ください。

階級を自衛隊式にすべきか!

  • 自衛隊式
  • 大日本帝国式
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